KJ法

英語名 KJ Method (Affinity Diagram)
読み方 ケージェイ ホウ
難易度
所要時間 30〜60分
提唱者 川喜田二郎(文化人類学者)
目次

ひとことで言うと
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バラバラな情報やアイデアを付箋・カードに1枚1件で書き出し、似たもの同士をグルーピングして見出しをつけることで、混沌とした情報を「構造」に変える手法。日本発のフレームワークとして世界中で使われている。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
カード(ラベル)
情報やアイデアを1件ずつ書き出す単位のこと。付箋やカードを使い、「1枚1件」がKJ法の最重要ルール。
グルーピング(ボトムアップ分類)
カードを似たもの同士で自然にまとめるプロセスのこと。先にカテゴリを決めてから分類する「トップダウン」とは対照的な手法。
表札(見出し)
グルーピングされたカード群を端的に表す要約ラベルのこと。「その他」のような曖昧な表札は禁止で、中身を具体的に表す言葉にする。
図解化(A型図解)
グループ間の因果関係や対立関係を矢印で結ぶ工程のこと。KJ法の最終段階で、構造を一枚の図として可視化する。
親和図法(Affinity Diagram)
KJ法の英語圏での呼び名のこと。品質管理の「新QC七つ道具」にも含まれている。

KJ法の全体像
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KJ法:混沌からカード→グルーピング→図解で構造化するプロセス
① 書き出す1枚1件でカードに記入② グルーピング似たもの同士をまとめる③ 表札+図解化見出しと関係性を可視化混沌(バラバラなカード)構造化(グループ+関係性)表札A表札B表札C原因影響混沌 → 構造 → 発見 → アクション
KJ法の進め方フロー
1
カードに書き出す
1枚1件で20〜30枚以上書き出す
2
グルーピング
似たもの同士をボトムアップでまとめる
3
表札をつける
各グループに中身を表す具体的な見出しをつける
図解化して発見を得る
グループ間の因果関係を矢印で結び構造を可視化

こんな悩みに効く
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  • ブレストでたくさんアイデアが出たけど、どう整理すればいいかわからない
  • ユーザーインタビューの結果がバラバラで、何が本質的な課題か見えない
  • チームの意見がまとまらず、議論が堂々巡りしている

基本の使い方
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ステップ1: カードに書き出す(1枚1件)

テーマに関する情報やアイデアを、付箋やカードに1件ずつ書き出す。

ポイント:

  • 1枚に1つの内容だけを書く(これが最重要ルール)
  • 単語ではなく「短い文」で書く(後から見て意味がわかるように)
  • 最低でも20〜30枚は出す。量が質を生む

例:「お客さんが商品説明ページで離脱している」「サポートへの問い合わせが月100件ある」

ステップ2: グルーピングする

書き出したカードを広い場所(テーブルや壁)に広げ、内容が近いもの同士を直感的にまとめる

  • 「似ているな」と感じたら近くに置く
  • 無理にすべてをグループに入れなくてOK。どこにも属さない「一匹狼」カードがあっても問題ない
  • 先にカテゴリを決めてから分類するのはNG。ボトムアップで自然にまとまるのを待つ
ステップ3: 見出し(表札)をつける

できたグループそれぞれに、内容を端的に表す**見出し(表札)**をつける。

  • 「その他」はダメ。中身を表す具体的な言葉にする
  • 見出しを読むだけで全体像がわかるのが理想
  • さらに大きなグループにまとめる「大グループ化」を1〜2回繰り返すと、構造がクリアになる
ステップ4: 関係性を図解する

グループ同士の因果関係や対立関係を矢印や線で結び、図解としてまとめる。

  • 原因→結果の関係はあるか?
  • 対立・矛盾している関係はあるか?
  • 特に重要なグループはどれか?

