大きな地震が来たら、まずやるべきことは1つだけです。それは「身を守る」こと。具体的には、姿勢を低くし、頭・体を守り、揺れが収まるまで動かない――この3つが、気象庁・消防庁が共通して示す行動の基本です。火の始末や避難、ドアを開ける動作は、すべて揺れが収まってからで構いません。
地震は突然来て、強い揺れはおよそ1分ほどで収まることが多いとされています。だからこそ、その「そのとき」にどう動くかを場所ごとに知っておくことが、自分と家族の命を守ります。
この記事では、結論として押さえるべき基本3原則をまず示し、続いて自宅・寝室・キッチン・職場・屋外・運転中・電車・エレベーター・海や川など、場所別の正しい行動を整理します。最後に「揺れが収まった直後」にやることと、よくある質問をまとめます。
なお、ここで紹介するのは「地震が来たそのとき」の行動です。家具固定や備蓄などの事前の備えは家庭の地震対策ガイドもあわせてご覧ください。
まず守るべき基本3原則|「身を守る」が最優先#
地震の揺れを感じたとき、あるいは緊急地震速報を見聞きしたときに最優先すべきは、慌てず「まず身の安全を確保する」ことです。気象庁は、身を守る行動として次の3つを示しています。
- 姿勢を低くする(その場でしゃがむ)
- 頭・体を守る(机の下に隠れる、かばんや座布団で頭を覆う)
- 揺れが収まるまでじっとして動かない
この3原則は、自宅でも職場でも屋外でも共通の出発点です。そのうえで、場所ごとに「危険なもの(落ちてくる・倒れてくる・移動してくるもの)から離れる」という考え方を加えます。
やってはいけない3つの行動#
過去に「正しい」とされていたが、今は推奨されない・危険とされる行動があります。
| よくある誤解 | 正しい考え方 |
|---|---|
| 「机がなければ戸口(ドア枠)の下へ」 | 現在の耐震基準の建物では戸口に頑丈さの優位性はなく、開閉するドアで挟まれる危険もある。姿勢を低くして頭を守ることを優先 |
| 「揺れている最中に火を消しに行く」 | コンロや暖房器具に近づくのは転倒・やけどの危険。火の始末は揺れが収まってから |
| 「すぐ外へ飛び出す」 | 屋外は落下物・倒壊・ガラスの危険。慌てて飛び出さず、まず室内で身を守る |
火を使っている最中の地震でも、まずは身の安全。最近のガス機器や石油ストーブの多くは、強い揺れを感知すると自動的にガスや火を止める安全装置が付いています。揺れの最中に無理にコンロへ向かう必要はありません。
場所別|地震が来たそのときの正しい行動#
自宅(リビング・在宅時)#
- テーブルや机の下に入り、脚をしっかり持つ。机がなければ、クッションやかばんで頭を守り、姿勢を低くする
- 背の高い家具・本棚・テレビ・窓ガラスから離れる。倒れてくる・割れて飛んでくるものが最大の危険
- 揺れが収まったら、避難経路を確保するためにドアを開ける(建物がゆがんでドアが開かなくなるのを防ぐ)
家庭でけがをした人の原因の多くは、家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁の調査では近年の大地震で約3〜5割)。日頃の家具固定が「そのとき」の安全を大きく左右します。
寝室(就寝中)#
- まず布団や枕で頭を守る。慌てて立ち上がらない
- 暗闇でガラスや倒れた家具を踏むと負傷するため、枕元にスリッパ・厚手の靴・懐中電灯を備えておく
- 寝室には背の高い家具を置かない/倒れても体の上に来ない向きに配置するのが理想
夜間の地震は視界が悪く、停電も重なります。事前の家具配置の見直しが、就寝中の安全に直結します。
キッチン・調理中#
- 無理に火を消そうとせず、まずその場を離れて身を守る。包丁・食器・電子レンジなどの落下物、熱湯・油に注意
- 揺れが収まってから、ガスの元栓を閉め、コンロの火を消す
- ガスのにおいがするときは火気厳禁。換気して、ガス会社へ連絡する
「火を止めなきゃ」と揺れの最中にコンロへ近づくのは、最も危険な行動の一つです。火の始末は必ず揺れが収まってから行ってください。
