ソリューションマッピング

英語名 Solution Mapping
読み方 ソリューション マッピング
難易度
所要時間 マップ作成に2〜4時間、提案ごとにカスタマイズ
提唱者 ソリューションセリングの提案設計プロセスを可視化手法として体系化
目次

ひとことで言うと
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顧客の課題と自社ソリューションの機能・サービスをマトリクスで対応づけ、「この課題にはこれが効く」を1枚の図で可視化する手法。提案書が「機能の羅列」ではなく「課題解決の設計図」になる。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
ペインポイント(Pain Point)
顧客が抱える具体的な課題や困りごとのこと。ソリューションマッピングの左軸に配置する要素。
ケイパビリティ(Capability)
自社が提供できる機能・サービス・知見を指す。マッピングの右軸に配置し、ペインポイントと紐付ける。
フィットギャップ(Fit/Gap)
顧客の要件に対して自社が**対応できる部分(フィット)と対応できない部分(ギャップ)**を明確にする分析手法。
ユースケース(Use Case)
特定の課題に対してソリューションがどう使われるかの具体的な利用シナリオ。マッピングの説得力を高める。

ソリューションマッピングの全体像
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ソリューションマッピング:課題×機能の対応マトリクス
課題 × ソリューションの対応マップ顧客の課題課題A: 手作業が多い課題B: ミスが多い課題C: 可視化不足自社ソリューション機能1: 自動入力機能2: バリデーション機能3: ダッシュボード対応関係を明示マッピングがもたらす効果不要機能の削除課題に対応しない機能を省く提案の説得力課題→解決の流れが一目瞭然ギャップの発見対応できない課題が明確に「この機能があります」ではなく「この課題はこう解決します」が提案の基本形
ソリューションマッピングの進め方フロー
1
課題の洗い出し
ディスカバリーで把握した顧客の課題を優先度順に並べる
2
機能の棚卸し
自社の機能・サービスを課題に対応づけられる粒度で整理する
3
マッピングの作成
課題と機能を紐付け、フィット/ギャップを明確にする
提案書への反映
マップを提案書の軸にし、課題→解決の流れで構成する

こんな悩みに効く
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  • 提案書が機能一覧のカタログになってしまう
  • 顧客から「うちの課題に本当に合っているの?」と言われる
  • 提案の準備に時間がかかりすぎる

基本の使い方
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顧客の課題を優先度順にリストアップする

ディスカバリーで把握した課題を整理し、優先度をつける。

  • 顧客が口にした課題を箇条書きにする
  • 「最も困っていること」「最もインパクトが大きいこと」を上位に
  • 3〜7個に絞る(多すぎると焦点がぼやける)

ポイント: 顧客が言葉にしていない潜在的な課題も含める。「○○も課題ではないですか?」と確認する。

自社の機能・サービスを課題に対応づける

自社のケイパビリティを棚卸しし、各課題にどれが対応するかを紐付ける。

  • 1つの課題に対して1〜3の機能を対応づける
  • 対応できない課題があれば「ギャップ」として正直に記載する
  • ギャップに対しては代替案(パートナー連携、段階的対応)を検討

ポイント: 全課題に100%対応できなくても良い。対応できる部分とできない部分を正直に示す方が信頼される。

マップを提案書の構成に反映する

ソリューションマップを提案書の骨格にし、課題→解決の流れで構成する。

  • 提案書の各章を「課題A→解決策→期待効果」の構成にする
  • マップの図を提案書のエグゼクティブサマリーに配置
  • 競合との比較もマップ上で可視化する(自社がカバーできて競合がカバーできない領域を強調)

ポイント: 機能紹介ページの前に必ずマップページを入れる。「なぜこの機能が必要なのか」の文脈を先に示す。

具体例
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例1:会計SaaSが中堅企業の5つの課題にマッピングして受注

状況: 従業員40名のクラウド会計SaaS。従業員300名の物流企業に提案。競合2社(大手会計ソフトとスタートアップ)と比較検討中。

ソリューションマップ:

顧客の課題自社競合A(大手)競合B(スタートアップ)
月次決算に10日かかる◎ 自動仕訳+承認ワークフロー○ 自動仕訳あり△ 手動設定が必要
支店ごとの収支が見えない◎ 部門別ダッシュボード◎ 部門別集計あり× 単一法人のみ
Excel手入力のミスが多い◎ 銀行API連携+バリデーション○ CSV取込のみ◎ API連携あり
税理士との共有が面倒◎ リアルタイム共有機能× 個別にデータ出力○ 共有は可能
IT部門がいなくても運用したい◎ ノーコード設定× 専任担当が必要◎ シンプルUI

このマップを提案書の1ページ目に配置し、「5つの課題すべてにフィットするのは自社だけ」と視覚的に訴求。

競合Aは「部門別集計」で強いが「税理士共有」で弱い。競合Bは「シンプルUI」で強いが「部門別管理」で致命的なギャップ。この差を1枚の図で見せたことで、価格が中間(競合Aより安く、競合Bより高い)であっても「総合力で選ぶ」という判断になった。年間契約額480万円で受注。

例2:人材育成会社がマッピングで提案書の作成時間を70%削減

状況: 従業員20名の法人研修会社。毎回の提案でゼロから提案書を作成しており、1社あたりの提案準備に3日かかっていた。

ソリューションマップの構築: 自社の研修サービス15種類を、顧客が抱えがちな課題12パターンに対応づけたマスターマップを作成。

課題カテゴリ対応する研修ユースケース
管理職の部下育成力不足リーダーシップ研修+1on1コーチング離職率改善
新人の即戦力化が遅いOJTトレーナー育成+新人研修立ち上がり期間短縮
部門間の連携が悪いクロスファンクショナル研修プロジェクト推進力向上
ハラスメントリスクコンプライアンス研修+ケーススタディリスク低減

提案プロセスの変化:

  1. ディスカバリーで顧客の課題を聞く
  2. マスターマップから該当する課題×研修の組み合わせを選ぶ
  3. 選んだ組み合わせをベースに提案書を自動生成
指標マップ導入前導入後
提案書の作成時間3日0.8日(70%削減
月間提案件数4件10件
受注率25%32%

作成時間の短縮で提案件数が2.5倍に増加。さらに、マップベースの提案は「課題→解決策」の構成が統一されているため、提案品質も安定して受注率が向上した。

例3:中小のITベンダーがギャップを正直に示して信頼を獲得

状況: 従業員30名のITベンダー。従業員150名の不動産管理会社に基幹システムの提案。顧客は7つの課題を挙げたが、自社ですべてに対応するのは難しい状況。

ソリューションマップ:

課題自社の対応力対応策
物件管理の一元化自社の管理モジュールで対応
入居者対応の効率化チャットボット連携で対応
契約書の電子化自社の基本機能で対応可能
会計との自動連携API連携で対応
修繕計画の管理パートナー企業のツールと連携
Webでの内見予約×外部サービスとの組み合わせを提案
オーナー向けレポート自動レポート生成で対応

正直なプレゼン: 「7つの課題のうち、自社単独で対応できるのは5つ。残り2つはパートナー連携で対応します。すべてを自社でカバーするより、得意分野に集中した方が御社にとって品質が高くなります」と説明。

競合(大手SIer)は「7つすべて対応可能」と提案していたが、見積額は自社の2.5倍。顧客は「正直にギャップを示してくれた会社の方が信頼できる」と判断し、自社に発注。年間契約額600万円+パートナー分180万円

ギャップを隠さずにマッピングで可視化したことが、逆に信頼獲得につながった。

やりがちな失敗パターン
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  1. 機能起点でマップを作る — 「当社にはこの機能があります」から始めると課題との接続が曖昧になる。必ず課題起点で左から右へマッピングする
  2. ギャップを隠す — 対応できない課題をマップに載せないと、後から発覚して信頼を失う。正直に示し、代替案を添える方が信頼される
  3. マップが細かすぎる — 20課題×30機能のマトリクスは誰も読まない。重要な課題3〜7個に絞り、1枚で把握できるサイズにする
  4. マップを作って提案書に反映しない — マップは社内分析ツールではなく、顧客に見せる提案資料の軸。提案書の冒頭に配置する

まとめ
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ソリューションマッピングは、顧客の課題と自社の機能を対応づけて可視化する手法。「この課題にはこの機能が効く」を1枚の図で示すことで、提案書が機能カタログから課題解決の設計図に変わる。フィットだけでなくギャップも正直に示すことで、顧客の信頼を得ながら提案の説得力を高める。