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地域ハザードマップ

【2026年最新】葛飾区の災害リスクとハザードマップ|水害・地震・広域避難の備え

更新 2026年4月14日

葛飾区は、荒川・江戸川・中川という大河川に三方を囲まれた東京東部の区です。人口は約46万人。柴又の帝釈天や亀有など全国的に知られる街を擁する一方、区面積の過半が海抜ゼロメートル以下という厳しい地形的条件を持ちます。

地盤は数千年にわたる河川の堆積で形成された軟弱な沖積低地(河川が運んだ土砂が積み重なった地層)であり、洪水・地震・液状化という複合リスクが重なるエリアです。荒川が氾濫した場合、区の大部分で浸水深が5m以上に達し、排水には2週間以上かかると予測されています。

葛飾区を繰り返し襲ってきた水害の歴史
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葛飾区の地形リスクを理解するうえで欠かせないのが、過去の水害記録です。ハザードマップに示される浸水深の数値は、こうした歴史的被害データに基づいています。

カスリーン台風(1947年)による被害
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1947年9月に発生したカスリーン台風は、葛飾区史上最大の水害として記録されています。

9月16日、埼玉県東村(現・加須市)付近で利根川右岸堤防が決壊。氾濫した濁流は南下し、決壊から3日後の9月18日に葛飾区北部の小合溜(現在の水元公園付近)に到達しました。翌19日には桜堤(葛飾区北端)を越えて金町・柴又へ流れ込み、20日には中川の堤防も亀有付近で決壊。葛飾区のほぼ全域が水没しました。

新宿(にいじゅく)や水元付近では浸水深が3m以上に達し、水が引くまで半月以上を要しました。

項目データ
浸水家屋54,128棟
罹災者218,251人
浸水継続半月以上
区内最大浸水深3m以上(新宿・水元付近)

出典:葛飾区 カスリーン台風による浸水被害防災情報 ぼうさい 2022 No.104

この記録が示す重要な教訓は、上流での堤防決壊から葛飾区への到達まで数日間のタイムラグがあったこと、そして一度浸水すれば自力での排水が極めて困難なことです。現在の「広域避難」戦略は、この経験を直接の根拠としています。

葛飾区のハザードマップの種類と確認方法
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葛飾区は水害と地震の複合リスクに対応した複数のハザードマップを公開しています。

マップ名内容
水害ハザードマップ(解説編)荒川・江戸川・中川等の氾濫想定、浸水深・継続時間、広域避難の説明。2025年3月発行の最新版
水害ハザードマップ(高潮編)中心気圧930hPa以下の台風通過時の高潮浸水想定
地震ハザードマップ建物倒壊・火災危険度、液状化リスクを地区別に掲載

葛飾区の水害ハザードマップは河川ごとに作成されており、自宅周辺で複数の河川のリスクが重なる場合は、それぞれのマップを確認してください。紙版は葛飾区役所・各地区サービス事務所でも入手できます。

葛飾区のエリア別リスク早見表
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葛飾区全域が沖積低地に位置するため、水害リスクは区全体に及びます。エリアによって主なリスクの種類が異なります。

エリア水害リスク地震・地盤リスク主な河川
北部(水元・金町周辺)中〜高(江戸川氾濫)液状化リスク高江戸川
西部(四つ木・立石・堀切)高(荒川氾濫)木密地域・火災リスク高荒川・中川
中央部(亀有・青戸・お花茶屋)中〜高(中川・荒川)液状化リスク高中川・綾瀬川
東部(柴又・新小岩)高(江戸川・荒川)液状化リスク高江戸川・荒川

出典:葛飾区水害ハザードマップ(解説編)

各エリアの特徴
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北部(水元・金町エリア)は江戸川氾濫時の浸水が想定されるものの、水元公園一帯は区内では比較的地盤が安定しており、広域避難場所として機能します。東京理科大学新宿キャンパス一帯も、相対的に安全性が高い避難拠点として位置づけられています。

