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防災知識

地震保険は必要か?仕組み・補償範囲・保険料・加入すべき人の条件を徹底解説

更新 2026年4月10日

「地震保険って、入った方がいいんですか?」

この質問に対する答えは、「あなたの住んでいる場所、住まいの形態、経済状況によって変わる」というのが正直なところです。

ただ、1つだけ確実に言えることがあります。地震で自宅が全壊した場合、地震保険に入っていなければ、住宅ローンだけが残って再建費用は全額自己負担です。火災保険だけでは、地震による被害は一切補償されません。

私が防災士として相談を受ける中で感じるのは、地震保険について「なんとなく加入している人」と「存在すら知らない人」が大半で、「仕組みを理解した上で判断している人」が非常に少ないということです。

地震保険とは?火災保険との違いと仕組み
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地震保険が補償する損害の範囲
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地震保険が補償するのは、地震・噴火・津波を原因とする以下の損害です。

  • 建物の損壊(全壊・半壊など)
  • 家財の損壊(家具・家電・衣類など)
  • 地震による火災(地震が原因の火災は火災保険では補償されない)
  • 津波による流失・浸水
  • 地震後の地盤沈下・液状化

損害の認定は4段階で行われます。

認定区分損害の程度保険金の割合
全損建物時価の50%以上保険金額の100%
大半損建物時価の40〜50%保険金額の60%
小半損建物時価の20〜40%保険金額の30%
一部損建物時価の3〜20%保険金額の5%

火災保険だけでは地震火災・津波被害は補償されない理由
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ここが最も重要なポイントです。火災保険は「火災」「風災」「水災」などを補償しますが、地震を原因とする損害はカバーしません。

つまり、地震で発生した火災(通電火災を含む)、津波による浸水や流失、液状化による建物の傾きは、火災保険だけでは一切補償されないのです。

「うちは火災保険に入っているから大丈夫」と思っている方は、今すぐ保険証券を確認してください。地震保険が付帯されていなければ、地震による損害は補償対象外です。

地震保険は単独加入できない(火災保険とセット)
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地震保険は、火災保険に付帯する形でしか加入できません。地震保険だけを単独で契約することはできない仕組みです。

火災保険の契約時に「地震保険を付けますか?」と聞かれるのはこのためです。すでに火災保険に加入している場合は、保険会社に連絡すれば途中から地震保険を追加できます。

地震保険の保険料相場と割引制度
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都道府県・建物構造別の保険料の目安
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地震保険の保険料は、都道府県と建物の構造(木造か非木造か)によって異なります。これは地震の発生リスクが地域によって異なるためです。

保険料が高い地域(リスクが高い地域):東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、高知県、徳島県など

保険料が低い地域(リスクが相対的に低い地域):北海道、東北の一部、九州の一部など

たとえば、保険金額1,000万円(木造住宅・ロ構造)の場合の年間保険料(令和4年10月1日以降・割引適用なし):

  • 東京都:42,200円
  • 北海道:16,500円

最高リスク地域と低リスク地域で2〜3倍以上の差があります。正確な保険料は日本損害保険協会の公式シミュレーターで確認できます。

免震建築割引・耐震等級割引・耐震診断割引の内容
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地震保険には、建物の耐震性能に応じた割引制度があります。

割引名条件割引率
免震建築物割引免震構造の建物50%
耐震等級割引耐震等級110%
耐震等級230%
耐震等級350%
耐震診断割引耐震基準適合証明あり10%
建築年割引1981年6月1日以降の新築10%

割引の併用はできませんが、該当する割引のうち最も割引率が大きいものが適用されます。

長期契約(5年)による割引メリット
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地震保険は最長5年まで一括で契約できます。長期契約の場合、1年あたりの保険料が割安になります。

5年一括の場合、長期係数4.70が適用され、1年ごとに更新する場合と比べて約6%割安になります。保険料の負担を抑えたい場合は、長期契約を検討してください。

地震保険は必要か?加入すべき人・不要な人の判断基準
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持ち家(戸建て・マンション)に住んでいる場合
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持ち家の場合、地震保険の加入を強くおすすめします。

特に以下のケースでは、地震保険がないと経済的に深刻な打撃を受けます。

  • 住宅ローンが残っている(ローンは残るが家がなくなる「二重ローン」のリスク)
  • 預貯金が住宅再建費用に満たない
  • 南海トラフや首都直下地震の想定エリアに住んでいる

マンションの場合、建物部分の地震保険は管理組合が契約していることがありますが、専有部分や家財の補償は個人で契約する必要があります。管理組合の保険内容を確認した上で、不足分を個人で補いましょう。

