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【停電対策 完全ガイド】備え・対処法・復旧まで|防災士が教える停電時にやるべきこと

更新 2026年4月10日

2024年の能登半島地震では最大約4万戸が停電し、一部地域では復旧に2週間以上を要しました。2019年の台風15号では千葉県で最大約93万戸が停電、99%復旧までに約12日、局所を含む全面復旧までは約3週間を要しました。2018年の北海道胆振東部地震では、北海道全域が停電する「ブラックアウト」が発生し、約295万戸が一斉に電気を失いました(ほぼ全域復旧まで約45時間)。

私は防災士として、これらすべての災害で現地支援に関わりました。そのたびに痛感するのは、「停電への備えがある家庭とない家庭では、被災生活の質が天と地ほど違う」ということです。

電気が止まると、照明・冷蔵庫・エアコン・スマホ充電・給湯器・IH調理器――現代生活のほぼすべてが止まります。特にオール電化住宅では、お湯すら沸かせなくなる。


停電に備える【事前準備チェックリスト】
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照明の備え(ランタン・ヘッドライト・ロウソク)
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停電で最初に困るのが照明。暗闇は行動を制限するだけでなく、精神的な不安も増大させます。

推奨する照明の備え:

照明用途必要数推奨スペック
LEDランタン(メイン)リビング・食卓1台1,000ルーメン以上、連続8時間以上
LEDランタン(サブ)寝室・トイレ2台100〜300ルーメン、コンパクト
ヘッドライト移動・作業人数分200ルーメン以上、両手が空く
ロウソク最終手段数本火災リスクあり。使用時は目を離さない

筆者のおすすめは「LEDランタン3台体制」。メイン1台+サブ2台で、自宅内のどの部屋に移動しても明かりがある状態を作れます。北海道のブラックアウトで被災した方にヒアリングした際、「真っ暗闇の中で子どもが泣き止まなかったが、ランタンを灯した途端に落ち着いた」という話が印象的でした。光は精神安定剤でもあります。

乾電池式とUSB充電式のどちらが良いかは一長一短。乾電池式は予備電池があれば長期運用可能。USB充電式はポータブル電源から充電できる。両方あるのが理想です。

電源の備え(ポータブル電源・モバイルバッテリー・乾電池)
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電源容量目安動かせるもの価格帯
モバイルバッテリー20,000mAhスマホ4〜5回分スマホ・タブレット3,000〜5,000円
ポータブル電源500Whスマホ40回分スマホ・照明・扇風機30,000〜50,000円
ポータブル電源1,000Whスマホ80回分上記+電気毛布・ミニ冷蔵庫80,000〜130,000円
ポータブル電源2,000Whスマホ160回分上記+IH調理器・ドライヤー150,000〜250,000円

最低限、モバイルバッテリー1個は全員持っておくべきです。余裕があればポータブル電源を1台。詳しくはポータブル電源おすすめ比較で解説しています。

乾電池も重要。単3と単4を各40本以上、常に在庫を保ちましょう。筆者はリチウム乾電池(使用推奨期限15年)を愛用しています。通常のアルカリ電池(5〜10年)より長持ちで、低温にも強い。

食料・水の備え(冷蔵庫が使えない前提の備蓄)
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停電すると冷蔵庫は扉を開けなければ冷蔵室で2〜3時間、冷凍室では半日〜1日程度は保冷できますが、夏場は庫内温度の上昇が早く、傷みやすい食品から劣化が始まります。冷蔵庫に頼らない食料備蓄が必要です。

  • アルファ米・レトルト食品(常温保存・長期保存)
  • カセットコンロ+ボンベ6〜8本(加熱調理用)
  • 水(1人1日3L × 人数 × 日数分)
  • 缶詰(おかず系:サバ缶、ツナ缶、焼き鳥缶など)

カセットコンロは停電時の調理インフラとして最強。IHが使えなくても、カセットコンロがあればお湯を沸かせるし、缶詰を温められます。


停電が起きたらまずやること【時系列行動マニュアル】
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停電直後(0〜10分):安全確認と情報収集
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Step 1:まず身の安全を確保する

地震による停電の場合、揺れが収まるまで動かない。暗闇で慌てて動くと、家具にぶつかったりガラスを踏んだりする危険があります。枕元にヘッドライトを置いておけば、すぐに視界を確保できます。