西部(四つ木・立石・堀切エリア)は荒川至近の軟弱地盤と古い木造住宅密集地域が重なります。東京都の「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」では、東四つ木三丁目(都内17位)・堀切二丁目・五丁目・鎌倉四丁目(都内46位)・西新小岩五丁目(都内48位)が危険度ランク5(最高)に指定されており、洪水と地震時の火災延焼という二つのリスクが同時に重なる地域です。

中央部(亀有・青戸・お花茶屋エリア)は中川・綾瀬川と荒川の両方の影響を受けます。亀有駅周辺はカスリーン台風で堤防が決壊した地点に近く、歴史的にリスクが具体化した場所であることを忘れてはなりません。

東部(柴又・新小岩エリア)は江戸川と荒川の双方が氾濫した場合に広範囲の浸水が想定されます。観光地として知られる柴又の古い町並みは、地震時の延焼リスクも抱えています。

出典:地震危険度測定調査(第9回)地区別データ

葛飾区の主要駅周辺の浸水リスク
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通勤・通学で利用する駅周辺の浸水リスクは、避難判断の基準として重要です。浸水想定には2つの基準があります。

  • 計画規模 — 数十年〜百年に1回程度の大雨を想定
  • 想定最大規模 — 1,000年に1回程度の極端な大雨を想定

葛飾区の場合、荒川が想定最大規模で氾濫すると3日間総雨量632mmを前提としており、この想定では区の大部分で浸水深5m以上となります。

駅名関連河川想定最大規模特記事項
京成立石駅荒川・中川5.0m以上区役所最寄り。木密地域との複合リスク
新小岩駅荒川5.0m以上駅南側が深刻。駅北側一部は相対的に浅い
堀切菖蒲園駅荒川5.0m以上荒川堤防至近。決壊時の到達が最も早い
亀有駅中川・荒川3.0〜5.0mカスリーン台風の決壊地点に近接
金町駅江戸川3.0〜5.0m広域浸水時に孤立リスク
柴又駅江戸川3.0〜5.0m観光客の避難誘導が課題
お花茶屋駅中川2.0〜5.0m密集住宅地の火災リスクも重なる

出典:葛飾区水害ハザードマップ(解説編)

5mの浸水は2階建て住宅が屋根まで水没する深さです。この水深に達した後では屋外への脱出が不可能になるため、浸水が始まる前の広域避難が唯一の有効な手段です。

また、荒川・江戸川・中川に囲まれた地形上、大規模氾濫時には橋梁が通行止めとなり、区外への移動が物理的に困難になる可能性があります。区を出るルートは事前に複数確認しておくことが重要です。

葛飾区の地震リスク
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液状化と地盤の脆弱性
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葛飾区全域は軟弱な沖積層で形成されており、地震の揺れが増幅されやすい地盤特性を持ちます。液状化(地震の揺れにより地中の水と砂が混合し、地盤が流動化する現象)のリスクは区全域で高く、東日本大震災でも実際に被害が記録されています。

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」では葛飾区は23区内でワースト2位。地盤の軟弱さによる揺れの増幅と、木造密集地域の火災延焼リスクが重なる構造的な結果です。

リスク評価該当エリア
液状化高(区全域)特に荒川・中川沿いの低地
建物倒壊東四つ木・堀切・鎌倉・西新小岩
火災延焼四つ木・立石・堀切周辺の木密地域

出典:東京都地震危険度測定調査(第9回)葛飾区データ

高潮リスク
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中心気圧930hPa以下の猛烈な台風が東京湾を通過した場合、高潮により江東5区(葛飾区・江戸川区・墨田区・江東区・足立区)のほぼ全域が浸水する恐れがあります。洪水と高潮が同時に発生するケースも、想定の範囲に入れておくべき複合リスクです。

出典:葛飾区 高潮ハザードマップ

浸水深の目安と避難判断
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葛飾区では特に深刻な浸水が想定されるため、浸水深が示す状況と行動の関係を把握しておくことが重要です。

