ハラスメント・カスハラ対応

セクシュアルハラスメントの境界とSOGIハラ

このページの要点

性的な言動による不快感や就業環境の悪化を指すセクハラ、性的指向・性自認に関するSOGIハラについて、具体例と避けるべき言動、組織としての対応を整理します。

セクシュアルハラスメントは、性的な言動による不快感や就業環境の悪化を指します。「冗談のつもり」「親しさの表現」では成立せず、受け手がどう感じるかが基準になります。近年は性的指向・性自認に関するSOGIハラスメントも、関連領域として整理されています。

まず押さえること

セクハラは「対価型」と「環境型」の2つに大別され、いずれも受け手の感じ方を基準に判断されます。「業務に関係ない性的な話題は職場で出さない」「相手の性的指向・性自認を勝手に扱わない」「身体的接触は避ける」の3点を守れば、ほとんどの場面で線を越えません。

セクハラの2類型

男女雇用機会均等法に基づく事業主指針では、セクハラは2類型に整理されています。

類型概要
対価型セクハラ性的言動への対応によって労働条件で不利益を受ける性的関係を拒否したら配置転換/契約打ち切り
環境型セクハラ性的言動によって就業環境が害される卑猥な言葉・身体接触・性的な噂・卑猥な画像の表示

「相手が嫌がっているか」が外形上わかりにくくても、客観的に見て「平均的な労働者が不快に感じる」言動はセクハラに該当する可能性があります。

環境型セクハラの代表例

種類
言葉容姿・体型へのコメント/性的な噂/恋愛・結婚・出産への過剰な詮索
身体接触肩・腰・髪に触る/挨拶のハグ/必要のない至近距離
視覚卑猥な画像の表示・送付/性的なジョークの動画共有
飲み会隣の席を強要/お酌の強要/2次会・カラオケへの強要
デジタル業務外のSNSメッセージ・写真送付/プライベートな連絡先要求

「冗談」「親しみ」「コミュニケーション」と本人が認識していても、相手にとっては不快であれば該当します。

セクハラに該当しやすい言動と適切な言い換え

場面NGOK
容姿への言及「今日かわいいね」「痩せた?」業務に関係ない外見コメントは控える
プライベート「彼氏/彼女いるの?」「結婚しないの?」雑談は天気・仕事・趣味の範囲で(プライベート質問参照)
身体接触肩を叩く・髪に触れる・腰に手を回す必要のない身体接触はしない
飲み会の席「隣に座って」「お酌して」席は本人の選択に任せ、お酌の強要をしない
飲み物「もっと飲めるでしょ」お酒を強要しない(内輪の飲み会参照)

「同意があれば問題ない」の落とし穴

職場では、上下関係・評価関係・契約関係があるため、表面上「同意」しているように見えても、本人が断りにくい状況にあります。

  • 上司・先輩・取引先の言動に「いえ」と言いにくい
  • 拒否したら評価・人事に影響するのではと心配
  • 周囲の目があり、その場を平穏に保ちたい
  • 嫌だと言いにくい雰囲気が場全体にある

「相手が笑っていた」「嫌がっていなかった」は判断基準になりません。職場の文脈では、明示的な肯定がない限り、不快に感じている可能性を前提に行動するのが安全です。

SOGIハラスメントとは

SOGI(Sexual Orientation / Gender Identity の略:性的指向・性自認)は、すべての人が持つ属性です。SOGIハラとは、性的指向・性自認に関連する次のような言動を指します。

種類
揶揄・差別発言「ゲイっぽい」「男なら」「女なら」など
アウティング本人の同意なく性的指向・性自認を第三者に伝える
カミングアウトの強要「実はどうなの?」と問い詰める
不必要な詮索結婚相手の性別・恋愛対象についての質問
服装・呼び方への揶揄「らしくない」「変だ」

特にアウティングは、本人の人生に重大な影響を及ぼす行為として、各自治体・大学などで禁止規定が整備されています。本人が話していないことを他人に伝えないは、SOGIに関する基本原則です。

