大規模な災害が発生すると、携帯電話の回線は一気につながりにくくなります。
家族の安否を確認したい。避難所の情報を調べたい。支援物資の配布場所を知りたい。しかし、スマホの画面には「圏外」の表示——。
そんな時に使えるのが「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」です。災害時に無料で開放されるWi-Fiサービスで、通信キャリアに関係なく誰でも利用できます。
ただし、便利な反面、セキュリティ上のリスクもあります。
00000JAPANとは?#
災害時に無料開放されるWi-Fiサービス#
00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)は、大規模災害が発生した際に、通信事業者や企業が連携して無料で開放するWi-Fiサービスです。
基本情報:
- 利用料金:無料
- パスワード:不要(オープンネットワーク)
- 利用できる端末:Wi-Fi対応のスマートフォン、タブレット、ノートPC
- 通信キャリア:問わない(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル、その他すべて)
- SIM契約の有無:問わない(SIMなしの端末でも利用可能)
00000JAPANは「ゼロが5つのJAPAN」と覚えてください。Wi-Fiの一覧で「00000JAPAN」という名前(SSID)を探します。
開放の条件と過去の開放実績#
00000JAPANは常に使えるわけではありません。大規模災害や大規模な通信障害が発生し、一定の条件を満たした場合に、各通信事業者の判断で開放されます。
開放の判断基準:
- 大規模災害(地震・台風・豪雨等)が発生した場合
- 大規模な通信障害(キャリアのネットワーク停止等)が発生した場合(2023年9月のガイドライン改訂で追加)
- 無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)のガイドラインに基づき、各通信事業者が開放の発動・停止を判断
過去の主な開放実績:
- 2016年 熊本地震(初の商用運用、九州全域で約5万5,000か所)
- 2018年 北海道胆振東部地震
- 2018年 西日本豪雨
- 2019年 台風15号・19号
- 2024年 能登半島地震(2024年1月1日〜4月22日)
大規模災害のたびに開放実績があり、認知度も年々高まっています。
通信キャリア各社の協力体制#
00000JAPANは、一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)がガイドラインを定め、以下の事業者などが協力して運営しています。
- NTTドコモ
- KDDI(au)/沖縄セルラー
- ソフトバンク
- 楽天モバイル
- ワイヤ・アンド・ワイヤレス、NTTブロードバンドプラットフォーム等のWi-Fi事業者
各キャリア等が保有する公衆Wi-Fiスポットを一斉に開放するため、コンビニ、駅、公共施設、商業施設など、幅広い場所で利用できる可能性があります(開放エリアは災害状況により異なります)。
00000JAPANの接続方法【iPhone / Android】#
iPhoneでの接続手順#
- 「設定」アプリを開く
- 「Wi-Fi」をタップ
- Wi-Fiをオンにする(オフの場合)
- ネットワーク一覧から「00000JAPAN」を探してタップ
- 接続完了(パスワード入力は不要)
接続後、ブラウザを開くと利用規約の画面が表示される場合があります。「同意する」をタップして利用を開始します。
Androidでの接続手順#
- 「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」をタップ(機種により表記が異なる)
- Wi-Fiをオンにする
- ネットワーク一覧から「00000JAPAN」を探してタップ
- 「暗号化されていないネットワーク」の警告が出る場合は「接続」をタップ
- 接続完了
Android端末では「オープンネットワークです」「暗号化されていません」といった警告が表示される場合がありますが、00000JAPAN自体がパスワードなしの公開ネットワークであるため、正常な動作です。
つながらない場合の対処法#
00000JAPANに接続できない場合は、以下を試してください。
対処法:
- Wi-Fiを一度オフにしてから再度オンにする
- 機内モードを一度オンにしてからオフにする
- 端末を再起動する
- Wi-Fiの一覧を更新する(リストを下に引っ張る)
- 接続が混雑している可能性があるため、時間を置いて再試行する
- 建物の中では電波が届きにくい場合がある。窓際や屋外で試す
それでもつながらない場合は、そのエリアでは00000JAPANが開放されていない可能性があります。
00000JAPANの注意点【セキュリティリスク】#
暗号化されていない通信のリスク#
00000JAPANの最大の弱点は、通信が暗号化されていないことです。
