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暮らし・家族の防災

分譲マンションの防災対策|地震・断水・停電の三重苦への備え方

更新 2026年4月18日

この記事は分譲マンション特化です。 賃貸アパート(木造・軽量鉄骨)の弱点カバーは 賃貸アパートの防災対策、収納スペース活用術は マンション備蓄の収納アイデア を参照してください。

分譲マンション特有の災害リスクを理解する
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8階建てマンションの7階に住んでいた私が、実際に震度5強の揺れを経験したときの話をします。

揺れ自体は1分もなかったはずなのに、体感では5分以上に感じました。最も衝撃的だったのは、同じマンションの1階に住んでいた知人と話したとき。「そんなに揺れた?」と驚かれたんです。同じ建物なのに体感がまったく違う。これが分譲マンション防災を考えるうえでの出発点です。

分譲マンションは「耐震性が高い」と思われがちですが、実際は「倒壊しにくい」と「安全に暮らせる」はまったく別の話です。2022年東京都被害想定では、RC造マンションの倒壊棟数は少ないものの、高層階の家具転倒・断水・エレベーター停止による「在宅被災」が長期化するリスクが明示されています。

高層階ほど揺れが大きい「長周期地震動」
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分譲マンションの高層階では、地表に比べて揺れが2〜3倍に増幅されることがあります。特に「長周期地震動」と呼ばれる、ゆっくりとした大きな揺れはタワーマンションや高層マンションに深刻な影響を与えます。

気象庁は2023年2月から、長周期地震動階級3以上を予測した場合に緊急地震速報(警報)を発表する運用を開始しました。階級4(最大)になると、家具の大半が移動し、一部は転倒します。固定していない家具は凶器に変わります。

国土交通省のデータによると、2011年東日本大震災では、東京都心部の高層ビルで長周期地震動により家具が部屋を横断する被害が報告されています。震源から数百キロ離れていてもこの状態です。南海トラフ巨大地震が発生した場合、大阪・名古屋・東京の超高層ビルで同様の被害が広範囲に及ぶと想定されています。

エレベーター停止・断水・停電の三重苦
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分譲マンション住まいにとって、地震後に待ち受ける最大の試練はエレベーター停止・断水・停電の三重苦です。これは賃貸アパートにはない、マンション特有の複合リスクです。

エレベーター停止 地震の揺れを検知すると、安全装置が作動してエレベーターは自動停止します。復旧にはメンテナンス会社の点検が必要で、大規模地震では数日〜数週間かかることも。10階以上に住んでいる場合、階段での生活が続くことになります。

断水 分譲マンションの水道は、ポンプで屋上の受水槽に水を汲み上げて各戸に供給する仕組みが一般的です。停電でポンプが止まれば、受水槽の水がなくなった時点で断水。直結増圧給水方式のマンションでは、停電と同時に即断水です。受水槽方式でも、ポンプを動かす電気がなければ数時間で水が尽きます。

停電 オール電化マンションの場合、停電は致命的です。IHクッキングヒーター、エコキュート、床暖房――電気なしでは調理も入浴もできません。自家発電設備のある大規模マンションでも、共用部の照明・エレベーター維持が優先され、各戸への電力供給は期待できません。


分譲マンションで在宅避難を選ぶ根拠
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2024年12月改定の内閣府「避難情報に関するガイドライン」は、マンション居住者に対して在宅避難の検討を積極的に推奨しています。その根拠は次のとおりです。

  • 1981年6月以降の新耐震基準(さらに2000年基準)に適合したRC造マンションは、震度6強〜7でも倒壊の可能性が極めて低い
  • 高層階は揺れが大きいが、建物自体の倒壊リスクは木造戸建てより低い
  • 避難所は床に雑魚寝・プライバシーなし・感染症リスクがあり、マンション居住者にとって快適性が著しく低下する

ただし在宅避難が成立する条件があります。

確認事項確認方法
建物の構造的損傷がないか地震後に管理会社または管理組合が応急危険度判定
排水管が破損していないか管理組合からのアナウンスを待つ(破損時はトイレ不可)
室内の家具転倒がなく生活できるか自己判断

排水管が破損している場合、トイレを流すと階下に汚水が流れる危険があります。管理組合からの「排水管使用可」の確認が出るまで、非常用トイレ(凝固剤タイプ)を使うのが鉄則です。


地震対策(室内編):分譲マンションの壁事情を踏まえた固定術
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壁がコンクリート・共用壁は穴あけ不可
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分譲マンションの壁には2種類あります。コンクリートの**構造壁(共用部分)と、石膏ボードなどの間仕切り壁(専有部分)**です。構造壁へのアンカー打ちは管理規約で禁止されているケースがほとんどです。

