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地域ハザードマップ

【2026年最新】世田谷区の災害リスクとハザードマップ|洪水・地震・土砂災害の想定と避難の備え

更新 2026年4月14日

世田谷区は人口約90万人を超える東京都内最大の基礎自治体です。北部の武蔵野台地、等々力渓谷に代表される国分寺崖線、南部の多摩川沿い低地という三層構造の地形を持ち、谷沢川・丸子川・野川・仙川といった中小河川が網目状に流れています。

この地形の複雑さが、多摩川の洪水、中小河川の急増水、下水道の処理能力を超えて街が冠水する内水氾濫、国分寺崖線の土砂災害、そして直下型地震と木造住宅密集地域の火災という、極めて多様な災害リスクにつながっています。2019年の台風19号では、多摩川の増水により玉川地区で約40戸の浸水被害が発生しました。

世田谷区を襲った災害の記録
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世田谷区のハザードマップに記載されている浸水深や震度の数値は、過去の被害データに基づいています。特に2019年の台風19号は、この地域の水害リスクを具体的に示した出来事でした。

令和元年東日本台風(2019年)での世田谷区の被害
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台風19号では多摩川流域全体で2日間雨量490mmを記録し、多摩川上流域の観測開始以来最大の降雨となりました。

項目世田谷区の状況
雨量多摩川上流域の2日間雨量490mm
浸水エリア玉川地区で面積約0.7ha、約40戸
最大浸水深玉堤付近で約160cm
主な被害東京都市大学図書館が水没、住宅1階の全損多数
原因多摩川の増水による排水樋管の閉鎖と越水、谷沢川・丸子川からの氾濫水流入

この水害で明らかになったのは「バックウォーター現象」の危険性です。多摩川の水位が上昇すると、支流(谷沢川・丸子川)の出口が塞がれ、逃げ場を失った水が市街地側へ溢れ出します。等々力排水樋門は冠水と強風により作業員が近づけず、閉鎖操作ができなかったことも被害を拡大させました。

また、防犯カメラ映像の分析では、浸水開始後の歩行速度が通常の秒速1.0〜1.7mから秒速0.3〜0.8mに大幅低下したことが確認されており、浅い水深でも濁流の中を歩行して避難することは極めて困難です。

出典:国土交通省 多摩川緊急治水対策プロジェクト自然災害科学 Vol.41 No.4

世田谷区の地震リスク
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世田谷区に甚大な被害をもたらすと想定される地震は主に2つあります。

想定地震規模世田谷区の想定震度
立川断層帯地震M7.3区内全域で震度6弱以下
区直下型地震(未知の断層)M6.9区内全域で震度6強。南側の軟弱地盤では計測震度がさらに高まる傾向

区の南側に震度6強の予測が集中しているのは、多摩川沿いの低地や旧河道(かつて川が流れていた跡地)に水分を多く含んだ砂や粘土が堆積しているためです。こうした場所では地震波が表層で増幅され、液状化のリスクも高まります。

さらに、世田谷区は高度経済成長期に形成された木造住宅密集地域(木密地域)を抱えており、地震に伴う同時多発火災と延焼が都市構造上の大きなリスクとなっています。地震火災の過半数は、停電復旧時に発生する「通電火災」であり、揺れを感知して電気を遮断する感震ブレーカーの設置が有効な対策です。

出典:世田谷区 揺れやすさマップ

ハザードマップの種類と確認方法
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世田谷区は複数のハザードマップを公開しています。

マップ名内容
洪水ハザードマップ(多摩川版)多摩川の堤防決壊時の浸水想定(2日間総雨量588mm想定)
内水氾濫・中小河川洪水ハザードマップ時間最大雨量153mm・総雨量690mm想定。野川、仙川、丸子川、谷沢川の氾濫と内水氾濫
土砂災害ハザードマップ国分寺崖線を中心とした土砂災害警戒区域・特別警戒区域(令和7年9月更新)
揺れやすさマップ立川断層帯地震(M7.3)と直下型地震(M6.9)の最大震度を50mメッシュで表示