Step 2:停電の範囲を確認する

  • 自宅だけ停電 → ブレーカーを確認。漏電の可能性あり
  • 近隣も停電 → 地域全体の停電。電力会社に連絡

窓の外を見て、近隣の家や街灯が消えているか確認。マンションなら共用廊下の照明でわかります。

Step 3:情報を収集する

  • スマホで電力会社の停電情報を確認
  • Twitterで地域名+「停電」を検索
  • 防災ラジオでNHKを聴く(通信障害時の最終手段)

東京電力、関西電力など各電力会社はWebサイトやアプリで停電情報をリアルタイム公開しています。スマホがつながるなら、まずこれを確認。

Step 4:ブレーカーを落とす

特に地震による停電の場合、通電火災(電気が復旧した際にショートして出火する現象)を防ぐために、ブレーカーを落としておきましょう。阪神・淡路大震災では、原因が特定された火災のうち電気に起因するものが多数を占め、広く通電火災の危険性が知られるようになりました(内閣府「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」ほか)。

感震ブレーカーを設置していれば、震度5強以上で自動的にブレーカーが落ちるので安心です。

停電中(〜数時間):冷蔵庫・通信・暑さ寒さ対策
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冷蔵庫の対処:

  • 開けない。開けると冷気が逃げる
  • 扉を開けなければ、冷蔵室は2〜3時間、冷凍室は半日〜1日程度は温度を維持(季節・庫内の詰め方で変動)
  • 保冷剤を冷凍室に常備しておくと保冷時間が延びる
  • 停電が長引きそうなら、傷みやすい食品から優先的に消費

通信の確保:

  • スマホの省電力モードをON
  • 画面の明るさを最低に
  • 不要なアプリのバックグラウンド更新・位置情報を停止
  • モバイル回線の電波が弱い場所ではアンテナを探し続けて電池を消耗するため、圏外なら一時的に機内モードにする

筆者が台風の停電で実践したテクニックですが、自宅のWi-Fiルーターが生きている状況では、スマホを「機内モード+Wi-FiのみON」にして通信をWi-Fi経由に限定すると、モバイル回線の基地局を探しに行かなくなり電池持ちが改善します。ただし、Wi-Fiルーターが停電で落ちている場合はこの方法は使えません。

長期停電(1日以上):生活維持と外部支援
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1日以上の停電で変わること:

  • 冷蔵庫の中身がダメになり始める
  • マンションの場合、水道ポンプが停止して断水する
  • 給湯器(電気制御)が使えず、お風呂に入れない
  • 夏場は食中毒リスク、冬場は低体温症リスクが上昇

やるべきこと:

  1. 冷蔵庫の食品を優先的に消費(傷みやすい肉・魚から)
  2. カセットコンロで調理。非常食に切り替え
  3. マンションの場合、浴槽に水を溜めておく(断水前に)
  4. 近隣の復旧情報を継続的に収集
  5. 自治体の開設する給水所・充電スポットを確認

2019年の千葉停電では、自治体やコンビニが充電スポットを開設しました。携帯キャリア各社も無料充電サービスを提供することがあります。


停電時の暑さ・寒さ対策
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夏の停電(熱中症予防・体を冷やす方法)
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環境省「熱中症予防情報サイト」では、暑さ指数(WBGT)28以上が「厳重警戒」の目安とされ、室内の熱中症リスクが急上昇します。エアコンが使えない真夏の停電は、命に直結する危険があります。

夏の停電でやるべきこと:

  1. 水分をこまめに取る:30分に1回、コップ1杯。経口補水液があればベスト
  2. 体を冷やす:濡れタオルを首・脇の下・太ももの付け根に当てる(太い血管を冷やす)
  3. ポータブル電源で扇風機を回す:USB扇風機なら消費電力5W程度。500Whの電源で100時間回せる
  4. 凍らせたペットボトルを活用:冷凍庫に水入りペットボトルを常備しておく
  5. 風通しを確保:窓を2か所以上開けて風の通り道を作る
  6. 不要な外出を避ける:日中の外出は熱中症リスクが高い

筆者が千葉の台風停電で支援した際、最も深刻だったのが高齢者の熱中症。エアコンが止まった室内は40℃近くまで上昇し、救急搬送が相次ぎました。ポータブル電源と扇風機の組み合わせだけでも、室温を数度下げる効果があります。

