メインコンテンツへスキップ
  1. TOP /
  2. 防災知識 /
  3. 応急処置の種類と対応マトリックス|災害時・家庭で使える救命技術まとめ /
  4. AEDの使い方を図解で解説
応急処置の種類と対応マトリックス|災害時・家庭で使える救命技術まとめ

AEDの使い方を図解で解説|誰でもできる5ステップと注意点

更新 2026年4月10日

心臓突然死は、日本で年間約7万人に起きています。そのうち、AEDが使われたケースの救命率は約50%。使われなかったケースの救命率は約10%です。

AEDを使うかどうかが、命を分けるのです。

「でも、自分のような素人がAEDを使っていいの?」「間違えて使ったらどうしよう」——そう思う方は多いはずです。

答えは明確です。AEDは一般市民が使うことを前提に設計されています。電源を入れれば音声ガイドが手順を教えてくれます。そして、間違った使い方をしても、AEDが必要ないと判断すれば電気ショックは作動しません。

AEDとは?一般市民でも使える救命装置
#

AEDの仕組み(心室細動と電気ショック)
#

AED(Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器)は、心臓が「心室細動」という異常な状態に陥った時に、電気ショックで正常なリズムに戻すための装置です。

心室細動とは: 心臓の心室が細かく震えて、血液を全身に送り出せなくなる状態です。心室細動が起きると、数分以内に脳に酸素が届かなくなり、10分以内に死に至ります。

AEDの役割: 心室細動を検知し、心臓に電気ショックを与えることで、震えを止め、正常な拍動を取り戻すチャンスを作ります。

重要なのは、心室細動が始まってからAEDで電気ショックを与えるまでの時間です。1分経過するごとに救命率は約7〜10%低下します。救急車の到着を待っていては間に合わないケースが多いため、その場に居合わせた人がAEDを使うことが求められています。

AEDを使うべき状況の判断方法
#

AEDを使う判断は、実はシンプルです。

以下の2つの条件を満たした場合にAEDを使用します:

  1. 意識がない(呼びかけに反応しない)
  2. 正常な呼吸がない(呼吸をしていない、または普段どおりの呼吸ではない)

「死戦期呼吸」(あえぎ呼吸とも呼ばれる、ゆっくりとした不規則な呼吸)は「正常な呼吸」ではありません。判断に迷う場合は「正常な呼吸ではない」と判断してAEDを使ってください。

一般市民がAEDを使っても法的責任はない
#

「AEDを使って相手に何かあったら責任を問われるのでは?」という不安を持つ方がいます。

結論から言うと、善意でAEDを使用した一般市民が法的責任を問われることは、まずありません。

民法第698条(緊急事務管理)により、緊急時に善意で行った救助行為について、悪意または重大な過失がない限り責任を負わないとされています。過去に一般市民がAEDを使用して法的責任を問われた判例はありません。

「何もしなかった後悔」の方が、「やって後悔」よりもはるかに大きい。迷ったら使ってください。

AEDの使い方【5ステップ図解】
#

ステップ1:意識と呼吸を確認する
#

倒れている人を見つけたら、まず安全を確認してから近づきます。

確認の手順:

  1. 肩を軽くたたきながら「大丈夫ですか?」と大きな声で呼びかける
  2. 反応がなければ「意識なし」と判断
  3. 胸とお腹の動きを10秒以内で観察し、「正常な呼吸」をしているか確認する
  4. 呼吸がない、または判断に迷う場合は「呼吸なし」として次のステップへ

「反応がない」「正常な呼吸がない」の2つが確認できたら、心停止の可能性が高いです。

ステップ2:119番通報とAEDの手配
#

一人で対応しようとせず、周囲の人に助けを求めます。

やること:

  1. 大きな声で「誰か来てください!」と助けを呼ぶ
  2. 特定の人を指差して「あなた、119番に電話してください!」と依頼
  3. 別の人を指差して「あなた、AEDを持ってきてください!」と依頼

「誰か通報してください」ではなく、特定の人を指差して依頼するのがポイントです。「誰か」だと、全員が「他の人がやるだろう」と思ってしまう心理(傍観者効果)が働きます。

周囲に人がいない場合は、まず119番通報してから胸骨圧迫を開始してください。

ステップ3:胸骨圧迫を開始する
#

AEDが届くまでの間、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行います。

胸骨圧迫の手順:

  1. 倒れている人を仰向けにする
  2. 胸の真ん中(乳頭を結ぶ線の中央)に手のひらの付け根を置く
  3. もう一方の手を重ねる
  4. 肘をまっすぐ伸ばし、真上から体重をかけて押す
  5. 約5cmの深さで、1分間に100〜120回のテンポで押す

テンポの目安: 「アンパンマンのマーチ」「ステイン・アライブ」のリズムが約100〜120回/分です。

重要: 胸骨圧迫は止めないでください。AEDが届くまで、可能な限り中断なく続けます。疲れたら周囲の人と交代してください。

ステップ4:AEDのパッドを貼る(位置の図解)
#

AEDが届いたら、胸骨圧迫を続けながら(可能なら別の人に圧迫を代わってもらい)AEDを使います。

手順:

  1. AEDの電源を入れる(フタを開けると自動で電源が入るタイプもある)
  2. 音声ガイドが始まるので、指示に従う
  3. パッドを袋から取り出す
  4. パッドに描かれたイラストのとおりに体に貼る

パッドの貼る位置:

  • 1枚目:右鎖骨の下(右胸の上部)
  • 2枚目:左脇腹(左乳頭の下あたり)

パッドは素肌に直接貼ります。衣服の上からは貼らないでください。衣服を切る必要があれば、ためらわず切ってください。

ステップ5:音声ガイドに従い電気ショック
#

パッドを貼ると、AEDが自動的に心電図を解析します。

AEDが「ショックが必要です」と言った場合:

  1. 「離れてください」と声をかけ、傷病者の体に誰も触れていないことを確認する
  2. ショックボタンを押す
  3. ショック後、すぐに胸骨圧迫を再開する

AEDが「ショックは不要です」と言った場合:

  1. すぐに胸骨圧迫を再開する
  2. AEDのパッドは貼ったまま、電源も入れたままにする
  3. 2分後にAEDが再度心電図を解析する

AEDが「ショック不要」と判断した場合、それは「AEDを使ったのが間違い」という意味ではありません。心室細動以外の心停止か、すでに心室細動が止まった状態です。胸骨圧迫を続けてください。

AEDを使う際の注意点
#

体が濡れている場合の対処
#

プールや風呂で倒れた場合など、体が濡れている場合は注意が必要です。

  • パッドを貼る部分の水分をタオルで拭き取ってから貼る
  • 水たまりの中にいる場合は、安全な場所に移動させてから使用する
  • パッドと体の間に水分があると、電気ショックの効果が低下する

ペースメーカー装着者への対応
#

胸にペースメーカーが埋め込まれている方(胸に出っ張りが見られる場合があります)にも、AEDは使用できます。

  • ペースメーカーの真上にはパッドを貼らない
  • ペースメーカーの出っ張りから3cm以上離してパッドを貼る
  • それ以外の手順は通常と同じ

未就学児・小学生以上への使い方
#

JRC蘇生ガイドライン2020の改訂により、AEDパッドの表記は「小児用」→「未就学児用」、「成人用」→「小学生から大人用」に変更されています(2021年以降)。

未就学児(小学校入学前、乳児を含む):

  • 「未就学児用」パッド(または未就学児用モード)がある場合はそちらを使用する
  • 「未就学児用」がなければ、「小学生から大人用」パッドを使用して構わない
  • 体が小さくパッド同士が重なってしまう場合は、胸と背中に1枚ずつ貼り、心臓を挟むように配置する

小学生以上:

  • 「小学生から大人用」パッドを使用する
  • 貼る位置は大人と同じ(右胸の上部と左脇腹)

「未就学児用がないからAEDを使わない」のは最悪の選択です。「小学生から大人用」でも使わないよりは圧倒的に良いです。

AEDの実践に備えるために
#

救命講習の受け方(消防署・日本赤十字社)
#

AEDの使い方は、この記事を読んだだけでも概要は理解できます。しかし、実際に人形を使って練習すると、自信がまったく違います。

救命講習の受講先:

実施機関講習名時間費用(目安)
消防署普通救命講習I3時間無料〜数百円(自治体により異なる)
消防署上級救命講習8時間無料〜数千円(自治体により異なる)
日本赤十字社救急法基礎講習4時間教材費1,500円程度
日本赤十字社救急法救急員養成講習12時間教材費2,100円程度

※費用は2025年時点の目安です。最新情報は各実施機関でご確認ください。最寄りの消防署や日本赤十字社各都道府県支部に問い合わせれば、講習の日程と申し込み方法を教えてもらえます。職場やPTAの団体で申し込むことも可能です。

職場・学校でのAED設置場所の確認
#

AEDの使い方を知っていても、AEDの場所を知らなければ使えません。

確認すべきこと:

  • 職場のAEDの設置場所(受付・廊下・エレベーターホールなど)
  • 最寄りの駅・コンビニ・公共施設のAED設置場所
  • 子どもの学校のAED設置場所

AED設置場所の検索サービス:

  • 日本救急医療財団「全国AEDマップ」(https://www.qqzaidanmap.jp/)
  • スマホアプリ「AEDオープンデータプラットフォーム」

通勤ルートや日常の行動範囲にあるAEDの場所を、1つでも把握しておくだけで、いざという時の対応スピードが格段に上がります。

よくある質問(FAQ)
#

Q. AEDを使ったことで訴えられることはありますか?

A. 善意の救助行為に対して法的責任を問われたケースは、日本では報告されていません。緊急時に善意で行った行為については、民法の「緊急事務管理」の規定で保護されます。

Q. AEDの電気ショックは痛いですか?

A. 心停止の状態では意識がないため、痛みは感じません。電気ショックは一瞬で終わります。

Q. 女性にAEDを使う際、衣服を脱がせる必要がありますか?

A. パッドを素肌に貼る必要があるため、パッドを貼る位置の衣服を開ける必要があります。ただし、全裸にする必要はありません。パッドを貼った後、上からタオルや上着をかけてプライバシーに配慮してください。周囲の人に壁を作ってもらうなどの協力も有効です。命を救うことが最優先です。

Q. AEDは子どもでも使えますか?

A. はい、小学校高学年以上であれば、講習を受ければ十分に使えます。実際に子どもがAEDを使って人命救助を行った事例もあります。学校でのAED講習を積極的に受けさせてください。

この記事もおすすめ