7ドメインモデル

英語名 Seven Domains Model
読み方 セブン ドメイン モデル
難易度
所要時間 2〜5日(調査・議論含む)
提唱者 John Mullins『The New Business Road Test』(2003年)
目次

ひとことで言うと
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新規事業やスタートアップのアイデアを**7つの領域(ドメイン)**で体系的に評価するフレームワーク。「市場は魅力的か」「業界構造は有利か」「チームに実行力はあるか」を、マクロ・ミクロの両面から検証し、致命的な見落としを事前に防ぐためのチェックリスト。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
マクロ市場(Market Domain - Macro)
参入しようとする市場全体の規模・成長性・トレンド。大きく成長している市場なのか、縮小している市場なのかを見る。
ミクロ市場(Market Domain - Micro)
ターゲットとする特定セグメントの顧客ニーズと行動。「買いたい」と言う人が本当にいるか、お金を払う意欲があるかを確認する。
マクロ業界(Industry Domain - Macro)
ポーターの5フォースなどで測る業界構造の魅力度。参入障壁、競合の激しさ、代替品の脅威など。
チームドメイン
創業チームや事業推進チームの能力・経験・ネットワーク・コミットメント。同じアイデアでもチーム次第で成否が分かれる。

7ドメインモデルの全体像
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7ドメインモデル:新規事業を7つの視点で評価
市場の魅力度業界の魅力度マクロ(俯瞰)1. 市場全体の魅力度規模・成長率・トレンド大きく伸びている市場か?2. 業界構造の魅力度5フォース・競合・参入障壁利益を出しやすい構造か?ミクロ(具体)3. ターゲット顧客具体的な顧客のニーズ・痛みお金を払う顧客が実在するか?4. 持続的な差別化独自性・模倣困難性競合に真似されない優位性か?5. ミッションチームの志・コミットメント6. 実行力スキル・経験ネットワーク7. つながり上流・下流とのコネクションチームドメイン市場4領域+チーム3領域=7つのドメインで新規事業を多角的に評価する1つでも致命的な弱点があれば、Go判断を見送るべきシグナル
7ドメイン評価の進め方
1
マクロ調査
市場規模・業界構造を定量データで確認
2
ミクロ検証
顧客インタビューで具体的なニーズを確認
3
チーム評価
実行力・ミッション・コネクションを棚卸し
4
Go / No-Go判断
7ドメインの総合評価で意思決定

こんな悩みに効く
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  • 新規事業のアイデアに自信はあるが、客観的に評価する基準がない
  • ビジネスプランコンテストに応募するが、弱点がどこかわからない
  • 投資先の選定に使える体系的な評価軸が欲しい

基本の使い方
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市場ドメイン(マクロ+ミクロ)を評価する

まず「市場」の魅力度を2つのレベルで確認する。

  • マクロ: 市場全体の規模(TAM)、成長率、トレンド。公開データ・業界レポートで確認
  • ミクロ: ターゲット顧客に直接会い、ニーズの強さと支払意欲を検証する
  • マクロが大きくてもミクロで「お金を払う顧客がいない」なら致命的
業界ドメイン(マクロ+ミクロ)を評価する

次に「業界構造」の有利さを確認する。

  • マクロ: 5フォース分析で業界の収益構造を把握。利益を上げやすい業界か?
  • ミクロ(差別化): 自社の提供する価値は競合と何が違うか?その違いは持続するか?
  • 業界が魅力的でも、差別化できなければ価格競争に巻き込まれる
チームドメイン(3要素)を正直に評価する

最も見落とされがちだが最も重要な領域。

  • ミッション: なぜこの事業をやるのか。困難があっても続ける覚悟はあるか
  • 実行力: この事業を成功させるためのスキル・経験がチームにあるか。足りないスキルを補える人材は確保できるか
  • つながり: 仕入先、販路、キーパーソンとのネットワーク。ゼロからだと時間がかかるものがある

具体例
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例1:ペット向けサブスク食品のGo/No-Go判断

状況: 会社員2人がペット向けの手作りフード宅配サービスを起業しようとしている

7ドメイン評価:

