メインコンテンツへスキップ
  1. TOP /
  2. 災害対策 /
  3. 地震対策 /
  4. 家庭の地震対策 完全ガイド
地震対策

家庭の地震対策 完全ガイド|今日からできる備えを防災士が解説

更新 2026年4月10日

阪神・淡路大震災で亡くなった方の約8割は、建物の倒壊や家具の転倒による圧死・窒息死でした(内閣府「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」/兵庫県警察本部調べ)。

この数字を知った時、私は自宅の家具を見回して血の気が引きました。180cmの本棚が固定されていない。テレビが台の上に乗っているだけ。食器棚のガラス戸にストッパーがない。震度6強が来たら、この部屋は凶器だらけになる。

防災士として断言できるのは、「家庭の地震対策は、お金をかけなくても今日から始められる」ということ。

家の中の地震対策【部屋別チェックリスト】
#

リビング・寝室の家具固定
#

地震で最も危険なのは、倒れてくる家具です。

リビング

  • テレビ: 転倒防止ベルトまたは耐震マットで固定
  • 本棚: L字金具で壁に固定、または突っ張り棒と耐震マットの併用
  • 食器棚: L字金具で壁に固定、ガラス扉には飛散防止フィルム
  • エアコン室内機: 落下防止金具の確認(設置業者に相談)
  • 額縁・時計: 落下しても怪我しない場所に移動

寝室

  • タンス・クローゼット: ベッドの方向に倒れない位置に配置
  • 照明器具: 吊り下げ型は落下防止ワイヤー追加
  • ベッド周り: 枕元にスリッパ、懐中電灯、ホイッスルを常備
  • 窓の近くにベッドを置かない(ガラスの飛散リスク)

家具の固定方法は壁の材質によって変わります。石膏ボードの壁にはL字金具がしっかり効かないことがあるので、壁の下地(柱)を探してビスを打つのが正解。下地探しセンサーはホームセンターで1,000〜2,000円で買えます。

寝室は特に重要。就寝中に大地震が来た場合、暗闇の中で倒れてきた家具の下敷きになるリスクが最も高い場所です。筆者は寝室に背の高い家具を一切置かないようにしています。

キッチンの落下・転倒防止
#

キッチンは食器、調理器具、家電と、落下・転倒すると危険なものが密集しています。

  • 冷蔵庫: 転倒防止ベルトで壁に固定
  • 電子レンジ: 耐震マットで固定
  • 食器棚: 耐震ラッチ(揺れるとロックがかかる金具)を扉に設置
  • 吊り戸棚: 中身が飛び出さないようストッパー設置
  • 包丁: 収納ケースに入れる(マグネット式の壁掛けは地震時に落下の危険)
  • 調味料のビン: 滑り止めシートの上に置く

冷蔵庫は重心が高く、震度6で確実に倒れます。400Lクラスの冷蔵庫は約80kg。倒れてきたら大怪我では済みません。転倒防止ベルトは2,000円程度で設置できるので、最優先で対策してください。

キッチンでガラス製品が散乱すると裸足では歩けなくなります。キッチンの近くにスリッパを常備しておくだけでも、大きな違いがあります。

玄関・廊下の避難経路確保
#

地震後に最も大切なのは「逃げ道の確保」。玄関や廊下が物で塞がれると避難できません。

  • 廊下に物を置かない(段ボール、自転車など)
  • 玄関の靴箱が倒れてドアを塞がないよう固定
  • 玄関ドアの近くに防災バッグを配置
  • 廊下にスリッパを配置(ガラスの飛散対策)

マンションの場合、地震で玄関ドアの枠が歪み、ドアが開かなくなるケースがあります。こうなるとベランダ側からの避難になるため、ベランダの避難ハッチや隔て板の場所も確認しておきましょう。

浴室・トイレの閉じ込め対策
#

入浴中やトイレ使用中に地震が来ると、ドアが歪んで開かなくなる「閉じ込め」が起きることがあります。

  • ドアは内開きか外開きか確認(内開きは物が倒れて開かなくなりやすい)
  • 閉じ込め対策としてスマホ or ホイッスルを持ち込む習慣
  • 浴室にはバスチェアなど頭を守るものを置く
  • トイレのドア付近には物を置かない

筆者の友人が実際にトイレで閉じ込められた経験があります。震度5強の地震でドア枠が歪み、1時間以上脱出できなかったとのこと。スマホを持っていたので助けを呼べましたが、持っていなかったらかなり焦ったはずです。

