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地域ハザードマップ

【2026年最新】足立区の災害リスクとハザードマップ|荒川氾濫・内水氾濫・地震の想定と避難の備え

更新 2026年4月15日

足立区は人口約69万人を擁する東京都内第4位の自治体であり、荒川・中川・綾瀬川・芝川(新芝川)・毛長川という複数の一級河川に四方を囲まれた沖積低地に位置しています。区の約7割が海抜ゼロメートル地帯(満潮時の海面よりも低い土地)にあたり、一度河川が氾濫すると水が自然には引かないという地形的な特性を持っています。

こうした地形条件から、足立区の主な災害リスクは洪水・内水氾濫(川が溢れなくても排水が追いつかず街が冠水する現象)・地震の3つです。1947年のカスリーン台風では区内が広域浸水し、2019年の台風19号では3万人以上が避難所に殺到しました。

足立区を繰り返し襲ってきた災害の歴史
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足立区の現在の防災計画は、過去に経験した大規模被害の記録に基づいています。ハザードマップに示される浸水深や浸水継続時間の数値を正確に理解するには、この地がかつてどのような被害を受けてきたかを知っておくことが重要です。

水害の被害記録
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災害名主な記録足立区の被害
1947年カスリーン台風埼玉県で利根川堤防決壊被災世帯18,397世帯、被災人員74,051人。浸水深最大3m。家屋では1週間、田畑では1か月以上水が引かず
2019年令和元年東日本台風(台風19号)最大瞬間風速41.1m/s区内全域に避難勧告発令(区史上初)。135施設に過去最大33,172人が避難。3,567世帯が停電

出典:足立区立郷土博物館 資料 カスリン台風

1947年のカスリーン台風では、わずか30数時間の間に年間降水量の3分の1に相当する雨が降りました。低湿地帯特有の排水の悪さから浸水が長期化し、「一度水が入ると引かない」という教訓が、現在の高規格堤防事業や排水機場整備の原点となっています。

令和元年台風19号で明らかになった課題
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2019年の台風19号は、現代の足立区の防災体制の限界を浮き彫りにしました。区史上初めて区内全域に避難勧告が発令されたこの事態では、以下の課題が明らかになりました。

  • 早期に開設された避難所に避難者が殺到し、一部施設で混雑が極限に達した
  • 区職員のみによる避難所運営が破綻寸前となり、住民との共助体制の必要性が露呈した
  • 豪雨・強風の中で防災行政無線の音声が聞き取れないという苦情が殺到した

この教訓を踏まえ、区は「水防体制再構築本部」を設置し、避難所運営・情報伝達・要支援者対策の見直しを進めています。

出典:足立区 台風第19号の対応について

ハザードマップの種類と確認方法
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足立区は河川の種類に応じて複数のハザードマップを公開しています。

マップ名内容
足立区洪水ハザードマップ(荒川・利根川・江戸川)荒川・利根川・江戸川の氾濫を想定した浸水区域と浸水深
足立区洪水ハザードマップ(中川・綾瀬川・芝川等)中川・綾瀬川・芝川・新芝川の氾濫想定マップ
内水ハザードマップ下水道の排水能力を超えた場合の浸水シミュレーション
高潮ハザードマップ高潮発生時の浸水区域

これらのマップは足立区の災害ポータルサイトからも確認できます。紙版は区役所・地域学習センターでも配布しています。

荒川氾濫のシナリオでは荒川流域の72時間総雨量632mmという想定最大規模を前提としており、区内の一部では浸水深5m以上、浸水継続時間が2週間以上に及ぶ地域が存在します。この数値の意味については「浸水深の目安と避難判断」で詳しく説明します。

足立区のエリア別リスク早見表
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区内のエリアごとに、直面するリスクの性質が異なります。