揺れやすさマップは50m四方(ほぼ街区単位)の細かさでリスクが分かれているため、隣接するブロックで結果が異なる場合もあります。自宅の住所で確認してください。

視覚に障害のある方向けには、音声読み上げ対応のアプリ「Uni-voice Blind」やDAISY版のハザードマップも提供されています。紙版は危機管理部災害対策課、各総合支所、まちづくりセンターで配布しています。

世田谷区のエリア別リスク早見表
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世田谷区は地形によってリスクの性質が大きく異なります。自分の居住エリアがどのリスクに該当するかを以下の一覧で確認してください。

エリア主な地形水害の主要因警戒ポイント
多摩川沿い低地(玉川・等々力・玉堤)低地・旧河道多摩川の越水・内水氾濫想定最大規模で3.0〜5.0m以上の浸水。液状化リスクも高い
谷沢川・丸子川沿い中小河川・低地バックウォーター現象多摩川増水時に排水不能となり急激に冠水
野川・仙川沿い谷状地形中小河川の急増水局地的豪雨で短時間に水位が上昇
武蔵野台地上の凹地埋立地・旧小川跡内水氾濫下水道処理能力を超えた雨水による道路冠水
国分寺崖線沿い(成城〜等々力)急傾斜地土砂崩れ大雨時・地震時に崖崩れリスク。土砂災害特別警戒区域が点在
木造住宅密集地域(下北沢周辺等)密集市街地地震時の同時多発火災・延焼が最大のリスク

各エリアの特徴
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多摩川沿い低地は台風19号で実際に浸水被害が発生したエリアであり、想定最大規模では3.0〜5.0m以上の浸水が予測されています。早期の広域避難、または高層建物の上階への避難が必須となる地域です。

谷沢川・丸子川沿いで警戒すべきは、多摩川の水位上昇に連動して被害が拡大するバックウォーター現象。雨が止んでいても多摩川本流の水位上昇という外部要因で一気に水が押し寄せるリスクがあり、多摩川の水位情報を常に監視しておくことが重要です。

国分寺崖線沿い(成城、喜多見、大蔵、岡本、瀬田、等々力)は大雨時と地震時の両方で土砂崩れのリスクが高く、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・特別警戒区域(レッドゾーン)が多数指定されている地域です。

木造住宅密集地域は浸水リスクが低い一方で、地震時の延焼リスクを抱えています。感震ブレーカーの設置と家具転倒防止が命を守る直接的な対策となります。

世田谷区の主要駅周辺の浸水リスク
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通勤・通学で利用する主要駅周辺の浸水リスクは、全ての区民に関わる情報です。浸水想定には2つの基準があります。

  • 計画規模 — 数十年〜百年に1回程度の大雨を想定
  • 想定最大規模 — 1,000年に1回程度の極端な大雨を想定
駅名想定最大規模の浸水深主なリスク
二子玉川駅3.0〜5.0m以上多摩川に極めて近く、台風19号でも越水が発生。早期の広域避難が必須
三軒茶屋駅0.2〜0.5m程度標高は比較的高いが、地形のくぼみで内水氾濫が発生しやすい
下北沢駅0.2m以下浸水リスクは限定的。ただし木密地域のため地震時の延焼リスクが高い
成城学園前駅駅周辺は低リスク高台だが、周辺に国分寺崖線の土砂災害特別警戒区域が点在

二子玉川駅周辺は区内で最も警戒が必要なエリアです。2019年の台風19号では駅付近で越水が始まり、玉堤付近で最大約160cmの浸水が確認されました。多摩川右岸の溝の口(川崎市側)では、平瀬川のバックウォーター現象によりマンション1階で死者が発生しており、世田谷区側の支流沿いでも同じメカニズムで命の危険が生じる可能性があります。

出典:世田谷区 洪水ハザードマップ

浸水深の目安と避難判断
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ハザードマップに示される浸水深が実際にどのような状況を意味するのか、行動の判断基準とあわせて整理します。

