この記事は実行ガイド特化です。防災の日の由来・歴史・関東大震災からの歩みは 防災の日(9月1日)の由来と意味 を参照してください。
毎年9月1日の「防災の日」、「何かしなきゃ」と思いながら結局何もせず終わる——防災士として地域の防災活動に関わるなかで、最も多く聞く言葉です。
2024年の能登半島地震、2025年3月の南海トラフ新想定公表、同年12月の首都直下地震新想定公表を受け、今年の防災の日は「更新された想定への対応確認」という重点テーマがあります。
家庭でやるべきこと10項目チェックリスト#
防災の日を「家族の防災見直しデー」と決めることで、年1回の確実な点検習慣が生まれます。以下の10項目は1〜2時間で完了できます。防災週間(8/30〜9/5)の1週間に分散させても構いません。
1. 非常持ち出し袋の中身を全出し点検する#
- 懐中電灯の電池残量を確認(点灯テスト)
- モバイルバッテリーをフル充電する
- 乾電池の使用推奨期限を確認し、期限切れは交換
- 液漏れしている電池を廃棄する
- 着替えのサイズを確認(子どもは成長に注意)
- 常用薬が最新処方のものか確認する
- マスク・除菌シートの在庫を確認する
毎年この作業をするだけで「いざというとき使えない防災グッズ」を防げます。
2. 備蓄品の賞味期限を確認し入れ替える#
- 保存水の賞味期限を確認する
- アルファ米・缶詰・レトルトの期限を確認する
- 期限6ヶ月以内のものを日常消費し、新品を購入する(ローリングストック)
- カセットボンベの使用期限を確認する(製造から約7年)
3. 家具の転倒防止器具を点検する#
- 突っ張り棒が緩んでいないか手で押して確認する
- L字金具のネジ締まりを確認する
- 粘着マットのはがれを確認する
- 新しく購入した家具に転倒防止策を施したか確認する
- テレビ・モニターの固定状況を確認する
突っ張り棒は経年劣化でバネが弱まります。グラつくなら今すぐ調整を。
4. 火災警報器の動作確認をする#
- 各部屋のテストボタンを押して正常な警報音を確認する
- 電池切れ警報(短い「ピッ」音の繰り返し)が出ていないか確認する
- 設置から10年以上経過している場合は本体交換を検討する
5. ハザードマップの最新版を確認する#
- 国土交通省のハザードマップポータルサイトで自宅住所を検索する
- 浸水想定区域・土砂災害警戒区域・津波浸水想定を確認する
- 2025年の南海トラフ新想定・首都直下新想定で変更がないか確認する
- 自治体のハザードマップが更新されている場合は最新版を入手する
2025年の南海トラフ新想定では、一部地域で浸水深や被害想定が見直されています。以前確認した内容のままにしないことが重要です。
6. 避難場所・避難ルートを確認する#
- 最寄りの指定緊急避難場所(一時避難)の名前と場所を家族全員が言えるか確認する
- 最寄りの指定避難所(避難生活の場所)を確認する
- 避難ルートを2通り以上把握しているか確認する
- ルート上に危険箇所(ブロック塀・古い建物・崖)がないか確認する
できれば実際に歩いて確認してください。夜間も通れるルートかどうか意識してみてください。
7. 家族会議を開く(10〜20分)#
- 災害時の集合場所(第1・第2)を全員で確認する
- 学校・職場からの帰宅困難を想定した行動方針を決める
- ペットの避難方法を決める
- 自宅が住めなくなった場合の避難先候補を確認する
- 備蓄品の保管場所と持ち出し担当を決める
子どもへの伝え方は「怖い話」ではなく「守る準備の話」として伝えます。「地震が来たらダンゴムシのポーズ」「避難場所は○○小学校」と具体的な行動を教えるのが効果的です。
8. 災害用伝言ダイヤル171を体験利用する#
9月1日は毎月1日の体験利用日です。防災週間中(8/30〜9/5)も終日体験できます。
体験手順:
- 固定電話または携帯電話から「171」に発信する
- 「1」を押して伝言を録音する
- 自分の電話番号(市外局番から)を入力する
- 30秒以内で伝言を録音する(「○○です。無事です。○○にいます」)
- 家族に「2」で再生してもらう
一度でも体験しておくと、本番で迷わず使えます。毎月1日・15日も体験できるので、家族全員が操作に慣れるまで繰り返すのが理想です。