住まい形態別の地震対策
#

マンション(高層階の揺れ・エレベーター停止)
#

マンションは耐震性が高い反面、独自の課題があります。

高層階の長周期地震動: 高層マンション(概ね14〜15階以上)は、長周期地震動により震源から遠くても大きく長く揺れる傾向があります。気象庁は2023年2月から長周期地震動階級(1〜4)を緊急地震速報の発表基準に追加しており、階級3以上で固定されていない家具が移動・転倒する恐れがあります。

エレベーター停止: 地震後はエレベーターが安全確認されるまで使えません。高層階の住人は階段での上り下りが必要。水や食料の運搬を考えると、備蓄はフロアごとに確保するのが理想。

排水管の損傷: マンション全体の排水管が損傷している可能性があるため、管理組合の確認が出るまでトイレを流さない。非常用トイレの備えが必須。

戸建て(耐震診断・ブロック塀)
#

耐震診断: 1981年5月以前の旧耐震基準で建てた戸建て(新耐震基準は1981年6月1日以降適用)は耐震診断を受けてください。多くの自治体で無料〜数千円で受けられます。

ブロック塀の点検: 2018年の大阪北部地震では、高槻市の小学校でブロック塀(高さ約3.5m、建築基準法違反)が倒壊し、登校中の女児1名が犠牲になる事故がありました。建築基準法ではブロック塀の高さは2.2m以下、1.2m超の場合は3.4m以下ごとに控え壁が必要と定められています。基準違反・ひび割れ・傾きのある塀は早急に補修・撤去を。

屋根瓦の確認: 重い瓦屋根は地震時に建物に大きな負荷がかかります。耐震補強の一環として、軽い屋根材への葺き替えも選択肢。

賃貸(原状回復できる家具固定法)
#

賃貸住宅では壁に穴を開けられないケースが多い。原状回復可能な家具固定方法を紹介します。

突っ張り棒: 家具の上面と天井の間に設置。最も手軽だが、天井の強度が弱いと効果が限定的。家具の奥側に設置するのがポイント。

耐震マット: 家具の底面に貼るジェル状のマット。粘着力で転倒を軽減。壁に穴を開けずに済む。

突っ張り棒 + 耐震マット: 併用が最も効果的。突っ張り棒で上を押さえ、耐震マットで底を滑りにくくする。

滑り止めシート: 食器棚の中やテレビ台に敷く。100均で購入可能。

段ボール箱: 家具の上部と天井の隙間に段ボール箱を詰める。見栄えは悪いが効果はある。

家庭で備えるべき防災グッズと備蓄
#

最低3日分の備蓄リスト
#

内閣府は最低3日分、できれば1週間分の備蓄を推奨しています。

カテゴリ品目1人3日分の目安
飲料水9L(1日3L)
食料アルファ米、缶詰、レトルト9食分
トイレ非常用トイレ15回分(1日5回想定)
衛生ウェットティッシュ、マスク、歯磨きシート各3日分
医療救急セット、常備薬1セット + 3日分

備蓄品はローリングストック方式で管理するのがベスト。普段の食事に使いながら、使った分を買い足す。これなら期限切れの心配がありません。

電源・照明・通信手段
#

停電は地震の後にほぼ確実に発生します。

  • ポータブル電源: 500Wh以上が理想。スマホ充電、照明、扇風機に
  • モバイルバッテリー: 10,000mAh以上を人数分
  • LED懐中電灯: 最低2本(寝室用と持ち出し用)
  • ヘッドライト: 両手が使える。1つあると作業時に便利
  • 携帯ラジオ: 手回し充電対応がベスト
  • 予備電池: 単3・単4を各10本以上

スマホは情報収集の生命線。モバイルバッテリーの充電を常に満タンにしておく習慣をつけてください。

衛生用品・非常用トイレ
#

地震後、水道が復旧するまでの期間は被害の規模次第で数日〜数週間、大規模災害では数ヶ月に及ぶこともあります(東日本大震災では最短10日、被害甚大地域で6ヶ月以上)。その間、トイレ・入浴・洗濯が制限されます。

非常用トイレは経済産業省の目安で1人1日5回 × 日数で計算。4人家族の7日分だと140回分。凝固剤タイプの100回分パック+50回分パックなどで備えましょう。

入浴ができない期間のために、体拭きシートや水のいらないシャンプーも備えておくと衛生面で大きな助けになります。

家族で決めておくべきルール
#

安否確認の方法(災害用伝言ダイヤル・LINE)
#

大地震直後は電話がつながりにくくなります。安否確認の方法を複数用意しておきましょう。

災害用伝言ダイヤル「171」: 電話回線が混雑していても使える伝言録音サービス。毎月1日と15日に体験利用が可能なので、家族で練習しておくのがおすすめ。

災害用伝言板(web171): インターネット経由で安否情報を登録・確認できる。

LINE: テキストメッセージは電話より届きやすい。家族グループを作っておき、定型文(「無事です」「避難しました」等)を決めておく。

注意: 「電話がつながらない→不安→何度もかけ直す」は回線をさらに混雑させます。電話は短時間で切り、テキストベースの連絡手段に切り替えてください。

集合場所と避難ルートの確認
#

家族がバラバラの場所にいる時に被災した場合の集合場所を決めておきます。

第1集合場所: 自宅(最も合理的。帰宅できるならここに集合) 第2集合場所: 最寄りの避難場所(自宅が危険な場合) 第3集合場所: 広域避難場所(大規模火災等の場合)

