スターバースティング

英語名 Starbursting
読み方 スターバースティング
難易度
所要時間 20〜40分
提唱者 創造性研究
目次

ひとことで言うと
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アイデアや企画の中心に 6つの疑問詞(Who・What・When・Where・Why・How) を放射状に当て、問いを網羅的に洗い出す発想法。答えを出す前に「問い」を出し切ることで、盲点をなくす。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
5W1H(ファイブ ダブリュー ワン エイチ)
Who・What・When・Where・Why・How の頭文字をまとめた略称。ジャーナリズムや情報整理の基本フレームとして広く使われている。
スターバースト(Starburst)
「星の爆発」を意味する英語。中心のアイデアから6方向に問いが放射状に広がる様子を星の爆発にたとえた呼び方を指す。
発散思考(Divergent Thinking)
1つのテーマから多数のアイデアや視点を広げていく思考モードのこと。スターバースティングは「答えの発散」ではなく「問いの発散」に特化した手法である。

スターバースティングの全体像
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スターバースティング:中心テーマから6方向に問いを放射
テーマアイデア・企画Who ─ 誰が?対象者・関係者・ステークホルダーWhat ─ 何を?内容・成果物・提供する価値When ─ いつ?タイミング・期限・スケジュールWhere ─ どこで?場所・チャネル・市場・プラットフォームWhy ─ なぜ?目的・背景・動機・根拠How ─ どうやって?手段・方法・プロセス・コスト
スターバースティングの進め方フロー
1
テーマ設定
検討したいアイデアを星の中心に置く
2
6方向に問い出し
Who/What/When/Where/Why/Howで問いを量産
3
問いの整理
重要度・緊急度で優先順位をつける
回答と行動計画
優先度の高い問いから答えを出し施策に落とす

こんな悩みに効く
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  • 企画を立てたのに「それ、○○は考えた?」と毎回ツッコまれる
  • ブレストでアイデアは出るけど、検討の抜け漏れが多い
  • 新サービスを考えるとき、何から手を付ければいいか迷う

基本の使い方
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テーマを1つに絞って中心に書く
ホワイトボードや付箋の中央に、検討したいアイデア・企画・課題を1つだけ書く。「社内向けオンライン研修サービス」のように、具体的で短い表現がベスト。曖昧だと問いもぼやける。
6つの疑問詞ごとに問いを出し切る

Who → What → When → Where → Why → How の順に、思いつく問いをすべて書き出す。1つの疑問詞につき最低3つ、理想は5つ以上。この段階では答えを考えず、とにかく問いの数を稼ぐ。

  • Who: 誰が使う? 誰が決裁する? 誰が反対しそう?
  • What: 何を提供する? 何が必須機能? 何がなくても成り立つ?
  • When: いつ始める? いつまでに成果を出す? ピーク時期は?
  • Where: どのチャネルで届ける? どの市場から攻める?
  • Why: なぜ今やる? なぜ自社がやる? なぜ顧客が欲しがる?
  • How: どうやって作る? 費用はいくら? 既存の仕組みで足りる?
問いに優先順位をつけて回答する
出した問いを「答えないと先に進めない問い」と「後からでも間に合う問い」に分ける。優先度の高い問いから順にチームで回答し、未回答の問いはタスクとしてアサインする。ここまでやって初めて企画書やアクションプランに落とせる。

具体例
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例1:個人のパン教室がオンライン講座を企画する

自宅でパン教室を開いている講師(生徒数15名)が、オンライン講座の立ち上げを検討。スターバースティングで問いを洗い出した。

疑問詞出た問い(抜粋)
Who既存生徒15名のうちオンライン希望は何人? 新規の想定ターゲットは?
What録画型かライブ型か? レシピPDFは付けるか?
When募集はいつ開始? 月何回のペースにする?
WhereZoomか YouTube限定公開か? 決済はどこを使う?
Why対面だけでは月商12万円で頭打ち。オンラインで地方の受講者を取りたい
How撮影機材はスマホで十分か? 編集にかかる時間は?

問いは合計 28個。このうち「既存生徒のオンライン希望数」が最優先と判断し、アンケートを実施したところ 15名中11名が希望。これが確認できたことで、まずは既存生徒向けのライブ型から小さく始める方針が固まった。

例2:IT企業が社内ナレッジ共有ツールを導入する

従業員220名のSIerで、プロジェクト間の知見が属人化していた。情シス部門がナレッジツール導入を提案するにあたり、スターバースティングを実施。

Whoに関する問いだけで9個出た。「誰が書くのか」「誰が読むのか」「誰が承認するのか」「退職者のナレッジはどう扱うか」――特に「誰が最初にコンテンツを投稿するのか」は想定外の論点で、ここを詰めないと導入後にツールが空のまま放置されるリスクがあった。

Howでは「投稿のインセンティブ設計」が焦点になり、四半期ごとの投稿数ランキングと 上位3名に1万円分のギフトカード を出す仕組みを設計。導入6か月後、投稿数は月平均 47件 で定着し、プロジェクト引き継ぎにかかる時間が平均 5日 → 2日 に短縮された。

例3:地方の温泉旅館がインバウンド対応を始める

客室12室の老舗旅館(創業90年)。インバウンド需要を取り込みたいが、何から手を付ければいいかわからない。女将がスタッフ5名とスターバースティングを30分で実施した。

出た問いの総数は 34個。Whereの欄から「どの予約サイトに載せるべきか」「Googleマップの英語表記は正しいか」、Howから「英語メニューの翻訳は誰がやるか」「Wi-Fi環境は十分か」など、具体的なタスクがそのまま浮かび上がった。

意外だったのはWhyの問い。「なぜ外国人観光客はこの地域に来るのか?」を深掘りしたところ、近隣の酒蔵ツアーが海外の旅行ブログで紹介されており、月間アクセスが 4,200PV あることが判明。酒蔵と連携した宿泊プランという、当初は思いつかなかった企画が生まれた。

やりがちな失敗パターン
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  1. 問いを出しながら答えも考えてしまう — 問い出しフェーズで「それは無理だよ」と評価が入ると、問いの数が激減する。答えは後から出せばいい
  2. 6つの疑問詞を均等に埋めようとする — テーマによってはWhyが多くてWhenが少ないこともある。無理に均等にすると薄い問いが増える
  3. 問いを出して満足する — 問いのリストは企画書ではない。優先順位をつけて1つずつ回答し、アクションに落とすところまでが本番

まとめ
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スターバースティングは、6つの疑問詞を使ってアイデアの死角を洗い出すシンプルな手法。答えを急ぐ前に問いを出し切ることで、企画の抜け漏れが格段に減る。1人でも使えるが、チームで実施すると視点の偏りを補い合える。問いを出した後は必ず優先順位をつけて、行動に移すところまでセットで取り組もう。