浸水深状況行動の目安
0.5m未満大人の膝下この段階に達する前に避難を完了させる
0.5〜1.0m大人の腰徒歩での避難は危険。歩行の限界は0.5m
1.0〜3.0m1階が完全に水没2階以上への垂直避難。木造は倒壊リスクあり
3.0m以上2階の床下まで浸水事前の広域避難が必須
5.0m以上2階建て家屋の屋根まで到達垂直避難でも生存困難。広域避難が唯一の手段

葛飾区の多くの駅周辺では想定最大規模で3〜5m以上の浸水が予測されており、「浸水してから避難する」では手遅れとなります。警戒レベル3(高齢者等避難)の段階で広域避難を開始することが基本です。

加えて、葛飾区では荒川氾濫後の浸水継続時間が2週間以上と予測されています。浸水後は区内での長期生活が困難になるため、食料・水の備蓄だけでなく、区外の避難先を平時から確保しておくことを推奨します。

出典:葛飾区水害ハザードマップ(解説編)

避難場所と避難所の違い
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葛飾区では、災害の種類によって逃げるべき場所が明確に区分されています。

種別役割具体例
避難場所(地震・火災時)大規模火災から身を守る広大なオープンスペース水元公園・江戸川緑地、柴又野球場・江戸川緑地、新小岩公園・平井大橋地区、中川公園一帯
指定避難所避難生活を送る施設区立小中学校等
洪水緊急避難建物逃げ遅れた際に垂直避難する堅牢な建物アリオ亀有、イトーヨーカドー四つ木店
福祉避難所高齢者・障害者など要配慮者の二次避難先(直接避難は不可)

出典:葛飾区 避難場所等指定図

重要な注意点
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大雨時には浸水リスクにより開設されない避難所があります。平時に想定している避難所が水害時に使えないケースは少なくないため、最寄りの避難所が水害時にどのような扱いになるかを平時に確認しておいてください。

洪水緊急避難建物(アリオ亀有・イトーヨーカドー四つ木店等)は、広域避難が間に合わなかった場合の最終手段です。区外への広域避難を最優先とし、洪水緊急避難建物への垂直避難はあくまで次善の選択肢として捉えてください。

福祉避難所は発災直後に直接避難できる施設ではありません。まず指定避難所に避難し、専門職の判断を経て案内される仕組みになっています。

防災情報の入手方法
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葛飾区では複数の情報入手手段が整備されています。水害時には情報収集の手段を最低2つ確保しておくことが重要で、以下のサービスを組み合わせて利用してください。

手段概要
葛飾区安全・安心情報メール気象警報・避難情報を事前登録したアドレスに配信
かつラッパ(防災行政無線確認アプリ)区内131か所の防災行政無線の放送内容をスマートフォンで確認
かつしかFM(78.9MHz)地域FMによる防災情報提供
J:COM(ケーブルテレビ)豪雨時に防災無線が聞こえにくい際の緊急放送

緊急速報メール(エリアメール)は避難指示・津波警報を携帯キャリア経由で強制受信する仕組みのため、事前の登録は不要です。また、聴覚・視覚障害者向けに電話・FAXによる情報発信サービス(スピーキャン)も整備されています。

警戒レベルと行動
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レベル発表される情報住民の行動
1早期注意情報災害への心構えを高める
2大雨・洪水注意報ハザードマップで避難先を再確認
3高齢者等避難高齢者・乳幼児のいる家庭は広域避難を開始
4避難指示危険な場所から全員避難
5緊急安全確保命を守る行動を直ちにとる

出典:葛飾区水害ハザードマップ(解説編)

マイ・タイムラインの作成
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葛飾区では、洪水氾濫の数日前から避難行動を開始する「広域避難」の実現に向け、マイ・タイムラインの作成を推奨しています。

以下の3ステップで作成します。

  1. リスクを確認する — ハザードマップで自宅の浸水深と浸水継続時間、避難場所・避難所を確認する
  2. 避難方法を決める — 浸水深3.0m以上のエリアでは広域避難(区外への立ち退き避難)が基本。区外の避難先(親族宅・ホテル等)を平時から確保する
  3. タイミングを決める — 警戒レベルに合わせて「レベル3で高齢者と子どもは広域避難開始」「レベル4で全員避難完了」のように、家族の役割分担を時系列で整理する

