リソースキャパシティ・マトリクス

英語名 Resource Capacity Matrix
読み方 リソース キャパシティ マトリクス
難易度
所要時間 初回作成2〜3時間、更新は週15分
提唱者 プロジェクトマネジメント全般 / リソースマネジメント
目次

ひとことで言うと
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チームメンバーの稼働可能時間と各プロジェクトへの配分を一覧表にまとめ、誰がどれだけ空いているか、誰が過負荷かを一目で把握するリソース管理ツール。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
キャパシティ(Capacity)
メンバーが業務に使える総稼働時間。一般的には月の営業日数 × 1日の稼働時間から算出する。
アロケーション(Allocation)
メンバーのキャパシティを各プロジェクトにどの割合で配分するかを示す数値。100%配分=そのPJ専任。
稼働率(Utilization Rate)
キャパシティに対するアロケーション済み時間の割合。80%前後 が健全とされ、100%超は過負荷のサイン。
バッファ(Buffer)
突発対応や管理業務に充てる未配分の余白時間を指す。通常はキャパシティの15〜20%を確保する。

リソースキャパシティ・マトリクスの全体像
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リソースキャパシティ・マトリクス:メンバー×プロジェクトの稼働配分を可視化する
メンバーPJ AlphaPJ Beta管理業務稼働率田中60%20%10%90%鈴木50%40%20%110%佐藤40%10%50%── 稼働率の判定基準 ──過負荷(100%超)品質低下・燃え尽きのリスク→ 即座にアロケーション調整適正(70〜90%)バッファを保ちつつ生産的→ 理想的な状態を維持余裕あり(70%未満)追加タスクを受けられる→ 過負荷メンバーの支援へ週次レビューで調整マトリクスを見ながらリバランスを行う── 見えないリソース問題を「数字」で見える化する ──
リソースキャパシティ・マトリクスの運用フロー
1
キャパシティの算出
メンバーごとの月間稼働可能時間を算出する
2
アロケーションの記録
各PJへの配分割合を記録しマトリクスを作成する
3
稼働率の判定
過負荷・適正・余裕の3段階で判定する
週次リバランス
過負荷メンバーの業務を余裕のあるメンバーに移す

こんな悩みに効く
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  • 誰が暇で誰が忙しいのか、マネージャーも把握できていない
  • 新しいプロジェクトが始まるとき、誰をアサインすべきか判断できない
  • 特定のメンバーに業務が集中し、燃え尽きが発生している

基本の使い方
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メンバーの月間キャパシティを算出する
営業日数 × 1日の稼働時間からキャパシティを算出する。ただし、100%を使い切る前提にしない。会議・管理業務・突発対応に 15〜20% を天引きした「実効キャパシティ」で計算する。
プロジェクトごとのアロケーションを記録する
各メンバーが各プロジェクトにどれだけ稼働しているかを割合(%)で記録する。スプレッドシートまたはリソース管理ツールで一覧表を作成する。横軸がプロジェクト、縦軸がメンバー。
稼働率を自動計算し3段階で判定する
アロケーションの合計をキャパシティで割って稼働率を算出する。100%超(赤)、70〜90%(緑)、70%未満(黄)で色分けする。赤のメンバーには即座に対処が必要。
週次でマトリクスをレビューし調整する
毎週15分のリソースレビューで、稼働率の変動を確認する。過負荷メンバーのタスクを余裕のあるメンバーに移す、または優先度の低いPJのアロケーションを下げるなどの調整を行う。

具体例
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例1:SaaS企業が開発チーム8名のリソースを可視化する

従業員50名のBtoB SaaS企業。開発チーム8名が3つのプロジェクトを掛け持ちしていたが、「誰が何にどれだけ使っているか」が見えず、スプリントの計画精度が低かった。

スプレッドシートでリソースキャパシティ・マトリクスを作成した結果、8名中 3名 が稼働率 110〜130% に達していることが判明。一方で 2名50% 未満だった。

調整内容効果
過負荷の3名から2タスクを余裕のある2名に移管稼働率が全員 75〜95% の範囲に
スプリント計画で実効キャパシティを使用計画達成率が 62%→88% に改善
週次レビューを15分で実施過負荷の早期発見が可能に

3か月後にはチーム全体のベロシティが 22%向上 した。

例2:コンサルティングファームがPMOでリソース配分を最適化する

従業員200名のコンサルファーム。15の同時進行プロジェクトに対してコンサルタント80名を配分しているが、PMOが全体の稼働状況を把握できていなかった。

ExcelベースのマトリクスからAsanaのリソース管理機能に移行。全80名×15PJの配分を可視化した。

問題が見つかったのは以下の3点。

  • シニアコンサルタント5名が 120%以上 の配分になっていた
  • ジュニア層12名が 40%以下 で「待ち」状態だった
  • 2つのPJが同じメンバー4名に依存しており、片方が遅延するともう片方も止まる構造だった

PMOが四半期ごとのリソースレビューを月次に変更し、シニアのタスクをジュニアに段階的に移管。1年後にはプロジェクト利益率が 4ポイント改善 し、コンサルタントの離職率も 18%→11% に低下した。

例3:自治体の企画課が横断プロジェクトの人員配置を管理する

職員350名の地方自治体。企画課の職員12名が通常業務に加えて横断プロジェクト(DX推進・地方創生・防災計画見直し)を兼務していたが、「忙しい人は常に忙しく、手が空いている人は暇」という状態が続いていた。

課長がホワイトボードにリソースキャパシティ・マトリクスを手書きで作成。全12名×4業務(通常+PJ3本)の配分を % で可視化。

すると、DX推進の主担当2名が稼働率 140% であることが判明。通常業務の 30% を他のメンバーに再配分し、DX推進のサブ担当を1名追加した。結果、DX推進のマイルストーン遅延が 月2回→0回 に改善されている。

やりがちな失敗パターン
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パターン何が起きるか対策
100%配分を前提にする会議や突発対応の余白がなく、常にオーバーフローする実効キャパシティを80%で計算し、20%をバッファにする
作って終わりで更新しない実態とマトリクスが乖離し、誰も信用しなくなる週次15分のレビューをカレンダーに固定する
自己申告だけに頼る忙しい人ほど「大丈夫です」と言い、実態が見えないタイムトラッキングの実績データと突合する
アロケーションの粒度が粗い「50%配分」だが実際は週によって0%〜100%で振れる月単位ではなく週単位でアロケーションを管理する

まとめ
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リソースキャパシティ・マトリクスは、メンバーの稼働可能時間とプロジェクトへの配分を一覧にまとめ、過負荷と余裕を可視化するツール。作成自体は簡単で、スプレッドシート1枚から始められる。最も重要なのは週次レビューで更新し続けること。見える化するだけで、リソース問題の大半は解決の糸口が見つかる。