オズボーンのチェックリスト

英語名 Osborn's Checklist
読み方 オズボーンズ チェックリスト
難易度
所要時間 20〜40分
提唱者 アレックス・F・オズボーン
目次

ひとことで言うと
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「転用できないか?」「拡大できないか?」「縮小できないか?」など9つの視点で既存のものに問いを投げかけ、強制的に発想を広げるチェックリスト。SCAMPER法の原型でもあり、アイデア発想の古典的名作。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
強制発想法
決められたフレームに沿って意図的にアイデアを絞り出す手法の総称。自由発想が苦手な人ほど効果が高い。
転用(Put to other uses)
既存のものを別の用途や別の分野で活用できないかと問う視点。9つの中で最も「飛躍」を生みやすい。
結合(Combine)
2つ以上の要素を掛け合わせて新しい価値を生む視点。異質な組み合わせほどイノベーションにつながりやすい。
SCAMPER法
オズボーンのチェックリストを7つの頭文字に再構成した派生フレームワーク。Substitute, Combine, Adapt, Modify, Put to other uses, Eliminate, Reverse の略。

オズボーンのチェックリストの全体像
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オズボーンの9つの質問:既存のものに多角的に問いを投げかける
対象既存の商品サービス1. 転用他に使い道は?2. 応用似たものを借りる?3. 変更色・形・意味を変える?4. 拡大大きく・長く・多く?5. 縮小小さく・軽く・省略?6. 代用他の素材・方法?7. 再配置順番を入れ替え?8. 逆転上下・前後を逆に?9. 結合2つ以上を合体?
オズボーンのチェックリストの進め方フロー
1
対象を決める
改善・発展させたいものを1つ選ぶ
2
9つの質問を当てる
各2〜3分でテンポよく発想する
3
アイデアを選別
実現性・顧客価値・強みとの相性で評価
深掘り・具体化
有望なアイデアを実行プランに落とす

こんな悩みに効く
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  • 既存の商品やサービスを改善したいが、どこから手をつけるかわからない
  • いつも同じ角度でしか物事を見られず、新鮮なアイデアが出ない
  • 「自由に考えて」と言われると逆に何も浮かばない

基本の使い方
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ステップ1: 対象を明確にする

チェックリストを当てる対象を一つ決める。

  • 自社の商品・サービス
  • 業務プロセスやワークフロー
  • イベントやキャンペーン
  • 日常の習慣や仕組み

対象は具体的であるほど、質問に答えやすくなる。「うちのサービス全般」ではなく「会員登録フロー」のように絞る。

ステップ2: 9つの質問を順番にぶつける

以下の9つの問いを対象に投げかけ、出てくるアイデアをすべて書き出す:

  1. 転用: 他に使い道はないか? 他の分野で使えないか?
  2. 応用: 他からアイデアを借りられないか? 似たものはないか?
  3. 変更: 色・形・音・意味を変えたらどうなる?
  4. 拡大: 大きくしたら? 長くしたら? 頻度を上げたら?
  5. 縮小: 小さくしたら? 軽くしたら? 省略したら?
  6. 代用: 他の素材・人・方法に置き換えたら?
  7. 再配置: 順番を入れ替えたら? レイアウトを変えたら?
  8. 逆転: 上下・前後・役割を逆にしたら?
  9. 結合: 2つ以上を組み合わせたら? 目的を合体させたら?

各質問に2〜3分ずつ、テンポよく進める。

ステップ3: アイデアを選別・深掘りする

出たアイデアを一覧にして、有望なものを選ぶ。

選別の基準:

  • すぐにテストできるか? → 小さく試せるものは高評価
  • 顧客にとって価値があるか? → 自己満足ではなく、相手目線で判断
  • 既存の強みを活かせるか? → 今あるリソースとの相性

有望なアイデアは、さらに**「具体的にどうやるか」**まで落とし込む。

具体例
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例1:町の文房具店が9つの質問で新収益源を発見する