カスリーン台風が示した通り、葛飾区での水害は「浸水が始まってから考える」では取り返しがつきません。江東5区(葛飾区・江戸川区・墨田区・江東区・足立区)は大規模水害が予想される場合、氾濫の数日前から24時間前を目安に区外への広域避難を共同で呼びかける体制を整えており、そのタイムラインをマイ・タイムラインに落とし込んでおくことが重要です。

葛飾区の独自の防災対策
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防災DXと情報システムの整備
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葛飾区は令和7年度予算において「防災・安全」を最重要課題に位置づけ、約1億836万円を投じた総合防災情報システムを構築中です。クラウドを活用した備蓄物資管理、AI分析によるSNS等からの被害情報収集、住民向けポータルサイトとの自動連携を一体的に統合します。

施設・事業内容
総合防災情報システムAIによるSNS被害情報収集・住民ポータルとの自動連携。2025年度整備
水循環型シャワー・自己循環型水洗トイレ断水時の衛生環境を確保。23区初の整備
感震ブレーカー設置助成拡充地震時の電気火災を防ぐ分電盤取替工事(上限5万円補助)。普及率目標を9.4%から25%へ引き上げ
木造住宅除却助成拡充木密地域の老朽家屋除却費(上限180万円へ増額)と耐震シェルター設置(上限60万円へ増額)
個別避難計画の推進高齢者・障害者等の避難行動要支援者に、ケアマネージャー等の専門家が関与して個別計画を作成

出典:葛飾区令和7年度予算メモ

AR浸水シミュレータ
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スマートフォンのカメラを通して、現在地が指定した水深で浸水した場合の様子を映像として確認できるAR浸水シミュレータを活用できます。数字ではなかなか実感しにくい「5mの浸水」を視覚的に体験することで、早期避難の判断につなげることを目的としたツールです。

体験型防災訓練の出張支援
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地域の防災訓練には、地震の揺れを体験できる起震車、狭い道でも活動できる「まちかど防災訓練車(ちぃ防)」、水上も走行可能な「水陸両用車(すぃ防)」を派遣しています。多様な世代が参加しやすい実践的な訓練をサポートする仕組みです。

キャラクターを活用した防災啓発
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葛飾区にゆかりのある「こち亀」「モンチッチ」「キャプテン翼」などのキャラクターを防災パンフレット・啓発活動に活用し、子どもから高齢者・観光客まで幅広い層に防災を伝えています。

出典:葛飾区 防災・減災に関する取り組み

防災チェックリスト
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備蓄の目安は、水が1人1日3リットル、非常用トイレが1人1日5回分で、1週間分が基本です。また、水害時の地下室・半地下空間への流入と、地震後の排水口からの逆流にも注意してください。

確認項目
水害ハザードマップで自宅の浸水深・浸水継続時間を確認した
地震ハザードマップで建物倒壊・液状化・火災リスクを確認した
最寄りの避難場所と洪水緊急避難建物を把握した
水害時に使えない避難所があるかを確認した
広域避難の場合の区外避難先(親族宅・ホテル等)を決めた
区外への複数の避難ルートを確認した
マイ・タイムラインを作成した
家族で避難のタイミングと集合場所を決めた
葛飾区安全・安心情報メールまたはかつラッパを設定した
感震ブレーカーの設置を検討した
1週間分の水・食料・トイレを備蓄した
家具の転倒防止をした
🛡 防災士からのメッセージ
葛飾区での水害対策は、「逃げる先を決めているか」という一点に集約されます。洪水時に区内への留まりが選択肢にならない地形的条件は、1947年から変わっていません。広域避難は大げさな備えではなく、この地で暮らすうえでの現実的な前提です。今日、区外の避難先を一か所決めることから始めてください。

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