エリア地震・地盤河川氾濫内水氾濫地形の特徴
千住エリア高(木造密集地)高(荒川隣接)木造住宅が密集し、地震時の倒壊・火災延焼リスクが高い
新田・宮城・小台エリア荒川と隅田川に挟まれた半島状地形。水害・地震時に孤立するリスクあり
舎人・伊興エリア区内では比較的標高が高いが、ゲリラ豪雨による内水氾濫に注意
綾瀬・大谷田エリア綾瀬川と中川に挟まれた低地。バックウォーター現象(中川から綾瀬川への逆流)で予測より早く浸水が始まるリスク
西新井・竹ノ塚エリア高(液状化)軟弱地盤による液状化リスクが高く、地震時のライフライン寸断に注意

出典:荒川水系流域治水プロジェクト

各エリアの特徴
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千住エリアは、古くからの木造住宅が密集しており、東京都の地震危険度調査でも上位にランクインする地域です。荒川の堤防が決壊した場合には急速に浸水が進行するため、早期の立ち退き避難が求められます。

新田・宮城・小台エリアは、荒川と隅田川の2本の大河川に囲まれた半島状の地形です。水害時や大地震時に橋梁が通行止めになると地域全体が完全に孤立するリスクがあり、平時からの避難経路の把握が特に重要です。

綾瀬・大谷田エリアで注意が必要なのは、バックウォーター現象です。中川の水位が急激に上昇した際、その水が支流の綾瀬川へ逆流することで、ハザードマップの予測よりも早く浸水が始まる場合があります。

西新井・竹ノ塚エリアは、沖積低地の厚い軟弱地盤の上に形成されており、地震時の液状化(地盤が流動化する現象)による水道管の破裂や道路の陥没など、ライフラインの甚大な寸断リスクを抱えています。

足立区の主要駅周辺の浸水リスク
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通勤・通学で利用する主要駅周辺の浸水リスクは、全ての区民に関わる情報です。浸水想定には2つの基準があります。

  • 計画規模 — 数十年〜百年に1回程度の大雨を想定
  • 想定最大規模 — 1,000年に1回程度の極端な大雨を想定

以下の数値は想定最大規模(荒川氾濫)を示しています。

駅名想定浸水深注意点
北千住駅2.0m〜5.0m複数路線の地下鉄が乗り入れており、地下通路への浸水リスクが高い。荒川・隅田川に近接しているため堤防決壊時は数時間以内に濁流が到達する恐れ
綾瀬駅3.0m〜5.0m綾瀬川の氾濫に加え、中川からのバックウォーター現象の影響で浸水が深くなりやすい
六町駅2.0m〜3.0mつくばエクスプレスの地下駅。地上部に広範囲の浸水が想定され、地下駅構内への流入に警戒が必要
西新井駅1.0m〜3.0m周辺に木造住宅の密集地があり、水害と地震時の火災による複合リスクを考慮する必要あり
竹ノ塚駅0.5m〜2.0m区内ではやや標高が高いが、集中豪雨による内水氾濫でアンダーパスや地下道が冠水しやすい

出典:足立区洪水ハザードマップ

北千住駅は足立区最大のターミナル駅ですが、浸水深の想定は5.0mに達するシナリオがあります。地下鉄入口への浸水は急速に広がるため、洪水時は地下空間の利用を避けることが重要です。

六町駅のように地下にホームがある駅は、地上部の浸水が始まった時点で速やかに地上へ脱出することが求められます。駅施設側の止水板設備が稼働するかどうかも、対応を左右する要素です。

足立区の地震リスク
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首都直下地震と地盤増幅
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足立区の周辺に活断層は確認されていませんが、地下深くに潜む地殻内地震やプレート境界型の首都直下地震が発生した場合、軟弱な沖積低地の地盤が揺れを増幅させ、周辺地域と比べて震度が一段階高くなる傾向があります。

液状化リスク
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地震の揺れにより地中の水と砂が混合し、地盤が流動化する現象が液状化です。建物の傾斜・沈下やマンホールの浮上、道路の陥没が発生し、ライフラインの復旧にも長期間を要します。

リスク該当エリア
西新井・竹ノ塚エリア(沖積低地の厚い軟弱地盤)
中〜高綾瀬・大谷田エリア(中川・綾瀬川沿いの低地)
千住エリア(荒川沿いの沖積低地)

足立区全域が軟弱地盤上に位置しているため、液状化のリスクは区内のほぼすべての地域で程度の差はあれ存在します。足立区地震・液状化ハザードマップで自宅周辺を確認してください。

