RFM分析

英語名 RFM Analysis
読み方 アールエフエム アナリシス
難易度
所要時間 2〜4時間(データ準備含む)
提唱者 ダイレクトマーケティングの実務から発展
目次

ひとことで言うと
#

Recency(最終購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額) の3つの指標で顧客をグループ分けし、「誰に・どんなアプローチをすべきか」を明確にするフレームワーク。全員に同じ施策を打つムダから卒業できる。

押さえておきたい用語
#

押さえておきたい用語
Recency(リセンシー)
顧客が最後に購買した日からの経過日数のこと。最近買った顧客ほどスコアが高く、再購買の可能性も高い。
Frequency(フリクエンシー)
一定期間内における購買回数を指す。回数が多いほどロイヤルティが高く、ブランドへの定着度を示す指標。
Monetary(マネタリー)
一定期間内の累計購買金額である。金額が大きい顧客ほど収益貢献度が高い。
LTV(顧客生涯価値)
1人の顧客が取引開始から終了までにもたらす累計利益のこと。RFMの高スコア顧客はLTVも高い傾向がある。
チャーン(離反)
顧客が購買をやめて離れてしまうこと。RFM分析ではRecencyの低下が離反の早期シグナルになる。

RFM分析の全体像
#

3つの指標で顧客をスコアリングし、セグメント別に施策を打つ
Recency最終購買日最近買ったか?🕐Frequency購買頻度何回買ったか?🔄Monetary購買金額いくら使ったか?💰スコアリング(3〜5段階)各指標を高・中・低でランク分けし顧客ごとにR-F-Mの組み合わせを算出セグメント別施策の設計VIP顧客→特別待遇 / 離反危機→緊急リカバリー新規顧客→リピート促進 / 休眠顧客→低コスト掘り起こし
RFM分析の実行フロー
1
データ準備
顧客ごとにR・F・Mの数値を算出
2
スコアリング
各指標を3〜5段階でランク分け
3
セグメント分類
R・F・Mの組み合わせで顧客を分類
4
施策設計
セグメントごとにアプローチを決定
定期更新
四半期ごとに再分析し施策を最適化

こんな悩みに効く
#

  • 顧客全員に同じメルマガを送っていて、効果が薄い
  • 「良いお客さん」が誰かを感覚でしか把握できていない
  • 休眠顧客が増えているが、何から手をつけていいかわからない

基本の使い方
#

ステップ1: 購買データを準備する

顧客ごとにR・F・Mの3つの数値を算出する

  • Recency(最終購買日): 最後に買い物をしたのはいつか?(最近ほど高評価)
  • Frequency(購買頻度): 一定期間に何回買ったか?(多いほど高評価)
  • Monetary(購買金額): 一定期間にいくら使ったか?(多いほど高評価)

ポイント: 分析期間は業種による。ECなら半年〜1年、不動産なら3〜5年が目安。

ステップ2: 各指標をスコアリングする

R・F・Mそれぞれを3〜5段階でランク分けする

  • 例(5段階の場合):
    • R: 1週間以内=5、1ヶ月以内=4、3ヶ月以内=3、半年以内=2、それ以前=1
    • F: 10回以上=5、7〜9回=4、4〜6回=3、2〜3回=2、1回=1
    • M: 10万円以上=5、5〜10万円=4、3〜5万円=3、1〜3万円=2、1万円未満=1
  • ランクの基準は自社の顧客データの分布に合わせて調整する

ポイント: 最初から細かくしすぎない。**まずは3段階(高・中・低)**で始めるのがおすすめ。

ステップ3: 顧客セグメントを作り、施策を設計する

R・F・Mの組み合わせで顧客を分類し、セグメントごとにアプローチを変える

  • R高・F高・M高: 最優良顧客 → VIP待遇、限定オファー
  • R高・F低・M低: 新規顧客(最近初めて買った人) → リピート促進
  • R低・F高・M高: 離反リスク顧客(昔のVIPが来なくなった) → 緊急リカバリー施策
  • R低・F低・M低: 休眠顧客 → 低コストの掘り起こし or 対象外に

