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台風対策

台風で車が冠水したら?水没を防ぐ対策と冠水時の脱出方法を解説

更新 2026年4月10日

毎年、台風や大雨のたびに「車が水没した」というニュースが流れます。2020年の令和2年7月豪雨では、九州を中心に膨大な数の車両が水没しました。

私の知人は2019年の台風19号で車を失いました。低地にある月極駐車場に停めていた車が一夜にして水没。翌朝見に行った時にはルーフの上まで水につかっていたそうです。車両保険に入っていなかったため、約200万円の損失。「まさか自分の車が水没するとは思わなかった」と、今でも後悔しています。

台風による車の冠水は、正しい知識と事前の対策で防げます。

車はどのくらいの水深で危険になるか
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ドア開閉不能になる水深(30cm〜)
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水深30cmは大人のすねの高さ。「これくらいなら大丈夫だろう」と思いがちですが、水位がドアの下半分に達すると、水圧の影響で開閉が次第に困難になります。

JAF(日本自動車連盟)のユーザーテストによると、セダンで水深60cmになるとドアを開けるのに通常の5倍近くの力が必要となり、水位がドアノブ付近(80cm前後)まで達すると、窓もドアも開きにくくなるとされています。水深1mではドア面全体に約1トン(1万パスカル)に相当する水圧がかかり、人力で開けるのはほぼ不可能です。

エンジン停止する水深(床面・マフラー位置)
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JAFの冠水路走行テストでは、水深30cmでも時速30km程度で走行すると巻き上げた水がエンジンルームに多量に入り込み、エンジンが停止することが確認されています。マフラーはフロア面とほぼ同じ高さかそれより低い位置にあるため、水面が車の床面を超えると排気系から水が逆流したり、吸気からエンジン内部に水が入ったりしてエンジンが止まります。

車高の高いSUVでも、セダンより多少有利なだけで安全に走れるわけではありません。JAFの実験でも、水深60cmになるとセダンは時速10kmでも走破できませんでした。

エンジンが止まった後、再始動を試みるのは絶対にNG。シリンダー内に水が入った状態でスターターを回すと、水は圧縮できないため「ウォーターハンマー」が発生し、コネクティングロッドが曲がるなどエンジンが破壊されます。エンジン載せ替えで50〜100万円以上の修理費となり、廃車になるケースも少なくありません。

車が浮き始める水深
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タイヤが完全に水没するくらいの水深になると、車体が浮き始めます。一般的な乗用車では水深50〜60cm程度が目安です。

車が浮くとハンドル・ブレーキが効かなくなり、水流に流されます。さらにJAFの水没テストでは、車内に空気が残っている状態では車内外の水圧差によりドアが開かず、水深30cmを超えると通常より強い力が必要となることが示されています。セダンは水深60cmでドアを開けられなくなり、水位がドアノブ付近(80cm前後)に達するとパワーウィンドウも作動しなくなる可能性が高くなります。

車の冠水を防ぐ対策
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台風前の駐車場所選び(立体駐車場・高台)
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台風が接近する前に、車を安全な場所に移動させるのが最も確実な対策です。

安全な駐車場所:

  • 立体駐車場の2階以上
  • 高台にある駐車場
  • ショッピングモールの屋内駐車場(事前に利用可能か確認)

避けるべき駐車場所:

  • 河川の近く
  • 低地・窪地の月極駐車場
  • アンダーパスの近く
  • 海沿い(高潮のリスク)

筆者は台風接近が予想されると、自宅近くの立体駐車場(1日最大料金1,000円程度)に車を移動させます。1日1,000円で200万円の車を守れるなら、安い保険です。

アンダーパス・低地を避けるルート確認
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台風時に車で移動する必要がある場合、事前にアンダーパスや低地を避けたルートを確認しておきましょう。

アンダーパス(道路が鉄道などの下をくぐる場所)は、雨水が集中しやすく、排水ポンプの能力を超える大雨が降ると短時間で冠水します。国土交通省の調べによれば全国に約3,500〜3,700か所のアンダーパスが存在し、過去に車両の立ち往生・水没事故が繰り返し発生しています。国交省や地方整備局では「道路冠水注意箇所マップ」を公開しているので、自分の生活圏のリスク箇所を事前に確認しておきましょう。

冠水しやすい場所の見分け方
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普段通る道路の中で冠水リスクが高い場所を把握しておくことが重要。

  • アンダーパス(道路の下をくぐる箇所)
  • 河川の橋の前後
  • 大きな交差点の窪み
  • 田んぼや水田に囲まれた低い道路
  • 排水設備が古い地域

ハザードマップの「内水氾濫」レイヤーを確認すると、道路の冠水リスクも見えてきます。

運転中に冠水に遭遇した場合の対処法
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絶対にやってはいけないこと
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  1. 冠水した道路に進入する → 水深が見えないので危険
  2. エンジンが止まった後に再始動する → エンジン破壊の原因
  3. 無理にドアを開けようとして体力を消耗する → 窓から脱出を優先
  4. 車内にとどまって水位の上昇を待つ → 脱出できなくなる