木造密集地域の火災リスク
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千住エリアや西新井周辺には老朽化した木造住宅が密集しており、地震時には倒壊と火災延焼の複合リスクが高い地域です。足立区は耐震化・不燃化助成として最大500万円の補助制度を設けており、令和8年度末まで申請を受け付けています。

出典:足立区 木造住宅の耐震化助成

浸水深の目安と避難判断
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ハザードマップに示される浸水深が実際にどのような状況を意味するのか、行動の判断基準とあわせて整理します。

浸水深状況行動の目安
0.5m未満大人の膝下この段階に達する前に避難を完了させる
0.5〜1.0m大人の腰歩行による避難は困難。0.5mが安全な歩行の限界
1.0〜3.0m1階が完全に水没2階以上への垂直避難。ただし木造家屋は倒壊・流出リスクあり
3.0m以上2階の床下まで浸水事前の立ち退き避難が必須
5.0m以上2階建て家屋の屋根に到達2階でも生存不能。早期の立ち退き避難が唯一の手段

北千住駅周辺・綾瀬駅周辺(想定最大5.0m)、六町駅・西新井駅周辺(同2.0〜3.0m)にお住まいの方は、降雨が強まってからでは避難が間に合わない可能性があります。岩淵水門(上)の水位が避難判断水位(6.50m)に達する段階で避難行動を開始することが原則です。

さらに、足立区では浸水が2週間以上継続する地域が存在するため、垂直避難(自宅の上階に留まる)では長期の孤立が避けられません。浸水リスクのない地域への早期の立ち退き避難を優先してください。

避難場所と避難所の違い
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「避難場所」と「避難所」は異なる役割を持ちます。災害時に適切な行動をとるために、事前にこの違いを把握しておくことが重要です。

種別役割具体例
指定避難所避難生活を送る施設区立小・中学校(全校が指定)
緊急避難建物浸水が切迫した際の一時避難先大学・都立高校など
福祉避難所配慮が必要な方の二次避難先区内各所(直接避難は不可)

水害時の重要な注意点
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大規模水害が想定される場合、区立小・中学校は避難所として開設されますが、校舎の1階部分は水没する可能性が高いため、2階以上の教室・廊下が居住スペースとなります。避難所に行く際は、この前提を把握しておいてください。

福祉避難所は、発災直後に直接向かう施設ではありません。まず指定避難所に避難し、専門職が状態を確認した上で必要に応じて案内される仕組みです。

また、足立区では分散避難が推奨されています。ハザードマップで自宅が家屋倒壊等氾濫想定区域に入っておらず、浸水想定よりも高い階層に住んでいる場合は在宅避難(垂直避難)も選択肢のひとつです。浸水が2週間以上継続する可能性のある地域では、公共交通機関が動いているうちに浸水リスクのない地域の親戚・知人宅やホテルへ移動する縁故避難を、第一選択肢として検討してください。

出典:水害時避難所運営手順書

防災情報の入手方法
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災害時に正確な情報を迅速に入手できるかどうかが、避難行動の成否に直結します。台風19号の教訓から、足立区では複数の情報手段を組み合わせることを推奨しています。

手段概要
足立区防災アプリ避難所の開設状況・混雑状況のリアルタイム表示、GPSによる最短避難ルート案内、防災無線内容の文字表示。10言語対応
足立区災害ポータルサイト避難情報・避難所開設状況をWeb上でリアルタイム確認
A-メール(足立区メール配信サービス)河川水位の警戒情報・避難指示をプッシュ通知で直接受信
足立区LINE公式アカウントSNSで避難情報を受信。拡散力が高く最新状況の把握に有効
防災行政無線屋外での警告。聞き取れない場合はアプリやWebで内容を文字確認できる

上記に加え、緊急速報メール(エリアメール)は避難指示・洪水警報を携帯キャリア経由で強制受信する仕組みのため、事前の登録は不要です。

警戒レベルと行動
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レベル発表される情報住民の行動
1早期注意情報災害への心構えを高める
2大雨・洪水注意報ハザードマップで避難先を再確認
3高齢者等避難高齢者・乳幼児のいる家庭は避難開始。岩淵水門水位6.50m到達が目安
4避難指示危険な場所から全員が避難。岩淵水門水位7.70mがタイムリミット
5緊急安全確保命を守る行動を直ちにとる