冬の停電(低体温症予防・暖房代替手段)
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冬場の停電では、室温が10℃以下まで下がることがあります。低体温症は体温が35℃以下になると発症し、放置すると命に関わります。

冬の停電でやるべき暖房代替手段:

暖房手段効果注意点
電気毛布+ポータブル電源消費電力50W。1,000Whで20時間使える
使い捨てカイロ腹・背中・足裏に貼る。低温やけどに注意
アルミブランケット+毛布体温を反射して保温。単体では寒い
カセットガスストーブ換気必須(一酸化炭素中毒の危険)
重ね着空気の層を作る。インナー→フリース→アウター
湯たんぽ(カセットコンロで湯を沸かす)寝る時に布団に入れると朝まで暖かい

絶対に避けるべきこと:

  • 屋内での七輪・炭火 → 一酸化炭素中毒で死亡事故多数
  • 雪の日の車中泊でエンジンかけっぱなし → マフラーが雪で塞がると排ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒の危険(JAFの検証では雪に埋もれた車内で22分後にCO濃度1,000ppm到達)。ガレージ内の車でも同様に危険
  • カセットガスストーブの無換気使用 → 1時間に1回は窓を開けて換気

北海道ブラックアウトでは、9月上旬でも夜間は10℃を下回り、暖房なしでは厳しい状況でした。真冬ならなおさら。電気毛布とポータブル電源の組み合わせは、冬の停電対策の鉄板です。


停電時のスマホ・通信を確保する方法
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モバイルバッテリーの容量と選び方
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容量スマホ充電回数重さ価格帯おすすめの人
5,000mAh約1回約120g1,000〜2,000円外出時のサブ
10,000mAh約2回約200g2,000〜3,000円日常使い+防災
20,000mAh約4〜5回約350g3,000〜5,000円停電対策の定番
30,000mAh約6〜7回約500g5,000〜8,000円長期停電への備え

防災用なら20,000mAh以上を推奨。常にフル充電しておく習慣をつけましょう。台風接近時は、出発前にスマホ本体とモバイルバッテリーの両方を100%にしておくこと。

ポータブル電源でスマホ何回充電できるか
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ポータブル電源の容量スマホ充電回数(目安)
256Wh約20回
512Wh約40回
1,024Wh約80回
2,048Wh約160回

4人家族が1日2回ずつ充電すると8回/日。1,024Whなら約10日分をカバーできます。

停電時の情報収集手段(ラジオ・カーナビ)
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スマホが使えなくなった場合の代替手段:

  • 防災ラジオ:手回し充電式なら電池切れの心配なし。NHKの災害情報は正確で早い
  • カーナビ(ワンセグ):車のバッテリーでテレビが見られる
  • 地域の防災無線:屋外スピーカーからの放送に耳を傾ける
  • 近隣住民との声がけ:アナログだが最も確実な情報源

停電の原因と復旧までの時間目安
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地震による停電(復旧1日〜1週間)
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資源エネルギー庁の資料によると、大規模地震の停電復旧は以下が目安。

  • 震度5強程度:数時間〜1日
  • 震度6弱〜6強:1〜3日
  • 震度7(広域):1週間〜2週間

2024年能登半島地震では、道路の寸断で復旧作業員が現地に入れず、2週間以上の停電が発生した地域がありました。

台風による停電(復旧数時間〜数日)
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台風による停電は主に「電柱の倒壊」「飛来物による電線切断」が原因。

  • 軽微な被害:数時間で復旧
  • 電柱倒壊:1〜3日
  • 広域被害:1〜3週間(2019年台風15号の千葉県)

台風は事前に進路が予測できるため、接近前にできる限りの準備をしましょう。

設備故障による停電(復旧数時間以内)
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変電所のトラブルや送電線の事故による停電は、大規模災害以外でも発生します。復旧は比較的早く、数時間以内がほとんど。ただし、夏場のピーク時間帯には大規模停電のリスクがあります。


オール電化住宅の停電リスクと対策
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IH・エコキュート・床暖房が全停止するリスク
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オール電化住宅は停電時のダメージが最も大きい住宅形態です。

