ハラスメントを受けた・見たときの相談と記録
このページの要点
ハラスメントを受けた場合・目撃した場合の初動として、記録の取り方・社内相談窓口・公的窓口の使い方・通報の進め方を整理します。個人で抱え込まないための相談・記録の考え方も確認できます。
ハラスメントを受けた、または目撃した場面では、慌てて加害者に直接抗議するよりも、記録を残し、適切な窓口に相談する方が、状況を改善しやすくなります。一人で抱えず、組織と公的な仕組みを使うことを覚えておいてください。
記録、相談、通報の3ステップ
ハラスメントの対応は「記録」「相談」「通報」の3ステップです。直接の対立は避け、第三者と組織を経由します。社内で解決が難しいときは、都道府県労働局や法務省の人権相談窓口などの公的窓口を利用できます。
受けたときの3ステップ
ステップ1:記録を残す
事実の記録は、後の判断、調査、法的対応の基礎になります。
| 項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 日時 | 発生日、時間(できれば分単位) |
| 場所 | オフィス、会議室、飲食店など |
| 状況 | 何が起きたか、時系列で |
| 言葉 | 加害者の発言を可能な限り正確に |
| 周囲 | 同席者、目撃者の氏名 |
| 自分の反応 | どう感じたか、どう対応したか |
| 物的証拠 | メール、チャット、録音、写真(保存場所も記録) |
記録は手書きノート+デジタルメモの併用が無難です。スマートフォンのメモ、社外のクラウドストレージ、自分のプライベートメールへの送信で、職場の端末以外にもバックアップしておきます。
記録テンプレ
■ 日時:○○○○年○月○日(○)○時○分頃
■ 場所:○○会議室/○○の飲食店
■ 状況:
(時系列で。例:○時に○○会議に参加。終了後、加害者が
個別に呼び出し、○分間にわたり○○の発言があった)
■ 加害者の発言(できる限り正確に):
「○○」
「○○」
■ 同席者・目撃者:
・○○(同部署)
・○○(他部署)
■ 自分の対応:
(その場でどう答えたか、どう感じたか)
■ 物的証拠:
・チャットスクショ(○○に保存)
・メール(受信日時:○月○日 ○時)
■ 相談先:
・社内窓口(ハラスメント相談室、人事部)
・社外窓口(労働局、相談機関)
■ 体調への影響:
(不眠・食欲不振・集中できない・出社が辛いなど、あれば記録する)
ステップ2:相談する
一人で判断しないことが鉄則です。次の順で相談先を検討します。
| 相談先 | 場面 |
|---|---|
| 信頼できる同僚、先輩 | 状況整理、客観意見が欲しい |
| 直属の上司 | 加害者が同僚の場合、組織として動いてほしい |
| 直属上司の上の上司 | 加害者が直属上司の場合 |
| 社内ハラスメント相談窓口 | 人事、コンプライアンス部門の専用窓口 |
| 産業医、産業保健スタッフ | 体調に影響が出ている場合 |
| 労働組合 | 組合がある場合 |
| 外部窓口(後述) | 社内で解決が困難な場合 |
社内相談窓口は、就業規則、社内ポータル、コンプライアンス研修資料で連絡先を確認できます。多くの企業では、相談者の不利益取扱いを禁止する規程があります。
ステップ3:通報、救済を求める
社内対応に進む段階では、以下のいずれかを検討します。
- 正式な相談、申立て:社内窓口に書面で提出
- 調査要請:事実関係の調査を依頼
- 加害者への注意、指導の要請:行為の停止を求める
- 配置転換、接触回避:物理的な距離を作る
- 懲戒処分の検討要請:重大な場合
組織が動かないとき、または社内に相談しにくいときは、外部窓口に進みます。
公的な外部相談窓口
| 窓口 | 概要 | 確認先 |
|---|---|---|
| 都道府県労働局 総合労働相談コーナー | 厚労省所管。労働問題全般の無料相談 | 公式サイト、案内ページ |
| 厚生労働省「あかるい職場応援団」 | ハラスメント対策の総合情報サイト | 公式サイト、案内ページ |
| 法務省 人権相談 | 人権に関わる無料相談 | 公式サイト、案内ページ |
| 法テラス | 法的相談、弁護士紹介の総合窓口 | 公式サイト、案内ページ |
| ハラスメント悩み相談室(厚労省委託) | ハラスメントに関する無料相談 | 厚労省の相談窓口一覧 |
| こころの耳(厚労省) | メンタルヘルス相談 | 公式サイト、案内ページ |
相談方法や受付時間は変更されることがあります。専用ページがない、またはリンクが変更されている窓口は、所管機関の相談窓口一覧や総合案内ページで最新の情報を確認してください。
直接対決を避ける理由
ハラスメントを受けた場面では、感情的になって加害者に直接抗議したくなるのは自然な反応です。しかし、直接対決は次のリスクを伴います。
- 加害者がさらに攻撃的になる
- 双方の感情的なやり取りとなり、事実が曖昧になる
- 「お互い様」「ケンカ」として処理されてしまう
- 報復行為、閉鎖的対応につながる
- 自分が冷静さを失い、不利な発言をしてしまう
第三者と組織を経由することで、事実関係を客観的に整理でき、再発防止につながりやすくなります。
目撃したときの対応
ハラスメントを目撃した場合、見て見ぬふりをしないことが組織を変えます。ただし、独断で抗議せず、組織を通すのが基本です。
その場でできること
