ミューチュアル・アクションプラン

英語名 Mutual Action Plan
読み方 ミューチュアル アクション プラン
難易度
所要時間 作成30分、商談期間中に随時更新
提唱者 B2B営業のベストプラクティスとして確立。SalesforceやHubSpotなどが推奨
目次

ひとことで言うと
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売り手と買い手が**「ゴール(導入日)から逆算して、誰が・いつ・何をするか」を共同で計画表にまとめる**クロージング手法。営業が一方的に追客するのではなく、顧客と一緒に計画を管理することで商談のコントロールを取る。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
ミューチュアル(Mutual)
双方の・共同のという意味。営業だけが作る計画ではなく、顧客と共同で作成・管理する点がこのフレームワークの核心。
ゴーライブデート(Go-Live Date)
ソリューションの本番稼働開始日のこと。MAPではこの日から逆算してすべてのマイルストーンを設定する。
マイルストーン(Milestone)
ゴーライブに向けた中間チェックポイントを指す。「デモ完了」「稟議書提出」「契約締結」などが典型的なマイルストーン。
ブロッカー(Blocker)
計画の進行を妨げる障害。未解決のブロッカーがあると商談が停滞するため、早期に特定し対処する。

ミューチュアル・アクションプランの全体像
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MAP:ゴーライブから逆算する共同計画の構造
ゴーライブ8月1日← ここから逆算 ←5月15日デモ+評価担当: 営業+IT部門□ 完了6月1日稟議書作成担当: 顧客チャンピオン□ 完了6月15日契約締結担当: 法務+営業□ 完了7月1日導入・研修担当: CS+現場□ 完了MAPの3つの特徴双方の担当を明記営業のタスクだけでなく顧客のタスクも記載ゴールから逆算導入日を起点にマイルストーンを逆算共同で管理共有ドキュメントで進捗を双方が更新「営業が追客する」のではなく「一緒に計画を進める」関係を作る顧客もタスクを持つことで、案件の当事者意識が生まれる
ミューチュアル・アクションプランの進め方フロー
1
ゴーライブ日の合意
顧客と一緒に「いつまでに導入したいか」を決める
2
マイルストーンの設定
ゴーライブから逆算し、各ステップの期日と担当を決める
3
共同で進捗管理
共有ドキュメントで進捗を双方が更新し、遅延を早期に検知する
計画通りの導入
双方のタスクが完了し、予定日にゴーライブを実現する

こんな悩みに効く
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  • 「来月には決まります」が3ヶ月続いている
  • 商談の進捗が営業側からしか見えない
  • 顧客側のタスク(稟議・社内調整)が遅延して商談が止まる

基本の使い方
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ゴーライブ日を顧客と合意する

まず「いつまでに使い始めたいか」を顧客と決める。

  • 「いつ頃の導入をお考えですか?」ではなく「○月○日の導入を目指しませんか?」と具体的に提案
  • 顧客のビジネスイベント(期初、新プロジェクト開始、法改正施行日)に合わせる
  • ゴーライブ日が決まると、そこから逆算で全体のスケジュールが決まる

ポイント: ゴーライブ日が曖昧だと計画全体が曖昧になる。「来年の頭」ではなく「1月15日」と日付で合意する。

マイルストーンと担当を設定する

ゴーライブから逆算して、各ステップの期日・担当者・成果物を決める。

  • デモ/トライアル完了 → 担当: 営業+顧客IT部門
  • 稟議書作成・提出 → 担当: 顧客チャンピオン(営業が資料を支援)
  • 契約締結 → 担当: 法務+営業
  • 環境構築・データ移行 → 担当: CS+顧客IT部門
  • 研修・ゴーライブ → 担当: CS+現場マネージャー

ポイント: 顧客側のタスクも明記する。「稟議書はいつ出しますか?」「IT部門の技術チェックはいつ完了しますか?」を具体的に書く。

共有ドキュメントで進捗を管理する

MAPをGoogleスプレッドシートやNotion等で共有し、双方が更新する。

  • 週次で進捗を確認し、遅延があれば即座に対策を打つ
  • 新たなブロッカーが発生したら追記する
  • 完了したマイルストーンにチェックを入れる

ポイント: MAPは「営業の管理ツール」ではなく「共同プロジェクトの計画書」。顧客にも更新してもらうことで当事者意識が生まれる。

具体例
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例1:CRM SaaSが商談期間を半減させる

状況: 従業員80名のCRM SaaS。平均商談期間が4.5ヶ月と長く、途中で案件が消えるケースが多い。営業マネージャーが「商談の見通しが立たない」と悩んでいた。

