ストレングスファインダー

英語名 CliftonStrengths (StrengthsFinder)
読み方 クリフトン ストレングス
難易度
所要時間 40分(診断)+1時間(チーム共有)
提唱者 ドン・クリフトン(Gallup社)
目次

ひとことで言うと
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Gallup社が開発した34の資質の中から自分の強みトップ5を診断するツール。「弱みを直す」のではなく、強みを徹底的に伸ばすほうが成果が出るという考え方がベースにある。チームで共有すると、お互いの「なぜそう動くのか」が理解でき、役割分担が劇的に改善する。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
資質(Talent Theme)
Gallupが定義した34種類の思考・行動パターンのこと。先天的な傾向であり、鍛えるものではなく「すでに持っているもの」を見つける。
4つの領域(Four Domains)
34の資質を実行力・影響力・人間関係構築力・戦略的思考力の4カテゴリに分類したもの。チーム全体のバランスを俯瞰するのに使う。
強み(Strength)
資質に知識と技術を掛け合わせたもの。資質は素材、強みは完成品。才能だけでは強みにならない。
チーム・ストレングスマップ
メンバー全員の上位資質を一覧表にしたもの。チームに多い資質・足りない資質・補完関係が一目でわかる。

ストレングスファインダーの全体像
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34の資質は4領域に分類され、チーム全体のバランスを可視化する
実行力達成欲・アレンジ・信念公平性・慎重さ・規律性目標志向・責任感・回復志向物事を成し遂げる力影響力活発性・指令性・コミュニケーション競争性・最上志向・自己確信自我・社交性人を動かし主導する力人間関係構築力適応性・運命思考・成長促進共感性・調和性・包含・個別化ポジティブ・親密性チームを結びつける力戦略的思考力分析思考・原点思考・未来志向着想・収集心・内省学習欲・戦略性情報を分析し最善を見つける力強みの方程式才能 × 知識 × 技術 = 強み資質は素材。投資して初めて「強み」になる
1
診断を受ける
トップ5の資質を把握
2
チームで共有
ストレングスマップ作成
3
パターンを分析
多い資質・足りない資質・補完関係
4
役割を再設計
強みベースで分担を最適化
強みが活きるチーム
全員が得意領域で貢献

こんな悩みに効く
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  • 自分の強みが何なのか、客観的に知りたい
  • チームメンバーの得意・不得意が見えず、適材適所ができていない
  • 苦手なことを克服しようとして消耗している
  • メンバー同士の「なぜあの人はああ動くのか」が理解できず摩擦が生じている

基本の使い方
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ステップ1: 34の資質と4領域を理解する

34の資質は4つの領域に分類される。

  • 実行力: 達成欲、アレンジ、信念、公平性、慎重さ、規律性、目標志向、責任感、回復志向
  • 影響力: 活発性、指令性、コミュニケーション、競争性、最上志向、自己確信、自我、社交性
  • 人間関係構築力: 適応性、運命思考、成長促進、共感性、調和性、包含、個別化、ポジティブ、親密性
  • 戦略的思考力: 分析思考、原点思考、未来志向、着想、収集心、内省、学習欲、戦略性

ポイント: 上位の資質は「才能」であり、そこに知識と技術を掛け合わせると「強み」になる。

ステップ2: 診断を受けてトップ5を知る

Gallup公式サイトでオンライン診断を受ける(有料)。約177の質問に30分程度で回答。

結果の読み方:

  • トップ5: 自分の最も強い資質。この5つの組み合わせが自分の「個性」になる
  • 6〜10位: サブの強み。意識すれば活用できる
  • 下位5つ: 弱みではなく「自然にはやらないこと」。無理に使わなくていい

重要: 同じ資質でも人によって表れ方は違う。「達成欲」が1位の人でも、それがタスク消化に向かう人と、大きな目標を追う人がいる。

ステップ3: チームで結果を共有する

メンバー全員の結果を一覧にしてチーム・ストレングスマップを作る。

確認すべきポイント:

  • チームに多い資質: チームの文化や傾向が見える(「調和性」が多いチームは対立を避けがち)
  • チームにない資質: 盲点になりやすい(「戦略性」がいないチームは目の前のことに集中しすぎる)
  • 補完関係: Aさんの「着想」×Bさんの「実行力」のように、お互いの強みがカバーし合う関係

共有のワークショップでは、「この資質が仕事でどう役立っているか」をエピソードで語り合うと、理解が深まる。

ステップ4: 強みベースで役割を再設計する

強みマップを活かして、チームの役割分担を見直す。

  • 「達成欲」が高い人 → タスク管理やスプリントの推進役
  • 「共感性」が高い人 → ユーザーインタビューやカスタマーサポート
  • 「戦略性」が高い人 → 企画やロードマップの策定
  • 「コミュニケーション」が高い人 → プレゼンや社外発信

苦手な仕事は強みを持つ人に任せるか、仕組みでカバーする。全員が苦手なことは外注やツール導入を検討する。

具体例
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例1:プロダクトチーム5名でストレングスマップを作成し、ベロシティが42%向上

