スケッチノート法

英語名 Sketch Note Method
読み方 スケッチ ノート メソッド
難易度
所要時間 1回の講義・会議あたり20〜40分
提唱者 Mike Rohde『The Sketchnote Handbook』(2012年)
目次

ひとことで言うと
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文字・アイコン・矢印・囲み枠などのシンプルなビジュアル要素を使ってノートを取る手法。絵がうまい必要はなく、「丸・四角・矢印・棒人間」が描ければ十分。視覚と言語の両方で情報を処理するため、文字だけのノートより記憶定着率が高い。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
スケッチノート(Sketchnote)
テキストとシンプルなイラストを1ページに統合したビジュアルノートを指す。
ビジュアルボキャブラリー
スケッチノートで使う基本的な図形やアイコンのセットを指す。丸、四角、矢印、吹き出し、棒人間など。
レイアウトパターン
ノートの情報配置の型である。リニア(上から下)、ラジアル(中心から放射)、モジュラー(ブロック分割)などがある。
タイポグラフィ
文字の大きさ・太さ・装飾を変えることで情報の重要度を視覚的に伝える手法。

スケッチノート法の全体像
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5つの基本要素とレイアウトパターン
スケッチノートの5つの基本要素テキストAa見出しは大きく本文は小さく太さで強弱をつける図形丸・四角・三角で分類を表現コネクタ流れや関係を矢印でつなぐ囲み枠重要!グループ化や強調に使うアイコン棒人間やシンボル3つのレイアウトパターンリニア型上から下に時系列で記録講義・会議に最適ラジアル型中心から放射状に展開ブレスト・概念整理にモジュラー型ページをブロック分割複数トピックの並行記録
スケッチノート法の実践フロー
1
レイアウトを決める
リニア/ラジアル/モジュラーから場面に合った型を選ぶ
2
大見出しを書く
タイトルを大きく太く書いてページの軸を作る
3
キーワード+アイコンで記録
文をそのまま書かず、要点を図形・矢印・囲みと組み合わせる
色と装飾で仕上げる
2〜3色で色分けし、見返したくなるノートに仕上げる

こんな悩みに効く
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  • 文字だけのノートが後から読み返す気にならない
  • 講義の内容をそのまま書いて整理できない
  • チームに共有するノートを分かりやすく作りたい
  • マインドマップは試したが合わなかった

基本の使い方
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ステップ1:ビジュアルボキャブラリーを準備する
絵のうまさは不要。丸、四角、三角、矢印、吹き出し、棒人間の6つが描ければ十分。最初は白紙に30秒でこの6つを描く練習をする。慣れたら星、チェックマーク、電球(アイデア)、旗(目標)などを追加していく。
ステップ2:レイアウトパターンを選ぶ
講義や会議など時系列で進むものは「リニア型」、ブレストや概念整理は「ラジアル型」、複数トピックが並行する場合は「モジュラー型」を選ぶ。最初はリニア型が最も簡単。
ステップ3:聞きながらキーワード+アイコンで記録する
話者の言葉をそのまま書かず、「キーワード」に凝縮してアイコンや囲みと組み合わせる。重要な数字は大きく書く。関係性は矢印でつなぐ。「完璧に記録する」のではなく「構造を捉える」ことに集中する。
ステップ4:色と装飾で仕上げる
記録後、2〜3色のペンやマーカーで色分けを加える。見出し=色A、重要ポイント=色B、補足=色Cのように統一ルールを決めると見やすくなる。この仕上げの過程が内容の復習にもなる。

具体例
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例1:プロダクトマネージャーがカンファレンスのセッションを記録する

SaaS企業のPM(32歳)は年に2〜3回の業界カンファレンスに参加するが、講演メモが散漫で後から見返しても要点が掴めなかった。

スケッチノート法をiPad + Apple Pencilで導入。各セッションでモジュラー型レイアウトを使い、「キーメッセージ」「データ」「アクション」の3ブロックに分けて記録。

  • キーメッセージ: 大きな文字 + 囲み枠
  • データ: 数字を太字 + 棒グラフのアイコン
  • アクション: チェックボックス + 矢印

1つのカンファレンスで12セッション分のスケッチノートをSlackに投稿したところ、社内のリアクションは文字メモ時代の 3倍 に。チームメンバーから「これ見れば参加しなくても要点が分かる」と好評で、以降カンファレンス参加時の標準フォーマットになった。

例2:高校教師が授業プリントをスケッチノート形式に変える

公立高校の社会科教師(38歳)は、生徒の授業プリントの活用率が低いことに悩んでいた。従来のプリントは文字と表だけで、テスト前に見返す生徒は 22%

スケッチノートの手法を取り入れ、プリントを「書き込み型スケッチノート」にリニューアル。

要素従来リニューアル後
レイアウト文字の羅列モジュラー型(テーマ別ブロック)
重要語句太字のみ空欄+アイコン(生徒が描く)
因果関係文章で説明矢印コネクタで図示
年号表形式タイムライン形式

テスト前のプリント活用率は 22% → 67% に上昇。定期テストのクラス平均点は 58点 → 66点 に改善。「プリントが可愛くて見返したくなる」という生徒の声が最も多かった。

例3:フリーランスのコンサルタントがクライアント報告書を差別化する

独立系の経営コンサルタント(45歳)は、ヒアリング結果や分析内容をWord形式の報告書で提出していた。内容は評価されているが「読みにくい」「長い」というフィードバックが続いていた。

報告書のサマリーページをスケッチノート形式に変更。ラジアル型で中心に「課題」を置き、放射状に「原因」「施策」「期待効果」を展開。数字は大きく手書き風フォントで強調。

クライアント5社に新形式で納品した結果:

  • 報告書の平均閲覧時間: 12分 → 18分 (最後まで読まれるように)
  • 「分かりやすい」の評価: 5社中 4社 が「非常に分かりやすい」と回答
  • リピート依頼率: 前年 40% → 今年 80%

差別化要因は内容ではなく「見せ方」だったと本人は振り返っている。

やりがちな失敗パターン
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  1. 絵を上手に描こうとしすぎる — スケッチノートは芸術作品ではない。棒人間と丸四角で十分。美しさより速さを優先する。
  2. 全部を記録しようとする — スケッチノートは「全文筆記」ではなく「構造の抽出」。話の20%のキーワードを捉えれば、残り80%は思い出せる。
  3. 色を使いすぎる — 5色以上使うとかえって見にくくなる。メイン色+アクセント1色+グレーの3色が基本。
  4. 練習せずにぶっつけ本番で試す — いきなりカンファレンスで使うと、聞くことと描くことの両立ができずパニックになる。まずYouTubeの短い講演(5分)で練習する。

まとめ
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スケッチノート法は、テキスト・図形・矢印・囲み・アイコンの5要素で情報を視覚的に整理するノート術。絵が上手い必要はなく、基本の図形が描ければ誰でも始められる。リニア・ラジアル・モジュラーの3つのレイアウトから場面に合った型を選び、キーワードとアイコンの組み合わせで要点を記録する。2〜3色で仕上げれば、見返したくなるノートが完成する。