職場・オフィス・学校#
- 机の下に隠れ、机の脚を持つ。コピー機・キャビネット・ロッカーなど重い什器から離れる
- 窓際・ガラス・吊り下げ照明の下を避ける
- 揺れが収まったら、むやみに移動を開始しない。建物が無事なら、その場にとどまるのが基本
地震直後に多くの人が一斉に帰宅・移動すると、群集事故や交通混乱を招きます。内閣府は、帰宅困難者が帰宅可能になっても一斉に帰宅を開始せず、時間的・空間的に分散して帰宅することを基本としています。職場には、履きやすい靴・水・モバイルバッテリーなどを備えておきましょう。
屋外・繁華街・住宅街#
- 頭を守りながら、建物・ブロック塀・自動販売機・電柱から離れる。落下するガラス・看板・外壁に注意
- ビル街では建物から離れて広い場所へ。可能ならかばんなどで頭を覆う
- 揺れが収まったら、案内や標識に従って広域避難場所などへ。慌てて走り出さない
繁華街では、頭上からの落下物が最大の危険です。「上を意識して」頭を守りながら、まわりの安全な空間へ移動します。
車を運転中#
警察庁・消防庁は、運転中に強い揺れを感じたら次のように行動するよう示しています。
- 急ブレーキは避け、ハンドルをしっかり握る
- 後続車に注意しながら徐々に減速し、道路の左側に停車する
- エンジンを切り、揺れが収まるまで車外に出ず、カーラジオで情報を得る
- 避難が必要なときは、エンジンキーは付けたまま(または車内の分かりやすい場所に置く)、ドアはロックせず、窓を閉める。連絡先を見える場所に書き、車検証など貴重品を持って徒歩で避難する
キーを付けたままドアをロックしないのは、緊急車両の通行のために、後で車を移動できるようにするためです。
電車・バスの中#
- つり革や手すりにしっかりつかまる。転倒や、荷物の落下に注意
- 緊急停止時の急ブレーキに備え、姿勢を低く保つ
- 勝手に車外へ出ず、乗務員の指示に従う。線路への飛び降りや、無理なドアの開放はしない
エレベーター#
最近のエレベーターは地震を感知すると最寄り階に自動停止する機能を備えたものが増え、階の途中で閉じ込められることは減っています。それでも揺れを感じたら、
- 行き先の階をすべて押し、最初に停止した階で降りる
- 万一閉じ込められたら、慌てず「非常用呼出ボタン(インターホン)」で連絡を取る。地震時は閉じ込めが多発し、すぐに救助が来るとは限らないため、落ち着いて待つ
- 無理にドアをこじ開けたり、天井から脱出しようとしない(さらに危険)
海岸・川の近く(津波への対応)#
海岸や川沿いで地震に遭ったら、津波からの避難が最優先です。気象庁は次のように呼びかけています。
- 強い揺れ、または弱くても長い揺れを感じたら、津波警報を待たずにすぐ避難を始める(震源が陸地に近いと、警報が津波の襲来に間に合わないことがある)
- 海から離れ、ただちに高台や津波避難ビルなど、より高く安全な場所へ
- 海から離れていても、川をさかのぼって津波が襲うことがあるため、川沿いも危険
- 津波は繰り返し襲ってくる。警報・注意報が解除されるまで、安全な場所から戻らない
「揺れたら、まず高台」。これが海・川の鉄則です。
揺れが収まった直後にやること#
強い揺れが収まったら、落ち着いて次の順で確認・行動します。
- 自分と家族のけがを確認し、必要なら応急手当て
- 火の始末・ガスの元栓・電気のブレーカーを確認(避難時はブレーカーを落とすと通電火災の予防になる)
- 避難経路を確保するため、ドアや窓を開ける
- 慌てて外に飛び出さず、落下物・ガラス・倒れた家具に注意して靴を履く
- テレビ・ラジオ・公式アプリで正しい情報を入手する(デマやSNSの未確認情報に注意)
- 火災の発生や倒壊の危険があれば避難。海・川の近くは津波に備えて高台へ
電気を使った備えや住まいの耐震については、通電火災対策や耐震等級も参考にしてください。地域ごとの揺れやすさ・想定される被害は自分の地域の地震リスクで確認できます。備蓄品の準備は揃えておきたい備蓄品、リスクの確認はハザードマップが役立ちます。
