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地域ハザードマップ

【2026年最新】札幌市の災害リスクとハザードマップ|洪水・地震・火山灰の想定と避難の備え

更新 2026年4月14日

札幌市は人口約196万人を擁する北海道最大の都市であり、石狩平野の南端から奥手稲山地にまたがる広大な面積を持ちます。市内を豊平川・石狩川・厚別川・琴似発寒川が流れ、扇状地・低湿地・丘陵地・山岳地という多様な地形が東西に広がっています。

この地形の多様さが、そのままリスクの多様さに直結しています。北区・東区の低地では河川氾濫と液状化、中央区・清田区では造成地の地盤リスク、南区・西区では土砂災害、そして市全体に共通するのが活断層による直下型地震と、樽前山噴火にともなう降灰の脅威です。1981年の大洪水と2018年の胆振東部地震はいずれも都市機能を麻痺させており、平時からの備えが欠かせない都市です。

札幌市を繰り返し襲ってきた災害の歴史
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ハザードマップに記載される浸水深や震度の数値は、過去の被害データに基づいています。数字の意味を理解するには、まずこの街がどのような災害を経験してきたかを知ることが出発点です。

水害の被害記録
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災害名総雨量札幌市域の被害
1981年8月石狩川・豊平川大洪水(第1波)294mm床上浸水1,942戸、床下浸水14,613戸、田畑冠水4,214ha
1981年8月石狩川・豊平川大洪水(第2波)229mm公共施設被害463か所。道央圏の交通網が麻痺

1981年8月の大洪水では、低気圧・停滞前線・台風12号が重なる記録的な豪雨が発生し、第1波から約2週間後に台風15号による第2波が直撃しました。この水害の特徴は「バックウォーター現象」です。石狩川本流の水位が異常に高まったことで支流への排水が妨げられ、堤防が決壊しなくても北区や東区の低地に甚大な浸水被害が発生しました。二度の洪水を合わせた死者1人・負傷者1人に加え、全道で4万人を超える避難者が生じています。

出典:札幌市 過去の水害記録

地震の被害記録
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災害名規模札幌市域の被害
2018年9月6日北海道胆振東部地震M6.7死者3名、負傷者295名。清田区里塚で大規模液状化

2018年の胆振東部地震では、清田区里塚地区において大規模な液状化現象が発生しました。火山灰質の盛り土が高い地下水位と激しい揺れによって流動化し、多くの住宅・道路・水道管が甚大な被害を受けています。道内全域の約295万戸が停電する「ブラックアウト」も発生し、都市機能が完全に失われた。札幌駅前通の地下歩行空間では帰宅困難者が地下で一夜を過ごす事態となり、大都市特有の脆弱性が浮き彫りになりました。

出典:札幌市 平成30年北海道胆振東部地震 被害状況

札幌市のハザードマップの種類と確認方法
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札幌市は複数のハザードマップと電子サービスを公開しています。「札幌市地図情報サービス」では住所検索から自宅周辺のリスクをまとめて確認でき、国土交通省「重ねるハザードマップ」とも連携しています。

マップ名内容
浸水ハザードマップ想定最大規模の降雨(1,000年に1回程度)による洪水と内水氾濫の浸水想定区域を浸水深で色分け。全10区ごとに個別マップを作成
第4次地震被害想定100mメッシュの地盤構造モデルに基づく震度分布・液状化・建物被害の想定
さっぽろ防災ポータル緊急情報・避難所情報・河川水位をリアルタイムで確認。多言語対応あり

紙版の浸水ハザードマップは各区役所・危機管理局で配布・配架されています。2023年1月から3月にかけて改訂版の全戸配布も実施されました。連合町内会ごとに避難場所等をまとめた図面も提供されており、地域の防災訓練での活用が進んでいます。

札幌市のエリア別リスク早見表
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札幌市は扇状地・低湿地・丘陵地・山岳地という多様な地形を持つため、10の行政区でリスクの性質が大きく異なります。

