6人の正直な召使い

英語名 Six Honest Servants
読み方 シックス オネスト サーバンツ
難易度
所要時間 10〜20分
提唱者 ラドヤード・キプリング(詩『象の子ども』より)
目次

ひとことで言うと
#

What(何を)、Why(なぜ)、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、How(どうやって) の6つの問いで情報を網羅的に引き出すフレームワーク。英国の作家キプリングが詩の中で「6人の正直な召使い」と呼んだことが名前の由来。日本では「5W1H」としておなじみ。

押さえておきたい用語
#

押さえておきたい用語
5W1H
What・Why・When・Where・Who・Howの頭文字をまとめた情報整理の基本フレームのこと。ジャーナリズムやビジネスで広く使われる。
MECE(ミーシー)
Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略。情報を漏れなく・ダブりなく整理する考え方を指す。6つの問いはMECEに近い切り口を自然に提供する。
オープンクエスチョン
「はい/いいえ」では答えられない自由回答型の問いである。5W1Hの問いはすべてこの形式で、相手から具体的な情報を引き出せる。

6人の正直な召使いの全体像
#

6人の正直な召使い:6つの問いが全体像を照らす
What ─ 何を何が起きた?何をする?対象・内容を明確にするWhy ─ なぜなぜやるのか?目的は?理由・背景を掘り下げるWhen ─ いついつ起きた?期限は?時間軸を定めるWhere ─ どこでどこで起きた?場所は?空間・チャネルを特定Who ─ 誰が誰が関わる?責任者は?人物・役割を明らかにHow ─ どうやってどう実行する?方法は?手段・プロセスを具体化全体像漏れのない把握6つの問いで死角をなくし、問題やテーマの輪郭をはっきりさせる
6人の正直な召使いの進め方フロー
1
テーマを決める
何を整理したいか明確にする
2
6つの問いに答える
What/Why/When/Where/Who/How
3
空欄を埋める
答えられない箇所=情報の穴
全体像を確認
漏れなく把握して次のアクションへ

こんな悩みに効く
#

  • 企画書や報告書を書くとき「何か抜けている気がする」と不安になる
  • 問題の全体像が見えず、どこから手をつけていいかわからない
  • ミーティングで議論が発散して、結局何も決まらない

基本の使い方
#

ステップ1: テーマを明確にする

まず「何について整理するのか」を1文で定義する。

  • 「新商品の販促キャンペーンを企画する」
  • 「先月のシステム障害の原因を把握する」
  • 「来期の採用方針を決める」

テーマが曖昧だと、6つの問いに答えても焦点がぼやける。

ステップ2: 6つの問いに順番に答える
問い質問例
What何を実行する?何が起きた?
Whyなぜ必要?背景・目的は?
Whenいつまでに?いつ起きた?
Whereどこで?対象エリア・チャネルは?
Who誰が担当?誰に向けて?
Howどうやって?予算・手段は?

答えが出ない箇所は空欄のまま残す。**空欄こそが「自分が把握できていない情報」**であり、次に調べるべきポイント。

ステップ3: 空欄を埋めてアクションにつなげる

空欄になった項目について情報を集め、全体像を完成させる。

  • 空欄が「When」「Who」に集中しているなら → スケジュールと体制が未定
  • 空欄が「Why」なら → そもそもの目的が不明確

6つの問いがすべて埋まった状態が、企画や報告の「最低限の骨子」になる。

具体例
#

例1:個人ブロガーが記事の企画を整理する

テーマ: 月間PV5,000の料理ブログを30,000に伸ばすための記事企画

問い回答
WhatSEOを意識したレシピ記事を週3本から週5本に増やす
Why検索流入が全体の75%を占めており、記事数と比例してPVが伸びているため
When4月から3か月間で60本の新記事を投入
WhereGoogle検索経由(検索ボリューム500〜2,000のミドルキーワードを狙う)
Who自分1人+外注ライター2名(1人あたり月8本、単価3,000円)
Howキーワードリサーチツール(月額980円)で候補を出し、構成テンプレートに沿って執筆

月額コストはライター外注48,000円+ツール980円で約5万円。3か月後にPV30,000を達成すればアドセンス収益が月2万円 → 約7万円の見込み。6つの問いに答えることで「なんとなくPVを増やしたい」が実行可能な計画に変わった。

例2:IT企業が社内向けセキュリティ研修を設計する

テーマ: フィッシングメール被害が3件発生したのを受け、全社セキュリティ研修を実施する

問い回答
Whatフィッシングメールの見分け方と、不審なリンクを踏んだ場合の初動対応を研修する
Why直近3か月で3名がフィッシングメールのリンクを開き、うち1件は顧客情報2,400件が流出しかけた
When4月第2週に全社必須研修(90分)。以降、四半期ごとに模擬フィッシングテストを実施
Where本社会議室(対面)+地方拠点はZoom中継。録画を社内ポータルに掲載
Who情報セキュリティ部の田中(講師)、人事部が参加管理、各部門長が受講率をフォロー
How実際に届いたフィッシングメールの画面キャプチャを教材化。受講後テスト80点以上で合格

空欄だったのが「How」の詳細。当初は座学だけの予定だったが、5W1Hで整理したことで「実物のメールを教材にする」「テストで定着度を測る」が追加され、受講後の模擬テスト開封率が**28% → 6%**に低下した。

例3:地方自治体が空き家対策プロジェクトを立ち上げる

テーマ: 市内の空き家率が18%に達し、防犯・景観の問題が深刻化。対策を始めたい

問い回答
What空き家のデータベース化と、所有者への活用提案(賃貸・解体・寄贈の3択)を行う
Why5年で空き家率が12% → 18%に悪化。放火未遂が2件、不法投棄の苦情が年間87件
When2026年度中にデータベース構築、2027年度に100棟の活用提案を完了
Where市南部エリア(空き家集中率が最も高い旧市街地。対象推定450棟)
Who都市計画課3名+地元不動産業者2社+NPO法人(空き家相談窓口を運営)
How予算1,200万円(国の補助金800万円+市単独400万円)。GISを使った空き家マップを公開

5W1Hで整理してみると「Who」の欄で所有者との接点が弱いことが判明。NPO法人を巻き込むアイデアはこの整理から生まれ、初年度の所有者面談実施率は目標の**70%**を達成している。

やりがちな失敗パターン
#

  1. Whyを飛ばす — 「何を」「いつ」「誰が」は埋まるのに「なぜ」が空欄のまま走り出す。目的が不明確なプロジェクトは途中で迷走する
  2. 答えを1つに限定してしまう — 「Where=東京」と書いて終わるのではなく、「なぜ東京なのか」「大阪は対象外でよいのか」と掘り下げることで、より正確な全体像になる
  3. すべてを同じ深さで掘ろうとする — 6つの問いは網羅性のチェックリストであって、すべてを同じ粒度で分析する必要はない。重要度に応じてメリハリをつける
  4. 一人で完結させる — 自分だけで6つの問いに答えると、知らないことを「知らない」と気づけない。関係者に見せて「抜けている視点はないか」と聞くだけで精度が上がる

まとめ
#

6人の正直な召使い(5W1H)は、6つの問いで情報の漏れを防ぐシンプルかつ万能なフレームワーク。企画の骨子作り、トラブルの全体像把握、報告書のチェックリストとして、あらゆる場面で使える。特に「答えられない問い=自分の情報の穴」という発見が大きい。考えがまとまらないときは、まずこの6つの問いから始めてみるのがいい。