状況: 個人経営の文房具店。月商120万円が年々減少。ECに押されて来店客が減少傾向。

対象: 「文房具の店頭販売」に9つの質問を当てる

  • 転用: 文具を「ギフト」として売れないか?→ 名入れボールペンのギフトサービス
  • 応用: 書店のように「体験」を売っている店はないか?→ 万年筆の試し書きバー
  • 拡大: 品揃えを10倍にしたら?→ オンラインカタログ連動で取り寄せ対応
  • 縮小: 店舗を半分にしたら?→ 半分をワークスペースにして文具付きシェアオフィスに
  • 逆転: 客が選ぶのでなく、店が選んだら?→ 月額の「文具サブスクBOX」
  • 結合: カフェ×文具で?→ ドリンク付きの手帳カスタマイズワークショップ

実行した施策: 「文具サブスクBOX(月額2,980円)」を開始。SNSで話題になり、3ヶ月で会員120名獲得。

月額2,980円×120名=月商+約36万円(前年比130%)。「逆転」の視点から生まれたサブスクモデルが、来店に依存しない新しい収益の柱になった。

例2:SaaS企業がオンボーディングフローを改善する

状況: プロジェクト管理SaaS(月額5,000円〜)。無料トライアルからの有料転換率が12%と低迷。

対象: 「14日間の無料トライアルフロー」に9つの質問を当てる

  • 縮小: 14日を3日にしたら?→ 機能を絞った「3日間集中体験」で意思決定を早める
  • 逆転: 無料→有料の順番を逆にしたら?→ 先に有料で始めて不満なら返金(リスクリバーサル)
  • 代用: 人の説明をAIに置き換えたら?→ AIチャットがセットアップを全自動ガイド
  • 拡大: 1人の体験をチーム全員の体験にしたら?→ トライアル初日にチーム全員を招待する仕組み
  • 結合: トライアル×成功事例を合体したら?→ 同業他社の設定テンプレートをプリセット

実行した施策: 「同業他社テンプレート+AIセットアップガイド」を導入。トライアル開始から1時間以内に実務で使える状態に。

有料転換率が12%→28%に改善し、MRR(月次経常収益)が3ヶ月で1.8倍に。「結合」と「代用」の組み合わせが効いた。

例3:地方旅館が9つの質問で閑散期を攻略する

状況: 客室20室の温泉旅館。繁忙期(年末年始・GW・お盆)の稼働率は95%だが、平日の閑散期は稼働率28%。年間平均稼働率58%。

対象: 「閑散期の平日プラン」に9つの質問を当てる

  • 転用: 宿泊ではなく「会議室」として使えないか?→ 企業の合宿研修プラン
  • 応用: ホテルのデイユースを参考にできないか?→ 日帰り温泉+個室ワーケーション
  • 変更: 「1泊2食」の概念を変えたら?→ 食事なし素泊まり+地元飲食店のクーポン付き
  • 拡大: 滞在期間を7日にしたら?→ 長期滞在割引の「ワーケーション週間プラン」
  • 逆転: 旅館が客を選んだら?→ 「ひとり旅歓迎」に特化した完全個室プラン

実行した施策: 企業の合宿研修プラン(1人1泊15,000円、会議室・Wi-Fi・プロジェクター付き)を法人営業

月3〜4件の研修予約が入り、閑散期の稼働率が28%**→**52%に改善。年間売上が前年比+1,200万円(+18%)。「転用」の視点で宿泊施設を研修施設に読み替えたことが突破口になった。

やりがちな失敗パターン
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  1. 質問に真面目に答えすぎる — 「それは現実的じゃない」とフィルターをかけると、つまらないアイデアしか出ない。まずは荒唐無稽でもOKと割り切って、後から選別する
  2. すべての質問に均等に時間をかける — 対象によって「刺さる質問」と「刺さらない質問」がある。手応えのある質問には時間を多めにかけ、ピンとこない質問はサッと次へ進む
  3. チェックリストを1人で使い続ける — 自分一人だと視点が固定されやすい。複数人で同じ対象に質問を当てると、自分では思いつかないアイデアが出る
  4. 出たアイデアを「すぐやる」「やらない」の二択で判断する — 荒削りなアイデアは磨けば光ることがある。「面白いが実現が難しい」ものは、制約を変えれば可能にならないかを考える

まとめ
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オズボーンのチェックリストは、9つの問いを「強制的に」ぶつけることで、自分の思考のクセから脱出するためのツール。自由に考えるのが苦手な人ほど効果を実感できる。困ったら「転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・再配置・逆転・結合」の9文字を思い出そう。