メインコンテンツへスキップ
  1. TOP /
  2. 災害対策 /
  3. 地震対策 /
  4. 通電火災とは?原因・メカニズムと今日からできる5つの対策
地震対策

通電火災とは?原因・メカニズムと今日からできる5つの対策

更新 2026年4月10日

通電火災とは何か
#

「地震の後に火事が起きる」と聞くと、ガスの漏れやストーブの転倒を真っ先にイメージする方が多いと思います。でも実は、地震後の火災で最も多い原因は**「電気」**なんです。

通電火災とは、地震などで停電した後、電力が復旧した瞬間に起きる火災のこと。避難して誰もいない家で、突然火が出る。だから発見が遅れ、被害が大きくなりやすい。

防災士として講座を開くたびにこの話をするのですが、通電火災の存在を知っている方は毎回2割以下。知名度が低い割にリスクが大きいので、ぜひ知っておいてほしい火災です。

停電復旧時に火災が起きるメカニズム
#

通電火災が発生する典型的なパターンは3つあります。

パターン1:転倒した暖房器具への通電 地震で電気ストーブやハロゲンヒーターが倒れ、近くの布団やカーテンの上に倒れた状態になる。停電中は問題ないが、電力が復旧した瞬間に通電し、可燃物に着火する。

パターン2:損傷した電気配線のショート 地震の揺れで壁の中の電気配線が損傷。停電中は通電していないため何も起きないが、復旧時にショート(短絡)して発火する。

パターン3:水没した電気機器の漏電 津波や浸水で電気機器が水をかぶった状態で電力が復旧し、漏電から発火する。

過去の震災での通電火災の被害データ
#

阪神・淡路大震災(1995年)は通電火災の被害が最も大きかった災害です。

内閣府「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」資料によると、阪神・淡路大震災で本震により発生した火災139件のうち、原因が特定された建物火災の約6割が電気関係の出火でした。この中には停電復旧時の通電火災が多く含まれています。

東日本大震災(2011年)でも、消防庁の調査によると本震による地震火災のうち原因が特定されたものの過半数が電気に起因するものでした(電熱器・配線器具・電気機器など)。

通電火災は、大きな余震が続く中で停電と復旧が繰り返される場合や、無人の家屋で送電が復旧した場合に、特にリスクが高まると指摘されています。

通電火災が起きやすい状況
#

通電火災のリスクを正しく理解するために、具体的にどんな状況で起きるのかを整理します。

転倒した電気ストーブ・アイロン
#

最もイメージしやすい通電火災のパターンです。

電気ストーブ、ハロゲンヒーター、アイロン、ヘアアイロンなど、高温になる電気製品が地震で転倒し、布団・衣類・紙などの可燃物に接触した状態で通電すると、数分で発火に至ります。

東京消防庁やNITE(製品評価技術基盤機構)の再現実験では、作動中の電気ストーブに布団やタオルなどの可燃物が接触すると、条件によっては数十秒〜数分で発火するケースが示されています。

損傷した電気配線
#

目に見えない分、さらに厄介です。

壁の中を通る電気配線が地震の揺れで断裂・損傷すると、被覆が破れた電線同士が接触してショートし、火花が散ります。壁の内部で発火するため、発見が遅れやすい。

水没した電気機器
#

津波や洪水の浸水被害を受けた地域で問題になるパターンです。

水をかぶった電気機器や配線は、内部に水分が残った状態で通電すると漏電を起こし、発熱・発火する危険があります。浸水した家屋では、電力復旧前に電気設備の安全確認が不可欠です。