LGBTQ+への職場での配慮については、多様性に配慮したビジネスマナーで具体的に扱っています。

あわせて読む LGBTQ+に関する職場マナー カミングアウト、アウティング、呼び方、服装、相談を受けたときの対応など、職場で守るべき基本を整理します。相手を決めつけない言葉選びもあわせて確認できます。

男性が受け手の場合のセクハラ

セクハラは女性が受け手になる場面が多く取り上げられがちですが、男性が受け手の場合も同様に成立します。

  • 「男なんだから」「男のくせに」という発言
  • 体型・髪型・服装への過剰な評価
  • 性経験・恋愛経験への詮索
  • 「強い酒くらい飲めるでしょ」「ホステス相手に動じない」

性別に関わらず、受け手の不快感に対する配慮が必要です。

飲み会・社外の場での注意

業務時間外の飲み会・接待・社員旅行は、セクハラが発生しやすい場面です。「業務時間外だから」は免責にならず、参加者が「業務の延長」と感じる場であれば、職場の判断基準が適用されます。

  • 席の指定を強要しない
  • お酒・カラオケ・2次会を強要しない
  • 私的な連絡先(SNS・電話)を要求しない
  • 帰宅を妨げる行為(タクシーへの同乗強要など)をしない
  • 翌日に職場でその話題を蒸し返さない

詳しくは内輪での飲み会マナーも参照ください。

あわせて読む 社内飲み会のマナー 社内飲み会で信頼を保つために、誘い方、参加時のふるまい、上司・同僚との距離感、飲めない場合の断り方を解説します。職場の関係性を保つ伝え方もあわせて確認できます。

デジタル時代のセクハラ

リモートワーク・SNS・チャットツールの普及で、新しい形のセクハラが増えています。

  • DMやチャットでの個人的メッセージ:業務時間外・業務無関係の連絡
  • Web会議の背景・服装への言及:「部屋見せて」「私服かわいいね」
  • 業務外のSNSフォロー・コメント:プライベート投稿への過度な反応
  • 写真・動画の保存・共有:会議スクリーンショット・社員旅行写真の不適切な共有

業務外の連絡・コメントは、相手から明示的に許可されていない限り、控えるのが基本です。

受けたとき・見たときの対応

セクハラを受けた・見た場合の手順は、他のハラスメント同様、記録・相談・通報の3ステップです。詳細はハラスメントを受けた・見たときの相談と記録を参照ください。

あわせて読む ハラスメントを受けた・見たときの相談と記録 ハラスメントを受けた場合・目撃した場合の初動として、記録の取り方・社内相談窓口・公的窓口の使い方・通報の進め方を整理します。個人で抱え込まないための相談・記録の考え方も確認できます。

セクハラ特有のポイントは以下です。

  • 「冗談で済まされそう」と感じても、不快なら記録に残す
  • 「自分の感じ方が変かも」と思っても、感じ方は本人の判断基準
  • 直接抗議より、第三者・相談窓口を経由する方が安全
  • 性別役割に関連する話題なら多様性配慮とセットで考える

加害者にならないために

迷ったら、次の3問を自問してください。

  1. その発言・行動を、自分の家族の前でできるか
  2. その発言・行動が、SNSで公開されても問題ないか
  3. 相手の同性の上司・部下に対しても、同じことをするか

3問のうち1つでも「NO」「自信がない」なら、その言動は控えるのが安全です。

あわせて読みたい

事前の言葉遣いはジェンダーに配慮した言葉遣い、LGBTQ+への配慮はLGBTQ+に関する職場マナー、飲み会の作法は内輪での飲み会マナーを確認ください。

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最後に確認

  • セクハラの2類型(対価型・環境型)を理解している
  • 「冗談・親しさ」では正当化されないことを認識している
  • 容姿・体型・恋愛・結婚への業務外のコメントを控えている
  • 必要のない身体接触をしない
  • SOGI(性的指向・性自認)に関するアウティングを絶対にしない
  • 飲み会・社外・SNSでも職場と同じ判断基準を保つ
  • 受けた・見たときの相談先を知っている
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