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暮らし・家族の防災

帰宅困難者にならないために|職場・外出先での地震対策と徒歩帰宅の備え

更新 2026年4月10日

首都直下地震が起きたとき、あなたが自宅にいる確率はどれくらいだと思いますか?

2025年12月に更新された政府の最新想定では、平日昼間に首都直下地震が発生した場合、5都県で約840万人が帰宅困難者になると想定されています。840万人。東京都の人口の約60%に相当する規模です。

2011年の東日本大震災でも、首都圏で約515万人が帰宅困難者になりました。あの日、徒歩で何時間もかけて帰宅した経験がある方も多いのではないでしょうか。

私も当時、都心のオフィスから自宅まで約15kmを4時間かけて歩いて帰りました。その経験から防災士の資格を取得し、今は帰宅困難者対策の講演も行っています。あの日の教訓を、この記事に詰め込みました。

帰宅困難者とは?想定される規模
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首都直下地震で帰宅困難者は5都県で約840万人
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帰宅困難者とは、災害により交通機関が停止し、自宅に帰れなくなった人のことです。

2025年12月、中央防災会議が12年ぶりに更新した「首都直下地震の被害想定」では、以下の想定が示されています。

  • 帰宅困難者:約840万人(茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川の5都県合計)
  • うち東京都内:約453万人(東京都独自想定、2022年)
  • 行き場のない帰宅困難者:約85万人(うち配慮が必要な高齢者等 約38万人)
  • 徒歩帰宅者が殺到し、道路が麻痺
  • 余震による落下物で、帰宅途中に死傷する危険

この数字が示すのは、「頑張って歩いて帰る」ことが必ずしも正解ではないということです。

「むやみに移動を開始しない」原則
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東京都は「帰宅困難者対策条例」(2013年施行)で、**「むやみに移動を開始しない」**ことを基本原則としています。

一斉に徒歩帰宅を始めると、道路が人で溢れて救急車や消防車が通れなくなります。実際に東日本大震災の夜、都心の幹線道路は歩行者で埋まり、緊急車両の通行に支障が出ました。

企業には従業員を施設内に留まらせる「一斉帰宅抑制」の努力義務が課されています。発災後3日間は職場や学校にとどまることが、自分と救助活動の両方を守ることにつながります。

職場・学校での備え
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職場に置いておくべきグッズ
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職場に3日分の備蓄を置いておくことを推奨します。東京都の条例でも、企業に3日分の備蓄を求めています。

デスクに常備するもの:

  • スニーカー — ヒールやビジネスシューズでは長距離歩行は無理。ガラス片が散乱した道路は底の薄い靴では危険
  • モバイルバッテリー — 職場のコンセントが使えなくなる想定で
  • 防災ポーチ — 通勤カバンに入れて毎日持ち歩く

ロッカーに備蓄するもの:

  • 飲料水:500ml × 6本(3日分)
  • 食料:カロリーメイト等 × 9食分
  • 簡易トイレ × 15回分
  • 薄手のブランケットまたはアルミブランケット
  • 歯ブラシ、ウェットティッシュ
  • 常備薬 3日分
  • 着替え(Tシャツ、下着)

会社によっては防災備蓄倉庫がありますが、全員分あるとは限りません。自分の分は自分で確保しておくのが確実です。

一斉帰宅抑制の考え方
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「早く家族の安否を確認したい」——その気持ちは痛いほど分かります。しかし、発災直後の混乱の中で徒歩帰宅を始めることは、自分も周囲も危険にさらす行為です。

東京都の条例が求める行動は以下の通り。

  1. 発災後3日間は職場にとどまる(安全が確認できるまで)
  2. 家族との安否確認は通信手段で行う(災害伝言ダイヤル171、LINE等)
  3. 帰宅は交通機関の復旧を待ってから

企業側も、従業員が3日間滞在できるだけの備蓄(水・食料・毛布等)を確保する努力義務があります(東京都帰宅困難者対策条例)。もし勤務先にそうした備蓄がない場合は、総務部門に確認してみてください。

徒歩帰宅を余儀なくされたときの備え
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帰宅支援ステーション(コンビニ・ガソリンスタンド)の活用
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それでも徒歩帰宅が必要になった場合に頼りになるのが「帰宅支援ステーション」です。