状況: Webサービス開発のチーム。メンバー全員が「自分の仕事」に閉じこもり、コラボレーションが弱かった。

チームリーダーの山本さんが全員で診断を実施し、ストレングスマップを作成。

メンバートップ5の資質領域の偏り
山本(リーダー)戦略性・未来志向・着想・最上志向・学習欲戦略的思考力に集中
井上(エンジニア)分析思考・慎重さ・規律性・回復志向・内省実行力+戦略的思考力
小林(デザイナー)共感性・個別化・着想・適応性・ポジティブ人間関係構築力中心
加藤(マーケター)コミュニケーション・社交性・活発性・競争性・自己確信影響力に集中
渡辺(PM)達成欲・責任感・アレンジ・目標志向・調和性実行力に集中

分析結果:

  • チーム全体で「親密性」がゼロ → 深い信頼構築は意識的に取り組む必要あり
  • 「着想」は山本・小林に重複 → アイデアは出るが実行に落とす人が少ない
  • 「共感性」は小林だけ → ユーザーの声を聴く役割を小林に集中

変更した役割分担:

  • スプリント管理: 山本 → 渡辺に移管(山本は戦略に集中)
  • ユーザーインタビュー: 小林がリード、他メンバーはオブザーバー
  • 外部発信: 加藤が月2回のブログとカンファレンス登壇を担当
  • コードレビュー: 井上が品質ゲートキーパーに(慎重さ×規律性を活用)

→ 3ヶ月後、スプリントのベロシティが42%向上。メンバー全員が「得意なことに集中できるようになった」と回答。

例2:営業部門25名の配置転換でトップライン18%増

状況: 法人営業部門25名。全員に同じ営業プロセス(新規開拓→提案→クロージング)を求めていたが、成績のバラつきが大きかった。

部門長が全員にストレングスファインダーを受けさせ、資質の分布を可視化。

資質の傾向人数得意なフェーズ
社交性・活発性が上位8名新規開拓・初回アプローチ
分析思考・個別化が上位7名課題分析・提案書作成
競争性・指令性が上位5名クロージング・交渉
共感性・調和性が上位5名既存顧客フォロー・関係維持

施策: 全員が全プロセスを担当する「一気通貫型」から、強みに応じた分業型に変更。

  • ハンター: 社交性チームが新規アポ獲得に専念
  • ソリューション: 分析チームが提案書とデモを担当
  • クローザー: 競争性チームが最終交渉を担当
  • ファーマー: 共感性チームが既存顧客のLTV最大化を担当

→ 半年後、部門全体の売上が前年比18%増。「苦手なフェーズでの消耗がなくなった」と離職率も14%→6%に低下。

例3:地方の介護事業所40名が職員満足度を28ポイント改善

状況: 介護施設3拠点・職員40名。「誰でも同じケアができるように」と標準化を推進したが、職員の満足度が低下し離職が増加。

施設長がストレングスファインダーを導入し、「画一的なケア」から「個性を活かすケア」への転換を試みた。

診断で見えたこと:

  • 「共感性」「個別化」が上位のスタッフ → 利用者一人ひとりに寄り添うケアが得意
  • 「規律性」「責任感」が上位のスタッフ → 記録・報告・安全管理が正確
  • 「ポジティブ」「社交性」が上位のスタッフ → レクリエーションや家族対応が得意
  • 「学習欲」「収集心」が上位のスタッフ → 新しい介護技術の研究や勉強会のリードが得意

実施した変更:

役割担当者の資質内容
ケアプラン作成リード共感性・個別化利用者・家族との面談を中心に
安全・品質管理者規律性・責任感記録監査・インシデント管理
レクリエーション企画ポジティブ・社交性月間イベント計画・運営
技術研修リーダー学習欲・収集心月1回の勉強会を主催

→ 1年後、職員満足度調査が52点→80点に28ポイント改善。離職率も22%→9%に低下。利用者家族からの感謝の声も1.5倍に増加。

やりがちな失敗パターン
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  1. 診断結果でラベルを貼る — 「あの人は共感性がないから冷たい」という使い方は完全にNG。下位の資質は「ない」のではなく「自然にはやらない」だけ。人をジャッジするツールではない
  2. 弱みの克服に使ってしまう — 「分析思考が下位だからデータ分析を訓練しよう」は本末転倒。弱みは仕組みや他の人でカバーし、本人は強みに集中させる
  3. 一度共有して終わり — 結果を知っただけでは何も変わらない。日常の役割分担やフィードバックに継続的に組み込むことで初めて効果が出る
  4. トップ5だけ見て全体像を無視する — 個人のトップ5を見るだけでなく、チーム全体の「資質マップ」を作らないと適材適所にならない。チームに足りない資質こそ重要な情報

まとめ
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ストレングスファインダーは、「何が足りないか」ではなく「何が強いか」に目を向ける発想の転換ツール。個人の自己理解にも、チームの役割設計にも使える。弱みを頑張って平均にするより、強みを尖らせて掛け合わせるほうが、チームは圧倒的に強くなる。診断して終わりにせず、日常の役割分担・1on1・チーム設計に継続的に活かすことが成功の鍵。