「台風で風速○○メートルと言われても、どのくらい危険なのかピンと来ない」
台風のニュースで「最大風速30メートル」「最大瞬間風速50メートル」といった数字を耳にしても、それが自分の生活にどう影響するのか、具体的にイメージできる方は少ないのではないでしょうか。
実は、風速15m/sを超えると傘が役に立たなくなり、20m/sを超えると看板が飛散し始め、30m/s以上になると人が立っていられなくなります。
台風の風速の分類と基準#
強風・暴風・猛烈な風の定義#
気象庁は風の強さを、風速に応じて段階的に分類しています。
| 分類 | 平均風速 | 瞬間風速の目安 |
|---|---|---|
| やや強い風 | 10〜15m/s | 20m/s前後 |
| 強い風 | 15〜20m/s | 30m/s前後 |
| 非常に強い風 | 20〜30m/s | 40m/s前後 |
| 猛烈な風 | 30m/s以上 | 50m/s以上 |
「最大風速」と「最大瞬間風速」の違い:
- 最大風速:10分間の平均風速の最大値
- 最大瞬間風速:瞬間的に吹く風の最大値(最大風速の1.5〜2倍になることもある)
ニュースで「最大風速25m/s」と報道されていても、瞬間的には40m/s近い風が吹く可能性があります。
気象庁の台風強度区分#
気象庁は台風自体の強さも段階的に分類しています。
| 強度 | 最大風速 |
|---|---|
| 台風(表現なし) | 17.2m/s以上〜33m/s未満 |
| 強い台風 | 33m/s以上〜44m/s未満 |
| 非常に強い台風 | 44m/s以上〜54m/s未満 |
| 猛烈な台風 | 54m/s以上 |
「猛烈な台風」は、建物が倒壊するレベルの風を伴います。日本に上陸する台風の多くは「強い台風」〜「非常に強い台風」の範囲ですが、近年は気候変動の影響で、上陸時の勢力が衰えにくくなっている傾向が指摘されています。
風速ごとに起きる被害の目安#
10〜15m/s:傘が差しにくくなる・高所作業危険#
生活への影響:
- 傘が差しにくくなる(強い風になると差せなくなる)
- 自転車の運転が困難になる
- 高所での作業は危険(建設現場は中止基準に該当)
建物・インフラへの影響:
- 取り付けが甘い看板がガタつく
- 洗濯物が飛ばされる
- 屋根の緩んだ瓦がずれる
この段階では、屋外にある飛ばされやすいものを室内に取り込む「事前対策」が必要です。
20〜25m/s:外出困難・屋根瓦飛散・立木倒壊#
生活への影響:
- 風に向かって歩くのが困難
- 子どもや高齢者は転倒のリスクが高い
- 車のドアが風に持っていかれる
建物・インフラへの影響:
- 屋根瓦やトタンが飛ばされる
- 看板の落下・飛散が発生
- 街路樹の枝折れ・倒木が始まる
- 電柱の傾斜、停電が発生しやすくなる
この段階で外出は極力控えるべきです。なお、気象庁の暴風警報の発表基準は地域によって異なりますが、多くの地域で平均風速おおむね20〜25m/s前後に設定されており、20m/s台の風が予想される段階で発表されます。
30m/s以上:外出厳禁・走行中の車が横転#
生活への影響:
- 人が立っていられない、吹き飛ばされる危険
- 車の運転は極めて危険(横転リスク)
- 飛来物による負傷リスクが非常に高い
建物・インフラへの影響:
- 木造住宅の屋根が飛ぶ
- ビルの窓ガラスが割れる
- 電柱の倒壊、広範囲の停電
- 鉄道・高速道路・航空便がすべて運休
風速30m/sは、2019年の台風15号が千葉県に上陸した際に記録された風速帯です。この台風では、千葉県内で約2,000本の電柱が損壊し、最大約93万戸が停電。復旧に約2週間を要しました。
自分の地域の風速予測の確認方法#
気象庁・各種サービスでの確認#
台風接近時に風速予測を確認する方法はいくつかあります。
気象庁の台風情報:
- 台風の進路予測と暴風域(風速25m/s以上の範囲)が地図上に表示される
- 「台風に関する気象情報」で地域別の風速予測が発表される
Windy(ウィンディ):
- 世界中の風の動きをアニメーションで表示
- ピンポイントで風速予測を確認できる
- 無料で利用可能
各天気予報アプリ:
- tenki.jp、Yahoo!天気、ウェザーニュースなどで台風情報を確認
確認のタイミング: 台風が発生した時点から進路予測を確認し、自分の地域に接近する可能性がある場合は、72時間前(3日前)から準備を開始するのが理想です。
台風前後にやるべき風対策#
屋外の物の収納・窓の補強#
台風が接近する前に済ませるべき対策をまとめます。
屋外の対策:
- 植木鉢・プランターを室内に取り込む
- 物干し竿を降ろして固定する
- 自転車を倒しておく、または屋内に入れる
- ゴミ箱・バケツなど軽いものを室内に移動
- カーポートやテントの補強・撤去
窓の対策:
- 雨戸がある場合は必ず閉める
- 雨戸がない場合は、養生テープを窓ガラスの内側に貼る(飛散防止)
- カーテンを閉めておく(ガラスが割れた際の飛散を軽減)
車の対策:
- 可能であれば屋根のある駐車場に移動
- 飛来物が少ない場所に駐車
- カーポートの下は逆に危険(カーポート自体が壊れるリスク)
植木鉢・自転車など飛びやすいものへの対処#
風速25m/s以上の暴風域に入ると、屋外に放置された物体が凶器になります。
風で飛ばされやすいものリスト:
| 飛ばされやすさ | 物体 | 対策 |
|---|---|---|
| 非常に高い | 洗濯ハンガー、レジ袋、ゴミ袋 | 必ず室内へ |
| 高い | 植木鉢、バケツ、ゴミ箱 | 室内に移動 |
| やや高い | 自転車、台車、看板 | 倒す or 固定 |
| 中程度 | 物干し竿、すだれ | 降ろして固定 |
「自分の家の物が飛んで他人の家を壊す」というケースは、実際の台風被害で非常に多い。自分の命を守るだけでなく、周囲への配慮としても事前対策は不可欠です。
まとめ|台風風速別 行動チェックリスト#
| 風速 | 状況 | やるべきこと |
|---|---|---|
| 10〜15m/s | やや強い風 | 屋外の飛散物を片付ける |
| 15〜20m/s | 強い風 | 不要な外出を控える |
| 20〜25m/s | 非常に強い風 | 外出禁止。窓を閉め雨戸を閉める |
| 25〜30m/s | 非常に強い風(暴風警報域) | 窓から離れる。避難が必要なら早めに |
| 30m/s以上 | 猛烈な風 | 建物内の安全な場所で待機 |
台風前の準備チェックリスト:
- 屋外の飛散物をすべて室内に取り込む
- 雨戸を閉める(ない場合は養生テープで飛散防止)
- 停電に備えてポータブル電源・懐中電灯を準備
- スマホの充電を満タンにする
- 断水に備えて浴槽に水を貯める
台風の風による被害は、事前対策で大幅に軽減できます。「この程度の台風なら大丈夫だろう」という油断が、最も大きな被害を招きます。気象庁の台風情報を確認し、風速の予測に基づいて早めに対策を講じてください。