通電火災を防ぐ5つの対策
#

対策1:避難時にブレーカーを落とす
#

最もシンプルで確実な対策です。

地震で自宅から避難する際は、分電盤のメインブレーカーをOFFにしてから家を出る。これだけで通電火災のリスクをほぼゼロにできます。

ただし、実際の地震では混乱しているため、ブレーカーのことまで頭が回らないという声が多い。だからこそ、次の対策が重要になります。

対策2:感震ブレーカーの設置
#

感震ブレーカーは、設定以上の揺れ(一般的に震度5強相当)を感知すると自動的に電力を遮断する装置です。

人が何もしなくても自動で遮断してくれるため、避難時にブレーカーを落とし忘れても安心。内閣府・経済産業省・消防庁は連携して「木造住宅密集市街地における感震ブレーカー等の普及」を重点施策として推進しており、首都直下地震対策検討ワーキンググループでは木密地域での普及率25%以上を目標に掲げています。

費用は簡易タイプなら3,000〜20,000円程度、分電盤タイプは工事費込みで概ね50,000〜80,000円が相場です(内蔵型か後付型かで変動)。自治体の補助金制度もあり、品川区では分電盤タイプに上限8万円、石川県では費用の2分の1(分電盤タイプ上限3万円)など、実質負担を抑えられるケースが多いので、お住まいの自治体の制度を必ず確認してください。

私の自宅では分電盤タイプの感震ブレーカーを設置しています。設置したのは7年前ですが、幸いまだ作動したことはありません。でも「いざという時に自動で止まる」という安心感は、何物にも代えがたいものがあります。

対策3:電気ストーブの転倒防止
#

電気ストーブやハロゲンヒーターは、通電火災の直接的な原因になりやすい家電です。

  • 転倒時自動オフ機能がある製品を選ぶ(最近の製品はほぼ標準装備)
  • 使わない時は必ず電源プラグを抜く
  • 布団やカーテンの近くに設置しない
  • 古い電気ストーブ(転倒オフ機能がないもの)は買い替えを検討

消費者庁の事故データによると、電気ストーブによる火災は毎年のように報告されています。地震時に限らず、日常的にも注意が必要な家電です。

対策4:復旧時の安全確認手順
#

停電が復旧した際は、以下の手順で安全を確認してください。

  1. ブレーカーが上がっている場合は一度OFFにする
  2. すべての電気機器のプラグをコンセントから抜く
  3. 室内を目視で確認(転倒した家電、損傷した配線、異臭がないか)
  4. ブレーカーをONにする
  5. 1つずつプラグを差し直し、異常がないか確認
  6. 異臭や焦げ臭い匂いがしたら即座にブレーカーをOFFに

この手順を家族全員で共有しておくことが大事です。「電気が戻った!」と喜んですべての家電を一斉に使い始めるのは、通電火災のリスクそのものです。

対策5:消火器の備え
#

万が一通電火災が発生した場合に備え、住宅用消火器を1本は備えておきたいところです。

  • 住宅用消火器:約3,000〜5,000円。有効期限は5〜10年
  • エアゾール式簡易消火具:約1,000〜2,000円。手軽だが消火能力は限定的

消火器は玄関付近やキッチンなど、すぐ手に取れる場所に置いてください。奥の押入れにしまい込んでいては、いざという時に役に立ちません。

まとめ|通電火災対策チェックリスト
#

今すぐ確認すること

  • 電気ストーブに転倒時自動オフ機能があるか確認
  • 分電盤(ブレーカーボックス)の場所を家族全員が把握しているか
  • 消火器を備えているか(有効期限内か)

導入を検討すること

  • 感震ブレーカーの設置(まずは簡易タイプからでもOK)
  • お住まいの自治体の補助金制度の確認

地震発生時にやること

  • 避難する際はメインブレーカーをOFFにする
  • 感震ブレーカーがあっても動作確認する余裕があれば確認

停電復旧時にやること

  • 全プラグを抜いてからブレーカーを戻す
  • 1つずつプラグを差し直し、異常がないか確認
  • 異臭・焦げ臭さがあれば即ブレーカーOFF → 消防に連絡

通電火災は「知っていれば防げる」火災です。避難時にブレーカーを落とす、感震ブレーカーを付ける――たったこれだけの行動で、帰る家を失うリスクを大幅に減らせます。地震はいつ来るか分かりません。対策は今日やるのが、一番早い。

この記事もおすすめ