穴を開けずに家具を固定する方法

方法効果適した家具
突っ張り棒式ポール本棚・食器棚・タンス
耐震ジェルマットテレビ・電子レンジ
L字金具(粘着式)中型の棚・キャビネット
転倒防止ベルト冷蔵庫・大型家具

最も効果が高いのは突っ張り棒式ポールと耐震ジェルマットの併用です。東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」は、突っ張り棒単独では震度6強への効果が限定的と指摘しています。天井強度のある場所(直上に梁がある位置)に正しく設置することが前提です。

間仕切り壁(石膏ボード)にはアンカー不可ですが、下地(スタッド)を探してネジを打てば固定力が高まります。管理規約で補修を求められる場合があるため、管理組合への事前確認を推奨します。

詳しい固定方法は「賃貸でも安心!穴を開けない家具固定の方法」で解説しています。

ガラス飛散防止と避難経路の確保
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マンションは窓ガラスが多い。リビングの大きな窓、ベランダへの掃き出し窓。地震で割れたガラスが飛び散ると、素足での移動が危険になります。

対策

  • 飛散防止フィルムを窓ガラスに貼る
  • 食器棚にはガラス飛散防止シートを貼るか、扉をロックするストッパーを取り付ける
  • 寝室からの避難経路にスリッパを常備する
  • 廊下にガラスが飛散しそうな物を置かない

特に寝室の窓は最優先で対策してください。就寝中に被災した場合、暗闇の中でガラスの破片の上を歩くことになりかねません。


断水対策:分譲マンションのトイレ問題を先に解決する
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断水時のトイレが最優先課題
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分譲マンション在宅避難で最初に行き詰まるのがトイレ問題です。排水管の破損有無が確認できるまでの数時間〜数日、水洗トイレは使えません。

非常用トイレの備蓄量

  • 1人1日5回 × 7日分 = 35回分
  • 4人家族で140回分(凝固剤タイプの防臭袋セット)

非常用トイレは「凝固剤 + 防臭袋 + 汚物入れ袋」のセットが使いやすい。既存の便器に袋をかぶせて使うタイプが、処理のしやすさと衛生面で優れています。

受水槽・ポンプの仕組みと断水パターン
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お住まいの分譲マンションがどの給水方式かで、断水のリスクが変わります。

給水方式停電時の影響備蓄の緊急度
受水槽+高架水槽方式高架水槽の水がある間は給水可能(数時間)やや猶予あり
受水槽+加圧ポンプ方式ポンプ停止で断水高い
直結増圧方式停電で即断水最も高い

管理組合に問い合わせるか、重要事項説明書で確認しておきましょう。

飲料水・生活用水の備蓄
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マンション住まいの場合、断水からの復旧は戸建てより時間がかかります。受水槽・ポンプ・配管の修理・点検が必要なためです。

飲料水の備蓄目安

  • 1人1日3リットル × 7日分 = 21リットル(2Lペットボトル約11本)
  • 4人家族で7日分 = 84リットル(2Lペットボトル42本)

生活用水の確保

  • 浴槽に水を常時張っておく(トイレ用・体拭き用)
  • 折りたたみ式ポリタンク(10L)を2〜3個用意する
  • 給水所から運ぶための台車やキャリーカートを準備する

高層階住まいの方は、給水所から階段で水を運ぶことになります。20Lのポリタンクを10階まで運ぶ大変さは、防災訓練で実体験済みです。10Lサイズを2個にして小分けにするか、リュック型のウォーターバッグを使うのが現実的です。

収納スペースの問題は「マンションの防災備蓄、どこに置く?」で詳しく紹介しています。


停電対策:オール電化マンションは特に念入りに
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オール電化マンションのリスクと対策
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オール電化マンションは、停電で生活のすべてが止まります。IHクッキングヒーター、エコキュート、床暖房――電気なしでは調理も入浴もできません。

最低限の停電対策

  • カセットコンロ + ガスボンベ6本(調理手段の確保。換気に注意し窓側で使う)
  • LEDランタン2〜3個(リビング・寝室・トイレ用)
  • 大容量モバイルバッテリー(スマホ・タブレット充電用)
  • ポータブル電源(予算に余裕があれば。扇風機・電気毛布・医療機器を動かせる)

自家発電設備付きの大規模分譲マンションでも、共用部の電力維持が優先されます。各住戸への電力は期待せず、自衛手段を準備してください。

エレベーター停止後の階段生活への備え
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エレベーターが停止すると、高層階の住人は階段での上り下りを余儀なくされます。

推奨対策

  • 買い物はまとめ買いして階段の往復を減らす
  • 折りたたみ台車を玄関に常備する
  • 水や重い物は事前に多めに備蓄しておく
  • 1階のエントランスや集会室を共有スペースとして活用する(管理組合で事前に取り決め)