賃貸に住んでいる場合(家財への地震保険)
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賃貸住宅に住んでいる場合、建物の地震保険は家主が加入します。入居者が検討すべきは、家財(家具・家電・衣類など)に対する地震保険です。

テレビ、パソコン、冷蔵庫、洗濯機などの家財がすべて壊れた場合の買い替え費用を見積もってみてください。100万円以上になることは珍しくありません。

家財保険(火災保険)に地震保険を付帯する形で加入できます。保険料は年間数千円程度なので、家財の買い替え費用と比較して判断してください。

南海トラフ地震のリスクが高いエリアの住民
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静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、高知県、徳島県など、南海トラフ巨大地震の想定被害が大きいエリアに住んでいる方は、地震保険への加入を優先的に検討してください。

保険料が高い地域ではありますが、被災した場合の経済的損失は桁違いに大きくなります。

住宅ローン残高と保険金額のバランス
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地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定します。建物の場合は最大5,000万円、家財の場合は最大1,000万円が上限です。

住宅ローンの残高と地震保険の保険金額を比較して、ローンの一部でもカバーできる金額に設定しておくと、被災後の経済的な立て直しの助けになります。

地震保険の加入率と申請の現実
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日本の地震保険加入率と地域差
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日本全体の地震保険の付帯率(火災保険に地震保険を付帯している割合)は約70%に達しています。ただし、これは「新規契約時の付帯率」であり、既存の火災保険契約に地震保険を付けていない人は含まれていません。

地域別に見ると、宮城県(東日本大震災の影響)や高知県(南海トラフへの意識)で加入率が高く、北海道や東北の一部で低い傾向があります。

実際の大地震での保険金支払い事例
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東日本大震災(2011年):地震保険の支払い総額は約1兆2,833億円、支払い件数は約79万件。1件あたりの平均支払額は約163万円。

熊本地震(2016年):支払い総額は約3,859億円、支払い件数は約21万件。

北海道胆振東部地震(2018年):支払い総額は約387億円。

これらの数字は、地震保険が実際に多くの被災者に保険金を届けていることを示しています。

保険金だけでは住宅再建はできない現実
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一方で、地震保険の保険金だけで住宅を再建することは困難です。保険金額が火災保険の30〜50%に制限されているため、たとえば2,000万円の火災保険に加入していても、地震保険の保険金は最大1,000万円です。

住宅の再建費用が2,000〜3,000万円かかることを考えると、地震保険はあくまで「生活再建の足がかり」であり、全額をカバーするものではありません。

地震保険に加えて、預貯金や災害復興住宅融資(住宅金融支援機構)、被災者生活再建支援金(最大300万円)なども含めた総合的な資金計画が必要です。

地震保険の申請方法と注意点
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被災後の申請手順(罹災証明書との関係)
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地震保険の保険金を受け取るまでの流れは以下の通りです。

  1. 被災直後:被害箇所の写真を撮る(片付ける前に記録)
  2. 保険会社に連絡:被害の概要を報告
  3. 損害調査員の訪問:保険会社の調査員が損害を認定
  4. 認定結果の通知:全損・大半損・小半損・一部損の判定
  5. 保険金の支払い:認定後、通常1〜2週間程度で支払い

罹災証明書は市区町村が発行するもので、地震保険の申請とは別の手続きです。ただし、被災者生活再建支援金や税金の減免に必要なため、地震保険の申請と並行して罹災証明書の申請も行ってください。

損害認定の仕組みと異議申し立て
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損害の認定は、保険会社の調査員が建物の損傷状況を目視で確認して行います。

認定結果に納得できない場合は、保険会社に異議を申し立てることができます。再調査を依頼し、別の調査員による再評価を受けることが可能です。

申請漏れを防ぐポイント
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地震保険の申請漏れで最も多いのは、「一部損に該当するのに申請しなかった」ケースです。

壁のひび割れ、基礎の亀裂、瓦の落下など、「この程度で保険金が出るのか」と思うような軽微な損傷でも、一部損に認定される場合があります。少しでも被害があれば、まず保険会社に連絡してください。

まとめ|地震保険 加入判断チェックシート
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地震保険は「万が一のための安心料」です。地震が起きなければ掛け捨てになりますが、起きたときに経済的な破綻を防ぐセーフティネットです。

加入を優先すべき人:

  • 住宅ローンが残っている持ち家の方
  • 預貯金が少ない方
  • 南海トラフ・首都直下地震の想定エリアにお住まいの方
  • 築年数が古い木造住宅にお住まいの方

まずは、現在の火災保険の証券を確認して、地震保険が付帯されているかどうかをチェックしてください。付帯されていなければ、保険会社に電話1本で追加できます。

被災してからでは遅いのが保険です。「入っておけばよかった」と後悔する前に、今日のうちに確認しておきましょう。

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