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防災知識

マイ・タイムラインの作り方|家族の避難行動計画をテンプレートで簡単作成

更新 2026年4月10日

2019年の台風19号(ハギビス)の夜、私は自宅で避難するかどうか迷い続けていました。

「レベル4の避難指示が出た。でも、今から外に出るのは逆に危険じゃないか?」「ペットはどうする?」「高齢の祖母を連れて行ける避難所はどこだ?」

結局、迷っているうちに雨風が強くなり、自宅2階に垂直避難する選択を取りました。幸い被害はなかったけれど、あのとき「警戒レベル3になったら祖母と一緒に避難所に移動する」と事前に決めていたら、もっと余裕を持って行動できたはずです。

この経験がきっかけで、私は家族の「マイ・タイムライン」を作りました。一度作ってしまえば、災害時に迷わず動ける。作成にかかる時間は1〜2時間程度です。

マイ・タイムラインとは
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避難行動計画を時系列で整理するツール
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マイ・タイムラインとは、台風や大雨などの風水害を想定して、災害が近づいてくるタイミングごとに「いつ」「何をするか」を事前に時系列で整理した個人・家族の防災行動計画です。

もともとは国土交通省が2015年の関東・東北豪雨(鬼怒川氾濫)を契機に推進を始めた取り組みで、主に水害を対象としています。東京都も2018年7月豪雨後に「東京マイ・タイムライン」として独自に普及活動を展開しています。「自分たちの逃げ方」を見える化するツール、とイメージしてください。

なぜマイ・タイムラインが重要なのか
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災害時に人は正常性バイアス(「自分は大丈夫」と思い込む心理)に陥りやすく、避難の判断が遅れがちです。

令和元年東日本台風での調査(内閣府):

  • 避難情報を認知した人のうち、実際に避難したのは約2割
  • 避難しなかった理由の上位は「自宅なら大丈夫と思った」「いつ避難すべきかわからなかった」

マイ・タイムラインを作っておけば、「警戒レベル○になったら○○する」と行動が決まっているので、判断に迷う余地がなくなる。これが最大のメリットです。

マイ・タイムラインの作り方【5ステップ】
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ステップ1:自宅のリスクを確認する
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まず、自宅がどんな災害リスクを抱えているかを把握します。

確認すること:

  • ハザードマップで洪水・土砂災害・高潮のリスクを確認
  • 最寄りの河川と自宅の位置関係
  • 過去にその地域で浸水被害があったか(自治体の防災ページで確認)
  • マンションの場合、何階に住んでいるか(浸水深との比較)

ハザードマップで「浸水深3m」と表示されていたら、1〜2階は水没する想定。3階以上に住んでいるなら垂直避難も選択肢になりますが、1階なら早めの水平避難が必須です。

ステップ2:避難場所と避難ルートを決める
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確認・決定すること:

  • 指定避難所の場所(市区町村のWebサイトで確認)
  • 自宅から避難所までのルート(2ルート以上が理想)
  • ルート上に危険な場所がないか(アンダーパス、崖の近く、河川沿い)
  • 徒歩での所要時間

大雨の中を移動することを想定してください。普段は10分の距離でも、暴風雨の中では20分以上かかることもある。明るい時間帯に一度歩いてみることを強くおすすめします。

ステップ3:警戒レベルごとの行動を書き出す
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ここがマイ・タイムラインの核心部分です。気象庁の警戒レベルに連動して、自分たちの行動を決めていきます。

2021年5月の災害対策基本法改正により、従来の「避難勧告」は廃止され、レベル4の市町村発令情報は「避難指示」に一本化されました。レベル5は「緊急安全確保」に名称変更されています。

警戒レベル対応する避難情報(市町村発令)気象・河川情報(目安)私たちの行動(例)
レベル1早期注意情報天気予報をチェック。備蓄品の確認
レベル2大雨注意報・洪水注意報ハザードマップの再確認。避難先の候補を決める。スマホの充電
レベル3高齢者等避難大雨警報・洪水警報など高齢者・障害者・乳幼児等は避難開始。非常持ち出し袋を玄関に用意
レベル4避難指示土砂災害警戒情報・氾濫危険情報全員速やかに避難。避難所または安全な場所へ移動
レベル5緊急安全確保大雨特別警報・氾濫発生情報命を守る行動。外出が危険なら自宅の高い階で垂直避難