浸水深状況行動の目安
0.5m未満大人の膝下この段階に達する前に避難を完了させる
0.5〜1.0m大人の腰歩行による避難は危険。台風19号の実測で歩行速度が半分以下に低下
1.0〜3.0m1階が完全に水没2階以上への垂直避難。ただし木造家屋は倒壊・流出リスクあり
3.0m以上2階の床下まで浸水事前の立ち退き避難が必須
5.0m以上2階建て家屋の屋根まで到達2階でも生存不能。立ち退き避難が唯一の手段

二子玉川駅周辺(3.0〜5.0m以上)にお住まいの方は、降雨が強まってからの避難では間に合わない可能性があります。

世田谷区の避難情報は多摩川の田園調布(上)水位観測所の水位に基づいて発令されます。氾濫警戒水位で警戒レベル3(高齢者等避難)、氾濫危険水位で警戒レベル4(避難指示)が発令されますが、台風の夜間通過が予想される場合は基準到達前でも夕刻に発令されることがあります。

出典:世田谷区 避難情報の発令基準

避難場所と避難所の違い
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「避難場所」と「避難所」は異なる役割を持つ施設です。災害時に適切な判断を行うために、この違いを事前に把握しておくことが重要です。

種別役割具体例
指定避難所自宅が倒壊・焼失した場合に一定期間生活する施設区立小中学校(全96か所)
広域避難場所大規模延焼火災から命を守るオープンスペース大きな公園、大学キャンパス
水害・土砂災害時避難所浸水・土砂リスクのない安全な立地で開設全指定避難所が開くわけではない。事前確認が必要

重要な注意点
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水害時には浸水想定区域や土砂災害警戒区域に含まれる施設は開設されません。全96か所の指定避難所のうち、風水害時に開設されるのは安全な立地の施設のみです。事前に世田谷区防災マップで確認してください。

また、区内の指定避難所は区民全員を収容するスペースがありません。自宅が倒壊・焼失の危険がなく浸水リスクもない場合は、住み慣れた自宅で生活を続ける「在宅避難」が推奨されています。在宅避難を実現するためには、3日分以上(できれば1週間分)の食料・水・簡易トイレの備蓄が必要です。

避難行動の原則
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状況避難方法
多摩川の洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域危険が及ぶ前に指定避難所や安全な地域へ移動する「水平避難」
中小河川の氾濫・内水氾濫外を歩くこと自体が危険なため、自宅の2階以上へ逃げる「垂直避難」

防災情報の入手方法
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災害時に正確な情報を迅速に入手できるかどうかは、避難行動の成否に直結します。情報の入手手段は最低2つ確保しておくことを推奨します。

手段概要
世田谷区防災ポータル避難情報・避難所の開設状況をリアルタイム確認
世田谷区雨量・水位情報区内中小河川の定点カメラと水位データ
川の防災情報(多摩川水位)多摩川のリアルタイム水位・ライブカメラ
東京アメッシュ東京都下水道局の降雨監視システム
東京マイ・タイムライン家族構成に応じた避難行動計画の作成ツール

上記に加え、FM世田谷(83.4MHz)、防災行政無線、区の公式X(旧Twitter)でも情報が配信されます。緊急速報メール(エリアメール)は事前の登録不要で避難指示を強制受信します。

警戒レベルと行動
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レベル発表される情報住民の行動
1早期注意情報災害への心構えを高める
2大雨・洪水注意報ハザードマップで避難先を再確認
3高齢者等避難高齢者・乳幼児のいる家庭は避難開始
4避難指示危険な場所から全員避難
5緊急安全確保命を守る行動を直ちにとる

レベル5は災害がすでに発生または切迫している状態を示します。レベル4までに避難を完了させることが原則です。

マイ・タイムラインの作成
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「いつ」「誰が」「何をするか」を事前に時系列で整理する避難行動計画が「マイ・タイムライン」です。東京都はWEB版の作成ツールを公開しており、家族構成に応じて5種類(一般用・高校生用・中学生用・小学校高学年用・低学年用)が用意されています。

