大地震が起きた直後、真っ先にすることは何ですか? 多くの人は「家族に電話する」と答えます。
でも、その電話はまず繋がりません。
東日本大震災の直後、大手携帯キャリア各社は音声通話の大規模な規制を実施しました(報道ベースでNTTドコモ最大約90%、KDDI最大約95%、ソフトバンク最大約70%)。10回かけて1回繋がるかどうか、という状況です。
そんなときに使えるのが「災害用伝言ダイヤル171」です。NTTドコモモバイル社会研究所の2021年の調査では、災害用伝言ダイヤルの認知率は62.4%にとどまり、年代・地域によって大きな差があることが分かっています。「名前は知っているが使い方は分からない」という方も多いはずです。
使い方は簡単。3分で覚えられます。
災害伝言ダイヤル171とは#
どんなときに使えるようになるか#
災害用伝言ダイヤル171は、NTT東日本・NTT西日本が提供する災害時専用の伝言サービスです。
利用可能になる条件:
- 震度6弱以上の地震が発生したとき
- 震度5強以下の地震やその他の災害でも、通信状況を勘案してNTT東日本・NTT西日本が提供を判断した場合
通常時は利用できません(体験利用日を除く)。災害が発生すると、NTT東日本・NTT西日本が運用を開始し、テレビ・ラジオ・公式ホームページ等で告知されます。
加入電話、ISDN、公衆電話、ひかり電話(電話サービス)、携帯電話、IP電話などから利用できます。NTT東日本・NTT西日本の電話サービスから録音・再生する場合の通話料は無料です(公衆電話の場合は硬貨・テレホンカード不要)。
基本仕様(NTT公式):
- 1伝言あたり30秒以内
- 1電話番号あたり1〜20伝言(被災規模等により変動)
- 伝言保存期間は運用終了まで(通常、録音から48時間で運用終了)
web171(災害用伝言板)との違い#
171に似たサービスとして「web171(災害用伝言板)」があります。
| 災害用伝言ダイヤル171 | web171 | |
|---|---|---|
| 利用方法 | 電話で音声を録音・再生 | ブラウザでテキストを入力・閲覧 |
| 利用端末 | 固定電話・携帯・公衆電話 | PC・スマホ・タブレット |
| メッセージ形式 | 音声(1伝言30秒以内) | テキスト(1伝言100字以下) |
| 伝言蓄積数 | 1〜20件/電話番号 | 最大20件/電話番号 |
| 保存期間 | 運用終了まで(通常48時間) | 最大6か月 |
| URL | — | https://www.web171.jp |
両方使えるようにしておくのがベストです。電話が繋がりにくくても、データ通信は比較的繋がりやすいため、web171の方が使えるケースもあります。また171とweb171は相互に伝言を連携できる仕組みがあり、電話で録音した伝言をwebで確認したり、その逆も可能です(運用条件により異なる場合あり)。
なお、各携帯キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)も独自の災害用伝言板サービスを提供しています。171 + web171 + 各キャリアの伝言板、複数の手段を把握しておくと安心です。
171の使い方(録音・再生の手順)#
録音する手順(171→1→電話番号→メッセージ)#
伝言を残す手順はたった4ステップです。
ステップ1: 171にダイヤルする
ステップ2: ガイダンスが流れたら 「1」を押す(録音)
ステップ3: 自分の電話番号(自宅の固定電話番号など、家族が知っている番号) をダイヤルする
ステップ4: ピーッという音の後に、30秒以内でメッセージを録音する
これだけです。電話番号は「キーとなる番号」として機能します。家族が同じ番号を指定して再生すれば、録音した伝言を聞くことができます。
録音するメッセージの例: 「○○です。△△(場所)にいます。ケガはありません。しばらくここにいます。」