パスワード不要で誰でも接続できるということは、同じネットワーク上にいる悪意のある第三者に通信内容を傍受(盗聴)される可能性があるということです。
傍受されるリスクがある情報:
- 暗号化されていないウェブサイトでの入力内容
- メールの内容(暗号化されていない場合)
- ログインID・パスワード
ただし、「https://」で始まるウェブサイト(SSL/TLS暗号化されたサイト)では、通信内容は暗号化されているため、傍受のリスクは低くなります。現在のほとんどの主要サイトはhttps対応です。
やってはいけないこと(ネットバンキング・パスワード入力)#
00000JAPAN利用中は、以下の行為を避けてください。
やってはいけないこと:
- ネットバンキング(銀行のオンラインサービス)
- クレジットカード番号の入力
- ネットショッピング
- 各種サービスのパスワード変更
- 個人情報の送信(マイナンバー等)
安全にできること:
- 災害情報の検索・閲覧
- ニュースサイトの閲覧
- 地図アプリでの避難所検索
- LINEでの安否確認(LINEは通信が暗号化されている)
- SNSでの情報収集・発信
- 災害用伝言板(web171)の利用
災害時の00000JAPANは「情報収集と安否確認」に使うと割り切り、お金に関わる操作は行わないのが安全です。
VPNを使った安全な接続方法#
VPN(Virtual Private Network)を使えば、00000JAPANでの通信を暗号化して安全性を高めることができます。
VPNの使い方:
- 事前にVPNアプリをインストールしておく
- 00000JAPANに接続した後、VPNアプリを起動する
- VPN接続を有効にする
- VPN経由でインターネットを利用する
VPN選びの考え方:
- 無料プランのあるサービスや、信頼できる運営元の有料VPNから、レビューや提供元の所在地を確認したうえで選ぶ
- 個人情報やログを必要以上に収集しないプライバシーポリシーのものを選ぶ
- App Store・Google Playで「VPN」と検索し、評価・運営元を比較する
災害時に慌ててVPNをインストールするのは現実的ではありません。平時のうちにインストールしてテストしておきましょう。
災害時のインターネット接続手段まとめ#
00000JAPAN以外の方法(モバイル回線・衛星通信)#
00000JAPANだけに頼るのではなく、複数の通信手段を知っておきましょう。
| 手段 | 特徴 | 利用条件 |
|---|---|---|
| 00000JAPAN | 無料Wi-Fi | 大規模災害時・大規模通信障害時に開放 |
| モバイル回線(4G/5G) | 通常の携帯電話回線 | 基地局が稼働している場合 |
| 公衆Wi-Fi | コンビニ・カフェ等のWi-Fi | 施設が営業している場合 |
| 衛星通信(Starlink等) | 災害時に自治体等が設置 | 設置場所が限られる |
| アマチュア無線 | 通信インフラに依存しない | 免許が必要 |
通信障害時の代替手段#
通信が完全に途絶した場合の代替手段も知っておきましょう。
インターネットが使えない場合:
- 防災ラジオ(FMラジオ)で情報を得る
- 災害用伝言ダイヤル171(電話回線)を使う
- 避難所の掲示板で情報を確認する
- 近隣住民との口頭での情報交換
スマホの電池を長持ちさせるコツ:
- 画面の明るさを最低にする
- 不要なアプリの通知をオフにする
- 位置情報サービスをオフにする
- 機内モードにして必要な時だけ通信する
- モバイルバッテリーを常時携帯する
よくある質問(FAQ)#
Q. 00000JAPANは災害が起きたらすぐに使えますか?
A. 災害発生後、各通信事業者が被災状況を確認した上で開放を判断します。過去の事例では、能登半島地震(2024年)は発生当日の夜に発動するなど、数時間〜半日程度で開放されるケースが多いものの、災害の規模や状況により異なります。
Q. 00000JAPANの偽物(なりすまし)はありますか?
A. 理論上、「00000JAPAN」と同じ名前のWi-Fiスポットを悪意のある第三者が設置することは可能です。このため、00000JAPANでの通信ではセキュリティに配慮し、前述の「やってはいけないこと」を守ってください。VPNの利用が最も効果的な対策です。
Q. 通信速度はどのくらいですか?
A. 開放されるWi-Fiスポットの元の回線速度に依存します。多くの人が同時に接続するため、通常のWi-Fiより遅くなることが予想されます。テキストのやり取り(LINE・メール)は問題なくできますが、動画の視聴は難しい場合があります。
Q. 00000JAPANはどのくらいの期間使えますか?
A. 災害の規模と通信インフラの復旧状況により異なります。2024年の能登半島地震では、2024年1月1日から同年4月22日まで、約3か月半にわたって開放されました。比較的小規模な災害では数日〜数週間で発動が停止される場合もあります。



