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水害・洪水対策

洪水ハザードマップの見方|色の意味・浸水深・避難行動を防災士が解説

更新 2026年4月10日

自宅のハザードマップ、確認したことはありますか?

内閣府「令和2年版 防災白書」の調査(令和元年台風第19号時)によると、ハザードマップを「見たことがない」人は21.7%、「見たことはあるが避難の参考にしていない」人は24.2%で、合計すると約46%の人がハザードマップを活用できていませんでした。

筆者は防災セミナーの冒頭で必ずハザードマップの確認をやってもらうのですが、「自宅が浸水想定区域だと初めて知った」と驚く参加者が毎回います。中には「浸水深3mのエリアだった」と顔色を変える方も。

ハザードマップは命を守る情報の宝庫。この記事を読みながら、今すぐ自宅の状況を確認してください。

洪水ハザードマップとは
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何が分かるマップなのか
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洪水ハザードマップは、「大雨が降った時にどこがどのくらい浸水する可能性があるか」を地図上に示したものです。

具体的にわかる情報:

  • 想定浸水深: その場所がどの程度の深さまで浸水するか
  • 浸水継続時間: 浸水がどのくらいの時間続くか
  • 家屋倒壊等氾濫想定区域: 家が流される恐れがある区域
  • 避難場所: 指定避難場所の位置

市区町村が作成し、全世帯に配布されています(配布されていない場合は自治体のWebサイトで閲覧可能)。

想定最大規模と計画規模の違い
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ハザードマップには「想定最大規模」と「計画規模」の2種類の前提条件があります。

想定最大規模: 1,000年に1回程度の極めてまれな大雨を想定。最悪のケースを示すもの。

計画規模: 河川の堤防や排水設備が設計された際の雨量を想定。100年に1回程度の大雨。

2015年の水防法改正以降、多くの自治体が「想定最大規模」のハザードマップに切り替えています。想定最大規模のほうが浸水範囲が広く、浸水深も深いため、初めて見ると驚くかもしれませんが、「最悪のケース」を知っておくことが備えの第一歩。

洪水・内水・高潮マップの違い
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水害のハザードマップは実は3種類あります。

マップの種類対象リスク確認すべき人
洪水ハザードマップ河川の氾濫河川の近くに住んでいる人
内水ハザードマップ下水道の容量超え都市部に住んでいる人
高潮ハザードマップ台風時の海面上昇沿岸部に住んでいる人

河川から離れた都市部でも内水氾濫のリスクはあるので、洪水マップだけでなく内水マップも確認してください。内水ハザードマップはすべての自治体で公表されているわけではないですが、公表されている場合は必ず確認を。

ハザードマップの色と浸水深の読み方
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色別の浸水深と被害イメージ
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多くの自治体で採用されている色分け(国土交通省の推奨配色):

浸水深被害イメージ建物への影響
薄い黄色0.5m未満大人の膝下床下浸水
オレンジ0.5〜3m大人の胸〜1階天井1階が水没、2階も一部浸水
3〜5m1階全体〜2階まで2階まで水没
5〜10m2階以上3階建てでも危険
ピンク10m以上マンション3〜4階極めて危険

浸水深0.5m未満でも安全とは限りません。50cmの水でもかなりの勢いがあれば大人が足をすくわれます。色がついているエリアにいる場合は、早期避難が基本です。

浸水継続時間の意味
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一部のハザードマップには「浸水継続時間」が記載されています。これは浸水が始まってから水が引くまでの時間。

浸水継続時間が長い地域では:

  • 避難所から自宅に戻れない期間が長くなる
  • 備蓄品がより多く必要
  • 建物の構造への影響が大きくなる(長時間水に浸かると木材が腐る)

東京の東部低地帯(江東5区: 墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)では、想定最大規模で浸水継続時間が2週間以上になるエリアもあります。

家屋倒壊等氾濫想定区域とは
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ハザードマップに「家屋倒壊等氾濫想定区域」と記載されているエリアは、洪水の流速が速く、木造住宅が倒壊する可能性がある区域です。

