メインコンテンツへスキップ
  1. TOP /
  2. 地域ハザードマップ /
  3. 福岡市の災害リスクとハザードマップ
地域ハザードマップ

【2026年最新】福岡市の災害リスクとハザードマップ|浸水・地震・都市型水害の想定と避難の備え

更新 2026年4月14日

福岡市は人口160万人を超える九州最大の都市で、北は玄界灘に面し、三方を山地に囲まれた地形です。市街地を御笠川・那珂川・室見川など複数の河川が貫流し、博多駅や天神といった都市の中枢部は低地帯に位置しています。

この地形が、福岡市特有の災害リスクに直結しています。博多区を中心とした洪水・内水氾濫(川が溢れなくても排水が追いつかず街が冠水する現象)、中央区直下を走る警固断層による地震、東区沿岸部の高潮と液状化。1999年の博多駅地下街浸水や2005年の福岡県西方沖地震など、都市機能に直結する被害を繰り返し経験してきた都市です。

福岡市を繰り返し襲ってきた災害の歴史
#

福岡市のハザードマップに記載されている浸水想定や震度の数値は、過去の被害データに基づいています。なぜハザードマップを確認すべきなのか、その根拠となる災害の歴史を振り返ります。

水害の被害記録
#

福岡市は市街地を流れる河川の氾濫と、排水能力を超えた内水氾濫による都市型水害を繰り返し経験しています。

災害名雨量福岡市域の被害
1999年梅雨前線豪雨1時間最大79.5mm御笠川氾濫、博多駅周辺冠水。地下街・地下鉄へ浸水し地下空間で死者発生。全壊4棟、床上浸水1,451戸
2003年御笠川氾濫上流で1時間104mm博多駅筑紫口付近で約50cm浸水、駅コンコース内も冠水
2009年中国・九州北部豪雨福岡空港で1時間116mm那珂川・樋井川が氾濫危機、市内各所で内水氾濫が多発

1999年の水害は、地下空間に濁流が流入して人命が失われるという「都市型水害」の危険性を浮き彫りにした出来事であり、その後の博多駅周辺の治水対策の転機となりました。

出典:京都大学防災研究所 1999年6月豪雨の分析九州地方における水害・土砂災害データベース

2005年 福岡県西方沖地震での福岡市の被害
#

福岡市中央区・東区を中心に、以下の被害が発生しました。

項目福岡市のデータ
地震の規模M7.0(福岡市中央区・東区で震度6弱)
人的被害死者1名(東区でブロック塀倒壊による)、負傷者多数
建物被害全壊143棟、半壊352棟(玄界島で壊滅的被害)
都市部の二次被害天神の繁華街でビルの窓ガラスが大量落下、歩行者に危険が及ぶ

この地震で活動したのは警固断層帯の北西部であり、市街地を貫く南東部はまだ活動していません。南東部の地震リスクについては「福岡市の地震リスク」で詳しく解説しています。

出典:大地レポート 福岡市の地震リスク

ハザードマップの種類と確認方法
#

福岡市は複数のハザードマップを公開しています。Web版の「福岡市総合ハザードマップ」を利用すれば、住所検索から自宅周辺の複数のリスクを重ね合わせて確認できます。

マップ名内容
総合ハザードマップ洪水・内水・土砂災害・高潮・地震・津波・ため池の7リスクを統合表示
洪水ハザードマップ想定最大規模降雨(24時間総雨量961mm)に基づく浸水想定区域。2020年に基準を大幅に引き上げ
過去の浸水実績図1999年・2003年等の実際の浸水範囲を地図上に表示

2020年の改定で、洪水ハザードマップの基準は従来の計画規模(100〜150年に1回程度の降雨)から想定最大規模降雨へ引き上げられました。これまで安全とされていた区域にも新たな浸水リスクが示されているため、改定後のマップで改めて確認することを推奨します。

紙版は各区役所・出張所でも配布しています。

福岡市の区別リスク早見表
#

自分の居住エリアがどのリスクに該当するかを以下の一覧で確認してください。

行政区地震・地盤土砂災害河川氾濫内水氾濫高潮
東区高(液状化)高(多々良川)
博多区中(軟弱地盤)高(御笠川・那珂川)
中央区高(警固断層直上)中(那珂川・薬院新川)
南区高(丘陵地)中(那珂川・樋井川)
城南区中(樋井川)
早良区高(南部山間部)高(室見川)中(沿岸部)
西区中(室見川・十郎川)高(沿岸部)

