プロコン表(Pros and Cons)

英語名 Pros and Cons List
読み方 プロズ アンド コンズ リスト
難易度
所要時間 10〜20分
提唱者 ベンジャミン・フランクリン(Moral Algebra)
テンプレート あり ↓
目次

ひとことで言うと
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紙の真ん中に線を引いて、左にPros(賛成理由・メリット)、右にCons(反対理由・デメリット) を書き出す。たったこれだけの手法だが、頭の中でグルグル考えているだけでは見えなかった判断軸が浮かび上がる。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
Pros(プロズ)
選択肢を採用する賛成理由・メリットのこと。「良い点」「利点」「恩恵」をすべて含む。
Cons(コンズ)
選択肢を採用する反対理由・デメリットのこと。「悪い点」「リスク」「コスト」をすべて含む。
重み付け(Weighting)
各項目に重要度のスコアを割り当てること。数の多さではなく、重要度の合計で判断するのがプロコン表の精度を上げるポイント。
モラル・アルジェブラ(Moral Algebra)
ベンジャミン・フランクリンが考案した数理的な意思決定法のこと。プロコン表の原型にあたり、各項目を相殺させて残ったものを判断材料にする手法。

プロコン表の全体像
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プロコン表:メリットとデメリットを重み付きで比較する構造
選択肢を明確にする(AかBか)Pros(メリット)通勤時間2時間削減★★★★★集中して働ける環境★★★★地方移住の選択肢★★★合計: 13点Cons(デメリット)自己管理の難しさ★★★★雑談からの情報収集がなくなる★★★成果物ベースの評価に不安★★★合計: 12点数値化で「本当に大切にしていること」が見える数字だけで決めず、価値観の発見に使う
プロコン表の進め方フロー
1
選択肢を明確化
AかBかの二択を定義する
2
Pros/Consを書き出す
メリットとデメリットを量重視で出し切る
3
重み付けをする
各項目に1〜5の重要度スコアをつけて合計比較
価値観に基づく判断
数値と自分の本心の両面から意思決定する

こんな悩みに効く
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  • AとBで迷い続けて、いつまでも決められない
  • 感情に引っ張られて、冷静な判断ができていない気がする
  • チームで意思決定するとき、賛否がまとまらない

基本の使い方
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ステップ1: 選択肢を明確にする

何と何を比較するのか、選択肢を明確にする。

プロコン表は基本的に二択のときに威力を発揮する:

  • やる / やらない
  • A案 / B案
  • 転職する / 残る

3つ以上の選択肢がある場合は、まず2つに絞るか、それぞれの選択肢に対してプロコン表を作る。

ステップ2: ProsとConsを書き出す

紙(またはスプレッドシート)を縦に2分割して、左にPros、右にConsを書き出す。

コツ:

  • まずは量を重視して、思いつくものをすべて書く
  • 大きなことも小さなことも区別せず書く
  • 一人で行き詰まったら、他の人にも聞いてみる

この段階では評価しない。とにかく出し切ることが大事。

ステップ3: 重み付けをする

すべてのProsとConsが同じ重要度ではない。各項目に重要度のスコアをつける(例:1〜5点)。

「給料が上がる(重要度5)」と「通勤時間が10分増える(重要度1)」は同列に扱えない。

Prosの合計点とConsの合計点を比較すると、数値として判断材料が出る。ただし、最終的に数値だけで決める必要はない。数値化のプロセスで自分の価値観が見えてくることが大事。

具体例
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例1:リモートワーク中心の会社に転職するか検討する

状況: 32歳のプロジェクトマネージャー。年収580万円。フルリモートの企業(年収600万円)からオファーを受けた。

Pros(メリット):

  • 通勤時間がなくなり、毎日2時間の自由時間が生まれる(重要度: 5)
  • 自分のペースで集中して働ける(重要度: 4)
  • 地方移住の選択肢が広がる(重要度: 3)
  • 服装を気にしなくていい(重要度: 1)
  • Pros合計: 13点

Cons(デメリット):

  • 同僚との雑談からの情報収集がなくなる(重要度: 3)
  • 自己管理が苦手で、サボるリスクがある(重要度: 4)
  • 評価が成果物ベースになり、プロセスが見えにくい(重要度: 3)
  • 運動不足になりやすい(重要度: 2)
  • Cons合計: 12点

結果: 点数はほぼ互角だが、Prosの上位2つ(通勤時間・集中力)は自分にとって非常に重要な価値観だと気づいた。Consの「自己管理」はポモドーロ・テクニックで対処可能。転職を前向きに検討すると判断した。

例2:中小企業が自社開発かSaaS導入か選ぶ

状況: 従業員60名の物流会社。在庫管理システムの刷新を検討中。自社開発(初期費用1,500万円)とSaaS導入(月額15万円)の二択。

自社開発のProsCons:

Pros重要度Cons重要度
自社業務に100%最適化可能5初期費用1,500万円5
改修の自由度が高い4開発期間6ヶ月必要4
月額ランニングコストが安い3エンジニア採用・維持が必要5
合計12合計14

SaaS導入のProsCons:

Pros重要度Cons重要度
初期費用ほぼゼロ5カスタマイズに限界がある3
導入1ヶ月で稼働開始4月額15万円が固定費に2
ベンダーが保守・アップデート4ベンダーロックインのリスク3
合計13合計8

結果: SaaSはPros-Cons差が+5点、自社開発は-2点。さらに「エンジニア採用が困難(重要度5)」という致命的Consが自社開発にあるため、SaaS導入を選択。3年後に再評価する撤退基準も設定した。

例3:個人が副業を始めるかどうか判断する

状況: 28歳のWebデザイナー。年収420万円。知人から「副業でロゴデザインを請け負わないか」と月3〜5件の打診を受けている。

副業を始めるProsCons:

Pros重要度Cons重要度
月5〜10万円の追加収入4平日夜と週末の自由時間が減る5
ポートフォリオが充実する5本業のパフォーマンスに影響するリスク4
独立の足がかりになる4確定申告の手間が増える2
異業種の人脈が広がる3会社にバレるリスク(副業規定要確認)3
合計16合計14

結果: Pros合計が2点上回るが、最大のCons「自由時間の減少(5)」は見過ごせない。そこで「まず月2件から始めて3ヶ月間お試し」というミニマムスタートに決定。3ヶ月後に再度プロコン表を作り直して継続判断する条件付き承認とした。

やりがちな失敗パターン
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  1. Prosだけ(またはConsだけ)を多く出してしまう — すでに心の中で決まっている選択肢のメリットばかり並べがち。意識的に「反対側」を多く出す努力をする
  2. すべての項目を同じ重さで扱う — 「メリットが5個、デメリットが3個だからメリットのほうが多い!」は危険。1個の致命的デメリットが5個の小さなメリットを上回ることもある
  3. 第三の選択肢を見落とす — AかBかで悩んでいるとき、実は「AとBのいいとこ取りをしたC案」が存在するかもしれない。プロコン表を作った後に「他の選択肢はないか?」と考えてみる
  4. 一度作ったら見直さない — 状況は変化する。3ヶ月前のプロコン表は今の判断に使えない可能性がある。大きな決断は定期的にプロコン表を更新する

まとめ
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プロコン表は最もシンプルな意思決定ツールだが、だからこそ使いどころが多い。迷っているときは、まず紙に線を引いてProsとConsを書き出してみよう。書き出すプロセスそのものが思考を整理し、「自分は本当は何を重視しているか」に気づかせてくれる。

プロコン表(Pros and Cons)のフレームワークテンプレート

このフレームワークを実際に使ってみましょう。