避難ルートは2つ以上用意。1つのルートがガレキで通れない場合に備えて、別ルートを確認しておきます。実際に歩いて、危険箇所(ブロック塀、自動販売機、古い建物)をチェック。

家族防災会議のやり方
#

年に1回、できれば防災の日(9月1日)に家族で防災会議を開くことをおすすめします。

議題の例:

  1. 備蓄品の期限チェックと入替え
  2. 安否確認方法の確認・練習
  3. 集合場所と避難ルートの再確認
  4. 家具固定の状況チェック
  5. 各自の防災バッグの中身確認

15〜30分程度で十分。子どもも参加させることで、防災意識が自然と身につきます。

筆者の家庭では、家族防災会議の後に災害用伝言ダイヤル171の体験利用を全員で行います。子どもが「171に電話して、家族の電話番号を押す」手順を覚えていると安心です。

地震発生時の行動マニュアル
#

揺れている間にやること
#

原則: その場で身を守る。移動しない。

  • テーブルの下に潜り、脚を持つ
  • テーブルがなければ、頭をクッションや手で守る
  • 窓ガラスから離れる
  • 慌てて外に飛び出さない(落下物の危険)
  • 火を使っていたら無理に消さなくていい(揺れが収まってから)

「地震だ!火を消せ!」は昔の常識。現在のガスコンロはマイコンメーターが搭載されており、震度5以上で自動的にガスが遮断されます。無理に火を消しに行ってやけどするリスクのほうが高い。

揺れが収まった直後の行動
#

  1. 自分と家族の安全を確認
  2. スリッパ or 靴を履く(ガラスの破片対策)
  3. ドアを開けて避難経路を確保
  4. ブレーカーを落とす(通電火災の防止)
  5. ガスの元栓を閉める
  6. テレビ・ラジオ・スマホで情報収集
  7. 自宅の被害状況を確認(目視)

通電火災は見落としがちですが非常に危険。停電が復旧した際、倒れたヒーターや損傷した配線に通電して火災が発生するケースがあります。避難する際は必ずブレーカーを落としてください。

避難の判断基準
#

すぐに避難すべき場合:

  • 建物の倒壊・傾きが見られる
  • 火災が発生している
  • 津波警報が出ている(沿岸部)
  • 土砂災害の危険がある(山間部)
  • 建物に大きなひび割れがある

在宅避難が可能な場合:

  • 建物に目立った被害がない
  • ライフライン停止に3日分以上の備えがある
  • 余震で倒壊する恐れがない

判断に迷ったら避難所に行く。「大丈夫かも」と自宅にとどまって余震で被害に遭うより、避難所で安全を確保するほうが賢明です。

よくある質問(FAQ)
#

Q. 地震保険は必要? A. 持ち家の方には強くおすすめします。地震による建物・家財の損害は火災保険では補償されません。ただし、地震保険の保険金額は火災保険の30〜50%の範囲内(上限は建物5,000万円、家財1,000万円)で設定され、全額はカバーされない点は理解しておいてください(財務省)。

Q. 防災アプリのおすすめは? A. 「Yahoo!防災速報」は緊急地震速報のプッシュ通知が早い。「NHKニュース・防災」は信頼性の高い情報が得られる。2つ入れておけば十分です。

Q. ペットの地震対策は? A. ペットフード5日分以上、リード、キャリーケースを準備。避難時は「同行避難」が原則ですが、避難所によってペット受入不可の場合もあるので、事前に確認を。普段からキャリーに慣れさせておくことも大切。

Q. 家具固定を業者に頼む場合の費用は? A. 1箇所あたり3,000〜10,000円程度。自治体によっては高齢者世帯向けに無料で家具固定サービスを提供しています。まずはお住まいの自治体の防災課に問い合わせてみてください。

Q. 古いマンションに住んでいるが、地震対策として何を優先すべき? A. まず家具の固定と非常用トイレの備蓄。次にポータブル電源と食料備蓄。建物の耐震性は管理組合に確認し、旧耐震基準で耐震補強未実施なら、個人としての備えを万全にしつつ、管理組合に耐震診断を提案することも検討してください。

この記事もおすすめ