- 当事者に「大丈夫ですか」と声をかける(後でもよい)
- 物理的に介入できる場面なら、その場を切り上げる(「ちょっと別件で」など)
- 自分のメモにも、時系列で目撃事実を記録する
後でできること
- 当事者に「相談窓口があるよ」「自分が証言できることがあれば」と伝える
- 自分の判断で社内窓口に「目撃情報」として情報共有する
- 上司、相談窓口に「組織として問題を確認してほしい」と伝える
目撃者の証言は、当事者の主張を裏付ける重要な情報です。沈黙は加害者を守ることになります。
上司として相談を受けたときの初動
部下、後輩からハラスメントの相談を受けた場合、最初の対応で本人の今後が決まります。
NG行動
- 「気にしすぎじゃない?」「大袈裟だ」と感じ方を否定する
- 「相手にも事情があるんだろう」と加害者を擁護する
- 「他の人にも同じことを言われてる?」と被害を矮小化する
- 本人の同意なく、加害者や他の人に話す
- 自分一人で解決しようとして、社内窓口を経由しない
OK行動
- 「話してくれてありがとう」と受け止める
- まず傾聴。事実関係を急いで詰めない
- 本人の意向を確認する(誰に共有してよいか/どう動いてほしいか)
- 自分の判断だけで動かず、相談窓口と相談する
- 本人の体調を気遣う(産業医、有給の取得を案内)
- 不利益取扱いをしないと明言する
組織として処理するには、本人の同意の下で社内窓口に正式にエスカレーションするのが基本です。
記録に残らないやり取りに注意
ハラスメントは、メール、チャットなど記録に残る媒体ではなく、口頭や対面で起きることが多くなっています。記録が取りにくい場面でも、以下を意識します。
- 加害者の発言は、その日のうちに正確に書き起こす
- 同席者、目撃者の名前、連絡先を残す
- 自分の体調、気分の変化も日付付きで記録する
- 業務指示は「メールで送ってください」とできるだけ書面化を促す
書面化を促す行為自体が、加害者の言動を抑制する効果もあります。
メンタルヘルスへの配慮
ハラスメントを受けると、心身に大きな影響が及びます。「気にしないようにしよう」と自分で抑え込むより、専門家の助けを早めに借りる方が回復が早いことが多いです。
- 産業医、産業保健スタッフ(社内)
- メンタルヘルス相談窓口「こころの耳」(厚労省)
- かかりつけ医、心療内科
- EAP(従業員支援プログラム)が会社にある場合はそちらも
体調の不調は、自分のせいでも弱さでもありません。
立場別の初動
ハラスメントに関わる場面は、「受けた本人」「目撃した人」「相談を受けた上司」で初動が異なります。
| 立場 | 最初にすること |
|---|---|
| 受けた本人 | まず記録を残す。すぐ相談が難しければ、日時、内容だけでもメモする |
| 目撃した人 | その場で止められなくても、後で本人に「大丈夫でしたか」と声をかける。記録を残しておく |
| 相談を受けた上司 | 「大変だったね」と受け止め、本人の意向を確認してから動く。本人の許可なく動かない |
上司として相談を受けたとき、「大げさ」「気にしすぎ」と判断するのは禁物です。本人が「相談してよかった」と感じられる初動が、その後の対応に大きく影響します。
相談を受けた側が一人で判断するのも避けましょう。人事や社内窓口を巻き込みながら対応することで、個人の責任過多を防げます。
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ハラスメントを受けた場合、記録を残すことが対応の基盤になります。以下の項目を事実ベースで記録してください。
| 項目 | 記入内容の例 |
|---|---|
| 日時 | 〇〇年〇月〇日 〇時〇分〜〇時〇分 |
| 場所 | 会議室3号室 / チャットログ(スクリーンショット保存) |
| 相手の発言、行動 | 「〇〇と言った」(できるだけ正確に) |
| 自分の状態、反応 | 返答できなかった / 体調が悪くなった |
| 目撃者 | 〇〇さんが同席 / 自分だけ |
| 相談先 | 上司〇〇に報告 / 相談窓口に連絡 |
| 体調への影響 | 頭痛、不眠、食欲不振など |
証拠収集の方法は、社内規程、弁護士、労働局の指導に従ってください。個人判断での録音、スクリーンショットには法的な条件がある場合があります。
3立場の初動
受けた本人
- 「ノー」と言えない状況でも、記録を続けることができる
- 一人で解決しようとせず、社内窓口、外部相談先へ早めに相談する
目撃者、第三者
- 場を止められるなら「確認してきます」など一言入れて状況を変える
- 後で本人に「何かあったら話してください」と伝えるだけでも支えになる
相談を受けた上司
- 「気にしすぎ」「お互い様」は言わない
- 内容を整理して、人事、コンプライアンス窓口へつなぐ
- 相手への報復(業務上の不利益)が起きないよう注意する
最後に確認
- ハラスメントを受けた、見たら、まず記録を残す
- 記録は職場の端末以外にもバックアップしている
- 一人で抱えず、信頼できる人または相談窓口に話す
- 直接の対決ではなく、組織と第三者を経由する
- 社内相談窓口の連絡先を知っている
- 外部窓口(労働局、法務省の人権相談、法テラス)の存在を認識している
- 上司として相談を受けたときの初動を理解している
- 体調が不調なら、産業医、専門家に早めに相談する