「防災リュック、何リットルのを買えばいいの?」
シンプルな質問ですが、答えは「人による」としか言えない。身長、体力、家族構成、想定する避難パターンによって、適切な容量は変わるからです。
ただ、目安はあります。私は防災士として年間20回以上の防災講座を開催しており、そのたびに参加者と一緒に「実際に荷物を詰めて背負ってみる」ワークをしています。延べ500人以上のデータから見えてきた「現実的な容量の目安」を、この記事でお伝えします。
防災リュックに必要な容量の考え方#
3日分の中身を全部入れると何リットル必要か#
まず、1人分の3日間持ち出し品を実際に詰めてみた結果をお伝えします。
検証条件:
- 成人1人分の基本防災グッズ
- 水500ml × 3本、非常食3食分、簡易トイレ15回分を含む
- 着替え1セット、衛生用品含む
検証結果:
- 総重量: 約5.5kg
- 必要容量: 約22L
内訳として、水(1.5kg)と食料(約0.5kg)だけで2kgを占めます。トイレ用品は見た目以上にかさばり、約3Lの容量を使います。
つまり、「基本的な3日分の持ち出し品」を入れるには、最低20L、余裕を持って25Lが必要という結論です。
「持ち出しリュック」と「在宅備蓄」を分けて考える#
防災リュックの容量で迷う人の多くは、「すべてをリュックに入れようとしている」のが原因です。
防災の備えは2段階に分けて考えてください。
第1段階: 持ち出しリュック(1次持ち出し品) → 避難所まで移動するための最低限のアイテム。重量5〜8kg以内。
第2段階: 在宅備蓄(2次持ち出し品) → 自宅に備蓄しておく長期用の水・食料・トイレ等。収納ボックスやダンボールで保管。
この分け方をすれば、持ち出しリュックは25L前後で十分。「7日分の水と食料」をリュックに入れる必要はありません。7日分は自宅に備蓄し、持ち出しリュックには3日分だけ入れる。この考え方が大前提です。
1人用防災リュックの適切な容量#
大人・子ども・高齢者で変わる推奨リットル数#
| 対象 | 推奨容量 | 目安重量 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 成人男性 | 25〜30L | 6〜8kg | 余裕があれば家族の分も一部担当 |
| 成人女性 | 20〜25L | 4〜6kg | 軽量化を意識して中身を厳選 |
| 小学生(高学年) | 15〜20L | 2〜4kg | 自分の水・食料・トイレのみ |
| 小学生(低学年) | 10〜15L | 1〜3kg | 水1本・お菓子・ライト程度 |
| 幼児 | なし(親が担当) | - | 親のリュックに入れる |
| 高齢者 | 15〜20L | 3〜5kg | 体力に合わせて中身を減らす |
幼児は自分でリュックを背負えないため、親のリュックに含めます。この場合、親のリュックは30L以上が必要になる可能性があります。体力的に厳しいなら、キャリーカート付きのリュックを検討してください。
高齢者の場合、「持てる重さ」を最優先に考え、中身を絞ることが重要です。水と薬と連絡手段(スマホ + バッテリー)の3つがあれば、最低限の避難は可能。それ以外は家族が分担する前提で計画しましょう。
2人用(カップル・夫婦)の防災リュックの考え方#
1つにまとめる vs 2つに分ける、どちらが正解か#
結論から言うと、2つに分けるのが正解です。
1つにまとめるデメリット:
- 片方しか取り出せない状況(部屋が別、外出先が別)で全滅する
- 1人分の荷物として重くなりすぎる(10〜15kg)
- 背負う人が固定されてしまう
2つに分けるメリット:
- どちらか一方でも持ち出せれば最低限の備えがある
- 重量を分散できる
- それぞれが自分専用のアイテム(薬・メガネ等)を管理できる
ただし、2つに分ける場合でも「完全に独立した2セット」にする必要はありません。共用できるもの(救急セット、工具類)はどちらか一方に入れ、生命に直結するもの(水・食料・トイレ)は両方に入れる。この振り分けが効率的です。
2人分の中身を効率的に振り分ける方法#
リュックA(主に男性が担当):
- 水500ml × 3本
- 非常食2食分
- 簡易トイレ8回分
- 救急セット(共用)
- 工具類(マルチツール・ガムテープ)
- モバイルバッテリー(大容量)
リュックB(主に女性が担当):
- 水500ml × 3本
- 非常食2食分
- 簡易トイレ8回分
- 衛生用品(共用)
- 着替え(2人分を圧縮袋で)
- 女性特有のアイテム(生理用品等)
各自で管理:
- 常備薬
- メガネ・コンタクト
- 身分証のコピー
- スマホ充電ケーブル
この振り分けなら、1人あたり20〜25Lのリュックで収まります。
リットル別おすすめリュック一覧#
15〜25L(コンパクト派)#
コンパクトで軽量。女性、高齢者、または「必要最低限だけ持ち出す」方に。
- アイリスオーヤマ 防災リュック BRS-33(約5,000円): コスパ最強。ホイッスル・アルミシート等33点付属
- モンベル バーサライトパック 20(約6,000円): 超軽量(200g台)。普段使いにも
- コールマン ウォーカー20(約5,000円): デザイン性と機能性のバランスが良い
25〜40L(本格派)#
しっかり備えたい方、家族の荷物も一部担当する方に。
- ラピタ SHELTERプレミアム 30L(約10,000円): 防災リュック専用設計。防水ターポリン生地・反射材・ホイッスル付き
- THE NORTH FACE テルス35(約15,000円): 登山ブランドの信頼性。背面パッドの快適性が抜群
- 防災防犯ダイレクト 防災リュック35L(約5,000円): 大容量で防水。家族向けセットを入れる用
まとめ|人数・用途別おすすめ容量早見表#
| 状況 | おすすめ容量 |
|---|---|
| 一人暮らし・最低限の備え | 20L |
| 一人暮らし・しっかり備え | 25L |
| カップル・夫婦(1人あたり) | 20〜25L |
| 家族(子どもの分も含む親) | 30L |
| 高齢者 | 15〜20L |
| 通勤・普段使い兼用 | 20〜25L |
最後に、講座でいつも伝えていること。「リットル数で迷ったら、実際に中身を詰めてみる」のが一番早い。家にある手持ちのリュックに防災グッズを入れてみて、入りきるか、背負って歩けるかを試してください。それが足りなければ大きいリュックに、重すぎれば中身を減らす。理論よりも体感が、あなたにとっての正解を教えてくれます。