行政区洪水土砂災害液状化地形的特徴
中央区高(円山・藻岩山周辺)豊平川の扇状地。山麓部で土砂崩れリスク
北区石狩川・新川・伏籠川に囲まれた低地。粘土質・泥炭地盤
東区標高が低く石狩川氾濫時に広範囲で浸水想定
白石区豊平川と厚別川の下流。内水氾濫と液状化の複合リスク
厚別区野幌丘陵の縁辺部。河川近接エリアで地盤脆弱
豊平区高台が多く比較的堅牢。洪水は局所的
清田区谷埋め盛り土の造成地が多く液状化に警戒
南区急傾斜地崩壊危険箇所が全区で最多
西区琴似発寒川上流域。手稲山山麓で土石流リスク
手稲区新川の洪水と手稲山からの土砂災害が混在

出典:第4次地震被害想定 - 札幌市浸水ハザードマップ関連資料

各エリアの特徴
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北区・東区は石狩川流域の堆積物による軟弱な地盤が広がっており、洪水と液状化の両リスクを抱えます。1981年の大洪水で最も深刻な被害を受けたのもこのエリアです。バックウォーター現象が生じると、堤防の決壊なしに広範囲が浸水する点を忘れてはなりません。

清田区は2018年の胆振東部地震で液状化が顕在化したエリアです。谷を埋めた盛り土(谷埋め盛り土)での造成地が多く、地下水位が高い場所では揺れに伴う流動化リスクが特に高い。里塚地区では実際に道路の陥没・隆起が発生し、長期間の復旧工事を要しました。

南区は市域の大部分が山地で、急傾斜地崩壊危険箇所の数は10区の中で最多です。洪水や液状化よりも、土砂災害への備えを優先すべきエリアといえます。

手稲区は新川の洪水リスクに加え、手稲山山麓での土砂災害リスクが混在するエリア。性質の異なる複数のリスクが重なるため、浸水ハザードマップ単体ではなく複数のリスクを同時に確認することを推奨します。

札幌市の主要駅周辺の浸水リスク
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通勤・通学で利用する主要駅周辺の浸水想定は、日常の行動計画に直結する情報です。浸水想定には2つの基準があります。

  • 計画規模 — 数十年〜百年に1回程度の大雨を想定
  • 想定最大規模 — 1,000年に1回程度の極端な大雨を想定
駅名関連河川計画規模想定最大規模注意点
札幌駅(JR・地下鉄)豊平川局所的0.5〜1.0m地下街(アピア・ポールタウン)への浸水に警戒
麻生駅(地下鉄南北線)創成川・新川1.0m以上低地に位置し、広範囲で深い浸水
栄町駅(地下鉄東豊線)早期冠水丘珠周辺の低地地形で道路が早期に冠水
白石駅(JR・地下鉄)厚別川・望月寒川深い浸水低い地点に水が集まりやすい地形

出典:浸水ハザードマップ

札幌駅周辺の地下歩行空間やアピア・ポールタウンなどの広大な地下街は、2018年の胆振東部地震でもブラックアウトによる帰宅困難者が大量に発生した場所です。豊平川が破堤した場合、地上の水位上昇に気付くのが遅れる「突発的浸水」が地下施設への急速な流入を引き起こします。地下空間にいる際に警報が発令された場合は、迷わず地上へ出ることが最優先です。

札幌市の地震リスク
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5つの想定地震シナリオ
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札幌市の第4次地震被害想定では、発生メカニズムの異なる5つの地震シナリオを設定しています。

想定地震名種別規模特徴
苫小牧沖地震海溝型M7.5震源が遠く市街地への揺れは比較的小さい
石狩低地東縁断層帯主部内陸型(活断層)M7.9規模は最大だが震源は市街地中心部から離れている
野幌丘陵断層帯内陸型(伏在活断層)M7.5市域東側を中心に強い揺れと甚大な液状化
月寒断層内陸型(伏在活断層)M7.2市街地直下。最悪のシナリオ
西札幌断層内陸型(伏在活断層)M6.7市域北西側を中心に強い揺れ

出典:第4次地震被害想定 - 札幌市

中でも「月寒断層」による地震は、札幌市にとって最も深刻なシナリオです。市街地の約7割で震度6強以上の揺れが想定され、市街地の約3分の1では液状化の発生も見込まれています。