東京都をはじめとする首都圏の自治体は、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファミリーレストランなどと協定を結び、災害時に以下のサービスを提供する「帰宅支援ステーション」として指定しています。

  • 水道水の提供
  • トイレの使用
  • テレビやラジオによる災害情報の提供
  • 道路情報の提供

コンビニの店頭に「災害時帰宅支援ステーション」のステッカーが貼られている店舗が対象です。通勤ルート上にどの店舗があるか、事前に確認しておくと安心です。

徒歩帰宅ルートの事前確認
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徒歩帰宅を想定している方は、一度実際に歩いてみることを強くおすすめします。

私は年に1回、職場から自宅まで歩く「帰宅訓練」を行っています。実際に歩いてみないとわからないことが多いんです。

  • 通勤で使う電車のルートと徒歩ルートは違う
  • 橋が通行止めになったときの迂回路
  • 途中にあるトイレ・給水ポイント
  • 所要時間の目安(時速4kmで計算)

国土交通省と東京都は「防災マップ」アプリを提供しており、帰宅支援ステーションの場所や一時滞在施設の情報が確認できます。通勤経路のルートを事前にチェックしておきましょう。

防災ポーチの携帯
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徒歩帰宅時に最も頼りになるのが、毎日持ち歩いている防災ポーチです。

帰宅困難者にとっての必須アイテムは以下の通り。

  • 歩きやすい靴 — 女性はヒールからスニーカーに履き替える。職場にスニーカーを置いておく
  • モバイルバッテリー — 地図アプリ、安否確認、災害情報に使うスマホの電源
  • 飲料水 — 最低500ml。自販機が動いていれば追加購入
  • 携帯トイレ — 徒歩帰宅は数時間。途中でトイレに行きたくなる
  • ヘッドライト — 夜間の停電下で歩く場合に必須
  • 現金 — 停電でキャッシュレス決済が使えない

家族との連絡手段の確認
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災害伝言ダイヤル・SNSの活用
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帰宅困難者が最も不安に感じるのは「家族の安否」です。

東日本大震災のとき、私が最もつらかったのは家族と連絡が取れない数時間でした。電話は全く繋がらず、メールも数時間遅延。あの不安は経験した人にしかわかりません。

連絡手段は複数持つことが鉄則です。

  1. 災害伝言ダイヤル171 — 固定電話・携帯電話から利用可能
  2. 災害用伝言板(web171) — ネット経由で安否登録・確認
  3. LINE — テキストメッセージはデータ通信なので、音声通話より繋がりやすい
  4. Twitter/X — 災害情報の収集にも使える
  5. Googleパーソンファインダー — 大規模災害時に開設される安否確認サービス

集合場所の事前決定
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通信が完全に途絶した場合に備えて、家族との集合場所を事前に決めておいてください。

  • 第1集合場所:自宅の最寄り避難所
  • 第2集合場所:子どもの学校(引き取りルール確認済み)
  • 集合のタイミング:発災から24時間以内に集合できなければ、毎日正午に集合場所で待つ

こうしたルールを家族で決めていないと、お互いを探し回る「すれ違い」が起きます。東日本大震災でも、家族が別々の避難所にいて再会に何日もかかったケースが多数報告されています。

まとめ|帰宅困難者対策チェックリスト
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帰宅困難者対策のポイントは2つ。**「むやみに帰宅しない準備」と「帰宅せざるを得ないときの備え」**です。

職場での備え:

  • スニーカーを職場に置く
  • 3日分の水・食料・簡易トイレを備蓄
  • モバイルバッテリーを常に充電しておく
  • 会社の防災備蓄の内容を確認

毎日の備え:

  • 防災ポーチを通勤カバンに入れる
  • スマホの充電を80%以上に保つ習慣

家族との取り決め:

  • 災害伝言ダイヤル171の使い方を家族全員で練習
  • 集合場所を2か所以上決める
  • 徒歩帰宅ルートを一度歩いてみる

次の休日に、職場から自宅まで歩いてみてください。実際に歩くと、地図では見えない「坂道の多さ」や「橋の場所」が体感できます。それだけで、いざという時の不安がかなり軽くなります。

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