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火災保険の水災補償は必要?マンション・戸建て別の判断基準と外すリスク

更新 2026年4月10日

「水災補償を外せば保険料が安くなりますよ」。

こうアドバイスされて、深く考えずに水災補償を外してしまう方がいます。でもちょっと待ってください。その判断、本当に大丈夫ですか?

水災補償は火災保険の中でも保険料に占める割合が大きく、外すことで年間数千〜1万円以上の節約になるケースもあります。だからこそ「外したい」気持ちはわかります。

ただ、2024年の能登半島地震に伴う液状化や、毎年のように発生する線状降水帯による豪雨を考えると、水災リスクは甘く見ないほうがいい。

火災保険の水災補償とは
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水災補償でカバーされる被害
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水災補償で保険金が支払われるのは、以下のような被害です。

原因具体例
洪水河川氾濫による浸水、堤防決壊
内水氾濫豪雨で排水が追いつかず道路が冠水
高潮台風による海面上昇で浸水
土砂崩れ豪雨で裏山の土砂が流入
地すべり地盤のゆるみによる土地の移動
落石山から岩が転がり落ちる

注意点として、津波による被害は水災補償の対象外です。津波は地震保険の補償範囲になります。

水災補償の保険料は全体の何割か
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水災補償は火災保険料全体の 15〜30% を占めることがあります。つまり年間保険料が5万円なら、水災分が7,500〜15,000円。これを外すと大きな節約になるため、「外したい」という人が多いのです。

2024年10月の改定(損害保険料率算出機構の参考純率改定)で、水災の保険料は市区町村単位で地域別リスクに応じた5段階(1〜5等地)に細分化されました。浸水リスクの高い地域ほど保険料が高くなり、最も安い1等地と最も高い5等地では約1.2倍の差がつく仕組みです。

ハザードマップで浸水リスクが低い地域にお住まいなら、水災の保険料自体がそれほど高くない可能性もあります。見積もりで「水災あり/なし」の保険料を比較してみてください。

水災補償の支払い条件(床上浸水 or 45cm以上)
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水災補償には支払い条件があります。「ちょっと水が入った」程度では保険金は出ません。

一般的な支払い条件(いずれかに該当)

  • 建物の 床上浸水
  • 地盤面から 45cm以上 の浸水
  • 建物の 再調達価額の30%以上 の損害

つまり、1階の床下が浸水しただけでは支払い対象にならないケースがあります。ただし、近年は「床下浸水でも一定額を支払う」特約を用意している保険会社も出てきました。

水災補償が必要かの判断基準
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ハザードマップで浸水リスクを確認
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最も重要な判断材料は ハザードマップ です。

確認方法

  1. 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」にアクセス
  2. 自宅の住所を入力
  3. 「洪水浸水想定区域図」を確認

浸水深の目安と対応はこちら。

ハザードマップの浸水深リスク評価水災補償の判断
0〜0.5m未満(床下浸水レベル)低い外すことを検討できる
0.5〜3m(1〜2階浸水レベル)高い必ず付ける
3m以上(2階以上浸水レベル)非常に高い絶対に付ける
浸水想定区域外最も低い外してよい可能性が高い

筆者の経験上、「うちは大丈夫だろう」と思っていた方が被災するケースは少なくありません。ハザードマップを見たことがない方は、必ず一度確認してください。

マンション高層階は外してよいか
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マンションの場合、住んでいる階数が判断の大きなポイントです。

3階以上の場合 床上浸水のリスクはほぼゼロ。水災補償を外しても大きなリスクはありません。ただし、以下の例外には注意。

  • 土砂崩れで建物自体が損壊するリスク(丘陵地に建つマンション)
  • 地下駐車場や共用設備の水没による間接的な被害

1〜2階の場合 ハザードマップで浸水リスクがある地域なら、たとえマンションでも水災補償は必要です。2019年の台風19号では、武蔵小杉のタワーマンションで多摩川の水が排水管を逆流し、地下の電気設備が浸水。停電・断水でエレベーターや上下水道が長期間停止する深刻な被害が発生しました。低層階や共用設備への水の影響は、タワマンでも無縁ではありません。

戸建て・1階住居は外すべきでない理由
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戸建てにお住まいの方は、水災補償を安易に外すのは危険です。

理由はシンプル。戸建ての1階が浸水した場合の被害額は、数百万円に達するケースが珍しくないからです。

床上浸水の被害額の目安。

浸水深被害額の目安
床上0.5m200〜400万円
床上1m400〜700万円
床上2m以上700〜1,500万円

床板の張り替え、壁の修繕、家電・家具の買い替え、消毒費用……全額自己負担となると、家計への打撃は計り知れません。

マンションの火災保険の選び方
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マンション特有のリスク(水漏れ・風災)
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マンションで最も多い保険金請求は「水漏れ」です。