この図解を見ながら、次のアクションや結論を導き出す。

具体例
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例1:SaaS企業がユーザーインタビュー30件を構造化する

状況: BtoB SaaS(プロジェクト管理ツール)のPMが、解約防止のためにユーザー30名にインタビュー。発言メモが120枚のカードに。

グルーピング結果(5グループ):

表札カード枚数代表的な声
初期設定の壁28枚「最初の設定が複雑すぎて挫折した」
チーム内の温度差24枚「管理者は使いたいが、メンバーが入力しない」
既存ツールとの重複22枚「SlackとGoogleカレンダーで十分な気がする」
カスタマイズの限界18枚「自社の業務フローに合わせられない」
コスト感15枚「1人800円は高い。使わない人の分も払っている」

図解での発見: 「初期設定の壁」→「チーム内の温度差」→「既存ツールとの重複感」が連鎖的に発生。初期設定でつまずく→一部のメンバーが使わない→「Slackで十分じゃない?」となる構造。

結果: 根本原因が「初期設定の壁」にあると判明。導入30日間の専任サポートを追加し、3ヶ月後にチャーン率が4.5%→2.8%に改善。カード120枚の混沌を5つの表札で構造化したことが、的確な打ち手につながった。

例2:製造業の改善ブレストで出た50のアイデアを整理する

状況: 従業員150名の食品メーカー。「生産性向上」のブレストで全社員から50件のアイデアが集まったが、バラバラで優先順位がつけられない。

グルーピング結果(4グループ+一匹狼2枚):

表札カード枚数要約
手作業のデジタル化16枚紙の帳票・手書き日報・Excelの転記作業をデジタル化
段取り替えのムダ12枚製品切替時の清掃・設定変更に1回あたり45分かかる
情報共有の遅さ11枚ライン間・シフト間の申し送りが口頭で漏れが多い
設備の老朽化9枚故障頻度が月3回、毎回平均2時間の停止

図解での発見: 「情報共有の遅さ」が「段取り替えのムダ」を悪化させている。前シフトの段取り情報が正確に伝わらないため、次シフトが一からやり直している。

結果: まず「情報共有の遅さ」に着手し、タブレットでの申し送りシステム(月額3万円)を導入。段取り替え時間が45分→28分に短縮され、年間の生産性が推定12%向上。50のバラバラなアイデアから「一番効果の高いレバレッジポイント」をKJ法で発見できた。

例3:個人が転職の判断材料を整理する

状況: 30歳のマーケター。転職すべきか悩んでいて、頭の中がモヤモヤ。「転職に関する考え」をすべてカードに書き出すことに。

書き出したカード(25枚)の例:

  • 年収が業界平均より80万円低い
  • 上司との相性が悪い
  • 今の会社の福利厚生は良い
  • マーケの幅を広げたい
  • 転職活動する時間がない
  • 住宅ローンの審査が通りにくくなる

グルーピング結果(4グループ):

表札カード枚数
今の会社への不満8枚
転職で得たいもの7枚
転職へのリスク・不安6枚
現状の良いところ4枚

図解での発見: 「今の会社への不満」の8枚のうち6枚が「上司との関係」に起因。会社そのものではなく特定の上司が原因だった。社内異動で解決する可能性を見落としていた。

結果: 転職ではなく社内異動を人事に相談。3ヶ月後に別チームに異動し、不満の75%が解消。年収・福利厚生は維持したまま、新しいチームでデジタルマーケティングの幅も広がった。KJ法で「何がモヤモヤの本質か」を構造化できたことが、冷静な判断につながった。

やりがちな失敗パターン
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  1. 先にカテゴリを決めてしまう — 「組織」「制度」「人」のように最初から分類を決めると、既存の枠にはめてしまい新しい発見が生まれない。カードを見ながらボトムアップで分けるのがKJ法の本質
  2. 1枚のカードに複数の内容を書く — 「Aだし、Bでもある」と1枚に詰め込むと、グルーピングのときに身動きが取れなくなる。迷ったら2枚に分ける
  3. グループの見出しが曖昧 — 「その他」「関連事項」のような見出しは思考停止のサイン。中身をもう一度見て、具体的な言葉を探す
  4. グルーピングで満足して図解化しない — グループに分けるだけでは「整理」止まり。グループ間の因果関係や対立関係を図解して初めて「発見」が生まれる

まとめ
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KJ法は、混沌とした情報を「構造」に変える日本発の名フレームワーク。大事なのは「1枚1件」のルールと、先入観なしにボトムアップで分けること。ブレスト後の整理、調査結果の分析、チームの意見集約など、使いどころは無限にある。付箋とペンを持って、まずは書き出すところから始めよう。