ポイント: すべてのセグメントに均等にコストをかけない。ROIの高いセグメントから優先する

具体例
#

例1:アパレルECサイトが5,650人の顧客をRFM分析する

過去1年間の購買データを分析した結果(3段階評価):

セグメントRFM顧客数施策
VIP顧客200人先行セール案内、限定商品の優先購入権、バースデークーポン
成長候補800人ポイント2倍キャンペーン、コーディネート提案メール
新規顧客1,500人2回目購入で使える15%OFFクーポン、初回レビュー依頼
離反危機150人「お久しぶりです」メール+限定20%OFFクーポン(最優先で対応)
休眠顧客3,000人季節の変わり目にのみ低コストメール。反応なしなら配信停止

最優先は離反危機の150人。元VIPを放置すればLTVの大きな損失になる。パーソナライズしたメールと特別クーポンで1週間以内にアプローチする。

例2:地域密着型スポーツジムが会員800人を分析する

前提: 月額制ジム、会員800人。退会率が月5%で推移し、毎月40人が離脱。

RFMの定義を「ジム利用」に応用:

  • R = 最終来館日(最後にジムに来たのはいつか)
  • F = 月間来館回数(月に何回来ているか)
  • M = 月額プラン+オプション購入額
セグメントRFM人数施策
コア会員120人パーソナルトレーニング無料体験、紹介キャンペーンの案内
習慣化途中200人週3回来館でドリンク1杯無料、トレーニングメニュー提案
幽霊会員280人「お待ちしています」LINE+再来館で体組成測定無料
退会予備軍200人1対1の面談で悩みをヒアリング、プラン変更の提案

幽霊会員280人に個別LINE配信を実施した結果、28人(10%)が再来館。うち22人が3ヶ月後も継続し、月間退会率は5%→3.8%に改善。年間約115万円の減収を防止した。

例3:BtoB SaaS企業が契約企業350社をRFMで優先順位づけする

前提: 月額制のプロジェクト管理SaaS。契約企業350社、月額単価の幅が5,000円〜50,000円。

RFMの定義をSaaS利用に変換:

  • R = 最終ログイン日(管理者の最終アクセス)
  • F = 月間アクティブユーザー率(全アカウント中の利用率)
  • M = 月額契約金額
セグメントRFM社数アクション
ロイヤル顧客45社アップセル提案(上位プランの案内)、事例取材の依頼
活用不足の大口30社CSが緊急フォロー、活用支援ワークショップを実施
アクティブ小口80社ユーザー数追加の提案、上位プランの価値訴求
解約リスク60社解約理由の事前ヒアリング、プランダウングレードの選択肢提示

教訓: 最も危険なのは「お金を払っているが使っていない」顧客。「活用不足の大口」30社(MRR月額90万円相当)にCSが2週間で全社コンタクトし、年間1,080万円の解約を防止した。

やりがちな失敗パターン
#

  1. 3指標を均等に扱う — 業種によって重要度は異なる。例えばサブスクサービスではRecencyが最重要で、Monetaryは月額固定なのであまり差がつかない。自社にとってどの指標が一番重要かを見極めること
  2. 一度分析して終わり — 顧客の状態は常に変化する。最低でも四半期に1回は再分析して、セグメントの移動を把握する
  3. 施策のないセグメントを作る — 分類しただけで「で、何するの?」が決まっていないパターン。セグメントを作る前に「何をするか」のアイデアを持っておくと実務に直結する
  4. 全セグメントに均等にコストをかける — 休眠顧客3,000人に高コストな施策を打つのは非効率。ROIの高いセグメント(離反危機のVIP等)から優先的にリソースを投下するのが鉄則

まとめ
#

RFM分析は、最終購買日・頻度・金額の3指標で顧客をグループ分けし、最適な施策を打つためのフレームワーク。全顧客に同じアプローチをする「一律マーケティング」から脱却できる。まずはデータを出して3段階で分けるところから始めて、セグメントごとに「何をするか」を決めよう。