高齢者や体が不自由な方がいるご家庭は、低層階への一時的な移動も選択肢に入れておきましょう。管理組合として低層階住戸を一時提供できる取り決めをしているマンションも増えています。


管理組合が主導する防災体制の整備
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マンション防災の最大の強みは「共助」です。同じ建物に何十世帯、何百世帯が住んでいる。この集団の力を活かさない手はありません。分譲マンションは賃貸と違い、管理組合という自治組織が実質的なルール策定権を持つ点が強みです。

防災マニュアルの策定
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国土交通省「マンション管理標準指針」では、管理組合がコミュニティ形成や防災対策に取り組むことの重要性を示しており、防災マニュアルの策定は管理組合の自主的な取り組みとして推奨されています。

防災マニュアルに盛り込むべき事項

  • 災害時の避難経路と集合場所
  • 安否確認の方法(ドアに貼るカード方式など)
  • 共用部分の備蓄品の内容と場所
  • 排水管の使用禁止ルール(地震後・管理組合確認まで禁止)
  • エレベーター閉じ込め時の対応方法
  • 要配慮者(高齢者・障害者・乳幼児)への支援体制
  • 管理会社・メンテナンス会社の緊急連絡先

マニュアルがない場合は、理事会で策定を提案してください。東京都・仙台市・埼玉県など各自治体がひな形を公開しており、それをベースに1〜2回の理事会で完成できます。

住民安否確認ネットワーク
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大規模地震の直後、全住戸の安否を効率よく確認するには事前の仕組みが必要です。

安否確認カード(ドアサイン方式) 玄関ドアの外側に「無事です」「助けが必要です」と書かれたカードを掲示するシンプルな仕組みです。各住戸がカードを出せば、管理組合の担当者が廊下を一巡するだけで全戸の安否を把握できます。カードが出ていない住戸には個別に確認に行く。100戸以上のマンションでも短時間で安否確認が完了します。

デジタル連絡網の整備 管理組合のLINEオープンチャットを災害時の連絡用に設定しておくと、「〇階で水漏れ発生」「1階集会室を開放します」「給水車が〇時に到着」といった情報が即座に共有されます。平時は使わなくても、グループを作っておくだけで価値があります。

防災訓練・共用備蓄の維持管理
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管理組合として行うべき訓練と維持管理の取り組みです。

  • 安否確認訓練:各戸のドアに安否カードを掲示する訓練(年1回)
  • 階段搬送訓練:けが人を階段で搬送する訓練(消防署と連携可能)
  • 共用備蓄品の確認会:マンションとして備蓄している品目と量の共有
  • 住民名簿の更新:災害時に安否確認できるよう、年1回の名簿更新
  • 要配慮者リスト:高齢者・障害者・乳幼児のいる世帯の把握と支援担当者の決定

情報収集と停電時の通信手段
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停電でテレビもWi-Fiも使えない状況を想定して、複数の情報入手手段を確保しておきます。

  • 手回し充電式ラジオ:電池切れの心配なし。NHKのAM放送は災害情報の速報性が高い
  • スマホの防災アプリ:Yahoo!防災速報、NHKニュース・防災など(事前にインストール)
  • 管理組合の緊急連絡網:LINEグループやマンション専用アプリがあれば参加しておく
  • エントランス掲示板:管理組合からの情報が掲示されることがある

まとめ|分譲マンション防災チェックリスト
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【室内の安全対策】

  • 家具転倒防止(突っ張り棒 + 耐震ジェルマット)
  • ガラス飛散防止フィルム(寝室優先)
  • 食器棚の扉ロック
  • 寝室に靴・スリッパを常備
  • 避難経路の確保(廊下に物を置かない)

【備蓄品】

  • 飲料水(1人1日3L × 7日分)
  • 非常食(1人1日3食 × 7日分)
  • 非常用トイレ(1人1日5回 × 7日分)+凝固剤・防臭袋
  • カセットコンロ + ガスボンベ6本
  • LEDランタン2〜3個
  • 大容量モバイルバッテリー
  • 生活用水用ポリタンク(10L × 2〜3個)
  • 救急セット + 常備薬

【管理組合・共助】

  • 防災マニュアルの確認・策定
  • 安否確認カードの準備
  • 管理組合の緊急連絡網(LINEグループ等)への参加
  • 給水方式の確認(受水槽方式か直結増圧方式か)
  • 排水管使用禁止ルールの周知
  • 年1回の防災訓練への参加
  • 要配慮者リストの共有

分譲マンション防災は「自助(自分の備え)」と「共助(管理組合・住民同士の助け合い)」の両輪で成り立ちます。建物が倒壊しにくいからこそ、在宅避難を前提にした備えが重要です。まず室内の安全対策と1週間分の備蓄を整え、次に管理組合を通じた共助の仕組みに参加する。この順番で進めれば、分譲マンションは「揺れても安心なコミュニティ」に変わります。

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