液状化リスク
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液状化とは、地震の揺れにより地中の水と砂が混合し、地盤が流動化する現象です。建物の傾斜・沈下、マンホールの浮上、道路の陥没・隆起が発生し、ライフラインの復旧にも影響します。

リスク該当エリア
北区・東区(石狩川流域の軟弱地盤)、白石区・厚別区(河川近接の低地)
中〜高清田区(谷埋め盛り土の造成地。胆振東部地震で実際に被害が発生)
豊平区・南区・西区(高台や山地が中心)

月寒断層が活動した場合、区別の建物被害は東区(全壊4,522棟・半壊10,636棟)、白石区(全壊2,578棟・半壊4,968棟)、北区(全壊2,482棟・半壊10,049棟)で特に大きく、液状化が揺れの被害を増幅させます。

出典:第4次地震被害想定 - 札幌市

冬期発災の特有リスク
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札幌市で特筆すべきは、積雪寒冷地特有の「冬期発災リスク」です。ライフラインの復旧には夏期より大幅な時間がかかります。

ライフライン夏期の復旧日数冬期の復旧日数
上水道19日27日
電力5日7日
通信5日7日
都市ガス20日40日

冬期の作業効率が低下するのは、積雪そのものに加え、地震による道路損傷が復旧資機材の搬送を妨げるためです。暖房手段のない環境での避難生活は、凍死リスクと直結する。月寒断層による冬期発災では発災1日後に約15万人が避難を余儀なくされ、1か月後も約8万人が避難生活を続けると想定されており、在宅避難を可能にする暖房手段の確保が生死を分ける重要事項です。

樽前山による降灰リスク
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支笏湖南側に位置する活火山・樽前山が噴火した場合、上空の西風に乗って札幌周辺に数センチから十数センチの火山灰が堆積すると予想されています。わずか1cmの降灰でも道路では車がスリップし、電力設備の絶縁不良により広域停電(ブラックアウト)を誘発する可能性が極めて高い。1739年の大噴火では千歳付近で50〜100cmの降灰を記録した歴史があり、その規模は過去が証明しています。

出典:北海道開発局 樽前山の火山砂防の取り組み

浸水深の目安と避難判断
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ハザードマップに示される浸水深が実際にどのような状況かを整理します。

浸水深状況行動の目安
0.5m未満大人の膝下この段階に達する前に避難を完了させる
0.5〜1.0m大人の腰歩行による避難は危険。0.5mが歩行の限界
1.0〜3.0m1階が完全に水没2階以上への垂直避難。ただし木造家屋は倒壊・流出リスクあり
3.0m以上2階の床下まで浸水事前の立ち退き避難が必須
5.0m以上2階建て家屋の屋根まで到達立ち退き避難が唯一の手段

北区・東区・白石区など浸水想定が深いエリアにお住まいの方は、警戒レベル3(高齢者等避難)の段階で避難行動を開始することを推奨します。

主要河川には避難行動の目安となる水位が設定されており、豊平川(雁来観測所)の氾濫危険水位は8.70m、石狩川(篠路観測所)は4.90m、厚別川(厚別観測所)は6.90m。「さっぽろ防災ポータル」でリアルタイムに水位を確認できます。

出典:札幌市水防計画

避難場所と避難所の違い
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「避難場所」と「避難所」は異なる役割を持ちます。2024年12月の「札幌市避難場所基本計画」の改定により、名称も変更されています。

種別役割備考
基幹避難所(旧:指定避難所(基幹))災害時に中心的な役割を果たす避難所主に小中学校
地域避難所(旧:指定避難所(地域))地域住民が一時的に避難する施設町内会館など
福祉避難所配慮が必要な方の二次避難先直接避難は不可

出典:札幌市 浸水ハザードマップ(避難場所情報含む)