各エリアの特徴
#

博多区は御笠川・那珂川・博多川が流れる低地帯で、上流部の雨水が集まりやすい地形です。1999年・2003年の水害が示すとおり、洪水と内水氾濫の両方のリスクが高く、地下鉄や地下街が発達しているため地下空間への浸水にも警戒が求められるエリア。

東区は多々良川・香椎川が博多湾に注ぐ沿岸部で、埋立地が多い地域です。台風接近時の高潮リスクに加え、地震時の液状化(地震の揺れにより地中の水と砂が混合し、地盤が流動化する現象)も懸念されており、洪水と高潮の複合災害に注意が求められます。

中央区は那珂川・薬院新川が流れ、区の直下を警固断層が縦断しています。建物が密集しているため、地震時にはビルからの落下物や倒壊による二次被害が懸念されるエリアです。

南区は丘陵地帯に宅地造成されたエリアが多く、大雨時の崖崩れなど土砂災害リスクが高い地域。城南区は樋井川の勾配が緩やかなため雨水の排出が滞りやすく、局地的豪雨の際に内水氾濫が発生しやすい特性があります。

早良区は南部に脊振山地が広がり、市街地での室見川の氾濫リスクに加え、山間部では土石流や斜面崩壊といった大規模な土砂災害への警戒が欠かせません。西区は沿岸部での高潮リスクのほか、玄界島・小呂島といった離島における孤立リスクも存在します。

出典:福岡市総合ハザードマップ

福岡市の主要駅周辺の浸水リスク
#

通勤・通学で利用する主要駅周辺の浸水リスクは、全ての市民に関わる情報です。浸水想定には2つの基準があります。

  • 計画規模 — 数十年〜百年に1回程度の大雨を想定
  • 想定最大規模 — 1,000年に1回程度の極端な大雨を想定(福岡市は24時間総雨量961mmで算定)
駅名関連河川計画規模想定最大規模注意点
博多駅御笠川・那珂川局所的0.5〜3.0m筑紫口側が低地で浸水しやすい。地下街への流入に警戒
天神駅那珂川・薬院新川局所的0.5〜3.0m薬院新川の溢水で広範囲が冠水。地下空間が広大
西鉄福岡(天神)駅薬院新川局所的0.5〜3.0m天神駅と同様、地下空間のリスクが高い
大橋駅那珂川局所的0.5〜3.0m那珂川に近く、住宅街・商業エリアが広く浸水
姪浜駅十郎川・名柄川0.5〜1.0m小規模河川の氾濫や内水氾濫による道路冠水

博多駅・天神駅周辺の地下空間は、外の豪雨や道路の冠水に気づきにくいという弱点を抱えています。一度階段から水が流れ込むと、水圧で地下のドアが開かなくなり脱出が困難になります。激しい雨が降り出した場合は、地下に留まらず直ちに地上の建物(2階以上)へ移動してください。

博多駅・天神周辺では、商業施設・ホテル・大学(西南学院大学、福岡大学等)と帰宅困難者の一時滞在施設に関する協定が結ばれており、交通機関が停止した際の受け入れ体制が整備されています。

出典:福岡市 防災・減災(インフラ対策)京都大学防災研究所 1999年6月豪雨の分析

福岡市の地震リスク
#

警固断層帯の脅威
#

福岡市の地震リスクの中核にあるのが、玄界灘から博多湾を経て市街地を南北に貫く全長約55kmの警固断層帯です。2005年の西方沖地震で北西部が活動しましたが、市街地を走る南東部は数千年にわたり活動しておらず、エネルギーが蓄積された状態にあります。

南東部が活動した場合、M7.2程度の直下型地震が想定され、市内の広範囲で震度7の揺れが見込まれています。今後30年以内の発生確率は0.3〜6%で、日本の主要活断層の中でもSランク(発生確率が高いグループ)に位置づけられている断層です。

特に那珂川・御笠川沿いの軟弱地盤、天神・博多の高度利用区域では甚大な被害が予測されます。

液状化リスク
#

リスク該当エリア
東区の埋立地、博多湾岸のウォーターフロントエリア
博多区・中央区の那珂川・御笠川沿い低地
南区・城南区の丘陵台地上

福岡市の建築規制
#

福岡市は警固断層の直上や軟弱地盤エリア、天神・博多の高度利用区域において、高さ20mを超える建築物の設計時に地震力を通常の1.25倍に割り増して構造計算を行うよう、建築基準法施行条例で努力義務を課しています。