MAP導入: 商談の初期段階で顧客と共同でMAPを作成するプロセスを標準化。

マイルストーン期日担当成果物
デモ+評価4/15営業+顧客IT評価レポート
ROI試算4/22営業+顧客経営企画ROI算出シート
稟議書提出5/1顧客チャンピオン稟議書(営業が下書き支援)
経営会議5/15顧客承認
契約締結5/25法務+営業契約書
データ移行+研修6/1-15CS+顧客移行完了確認書
ゴーライブ6/15全員本番稼働
指標MAP導入前MAP導入6ヶ月後
平均商談期間4.5ヶ月2.3ヶ月
途中離脱率35%18%
予測精度(着地率)52%78%

商談期間が約半分に短縮し、途中離脱率も大幅に改善。計画が共有されていることで、顧客側のタスク遅延が早期に検知できるようになった。

例2:コンサルファームが大手小売の年度内導入を実現

状況: 従業員60名の業務改善コンサルティング会社。大手小売チェーン(従業員3,000名)から「来年度の予算で検討する」と言われたが、顧客のDX推進担当者は「できれば今年度中に成果を出したい」と本音を漏らしていた。

MAP作成: DX推進担当者と共同で「年度内ゴーライブ」のMAPを作成し、逆算スケジュールを可視化。

  • ゴーライブ: 3月15日(年度末の2週間前)
  • 契約締結期限: 1月31日(導入準備に6週間必要)
  • 経営会議承認: 1月15日(稟議準備に2週間)
  • 稟議書提出: 1月1日
  • パイロット結果報告: 12月20日

MAPを見たDX推進担当者が「この計画なら経営会議に出せる」と判断。パイロット(3店舗で実施、2ヶ月間)の結果を稟議書に添付し、1月の経営会議で承認を獲得。

年間契約額2,400万円を年度内に受注。「来年度の予算で」を「今年度中にゴーライブ」に変えたのは、MAPで逆算スケジュールを可視化し「今動かないと間に合わない」という緊急性を顧客自身に認識させたから。

例3:中小のSIerが顧客の稟議遅延をMAPで防止

状況: 従業員50名のSIer。中堅建設会社(従業員200名)に工事管理システムの導入を提案。過去に同様の案件で「顧客の稟議が遅れて予算が失効」という失注を2回経験。

MAP作成: 提案初期の段階で顧客の総務部長とMAPを共有。

マイルストーン期日売り手の担当買い手の担当
要件定義ヒアリング6/1SE工事部長
デモ(2回)6/15, 6/22営業+SE工事部長+IT担当
見積もり提出7/1営業
技術チェック7/10SEIT担当
稟議書作成7/15営業(下書き支援)総務部長
経営会議7/25社長
契約締結8/1法務総務部長
導入・研修8/15-31SE+CS工事部+IT
ゴーライブ9/1全員全員

稟議遅延の防止策: 7月10日の時点で技術チェックが完了していない場合、自動的に「ブロッカーアラート」を双方に通知するルールを設定。

結果として、稟議書は7月14日に提出(1日前倒し)。経営会議も予定通り7月25日に承認。9月1日のゴーライブに遅延ゼロで到達。契約額1,200万円

過去2回の失注パターン(稟議遅延→予算失効)を、MAPによる早期アラートで完全に防止した。顧客の総務部長からは「こういう計画表があると社内調整がしやすい」と高評価を得ている。

やりがちな失敗パターン
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  1. 営業だけが管理する計画書になる — 顧客が更新に参加しなければ「営業の希望スケジュール」にすぎない。共有ドキュメントで双方が更新する
  2. ゴーライブ日を決めずに作る — 期日が曖昧だとマイルストーンも曖昧になり、計画として機能しない。「○月○日」と日付で合意する
  3. 顧客のタスクを書かない — 営業のアクションだけ並べても意味がない。稟議提出・技術チェック・経営会議など顧客側のタスクと期日を必ず明記する
  4. 作って終わり — MAPは「作る」より「運用する」が重要。週次で進捗を確認し、遅延が出たら即座に対策を打つ

まとめ
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ミューチュアル・アクションプランは、ゴーライブ日から逆算して売り手と買い手の共同クロージング計画を作る手法。営業が一方的に追客するのではなく、顧客もタスクを持ち、双方で進捗を管理する。商談期間の短縮、途中離脱の防止、予測精度の向上に直結する。