水害時には浸水リスクにより開設されない避難所があります。最寄りの避難所が水害時にどのような扱いになるかは、「札幌市地図情報サービス」で平時に確認してください。

福祉避難所は発災直後に直接避難する施設ではありません。まず基幹避難所に避難し、専門職が状態を確認した上で必要に応じて案内される仕組みです。

防災情報の入手方法
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災害時に正確な情報を迅速に入手できるかどうかが、避難行動の成否に直結します。情報の入手手段は最低2つ確保しておくことを推奨します。

手段概要
さっぽろ防災ポータル緊急情報・避難所開設状況・河川水位をリアルタイム確認。多言語対応あり
防災アプリ「そなえ」札幌市公式のスマートフォン向け防災アプリ。ハザードマップ確認と情報収集が可能

緊急速報メール(エリアメール)は、警戒レベル4「避難指示」が発令された際に対象エリアの携帯電話端末に強制配信されます。事前の登録は不要です。また、SNS(LINEやX)・テレビ・ラジオを通じても一斉に広報されます。

出典:札幌市水防計画

警戒レベルと行動
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レベル発表される情報住民の行動
1早期注意情報災害への心構えを高める
2大雨・洪水注意報ハザードマップで避難先を再確認
3高齢者等避難高齢者・乳幼児のいる家庭は避難開始
4避難指示危険な場所から全員避難
5緊急安全確保命を守る行動を直ちにとる

レベル5は災害がすでに発生または切迫している状態を示します。レベル4までに避難を完了させることが原則で、レベル5発表後の安全な避難は保証されません。

出典:北海道 避難情報の発令判断・伝達マニュアル

札幌市の独自の防災対策
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積雪寒冷地という特殊な環境下で190万人以上の市民の安全を守るため、札幌市は独自の施策を展開しています。

施策・事業内容
さっぽろ防災ポータル災害情報を一元化したポータルサイト。河川水位・避難所開設状況をリアルタイム公開。多言語対応で外国人観光客にも対応
防災アプリ「そなえ」市民が日常的に防災意識を高められるスマートフォン向けアプリ
連合町内会別の避難地図連合町内会ごとに避難場所等の情報をまとめた図面を作成・配布。地域の防災訓練の基盤として活用
地下空間の安全確保対策地下歩行空間や地下街の管理者に対し、情報伝達・避難誘導の体制整備を指導
樽前山火山噴火緊急減災対策砂防計画北海道開発局と連携し、砂防堰堤整備と無人化重機による緊急時の仮設堤防構築を計画
第4次地震被害想定の策定100mメッシュの地盤構造モデルを導入し予測精度を向上。ブラックアウト・帰宅困難者問題を定量的に組み込んだ最新想定

出典:さっぽろ防災ポータル札幌市水防計画北海道開発局 砂防の取り組み

防災チェックリスト
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ここまでの内容を踏まえ、札幌市民が確認しておくべき項目を一覧にまとめました。

備蓄の目安は水が1人1日3リットル、非常用トイレが1人1日5回分を最低1週間分。冬期発災時の都市ガス復旧は最大40日を要するため、カセットコンロやポータブルストーブなど暖房手段の確保が特に重要です。

確認項目
「札幌市地図情報サービス」または「さっぽろ防災ポータル」で自宅のリスクを確認した
居住エリアの浸水ハザードマップ(区別マップ)を確認した
清田区など造成地にお住まいの方は、谷埋め盛り土の液状化リスクを確認した
最寄りの基幹避難所と、水害時に使えるかを把握した
家族で避難のタイミングと集合場所を決めた
防災アプリ「そなえ」をインストールした
地下街・地下空間にいるときの避難経路を把握した
冬期発災を想定した暖房手段(カセットコンロ・ポータブルストーブ・防寒着)を確保した
都市ガス停止40日間を想定した備蓄を確認した
1週間分の水・食料・非常用トイレを備蓄した
家具の転倒防止をした
地震保険の加入状況を確認した
🛡 防災士からのメッセージ
豊平川や石狩川の氾濫、月寒断層による直下型地震、そして冬期のブラックアウト——札幌市は複数のリスクが重なる都市です。まず「さっぽろ防災ポータル」と区別の浸水ハザードマップで自宅のリスクを確認し、冬期の暖房手段の確保から備えを始めてください。

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