出典:大地レポート 福岡市の地震リスク

浸水深の目安と避難判断
#

ハザードマップに示される浸水深が実際にどのような状況を意味するのか、行動の判断基準とあわせて整理します。

浸水深状況行動の目安
0.5m未満大人の膝下この段階に達する前に避難を完了させる
0.5〜1.0m大人の腰歩行による避難は危険。地下空間では水圧でドアが開かなくなる水深
1.0〜3.0m1階が完全に水没2階以上への垂直避難。ただし木造家屋は倒壊・流出リスクあり
3.0m以上2階の床下まで浸水事前の立ち退き避難が必須
5.0m以上2階建て家屋の屋根まで到達2階でも生存不能。立ち退き避難が唯一の手段

博多駅・天神駅・大橋駅周辺(想定最大規模で0.5〜3.0m)にお住まいの方は、降雨が強まってからの避難では間に合わない可能性があります。警戒レベル3(高齢者等避難)の段階で避難行動を開始してください。

福岡市における水害の歴史については「水害の被害記録」を参照してください。

避難場所と避難所の違い
#

「避難場所」と「避難所」は異なる役割を持つ施設です。災害時に適切な判断を行うために、この違いを事前に把握しておくことが重要です。

種別役割具体例
指定緊急避難場所津波や火災から命を守るため緊急的に逃げる場所大きな公園、小中学校のグラウンド
指定避難所(収容避難所)自宅が損壊した場合に一定期間生活する施設公民館、学校の体育館
福祉避難所配慮が必要な方の二次避難先介護施設、ホテル等(直接避難は不可)

災害種別による利用制限
#

福岡市の避難施設は、災害の種類によって使用できない施設があります。以下は主な制限の例です。

施設名利用制限
大濠公園(中央区)洪水・高潮時は使用不可
山王公園(博多区)洪水・高潮時は使用不可
小戸公園(西区)洪水・高潮・津波時は使用不可
博多小学校(博多区)高潮時は校舎2階以上を使用
西市民センター(西区)洪水時は2階以上、高潮時は3階以上を使用

普段想定している避難所が水害時には使用できないケースは少なくありません。最寄りの避難所が災害種別ごとにどのような扱いになるか、平時に確認しておくことが重要です。避難所は災害の状況を見極めた上で順次開設されるため、市が発信する開設情報を確認してから向かってください。

福祉避難所は発災直後に直接避難する施設ではありません。まず指定避難所に避難し、必要性が確認された後に介護施設やホテル等に開設される仕組みです。

福岡市はペットとの同行避難を原則認めていますが、居住スペースとは別の場所(屋外の屋根付きスペース等)でケージに入れて飼育する形です。2024年6月からは、飼い主とペットが同室で過ごせる「ペット同伴者専用避難所」の試行も始まっています。外国人向けには「情報支援センター」による英語・中国語・韓国語・ベトナム語・やさしい日本語等での情報発信体制も整備済みです。

出典:福岡市 指定避難場所及び指定避難所一覧

防災情報の入手方法
#

災害時に正確な情報を迅速に入手できるかどうかは、避難行動の成否に直結します。情報の入手手段は最低2つ確保しておくことを推奨します。

手段概要
福岡市総合ハザードマップ洪水・地震等の複数リスクを重ね合わせて確認できるWeb地図
福岡市防災アプリ「ツナガル+」ハザードマップ表示・避難所ルート案内・災害時の支援要請機能を搭載
福岡市LINE公式アカウント居住地域に合わせた避難情報・気象警報をプッシュ通知で受信
福岡市防災メール空メール登録で気象警報・避難情報を自動受信
Yahoo!防災速報アプリ地域に紐づいた防災情報を受信

上記に加え、緊急速報メール(エリアメール)は避難指示・津波警報を携帯キャリア経由で強制受信する仕組みのため、事前の登録は不要です。

TVQ九州放送・J:COM福岡・CROSS FM・LOVE FM等の放送局との災害時放送協定により、通信障害時にも情報を受け取れる体制が確保されています。

警戒レベルと行動
#

レベル発表される情報住民の行動
1早期注意情報災害への心構えを高める
2大雨・洪水注意報ハザードマップで避難先を再確認
3高齢者等避難高齢者・乳幼児のいる家庭は避難開始
4避難指示危険な場所から全員避難
5緊急安全確保命を守る行動を直ちにとる