短く、必要な情報だけを伝えましょう。場所、安否、今後の行動予定——この3点を入れてください。
再生する手順(171→2→電話番号)#
伝言を聞く手順は3ステップ。
ステップ1: 171にダイヤルする
ステップ2: ガイダンスが流れたら 「2」を押す(再生)
ステップ3: 伝言を確認したい人の電話番号 をダイヤルする
登録されている伝言が新しい順に再生されます。
暗証番号付きメッセージの使い方#
家族だけに伝言を聞いてほしい場合は、暗証番号を設定できます。
録音時: 171 → 3 → 暗証番号(4桁)→ 電話番号 → メッセージ録音
再生時: 171 → 4 → 暗証番号(4桁)→ 電話番号
暗証番号は家族間で事前に決めておく必要があります。誕生日など推測されやすい番号は避け、家族だけが知る4桁の番号を設定してください。
事前に家族で決めておくこと#
どの電話番号を「キー」にするか#
171は「電話番号をキーにして伝言を管理する」仕組みです。家族全員が同じ電話番号に対して伝言を録音・再生することで、安否確認が成立します。
おすすめのキー番号:自宅の固定電話番号
理由は、家族全員が確実に覚えている番号だから。携帯電話の番号は家族でも覚えていないことがありますが、実家の電話番号なら覚えている方が多い。
固定電話がない家庭は、家族の中で最も変わりにくい携帯番号(親の番号など)をキーにしてください。
重要: キー番号は家族全員が暗記していること。スマホが使えない状況では、電話帳を見ることができません。紙に書いて財布に入れておくのも有効です。
メッセージに入れるべき内容#
30秒は短いようで、必要な情報を伝えるには十分です。以下の3点を必ず入れてください。
- 名前 — 「○○です」
- 場所と安否 — 「△△にいます。ケガはありません」
- 今後の予定 — 「□□に向かいます」または「ここにとどまります」
不要な情報は省く。「大丈夫だから心配しないで」「怖かった」などの感情的な内容は、30秒を圧迫します。端的に、事実だけを伝えてください。
体験利用日の活用#
毎月1日・15日は体験利用可能#
災害伝言ダイヤル171は、以下の日に体験利用ができます。
- 毎月1日 00:00 〜 24:00
- 毎月15日 00:00 〜 24:00
この日は災害が発生していなくても、実際に171にダイヤルして録音・再生を体験できます。
強くおすすめしたいのが、家族全員で体験利用すること。「来月の1日に171を使ってみよう」と約束して、実際にやってみてください。
一度でも体験しておけば、本番での操作に迷いがなくなります。初めて使うのが本当の災害時では、パニック状態で操作を間違えるリスクがあります。
防災の日(9/1)等の特別体験期間#
毎月1日と15日以外にも、以下の期間に体験利用ができます(NTT東日本・西日本公式)。
- 正月三が日:1月1日 00:00 〜 1月3日 24:00
- 防災週間:8月30日 9:00 〜 9月5日 17:00
- 防災とボランティア週間:1月15日 9:00 〜 1月21日 17:00
特に防災の日(9月1日)前後は、メディアでも171の話題が取り上げられるので、家族で体験する良いきっかけになります。
まとめ|171活用チェックリスト#
災害伝言ダイヤル171は、災害時の家族の安否確認に最も確実な手段の一つです。使い方はシンプル。一度覚えれば忘れません。
覚える数字:
- 録音:171 → 1 → 電話番号
- 再生:171 → 2 → 電話番号
家族で決めておくこと:
- キーとなる電話番号を1つ決める
- 暗証番号(4桁)を決める
- メッセージに入れる内容のテンプレートを決める
- キー番号を全員が暗記(紙にも書いて財布に入れる)
体験利用で練習する:
- 次の1日または15日に家族で171を体験
- 録音と再生の両方を全員が実施
- web171も併せて体験
「171(いない)」という語呂合わせで覚えやすい。毎月1日は体験利用ができるので、家族全員で手順を確認しておきたい。