  • 上階からの水漏れで天井にシミ
  • 自分の部屋の給水管が破裂して下階に被害
  • 共用排水管の逆流

これらは「水災」ではなく「水漏れ(給排水設備の事故)」で補償されます。マンションでは水災より水漏れのリスクのほうが高い場合が多い。

風災は、バルコニーの手すりが飛ばされたり、窓ガラスが割れたりするリスクがあります。高層階ほど風の影響を受けやすいため、台風シーズンは注意が必要です。

管理組合の保険との関係
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マンションの保険は2層構造になっています。

対象加入者範囲
共用部分(外壁、廊下、エレベーター等)管理組合管理費で一括加入
専有部分(各住戸の内装・設備)個人自分で加入
家財(家具、家電等)個人自分で加入

管理組合の保険があるからといって、個人の保険が不要になるわけではありません。自分の部屋の壁紙、フローリング、キッチン設備、そして家財は個人で保険をかける必要があります。

不要になりやすい補償・必要な補償
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マンションで不要になりやすい補償

  • 水災(3階以上で浸水リスクが低い場合)
  • 建物外部(門・塀・車庫)の補償 → マンションには該当しない

マンションで必ず必要な補償

  • 水漏れ(給排水設備の事故)
  • 個人賠償責任特約(上階からの水漏れで下階に損害を与えた場合等)
  • 風災(窓ガラスの破損等)
  • 家財保険

個人賠償責任特約は特に重要。万が一、自分の部屋の水漏れで下の階に被害を与えた場合、数百万円の賠償になることもあります。月100〜200円で加入できるので、必ず付けてください。

水災補償を外すリスクと判断フロー
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外した場合に自己負担になる金額の目安
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水災補償を外した状態で被災した場合のシミュレーション。

ケース1:ゲリラ豪雨で床上50cm浸水(戸建て)

  • フローリング張り替え:80万円
  • 壁の修繕(1階全面):60万円
  • 家電買い替え(冷蔵庫・洗濯機等):50万円
  • 消毒・清掃費用:20万円
  • 合計:約210万円(全額自己負担)

ケース2:河川氾濫で床上1m浸水(戸建て)

  • 1階の全面リフォーム:300万円
  • 家財の損害:200万円
  • 仮住まい費用(3ヶ月):45万円
  • 合計:約545万円(全額自己負担)

水災補償を付けていれば、これらの費用のほぼ全額が保険金でカバーされます。年間1万円の保険料を節約した結果、数百万円の自己負担が発生する可能性がある——このリスクを受け入れられるかどうかが判断の分かれ目です。

判断フローチャート
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以下の質問に答えていくと、水災補償の要否が見えてきます。

Q1. ハザードマップで浸水想定区域に入っていますか? → はい → 水災補償は必要 → いいえ → Q2へ

Q2. 自宅は1〜2階建ての戸建て、またはマンションの1〜2階ですか? → はい → 水災補償を推奨(内水氾濫のリスクはハザードマップに反映されないケースがある) → いいえ → Q3へ

Q3. 自宅の近くに河川・がけ・急傾斜地はありますか? → はい → 水災補償を推奨 → いいえ → Q4へ

Q4. マンションの3階以上で、周辺に土砂災害リスクがない? → はい → 水災補償を外してOK

このフローで「外してOK」に至らなかった方は、水災補償を付けておくべきです。「迷ったら付ける」が防災士としてのスタンスです。保険料の差額は「安心料」と考えてください。

よくある質問(FAQ)
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Q. 水災補償を外した後に、再び付けることはできる? A. はい。保険の更新時や中途変更で水災補償を追加できます。ただし、すでに台風や豪雨の予報が出ている段階では変更が間に合わない場合があるため、平時に判断しておくことが大切です。

Q. 地下室がある場合、水災補償は必要? A. 地下室は浸水リスクが非常に高いです。たとえハザードマップで浸水リスクが低い地域でも、集中豪雨で地表の水が流入することがあります。地下室がある住宅は水災補償を強くおすすめします。

Q. 水災補償と地震保険の違いは? A. 水災補償は「洪水・土砂崩れ・高潮」による被害、地震保険は「地震・噴火・津波」による被害を補償します。地震に伴う津波で浸水した場合は地震保険、豪雨による洪水で浸水した場合は水災補償が適用されます。

Q. ハザードマップに載っていない場所でも浸水する? A. あり得ます。ハザードマップは「想定される最大規模の降雨」をもとに作成されていますが、想定を超える豪雨が発生する可能性はゼロではありません。また、内水氾濫(下水道があふれる)はハザードマップに十分反映されていない地域もあります。

Q. 賃貸の場合、水災補償は必要? A. 賃貸の場合、建物自体は大家さんの保険でカバーされます。ただし、自分の家財(家電、家具、衣類等)は自分の保険でしか守れません。1階に住んでいて浸水リスクがある場合は、家財保険に水災補償を付けておくべきです。


まとめ

水災補償を外すかどうかは、「保険料の節約」と「被災時のリスク」を天秤にかけた判断です。年間1万円の節約のために、数百万円のリスクを背負うことになる可能性がある。

判断の基準はシンプル。ハザードマップで浸水リスクがあるなら付ける。マンション3階以上で浸水リスクがないなら外してよい。迷ったら付ける。

まずはハザードマップを確認するところから始めてみてください。

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