贈り物とコンプライアンス|受け取れない・贈れないときの対応
このページの要点
取引先への贈り物で注意すべきコンプライアンスを整理します。公務員、取引や契約の判断に関わる相手、入札前後、高額品、受け取れない場合の断り方を扱います。相手が気持ちよく受け取れる選び方もあわせて確認できます。
贈り物は感謝を伝える手段ですが、相手の立場や時期によっては、利益供与や不適切な便宜のように見えることがあります。特に公務員や、取引先の選定、発注、契約判断に関わる相手には慎重な確認が必要です。
贈る前の5確認と判断ルール
贈る前に、自社規程、相手先の受け取りルール、相手の職務、贈る時期、金額を確認します。少しでも判断に迷う場合は、個人で決めず、上司、総務、法務に相談します。
この記事は実務上の初期判断を整理したものです。具体的な法的判断が必要な場合は、社内の法務部門や専門家に確認してください。
注意が必要な相手
| 相手、場面 | 注意点 |
|---|---|
| 公務員 | 利害関係者からの金銭、物品の贈与や接待が規制される場合がある |
| 取引先の選定、発注に関わる相手 | 契約判断への影響を疑われやすい |
| 入札、選定の前後 | 候補先の比較中、契約先を決める時期は、判断への働きかけに見えやすい |
| 監査、検査、許認可に関わる相手 | 職務との関係で特に慎重な判断が必要 |
| 下請、委託先 | 立場を利用した負担要請に見えないよう注意する |
公務員や行政機関と関わる場合は、相手が受け取れるかどうかを必ず確認します。「少額だから問題ない」と自己判断しないことが重要です。
入札や取引先の選定では、複数社を同じ条件で比較して判断することが前提です。その時期に特定の相手へ贈り物をすると、実際には日頃のお礼であっても、「選んでもらうための働きかけ」や「判断後のお礼」のように見えるおそれがあります。契約先が決まる前後は贈答を避け、必要な挨拶はメールや正式な文書にとどめるのが無難です。
高額品、商品券、接待
高額品、商品券、現金、過度な接待は、相手の社内規程やコンプライアンス基準に触れやすいものです。取引先から見ると、受け取った担当者が社内で説明しにくい場合があります。
贈答の目的が「日頃のお礼」でも、契約直前や選定中であれば、相手の判断に影響を与えるように見えることがあります。時期にも注意します。
受け取れないときの断り方
自社規程で受け取れない場合は、相手の厚意を否定せず、会社方針として伝えます。
お心遣いをいただき、誠にありがとうございます。
弊社規程により、贈答品の受領を控えることとなっております。
お気持ちだけありがたく頂戴いたします。
個人の判断ではなく、会社としてのルールであることを伝えると角が立ちにくくなります。
受け取ってしまった場合
受け取った後に高額品や規程上問題のある品だと気づいた場合は、個人で保管、消費せず、上司や総務に報告します。返送、共有、寄付、記録など、会社のルールに従います。
記録には、受領日、相手先、品物、概算金額、対応方法を残します。
贈る前の確認フロー
- 贈る目的を説明できるか
- 契約、選定、入札の直前ではないか
- 相手が公務員や、取引先の選定、発注に関わる立場ではないか
- 金額が社内規程の範囲内か
- 現金、商品券、高額品ではないか
- 相手先に受け取り禁止ルールがないか
- 上司、総務、法務に確認が必要な案件ではないか
どれか一つでも不安があれば、贈る前に確認します。
受け取れないと言われたときの返信例
相手から「弊社規程により受け取れません」と断られた場合は、気分を害さず潔く引き取ります。
ご丁寧にご連絡いただきありがとうございます。
失礼いたしました。品物は返送させていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
断られた後に「少額なので」「気持ちだけですので」と繰り返すと、相手の負担が増えます。一度断られたら、それ以上すすめないことがマナーです。
社内規程に引っかかりそうなときの確認メール例
贈る前に、相手先の受領可否を確認したい場合の文例です。
件名:〇〇についてご確認のお願い
〇〇様
いつもお世話になっております。〇〇株式会社の△△です。
先日のお礼として、心ばかりの品をお送りしたいと思っておりますが、
貴社のご規程上、問題がないかご確認いただけますでしょうか。
問題がある場合は、お気持ちだけいただきましたことにし、
品物は送付しないようにいたします。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
相手の立場別の注意ポイント
| 相手の立場 | 注意すること |
|---|---|
| 公務員 | 原則として贈答禁止。少額でも問題になる場合がある |
| 医療、教育関係 | 職場のルールが厳しい場合が多い。事前確認が必要 |
| 購買、発注担当 | 選定、入札前後は特に慎重に。不正競争防止法が関係する場合がある |
| 下請、受託先 | 立場の非対称性から問題になりやすい。優越的地位の濫用にならないか確認 |
| 海外取引先 | 贈賄防止法(FCPA・UK Bribery Act等)が適用される場合がある |
個別の法的判断が必要な案件は、法務、コンプライアンス部門に確認してください。
NG/OK 早見表
贈答コンプライアンスで避けたい対応
| 場面 | NG | OK |
|---|---|---|
| 公務員 | 「少額なので大丈夫」と渡す | 受け取り可否を事前に確認する |
| 契約直前 | 商談成立前に高額品を贈る | 契約判断に影響しない時期、方法を選ぶ |
| 選定、発注に関わる相手 | 個人宛に商品券を渡す | 会社規程に沿った正式な対応にする |
| 受領不可 | 「せっかくなので」と受け取る | 会社方針として丁寧に断る |
| 受領後 | 個人で持ち帰る | 上司、総務へ報告して記録する |
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- 自社規程と相手先ルールを確認する
- 契約、選定、入札の時期に重なっていない
- 公務員や、取引先の選定、発注に関わる相手への贈答ではないか確認する
- 高額品、現金、商品券を避ける
- 判断に迷う場合は上司、総務、法務に相談する
- 受け取れない場合の断り方を準備する