設備停電時の状態影響
IHクッキングヒーター使用不可一切の調理ができない
エコキュート使用不可お湯が出ない(タンクに残った湯は使用可能な場合あり)
床暖房使用不可冬場の暖房手段がゼロに
エアコン使用不可冷暖房不可
換気システム(第1種換気)使用不可換気停止。手動で窓を開ける必要あり

エコキュートのタンクに残っている湯は非常用取水口から取り出せるモデルが多いです。取扱説明書で確認しておきましょう。この水はそのままでは飲料には適しませんが、生活用水(手洗い、トイレの水流しなど)に使えます。

カセットコンロ・ポータブル電源での代替
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オール電化住宅に住んでいるなら、以下の備えは必須です。

  • カセットコンロ+ボンベ8本以上:IHの代替。調理の生命線
  • ポータブル電源1,000Wh以上:照明・スマホ充電・扇風機/電気毛布
  • カセットガスストーブ(冬場の備え):暖房の代替。ただし換気は必ず
  • 石油ストーブ(設置可能なら):電気不要で暖房+調理が可能

筆者の知人はオール電化マンションに住んでいますが、停電に備えてカセットコンロ2台、ポータブル電源2,000Wh、カセットボンベ12本を常備しています。「オール電化は普段は快適だけど、停電時は全滅。備えでカバーするしかない」と話しています。


まとめ|停電対策チェックリスト(印刷用)
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事前準備(今すぐ確認):

  • LEDランタン × 3台(メイン1+サブ2)
  • ヘッドライト × 人数分
  • モバイルバッテリー20,000mAh以上
  • ポータブル電源(可能なら500Wh以上)
  • 乾電池(単3・単4 各40本以上)
  • カセットコンロ+ボンベ6〜8本
  • 水・食料(最低3日分)
  • 防災ラジオ(手回し充電式)
  • 使い捨てカイロ × 20個以上(冬季)
  • 凍らせたペットボトル × 5本(冷凍庫に常備)

停電発生時のアクション:

  • 身の安全を確認
  • 停電範囲を確認(自宅のみ or 地域全体)
  • ブレーカーを落とす(地震の場合)
  • スマホの省電力モードをON
  • 電力会社の停電情報を確認
  • 冷蔵庫を開けない
  • 夏場は水分補給・体を冷やす対策
  • 冬場は重ね着・カイロ・電気毛布の使用

停電に備えてやっておくべき日常の習慣
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スマホとモバイルバッテリーを常にフル充電
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台風や地震は突然やってきます。「あとで充電しよう」と思っていたら手遅れ。以下の習慣をつけましょう。

  • スマホは毎晩就寝前にフル充電(朝起きたら100%の状態に)
  • モバイルバッテリーは使ったらその日のうちに充電
  • ポータブル電源は月に1回の通電チェック+3か月に1回のフル充電

冷凍庫に保冷剤とペットボトルを常備
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停電時の冷蔵庫延命策として、冷凍庫に保冷剤と凍らせたペットボトル(500ml×5本程度)を常備しておきましょう。冷凍庫の隙間を埋めることで、通常運転時の電気代節約にもなり一石二鳥です。停電時には保冷剤を冷蔵室に移すことで、冷蔵庫の温度上昇を遅らせられます。

懐中電灯の定位置を家族で共有
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「懐中電灯どこだっけ?」は停電時のあるある。以下の場所に固定配置を。

  • 枕元(ヘッドライト or 小型懐中電灯)
  • 玄関(メインのLEDランタン)
  • キッチン(サブのランタン)
  • トイレ(サブのランタン or センサーライト)

筆者は100均の粘着式フックで各部屋に懐中電灯の「定位置」を作っています。地震で物が散乱しても、壁に掛かっている懐中電灯はすぐ手に取れます。

近隣の停電情報ページをブックマーク
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各電力会社の停電情報ページを、スマホのブックマークに登録しておきましょう。

  • 東京電力:停電情報(TEPCO停電情報)
  • 関西電力:停電情報
  • 中部電力:停電情報
  • 九州電力:停電情報

停電が起きてから検索する手間が省けます。また、電力会社の公式アプリをインストールしておくと、プッシュ通知で停電情報が届く場合もあります。


停電は予告なくやってきます。この記事を読んだ「今」が、備えるベストタイミングです。まずはモバイルバッテリー1個とLEDランタン1台。この2つがあるだけで、停電の夜の安心感はまったく違います。

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