ドメイン評価理由
1. 市場マクロペット食品市場は年率8%成長。飼い主の高齢化で「手間なく高品質」のニーズ拡大
2. 業界マクロ大手の寡占ではあるが、D2C新興ブランドの参入余地はある
3. ターゲット顧客インタビュー20名中15名が「月5,000円なら試す」と回答
4. 差別化獣医監修のレシピ。ただし模倣は比較的容易
5. ミッション2人とも元ペット業界勤務で強い思い入り
6. 実行力マーケティング経験がない。物流・製造のノウハウも不足
7. つながり食品工場や物流パートナーの候補がまだない

判断: 市場とミッションは強いが、実行力とつながりに弱点。条件付きGo — マーケティング経験者の追加採用と、OEM工場のパートナーシップ締結を起業前の条件とした。

例2:製造業の社内新規事業「工場見学プラットフォーム」

状況: 自動車部品メーカーの社内ベンチャー制度で提案された「工場見学をマッチングするWebプラットフォーム」の評価

7ドメイン評価:

ドメイン評価理由
1. 市場マクロ工場見学市場は小さい(年間推定50億円程度)
2. 業界マクロ既存プレイヤーがほぼいない(ブルーオーシャン)
3. ターゲット顧客ヒアリング結果、「見学したい」企業は多いが「お金を払いたい」企業は少ない
4. 差別化自社の工場ネットワークを活用できる
5. ミッション製造業の魅力発信に共感するメンバー
6. 実行力Web開発経験がチームにない
7. つながり取引先250社のネットワークが既にある

判断: No-Go。市場規模が小さく、顧客の支払意欲が弱い。つながりは強いが、それだけでは事業として成立しない。アイデアをピボットし、「工場DX診断サービス」(既存のつながりと製造知識を活かし、支払意欲の高い顧客課題に切り替え)として再提案した。

例3:地方の農家による観光農園の事業評価

状況: 兼業農家(みかん栽培)が、観光農園+農泊を始めたいと考えている

7ドメイン評価:

ドメイン評価理由
1. 市場マクロ農泊・グリーンツーリズム市場は年率15%成長。インバウンド需要も追い風
2. 業界マクロ地域に同業者は少ない。ただし参入障壁は低い
3. ターゲット顧客SNS調査で「みかん狩り+農泊」への関心が高い層を確認
4. 差別化50年のみかん栽培ノウハウ。ただし「農泊」自体は差別化が弱い
5. ミッション地域の農業を次世代に残したいという強い志
6. 実行力接客・集客の経験がない
7. つながり地元の観光協会・JA・旅館との関係あり

判断: 条件付きGo。差別化を強化するため「みかん畑でのグランピング体験」に特化(ただの農泊ではなく体験型に差別化)。接客スキルは観光協会の研修プログラムで補う。初年度は週末のみの営業からスタートしてリスクを抑える方針。

やりがちな失敗パターン
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  1. 市場の魅力度だけで判断する — 「市場が大きい=成功する」ではない。業界構造が悪ければ利益が出ず、チームが弱ければ実行できない。7ドメインすべてを見る
  2. ミクロ検証をスキップする — マクロデータで「市場は成長中」と確認しただけで安心するのは危険。実際にお金を払う顧客が存在するかはインタビューでしかわからない
  3. チームの弱点を楽観視する — 「やりながら学ぶ」は美しいが、致命的なスキル不足は事業を殺す。足りないスキルの補い方を事前に具体的に計画する
  4. 1ドメインの強みで他の弱点をカバーできると思う — 「チームは最強だから市場が小さくても大丈夫」とはならない。各ドメインには最低ラインがあり、それを下回れば他がいくら強くても致命傷になる

まとめ
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7ドメインモデルの価値は「情熱だけで突っ込まない」ための冷静なチェック機能にある。新規事業には「やりたい」という熱量が不可欠だが、それだけでは足りない。市場・業界・チームの7領域を1つずつ検証し、致命的な穴がないかを確認してから踏み出す方が、結果として成功確率は上がる。すべてが◎である必要はないが、致命的な×が1つでもあればそれを解消してから進むべきだ。「準備をしすぎて動けない」のも問題だが、「検証なしに動く」のはもっと大きな問題になる。