9. 保険証券の内容を確認する#
- 火災保険の水害補償の有無を確認する
- 地震保険に加入しているか確認する
- 保険証券の保管場所を家族全員が把握しているか確認する
- 保険会社の緊急連絡先を控えているか確認する
水害補償は契約プランによって対象外の場合があります。近年の豪雨被害の増加を踏まえ、確認を優先してください。
10. 消火器・AEDの場所を確認する#
- 自宅の消火器の使用期限を確認する(業務用10年、住宅用5年が目安)
- 消火器の安全ピン・ホースの状態を確認する
- 最寄りのAED設置場所を確認する(日本AED財団マップで検索可能)
家庭チェックリスト まとめ(印刷用)
- 1. 非常持ち出し袋の中身を全出し点検する
- 2. 備蓄品の賞味期限を確認し入れ替える
- 3. 家具の転倒防止器具を点検する
- 4. 火災警報器の動作確認をする
- 5. ハザードマップの最新版を確認する
- 6. 避難場所・避難ルートを確認する
- 7. 家族会議を開く(10〜20分)
- 8. 災害用伝言ダイヤル171を体験利用する
- 9. 保険証券の内容を確認する
- 10. 消火器・AEDの場所を確認する
企業・職場の防災週間取り組みガイド#
防災訓練の実施(帰宅困難者対応を含む)#
防災の日前後に防災訓練を実施する企業は多いですが、毎年同じシナリオの「形だけの訓練」では実践力がつきません。
訓練を実効性のあるものにするポイント:
- 事前に時刻を告知しない「抜き打ち訓練」を年1回取り入れる
- エレベーター停止を前提とした階段避難を実施する
- 負傷者搬送のシミュレーションを組み込む
- 安否確認システムを実際に起動してレスポンス時間を計測する
2024年の能登半島地震では、帰宅困難者の問題が改めて注目されました。「従業員が自宅に帰れない状態で72時間をどう過ごすか」を訓練シナリオに加えることを推奨します。
帰宅困難者対応チェック:
- 社内の備蓄(水・食料・毛布・簡易トイレ)が従業員3日分あるか確認する
- 帰宅困難者を社内に留める判断基準と指示系統を確認する
- 徒歩帰宅支援ステーション(コンビニ・自治体施設)のルートを確認する
- 従業員の帰宅困難想定距離と交通手段を再調査する
BCP(事業継続計画)の年次確認#
防災の日は、BCPを更新するタイミングとして最適です。
- 従業員の連絡先リストを最新化する(退職・入社対応)
- 代替オフィス・リモートワーク環境の稼働テストを行う
- サプライチェーンのリスク評価を更新する(能登・南海トラフ新想定を反映)
- バックアップデータの復元テストを実施する
- 2025年の首都直下・南海トラフ新想定に基づく被害シナリオを見直す
2025年12月に公表された首都直下地震の新想定では、液状化リスクエリアが更新されています。オフィス所在地の液状化リスクを再確認してください。
従業員向け防災研修と備蓄グッズの整備#
- 防災研修を実施する(AED講習・消火器操作・応急手当)
- 帰宅困難者用の個人キット(スニーカー・レインコア・水・食料・地図)を整備する
- 防災カード(避難場所・緊急連絡先・BCP連絡先)を配布する
- 携帯用防災ポーチ(ホイッスル・LEDライト・携帯トイレ)の配布を検討する
企業防災チェックリスト まとめ#
- 防災訓練(帰宅困難者シナリオ含む)を実施する
- 社内備蓄(3日分)を点検・補充する
- BCPの年次確認・更新を行う
- 従業員連絡先リストを最新化する
- 防災研修・グッズ配布を実施する
学校・こども向け防災週間の取り組みガイド#
避難訓練を「実践的」にする#
学校の避難訓練を「面倒な行事」から「命を守る練習」に変えるには、「なぜそうするのか」の理由を伝えることが重要です。
「おかしもち」(おさない・かけない・しゃべらない・もどらない・ちかづかない)のルールも、理由を伝えると子どもの納得度が変わります。
実践的な訓練にするためのポイント:
- 休み時間など教員が近くにいない状況を想定した訓練を行う
- 煙(訓練用)や暗所通過など体感型の要素を取り入れる
- 避難完了後に「気づいたこと・改善点」を子どもから発表させる
保護者への引き渡し訓練#
