ひとことで言うと#
3×3の9マスの中心にテーマを書き、周囲の8マスに関連要素を埋めていく発想法。さらに各要素を新たな中心にして展開すると、合計81マスの壮大なアクションマップが完成する。大谷翔平選手が高校時代に使っていたことでも有名。
押さえておきたい用語#
- センターテーマ
- マンダラチャートの中央マスに書く最も重要な目標やテーマのこと。81マス全体の起点となる。
- 8要素
- センターテーマの周囲8マスに書く目標達成に必要なカテゴリやキーワードのこと。この8つの選び方がチャートの質を決める。
- 81マス展開
- 8要素それぞれを新たなセンターにして再度8マスを埋める手法。合計81個の具体的なアクションが生まれる。
- 強制発想
- マスの数が固定されているため、無理にでも埋めようとすることで思考の枠が広がる仕組み。最後に絞り出した項目に意外な発見が隠れている。
マンダラチャートの全体像#
こんな悩みに効く#
- 大きな目標を立てたものの、具体的に何をすればいいかわからない
- アイデア出しで「あと少しが出てこない」と感じる
- 思考が一方向に偏って、抜け漏れが気になる
基本の使い方#
3×3のマス目を描き、真ん中のマスにメインテーマを書く。
テーマの例:
- 「営業成績トップになる」
- 「健康的な生活を送る」
- 「新商品のアイデア」
テーマは具体的で、自分がワクワクするものがいい。曖昧すぎると周囲のマスが埋まらない。
中心テーマを実現するために必要な要素・カテゴリ・キーワードを周囲の8マスに書く。
ここでのコツは8マス全部を埋めること。6個でやめずに、無理にでも8個出す。その「無理に出した最後の2個」に意外と重要なアイデアが隠れている。
バランスよく埋めるために、以下の切り口を参考にしてもいい:
- 人/モノ/お金/時間/スキル/環境/マインド/行動
ステップ2で書いた8つの要素を、それぞれ新しい3×3マスの中心に置く。そして各マスの周囲8マスに、より具体的なアクションを書いていく。
これで合計9つの3×3マス、81マスのチャートが完成する。
81マスのうち中心の9マスは「何をやるか(戦略)」、外側の72マスは「どうやるか(戦術・アクション)」に対応する。
81マスを全部同時にやる必要はない。以下の基準で優先順位をつける:
- すぐにできること(今日・今週から始められる)
- 効果が大きいこと(これをやれば複数のマスに波及する)
- 自分だけでできること(他人の協力が不要)
最初の1週間は3〜5個に絞って取り組み、成功体験を積んでから広げていく。
具体例#
状況: 住宅街のパン屋。現在の月商は95万円。開業2年目で常連客はいるが、新規顧客の開拓が課題。
センターテーマ: 月商150万円を達成する
8要素:
- 商品力 — メニューの見直し
- 集客 — 新規顧客を増やす
- リピート — 常連を離さない
- 客単価 — 1人あたりの購入額を上げる
- 時間帯 — 売上の谷間をなくす
- コスト — 原価・固定費の最適化
- 仕組み — 業務効率の改善
- ブランド — 認知と評判を広げる
「集客」の8マス展開:
- Instagramで毎日焼き立て写真を投稿
- 近隣マンション300世帯にチラシ配布
- 地元イベントに月1回出店
- Googleビジネスプロフィールの口コミを20件に
- 近隣カフェとのコラボ商品開発
- 朝の通勤客向け看板を設置
- 子育てママ向けの「パンの日」を設定
- 口コミ紹介で次回100円引きカード
81マスのうち「すぐできる×効果が大きい」の14アクションを最初の1ヶ月で実行。Instagram投稿とGoogleの口コミ対策が即効性が高く、3ヶ月後に月商128万円を達成。
状況: 従業員200名のIT企業。エンジニアから昇進した新任マネージャー(32歳)が、8名のチームを率いることに。マネジメント経験ゼロ。
センターテーマ: 半年でチームのアウトプットを1.5倍にする
8要素:
- 1on1 — メンバーとの信頼構築
- 目標設定 — 明確なゴールの共有
- スキル向上 — チームの技術力底上げ
- プロセス改善 — 開発フローの効率化
- 心理的安全性 — 意見を出しやすい環境
- 自分の成長 — マネジメントスキルの習得
- 他部門連携 — 営業・CSとの協力体制
- モチベーション — やりがいと成長実感
「自分の成長」の8マス展開:
- マネジメント本を月2冊読む
- 社内のベテランマネージャーにメンターを依頼
- 外部のマネジメント研修に参加(Q1中)
- 毎週金曜に30分の振り返り日誌
- メンバーからの360度フィードバックを四半期で実施
- 他チームのマネージャーとの月次情報交換
- コーチングの基礎講座を受講
- 自分のマネジメントスタイルを言語化
81マスを壁に貼り、毎週月曜に進捗を確認する習慣を定着させた。半年後、チームのスプリントベロシティは1.4倍に向上し、メンバーのエンゲージメントスコアも3.2→4.1に改善。
状況: 人口3万人の温泉地。インバウンド客は年間1.2万人。近隣の有名温泉地に流れがちで、差別化が急務。
センターテーマ: インバウンド客を年間5万人に増やす
8要素:
- 情報発信 — 海外向けSNS・メディア
- 体験コンテンツ — ここでしかできない体験
- アクセス — 来やすさの向上
- 多言語対応 — 言語の壁をなくす
- 宿泊 — 魅力的な宿泊プランの造成
- 食 — 地元食材を活かした食体験
- 連携 — 旅行会社・インフルエンサーとの協業
- リピート施策 — 一度来た人をファンにする
「体験コンテンツ」の8マス展開:
- 温泉×瞑想の「Zen Bath」プログラム
- 地元の窯元での陶芸ワークショップ
- 里山トレッキング+温泉のセットツアー
- 夜の温泉街をめぐるランタンウォーク
- 地元農家での収穫体験+地元食材ランチ
- 芸者体験・着物レンタルとまち歩き
- 星空観賞+露天風呂の特別プラン
- 地元の祭りへの参加体験プログラム
「Zen Bath」プログラムが海外メディアに取り上げられ、Instagram経由の認知が前年比**320%**に。初年度はインバウンド3.2万人だったが、81マスの施策を2年かけて実行し、目標の5万人を達成。
やりがちな失敗パターン#
- 8マスを埋めきらずに止めてしまう — 6個や7個で「もう出ない」と思っても、あと1〜2個を絞り出す。この「絞り出し」が思考の枠を広げてくれる
- 抽象的なまま展開してしまう — 外側の72マスは「明日からできるレベル」の具体性が必要。「努力する」「頑張る」ではなく「毎朝7時に30分やる」と書く
- 作って満足してしまう — マンダラチャートは作ることがゴールではない。壁に貼って毎日見る、週に一度進捗をチェックするなど、使い続ける仕組みを作る
- 全部を同時にやろうとする — 81マスを一度に実行するのは不可能。最初の1週間は3〜5個に絞るのが継続のコツ
まとめ#
マンダラチャートは、「大きな夢」を「今日できること」まで分解してくれる強力なツール。81マスを埋めるプロセスで思考が強制的に広がり、自分では思いつかなかった切り口が見つかる。まずは紙に3×3のマスを描いて、真ん中に今の目標を書くところから始めてみよう。