以下の3ステップで作成します。

  1. リスクを確認する — ハザードマップで自宅の浸水深と土砂災害リスクを確認
  2. 避難方法を決める — 多摩川沿い低地は水平避難、中小河川沿いは垂直避難が基本
  3. タイミングを決める — 多摩川の水位情報に連動させ、「氾濫警戒水位で高齢者避難開始」「氾濫危険水位で全員避難完了」のように家族の役割分担を時系列で整理する

台風の夜間通過が予想される場合は、行政の発令を待たず夕刻には避難行動を開始することが推奨されています。

世田谷区の独自の防災対策
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世田谷区は行政(公助)だけでなく、民間企業との連携による共助の仕組みづくりに力を入れています。

多摩川緊急治水対策プロジェクト
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令和元年の水害を教訓に、国・東京都・世田谷区等が連携した約191億円規模のプロジェクトが進行中です。玉川地区での堤防整備、多摩川中流域の河道掘削・樹木伐採が実施されており、戦後最大級の洪水でも越水を防ぐための改良復旧が進められています。

出典:国土交通省 多摩川緊急治水対策プロジェクト

感震ブレーカーの設置支援
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地震に伴う通電火災を防ぐため、区は感震ブレーカーの設置に対して助成を行っています。

対象助成内容
一般世帯費用の2/3(上限5万円)
高齢者・障害者等の特例世帯全額(上限8万円等)

東京都も新築・リフォーム時の分電盤タイプに購入費の1/2(上限3万円)を補助しています。

出典:感震ブレーカー支援制度一覧

官民連携「せたがやCo-Lab」
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区は民間企業からの防災提案を採用する窓口「せたがやCo-Lab」を設け、令和6年度には119件のプロジェクトが実施されています。

連携先取り組み内容
東急コミュニティーマンション住民向け防災セミナーの共催
第一生命保険地域イベントでの在宅避難啓発
トヨタモビリティ東京医療的ケア児への給電車両貸与訓練、大容量貯水タンクの設置
NTT東日本・JERA・東京ガス・東京電力脱炭素と災害時のエネルギー自立を両立する連携協定

その他の独自対策
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施策内容
震災対策用井戸断水に備え、区内の個人・事業所の井戸を登録・公開。生活用水を地域で確保
家具転倒防止器具の取り付け支援高齢者・障害者世帯を対象に区が無料で取り付け作業を実施
住宅耐震化助成耐震改修工事への高額助成制度

出典:世田谷区 防災のページ

防災チェックリスト
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ここまでの内容を踏まえ、世田谷区民が確認しておくべき項目を一覧にまとめました。

備蓄の目安は、水が1人1日3リットル、非常用トイレが1人1日5回分で、日数は1週間分が推奨です。普段から多めに食材を買い、消費した分を買い足す「ローリングストック」の習慣化が有効です。

確認項目
洪水ハザードマップ(多摩川版・内水氾濫版)で自宅の浸水深を確認した
土砂災害ハザードマップで警戒区域に該当するか確認した
揺れやすさマップで自宅の想定震度を確認した
最寄りの避難所と、水害時に開設されるかを把握した
多摩川の水位情報の確認方法を把握した
マイ・タイムラインを作成した
家族で避難のタイミングと集合場所を決めた
感震ブレーカーの設置を検討した(木密地域の方は特に)
家具の転倒防止をした
1週間分の水・食料・トイレを備蓄した
在宅避難の準備ができているか確認した
🛡 防災士からのメッセージ
世田谷区は多摩川の洪水、中小河川のバックウォーター現象、国分寺崖線の土砂災害、直下型地震と木密地域の火災という、複合的なリスクを抱えた自治体です。2019年の台風19号は、これらのリスクが現実のものであることを示しました。上記のチェックリストを一つずつ確認することから始めてください。

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