2024年の能登半島地震では、学校の引き渡しルールの重要性が再確認されました。
- 引き渡しカードの内容を保護者と確認する
- 引き渡し対象者(緊急連絡先)が最新化されているか確認する
- 引き渡し訓練を年1回実施する
- 保護者が来られない場合(帰宅困難)の対応ルールを確認する
こども向け防災イベント提案#
防災の日は、子どもの防災意識を高める「体験の場」として活用できます。
家庭でできる防災イベント:
- 防災リュックの中身を一緒に確認する(「自分のリュック」を持たせると責任感が生まれる)
- 非常食の試食会をする(アルファ米・缶詰パン・乾パンを実際に食べる)
- 避難場所まで歩いてみる(「お散歩」として自然に体験させる)
- 防災まち歩きをする(通学路の危険箇所をメモしてオリジナルの防災マップを作る)
- 防災クイズを出す(「地震が来たらまず何をする?」など遊び感覚で知識を定着させる)
- 災害用伝言ダイヤル171を一緒に体験する(子ども自身に録音させる)
学校・地域で活用できる防災教育ツール:
- クロスロード(災害時のジレンマを考えるカードゲーム):「食料が足りない避難所で自分の分を高齢者に譲るか」など、正解のない問題について話し合うことで判断力が育ちます
- 起震車体験:自治体の防災訓練イベントで体験できます
- そなエリア東京・本所防災館などの体験型防災施設:夏休みや防災週間に家族で訪れるのがおすすめです
学校・こど向けチェックリスト まとめ#
- 避難訓練を実施する(実践的なシナリオで)
- 保護者引き渡し訓練を実施する
- 引き渡しカードの内容を最新化する
- 防災まち歩き・非常食試食会などのイベントを行う
- 災害用伝言ダイヤル171を子どもと体験する
2025年版・防災の日の重点テーマ#
2024〜2025年の大きな出来事を踏まえ、今年の防災の日には以下の重点テーマを意識してください。
能登半島地震(2024年1月)からの教訓#
- 孤立集落への備えとして、自宅に1週間分の備蓄が必要であることが再確認された
- 仮設トイレの整備遅延が問題となり、簡易トイレの自前確保が重要であることが示された
- 在宅避難の選択肢を整えておくことの重要性が高まっている
南海トラフ巨大地震 新想定(2025年3月公表)#
2025年3月、内閣府が南海トラフ巨大地震の被害想定を最新化しました。
- 最大津波高・浸水域が一部地域で見直された
- ハザードマップが更新された自治体が多数あるため、最新版の確認が必須
- 南海トラフ地震の詳細と対策 で解説しています
首都直下地震 新想定(2025年12月公表)#
2025年12月、東京都が首都直下地震の新想定を公表しました。
- 液状化リスクエリアが更新された
- 帰宅困難者数の想定が見直された
- 首都直下地震の詳細と対策 で解説しています
災害用伝言ダイヤル171の体験利用スケジュール#
171は以下のタイミングで体験利用できます。
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 毎月1日・15日 | 毎月の定期体験(終日) |
| 8月30日〜9月5日 | 防災週間(終日) |
| 1月15日〜21日 | 防災とボランティア週間(終日) |
| 元日(1月1日) | 年始(終日) |
| 大規模災害発生時 | 本番運用 |
操作手順(おさらい):
- 伝言録音:171 → 1 → 自分の電話番号 → 伝言を30秒以内で録音
- 伝言再生:171 → 2 → 聞きたい相手の電話番号 → 再生
まとめ|防災の日を「実行の日」にする#
防災の日の由来・歴史については 防災の日(9月1日)の由来と意味 をご覧ください。
この記事でお伝えしたかったのは「9月1日に何を実行するか」です。
- 家庭:チェックリスト10項目を防災週間(8/30〜9/5)の1週間で1〜2項目ずつこなす
- 企業:帰宅困難者対応を含む防災訓練とBCPの年次確認を行う
- 学校・保護者:引き渡しルールの確認と、子どもと一緒にできるイベントを取り入れる
大切なのは「完璧にやる」ことではなく「毎年続ける」こと。今年の防災の日から、カレンダーに「防災点検デー」と書き込んでおいてください。