このエリアにいる場合、垂直避難(2階に逃げる)では不十分。建物ごと流される恐れがあるため、エリア外への「水平避難」が必要です。

主に河川の堤防に近い地域が該当しますが、ハザードマップで明確に線引きされているので必ず確認を。

自分の地域のハザードマップを確認する方法
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自治体ホームページでの確認手順
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  1. 「○○市 ハザードマップ」で検索
  2. 市区町村のハザードマップページにアクセス
  3. 洪水ハザードマップのPDFまたはWeb版を開く
  4. 自宅の位置を確認し、色と浸水深を読み取る

紙のハザードマップは自治体の窓口でも入手できます。

重ねるハザードマップの使い方
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国土交通省「ハザードマップポータルサイト」の「重ねるハザードマップ」は、全国の浸水リスクを一つの地図上で確認できる便利なツール。

使い方:

  1. https://disaportal.gsi.go.jp/ にアクセス
  2. 「重ねるハザードマップ」をクリック
  3. 住所を入力して自宅周辺を表示
  4. 左側のメニューで「洪水」「土砂災害」「津波」などのレイヤーをON
  5. 自宅の位置をクリックすると、想定浸水深が数値で表示される

複数のリスク情報を重ねて表示できるのが大きな利点。「洪水リスクはないけど土砂災害の警戒区域だった」という発見もありえます。

ハザードマップポータルサイトの活用
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「わがまちハザードマップ」では、各自治体が公開しているハザードマップへのリンク集を提供。自治体独自の詳細な情報はこちらから確認できます。

転居を検討している場合、引っ越し先のハザードマップを事前に確認するのは非常に賢い行動。不動産取引では2020年から、ハザードマップの浸水想定区域に該当するかどうかの説明が義務化されています。

ハザードマップを見た後にやるべきこと
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マイ・タイムラインの作成
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マイ・タイムラインとは、台風や大雨が接近した際に「いつ」「何をするか」を時系列で整理した個人の行動計画です。

作り方:

  1. ハザードマップで自宅のリスクレベルを確認
  2. 避難場所と避難ルートを決める
  3. 台風接近の「3日前」「1日前」「当日」に分けて行動を書き出す
  4. 避難開始のトリガー(警戒レベル3 or 4)を明確にする
  5. 家族で共有する

東京都が提供する「東京マイ・タイムライン」のテンプレートは使いやすく、他の地域の方にも参考になります。

避難場所と避難ルートの決定
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ハザードマップ上で浸水想定区域外にある避難場所を選んでください。浸水想定区域内の避難場所は、洪水時に使えない場合があります。

避難ルートは2つ以上。実際に歩いて確認するのが理想です。

  • 河川沿いの道は避ける
  • アンダーパス(低い道路)を通らない
  • がけや急斜面の近くを避ける
  • 夜間でも安全に通れるか(街灯の有無)

火災保険の水災補償の確認
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ハザードマップで浸水リスクがある場合、火災保険の「水災補償」が付いているか確認してください。

火災保険は「火災」だけでなく、風災・水災・雪災などの自然災害もカバーしますが、水災補償はオプション扱いの場合があります。特に保険料を抑えるために水災を外しているケースが散見されます。

浸水想定区域にお住まいで水災補償が付いていない場合は、すぐに保険会社に連絡して追加を検討してください。

よくある質問(FAQ)
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Q. ハザードマップに色がついていなければ安全? A. 必ずしも安全ではありません。ハザードマップは特定の条件下での想定であり、想定を超える雨量では浸水する可能性があります。また、内水氾濫は洪水ハザードマップに反映されていないこともあります。

Q. ハザードマップはどのくらいの頻度で更新される? A. 自治体によりますが、河川の整備や新たなデータに基づいて数年〜10年ごとに見直されます。最新版を確認するようにしてください。

Q. 引っ越し先選びにハザードマップは使える? A. 非常に有効です。浸水想定区域外で、土砂災害警戒区域外の物件を選ぶことで、水害リスクを大幅に低減できます。不動産業者に確認するだけでなく、自分でもハザードマップを確認してください。

Q. マンションの高層階に住んでいればハザードマップは関係ない? A. 直接的な浸水リスクは低いですが、停電・断水・エレベーター停止の影響は受けます。また、1階に駐車場がある場合は車の水没リスクもあります。備えは必要です。

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