よくある質問(FAQ)#
Q. 地震が来たら、まず何をすればいい? A. 「身を守る」が最優先です。姿勢を低くし、机の下などに隠れて頭・体を守り、揺れが収まるまで動かないこと。火の始末・避難・ドアの開放は、すべて揺れが収まってからで構いません。
Q. 「机がなければ戸口(ドア枠)に立て」は正しい? A. 現在は推奨されません。今の建物では戸口が特に頑丈というわけではなく、開閉するドアに挟まれる危険もあります。机がなければ、クッションやかばんで頭を守り、家具やガラスから離れて姿勢を低くしてください。
Q. 揺れている最中に火を消しに行ったほうがいい? A. いいえ。揺れの最中にコンロへ近づくのは、転倒・やけどの危険があります。最近のガス機器や石油ストーブには揺れで自動停止する安全装置が付いています。火の始末は揺れが収まってから行ってください。
Q. 運転中に大きな地震が来たら? A. 急ブレーキを避け、後続車に注意して徐々に減速し、道路の左側に停車。エンジンを切り、揺れが収まるまで車外に出ません。避難するときは、キーを付けたまま・ドアをロックせず、車検証など貴重品を持って徒歩で避難します。
Q. 海や川の近くで揺れを感じたら? A. 津波を最優先で警戒します。強い揺れ、または弱くても長い揺れを感じたら、警報を待たずにすぐ高台へ避難してください。川をさかのぼって津波が来ることもあるため、川沿いも危険です。警報が解除されるまで戻らないでください。
Q. 緊急地震速報が鳴ってから揺れるまで、どのくらい時間がある? A. 数秒〜十数秒程度のことが多く、震源が近いと揺れに間に合わないこともあります。短い時間で身を守れるよう、「姿勢を低く・頭を守る・動かない」を日頃から習慣にしておきましょう。
この記事の関連ページ#
出典・参考(公的機関)#
- 気象庁「緊急地震速報を見聞きしたときは」 https://www.data.jma.go.jp/eew/data/nc/koudou/koudou.html
- 気象庁「緊急地震速報について(FAQ)」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq25.html
- 気象庁「津波から身を守るために」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/tsunami_bosai/index.html
- 総務省消防庁「地震に自信を|まず落ち着いて身の安全を確保する」 https://www.fdma.go.jp/publication/database/jishin2jishin/post17.html
- 総務省消防庁「地震に自信を|あわてず冷静に火災を防ぐ」 https://www.fdma.go.jp/publication/database/jishin2jishin/post16.html
- 総務省消防庁「地震に自信を|自動車の運転中では」 https://www.fdma.go.jp/publication/database/jishin2jishin/post10.html
- 警察庁「大地震が発生したときに運転者がとるべき措置」 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/saigaiji/daizisinnunntennsya.html
- 内閣府防災「特集 アクション編(外出時・エレベーター等)」 https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h20/01/special_02.html
- 内閣府防災「共同住宅の地震発生時のエレベーター閉じ込め対策」 https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/r04/105/news_11.html