冠水した道路の水深は見た目ではわかりません。わずか30cmでも泥水だと底が見えず、実際にはもっと深い可能性がある。「行けそう」と思っても、絶対に進入しないでください。

脱出の手順(窓・緊急脱出ハンマー)
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万が一、冠水した道路で車が動かなくなった場合の脱出手順。

ステップ1: エンジンを止め、ハザードランプを点灯 ステップ2: シートベルトを外す ステップ3: 窓を開ける(電動ウィンドウは水没前に開ける。電気が使えなくなると開かない) ステップ4: 窓から脱出する ステップ5: 窓が開かない場合は、脱出ハンマーで窓ガラスを割る ステップ6: 脱出後は水流に注意しながら高い場所に避難

重要: 電動ウィンドウは水が電装系に達すると動かなくなります。水が車内に入り始めたら、すぐに窓を開けてください。判断が遅れると窓が開かず、ドアも水圧で開かない状態に陥ります。

脱出ハンマーの選び方とおすすめ
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脱出ハンマーは車に常備すべき防災グッズです。

選び方のポイント:

  • ガラスを割る機能(先端が尖ったハンマータイプ or スプリング式)
  • シートベルトカッター機能付き
  • 手が届く場所に固定できるホルダー付き

おすすめ:

  • レスキューハンマー(エーモン工業): 約1,500円。ハンマー+シートベルトカッターの定番。
  • TSUNEO 緊急脱出ハンマー: 約1,000円。スプリング式で力がなくても使える。
  • 大自工業 メルテック FT-16: 約2,000円。LEDライト付きで夜間にも対応。

取り付け場所は運転席から手が届く場所。ダッシュボードの中やトランクに入れていたら、緊急時に取り出せません。サンバイザーやセンターコンソールの横にクリップで固定するのがベスト。

車が水没した後の対応
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エンジンをかけてはいけない理由
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水没した車のエンジンを再始動すると、エンジン内部に入った水が圧縮されて「ウォーターハンマー」が発生し、コネクティングロッド(ピストンとクランクシャフトを繋ぐ部品)が折れます。

修理費用はエンジン載せ替えで50〜100万円以上。保険が使えない場合、廃車にしたほうが安いケースがほとんど。

水没後はエンジンをかけず、ロードサービス(JAF: #8139)に連絡してレッカー移動してもらってください。

車両保険の適用範囲
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自動車保険の車両保険に加入していれば、台風・洪水による水没は補償対象になります(「一般型」でも「エコノミー型」でも対象)。

ただし、自ら冠水した道路に進入した場合は「自損事故」扱いで免責金額が適用されることも。保険会社に事故状況を正直に報告してください。

修理 vs 廃車の判断基準
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水没の程度修理可否費用目安
タイヤの半分まで修理可能5〜20万円
フロア(床)まで修理可能だが高額30〜80万円
ダッシュボードまで修理困難廃車推奨
ルーフ(屋根)まで修理不可廃車

フロアまで浸かった車は、修理できても電装系のトラブルが後から出ることが多い。修理費と車の時価額を比較して判断してください。

よくある質問(FAQ)
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Q. 冠水した道路の水深はどうやって判断する? A. 縁石やガードレールの高さで概算できます。一般的な縁石は15cm、ガードレールの下端は約50cm。しかし、正確にはわからないので「冠水している道路には入らない」が鉄則です。

Q. SUVやジープなら冠水した道路を走れる? A. 車高が高い分だけ多少は有利ですが、冠水道路の走行は推奨しません。水流が強い場合は車高に関係なく流されますし、路面の段差や穴が見えないリスクは同じです。

Q. 水没した車は感電の危険がある? A. ハイブリッド車やEVは144〜650V前後の高電圧バッテリーを搭載していますが、車体と高電圧回路は絶縁構造になっており、国内外の安全基準で感電防止が義務付けられています。1997年にハイブリッド車が市販されて以降、水没での感電事故は報告されていません。ただし、衝突や損傷で絶縁が破れている可能性はゼロではないため、水没車・事故車には不用意に触れず、メーカー・ディーラーや専門業者に対応を依頼するのが安全です。

Q. 車両保険に入っていない場合、何か補償はある? A. 車両保険未加入の場合、自治体の被災者支援制度(見舞金など)の対象になることがあります。ただし金額は限定的。リスクの高い地域にお住まいなら、車両保険への加入を強くおすすめします。

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