重要なのは、レベル5は「すでに手遅れに近い状態」ということ。レベル4までに避難を完了させるのが原則です。

ステップ4:家族の役割分担を決める
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家族それぞれに役割を割り振っておくと、パニックにならず動けます。

役割分担の例:

  • :車の燃料確認、窓の補強、ブレーカーOFF
  • :非常持ち出し袋の準備、貴重品の持ち出し
  • 子ども(中学生以上):ペットの準備、弟妹の靴を履かせる
  • 祖父母:持病の薬をまとめる、身支度

一人に負担が集中しないように分散させることがポイントです。

ステップ5:持ち出し品リストを添付する
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マイ・タイムラインの最後に、非常持ち出し品リストを添付しておきます。

最低限のリスト:

  • 飲料水(1人500ml×人数分)
  • 非常食(カロリーメイト、おにぎり等)
  • 常備薬
  • モバイルバッテリー
  • 懐中電灯
  • 保険証・身分証のコピー
  • 現金(小銭を含む)
  • 着替え(1セット)
  • タオル
  • ゴミ袋(大判2〜3枚)

ペットがいる家庭は、ペットフード、リード、キャリーバッグも忘れずに。

マイ・タイムライン テンプレート
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台風・大雨バージョン
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台風は数日前から接近がわかるため、時間を追った計画が立てやすい災害です。

3日前: 台風の進路予報をチェック。備蓄品の買い足し。窓の対策(養生テープ・雨戸)

1日前: 非常持ち出し袋の最終確認。風で飛びそうなもの(物干し竿・植木鉢)を屋内へ。車の燃料を満タンに。スマホの充電。

半日前(警戒レベル2〜3): 高齢者・子どもの避難開始判断。避難先への連絡。SNSで最新情報の確認。

接近時(警戒レベル3〜4): 全員避難。家のブレーカーOFF。戸締り確認。避難所へ移動。

地震バージョン
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地震は事前予測ができないため、台風型のタイムラインとは構成が異なります。「発生直後」「数時間後」「1日後」の時系列で行動を整理します。

発生直後(0〜数分): 身を守る(机の下、頭部保護)。揺れが収まったら火の元確認。家族の安否確認。

数時間後: 自宅の安全性を確認。危険なら避難所へ移動。安否確認の連絡(LINE→171の順)。

1日後: 在宅避難か避難所生活かの判断。備蓄品での生活開始。近隣の状況確認。

マイ・タイムラインの見直しと訓練
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年1回の見直しポイント
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マイ・タイムラインは作って終わりではありません。年に1回は見直しましょう。

見直すタイミング:

  • 防災の日(9月1日)
  • 台風シーズン前(6月頃)
  • 家族構成が変わったとき(出産、高齢者の同居開始など)

チェック項目:

  • 避難所が変更されていないか
  • 家族の連絡先に変更がないか
  • 持ち出し品の賞味期限
  • 新たなリスク情報(ハザードマップの更新)

家族で確認する方法
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家庭でできる防災訓練の一環として、マイ・タイムラインを使ったシミュレーションをやってみてください。

「台風が接近しています。警戒レベル3が出ました。さあ、どうする?」と家族に問いかけて、タイムラインに沿って行動を確認する。実際に非常持ち出し袋を背負って避難所まで歩いてみる。

年に1回のシミュレーションが、いざというときの数分の差を生みます。

よくある質問(FAQ)
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Q. マイ・タイムラインはどこに保管する? A. 冷蔵庫に貼る、玄関に置く、スマホに写真で保存する。家族全員がすぐにアクセスできる場所がベスト。紙とデジタルの両方で持っておくと安心です。

Q. 一人暮らしでも作る意味はある? A. 大いにあります。一人暮らしだからこそ、誰にも促されずに自分で判断しなくてはいけない。タイムラインがあれば「レベル3で避難」と迷わず決断できます。

Q. マンションの高層階に住んでいる場合は? A. 浸水リスクが低い高層階では、在宅避難が合理的な選択になることもあります。ただし、エレベーターの停止、停電、断水のリスクは考慮が必要。タイムラインにはこれらの想定も書き入れてください。

Q. 自治体のマイ・タイムライン作成支援はある? A. 多くの自治体が作成支援ツールやワークシートを公開しています。東京都の「東京マイ・タイムライン」(冊子・アプリ・Web版あり)が有名です。また国土交通省・河川財団が推進する「逃げキッド」は小中学生向けのマイ・タイムライン検討ツールで、2024年4月に内容が更新されました。河川財団サイトから無料でダウンロードできます。

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