レベル5は災害がすでに発生または切迫している状態を示します。レベル4までに避難を完了させることが原則であり、レベル5発表後の安全な避難は保証されません。

河川の水位情報の読み方
#

福岡市は主要河川に水位計を設置し、リアルタイムの水位を公開しています。水位の意味は以下のとおりです。

  • 氾濫注意水位 — 川が溢れるおそれがある状態。避難の準備を開始する段階
  • 避難判断水位 — 「高齢者等避難」などの避難情報が発表される目安となる水位
  • 氾濫危険水位 — いつ堤防を越えて氾濫してもおかしくない、極めて危険な状態

出典:福岡市 防災・減災(インフラ対策)

マイ・タイムラインの作成
#

「いつ」「誰が」「何をするか」を事前に時系列で整理する避難行動計画が「マイ・タイムライン」です。福岡市は福岡県のWEB版作成ツールの活用を推奨しています。

以下の3ステップで作成します。

  1. リスクを確認する — ハザードマップで自宅の浸水深と土砂災害リスクを確認
  2. 避難方法を決める — 浸水深3.0m以上は立ち退き避難が必須、0.5〜3.0mは2階への垂直避難が可能(ただし孤立リスクを考慮)
  3. タイミングを決める — 警戒レベルに合わせて「レベル3で高齢者と乳幼児は避難開始」「レベル4で全員避難完了」のように、家族の役割分担を時系列で整理する

完成したタイムラインを家族全員が確認できる場所に掲示しておくことで、緊急時の判断の迷いを軽減できます。

出典:福岡市 マイ・タイムライン

福岡市の独自の防災対策
#

御笠川放水路による治水
#

1999年の博多駅周辺浸水を受け、福岡市と福岡県は「御笠川放水路」を整備しました。御笠川が溢れる前に水を地下トンネルに引き込み、直接博多湾へ逃がす地下河川で、1999年の水害と同規模の雨に耐えうる治水能力を確保しています。加えて、市内では排水能力を超えた雨水を一時的に貯める「雨水貯留管」の整備も進行中です。

防災DXの推進
#

施策内容
防災アプリ「ツナガル+」平時はハザードマップ・避難所検索、災害時は指定外避難所(公園や車中泊等)の場所を登録し市へ支援要請を届ける機能を搭載
LINE公式アカウント居住地域・関心分野を設定しておくと、災害時に自分に関係のある避難情報がプッシュ通知で届く仕組み
放送局との災害時協定TVQ九州放送・CROSS FM・LOVE FM等と協定を締結し、通信障害時の情報到達を確保

「ツナガル+」は、2016年の熊本地震で指定避難所以外に避難した人々の状況把握が困難だった教訓を踏まえ開発されたアプリです。行政が把握しにくい「指定外の避難者」を支援につなげる機能に特徴があります。

災害時応援協定
#

協定の種類内容
物資供給イオン・ローソン・セブンイレブン・ファミリーマート等と協定。食料・生活必需品の優先供給
帰宅困難者支援博多駅・天神周辺の商業施設・ホテル・大学と一時滞在施設の協定
広域連携政令指定都市市長会を通じた相互応援体制、福岡県内市町村間の職員派遣・物資支援

出典:福岡市地域防災計画 災害協定編

防災チェックリスト
#

ここまでの内容を踏まえ、福岡市民が確認しておくべき項目を一覧にまとめました。

備蓄の目安は、水が1人1日3リットル、非常用トイレが1人1日5回分で、最低3日分を確保してください。低地にお住まいの方は、ビニール袋に水を入れた「水のう」による排水口の逆流防止対策もあわせて確認を推奨します。

確認項目
福岡市総合ハザードマップで自宅のリスクを全て確認した
2020年改定の洪水ハザードマップで浸水想定を再確認した
最寄りの避難所と、災害種別ごとの利用制限を把握した
地下空間を利用する場合の浸水時の避難ルートを確認した
マイ・タイムラインを作成した
家族で避難のタイミングと集合場所を決めた
「ツナガル+」アプリ・LINE・防災メールのいずれかを登録した
地震保険の加入状況を確認した
家具の転倒防止をした
3日分以上の水・食料・トイレを備蓄した
排水口の逆流対策を確認した(低地の方)
🛡 防災士からのメッセージ
御笠川放水路や防災アプリ「ツナガル+」など、福岡市は都市型水害の教訓をインフラとデジタルの両面に反映させています。しかし、想定最大規模の豪雨はこれらの防御を超える可能性も否定できません。上記のチェックリストを一つずつ確認し、特に地下空間を日常的に利用する方は、浸水時の避難ルートを事前に把握しておいてください。

この記事もおすすめ