中川・綾瀬川は荒川と比べて流域面積が狭く、豪雨時に水位が急激に上昇する特性があります。荒川のタイムラインより早い段階での判断が求められます。

マイ・タイムラインの作成
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「いつ」「誰が」「何をするか」を事前に整理しておく個人の避難行動計画が「マイ・タイムライン」です。足立区では各地域の町会・自治会単位でも「コミュニティタイムライン」の策定が進められています。

以下の3ステップで作成します。

  1. リスクを確認する — ハザードマップで自宅の浸水深・浸水継続時間・家屋倒壊等氾濫想定区域への該当を確認する
  2. 避難方法を決める — 浸水深3.0m以上・継続時間2週間以上のエリアは早期の立ち退き避難が必須。縁故避難・在宅避難・避難所避難の優先順位を家族で決める
  3. タイミングを決める — 岩淵水門の水位レベルに合わせて「水位6.50m到達で高齢者と子どもは移動開始」「水位7.70mまでに全員完了」のように時系列で整理する

出典:足立区 水害ハザードマップ活用マニュアル

足立区の独自の防災対策
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足立区は台風19号の教訓を踏まえ、インフラ整備とデジタル戦略の両面から防災体制を強化しています。

ハード対策
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施設・事業内容
高規格堤防(スーパー堤防)事業荒川・中川沿いで国と連携して堤防を強化。越水しても決壊しない構造への転換を進める
舎人調節池舎人公園地下の巨大な雨水貯留施設。ゲリラ豪雨時に下水道で処理しきれない雨水を一時貯留し、内水氾濫を防ぐ
環状七号線地下広域調節池内径12.5mのトンネルが洪水を取水し、河川水位を低下させる

ソフト対策
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制度・活動内容
足立区防災アプリ避難所の混雑状況をリアルタイム表示。防災無線の文字化・音声再生機能も搭載。10言語対応
あだち備蓄の日毎月19日を「あだち備蓄の日」と定め、家庭内備蓄を啓発
浸水深表示の設置区立小・中学校等の公共施設に「水がここまで来ます」という想定浸水深を物理的な高さで示すサインを設置
LINEを活用した防災訓練クイズ形式・シミュレーション形式でいつでも参加できるデジタル防災訓練を実施
要支援者の個別計画区内約24,000人の避難行動要支援者に対し、民生委員と連携した個別避難計画を策定

出典:足立区 防災アプリ

防災チェックリスト
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備蓄の目安は、水が1人1日3リットル、非常用トイレが1人1日5〜7回分で、最低3日分・推奨1週間分です。足立区は「あだち備蓄の日」(毎月19日)に合わせた定期的な備蓄確認を推奨しています。

確認項目
足立区洪水ハザードマップで自宅の浸水深と浸水継続時間を確認した
自宅が「家屋倒壊等氾濫想定区域」に入っているか確認した
在宅避難・縁故避難・避難所避難のどれが自分に適しているか判断した
縁故避難先(浸水リスクのない地域の親戚・知人宅等)を確保した
最寄りの避難所と、水害時に2階以上のみ使用となることを把握した
岩淵水門の水位情報の確認方法を知っている
マイ・タイムラインを作成し、家族全員で共有した
足立区防災アプリとA-メールを登録した
地震保険の加入状況を確認した
家具の転倒防止対策をした
1週間分の水・食料・携帯トイレを備蓄した
ペット同行避難のルール(ケージ携行)を確認した
🛡 防災士からのメッセージ
足立区の約7割が海抜ゼロメートル地帯にある以上、荒川氾濫時の広域避難は「早すぎる」ということはありません。浸水継続時間が2週間を超える地域では、避難所に向かうよりも浸水リスクのない地域への縁故避難を優先することが、現実的かつ合理的な選択です。チェックリストの確認から始め、今日中に家族で避難のタイミングと行き先を決めておくことを推奨します。

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