AIDMA/AISASモデル

英語名 AIDMA / AISAS Model
読み方 アイドマ / アイサス モデル
難易度
所要時間 30分〜1時間
提唱者 サミュエル・ローランド・ホール(AIDMA)/ 電通(AISAS)
目次

ひとことで言うと
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消費者が商品を知ってから買うまでの心理プロセスをモデル化したフレームワーク。古典的なAIDMAと、インターネット時代に対応したAISASの2つを知っておくと、マーケティング施策の抜け漏れがなくなる。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
Memory(メモリー)
AIDMAの「M」にあたり、顧客が商品を記憶にとどめる段階のこと。テレビCMのリピート放映やリマーケティング広告など、想起を促す施策が該当する。
Search(サーチ)
AISASの「S」の1つ目で、顧客が自ら情報を検索・比較する段階のこと。Google検索・口コミサイト・SNSでの情報収集がこれにあたる。
Share(シェア)
AISASの最後の「S」で、購入後に顧客が体験をSNSやレビューで発信する段階を指す。次の消費者のAttentionを生み、好循環を作る起点となる。
UGC(User Generated Content)
ユーザーが自発的に作成・投稿する口コミ・レビュー・写真・動画などのコンテンツのこと。Share段階で生まれるUGCが次の顧客獲得に直結する。
マーケティングファネル(Marketing Funnel)
顧客が認知から購買に至るまでの過程を漏斗状に可視化したモデルである。各段階で離脱が起きるため、どこで何人が脱落しているかを数値で把握する。

AIDMA/AISASモデルの全体像
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AIDMA→AISASへの進化:SearchとShareが加わった
AIDMA(古典)AISAS(デジタル)マス広告時代の購買モデルAAttention(注意)IInterest(興味)DDesire(欲求)MMemory(記憶)AAction(行動)受動的な消費者を想定企業→消費者の一方通行デジタル時代の購買モデルAAttention(注意)IInterest(興味)SSearch(検索)AAction(行動)SShare(共有)能動的な消費者を想定ShareがAttentionを生む好循環Share→ Attention
AISASの施策設計フロー
1
Attention
SNS広告やPRで認知を取る
2
Interest
LP・動画で「自分ごと化」させる
3
Search
SEO・口コミで検索に備える
4
Action
EC・決済のハードルを下げる
Share設計
共有が次の認知を生む好循環を設計する

こんな悩みに効く
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  • 広告を出しているのに、なぜか購買につながらない
  • マーケティングファネルのどこで顧客が離脱しているかわからない
  • Web時代の購買行動に対応した施策を考えたい

基本の使い方
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ステップ1: AIDMAの5段階を理解する

1920年代に提唱された古典的な購買行動モデル。マス広告時代の基本。

  1. Attention(注意): 商品の存在を知る →「あ、こんな商品があるんだ」
  2. Interest(興味): 興味を持つ →「ちょっと気になるな」
  3. Desire(欲求): 欲しくなる →「これ、欲しいかも」
  4. Memory(記憶): 覚えておく →「あの商品、今度買おう」
  5. Action(行動): 購買する →「よし、買おう」

ポイント: 各段階の間にがある。どこで止まっているかを特定して、そこに施策を集中させる。

ステップ2: AISASでデジタル時代に対応する

電通が提唱したインターネット時代の購買行動モデル。

  1. Attention(注意): 商品を知る(SNS広告、口コミ、記事)
  2. Interest(興味): 興味を持つ
  3. Search(検索): 自分で調べる → Google検索、口コミサイト、SNSで情報収集
  4. Action(行動): 購買する(ECサイト、店舗)
  5. Share(共有): 体験をシェアする → SNS投稿、レビュー、口コミ

最大の変化: Search(検索)とShare(共有) が加わったこと。消費者が能動的に情報を取りに行き、購入後に発信する時代になった。

ステップ3: 各段階に合わせた施策を設計する

AISASの各段階でどんな施策が有効かを整理する。

段階施策例
AttentionSNS広告、インフルエンサー投稿、プレスリリース
InterestLP(ランディングページ)、動画コンテンツ、無料サンプル
SearchSEO対策、口コミ管理、比較サイトでの評価向上
ActionECサイトのUI改善、カート離脱対策、決済手段の充実
Shareハッシュタグキャンペーン、レビュー投稿促進、UGC活用

ポイント: Shareが次の人のAttentionになるため、好循環が回る設計にすることが重要。

具体例
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例1:新しいスキンケアブランドをAISASモデルで設計する

Attention(注意)

  • 美容系インフルエンサー10名にサンプルを送り、Instagram投稿を依頼(合計フォロワー50万人にリーチ)
  • ターゲット層(25〜35歳女性)にInstagram広告を月額80万円で配信

Interest(興味)

  • 「敏感肌のための成分解説」動画をYouTubeに公開(再生数目標:月5万回)
  • ブランドサイトで開発ストーリーを発信(なぜこの成分にこだわったか)

Search(検索)

  • 「敏感肌 スキンケア おすすめ」でSEO上位を狙う記事を作成
  • @cosmeでの口コミを初期ユーザー100名に依頼して蓄積(★4.5以上を目標)

Action(行動)

  • 初回限定トライアルセット1,980円(通常価格の60%オフ)で購買ハードルを下げる
  • Amazon・楽天にも出店し、「いつも使っているサイト」で買えるようにする

Share(共有)

  • パッケージを「SNS映え」するミニマルデザインにする
  • 「#私の敏感肌ケア」ハッシュタグで投稿キャンペーン実施(投稿者から毎月10名に現品プレゼント)
  • レビュー投稿者に次回購入10%オフクーポンを付与

ShareがAttentionを生む好循環により、6ヶ月目で広告費を30%削減しても売上が前月比120%を維持した。UGC経由の流入が全体の35%を占めるまでに成長した点が、このブランドの収益構造を変えている。

例2:地方の温泉旅館がAISASで集客を改善する

状況: 客室数15室の老舗温泉旅館。宿泊者の平均年齢62歳、稼働率45%。若年層(30〜40代)を取り込みたい。

AISAS各段階の施策:

段階現状の課題施策
Attentionじゃらん・楽天トラベルにしか掲載がないInstagramアカウント開設、料理長の一日密着動画をTikTokに投稿
Interest写真が古く、館内の魅力が伝わらないプロカメラマンによる撮影(投資30万円)、客室・料理・露天風呂の写真を全面更新
SearchGoogle口コミが3.2点(レビュー28件)宿泊者にQRコードでレビュー依頼、返信率100%を徹底。6ヶ月で4.3点・150件に向上
Action予約が電話のみOTA連携+自社サイトに即時予約機能を導入。自社予約は5%ポイント還元
ShareSNS投稿されないチェックイン時に「映えスポットMAP」を配布。露天風呂に撮影用スマホスタンド設置

12ヶ月で稼働率45%→68%に改善し、30〜40代の宿泊者比率が12%→38%に拡大。特筆すべきは自社予約比率が**15%→40%**に向上し、OTA手数料の年間削減額が約250万円に達した点である。

例3:BtoB製造業がAISASを活用して引き合いを増やす

状況: 精密金型メーカー(従業員45名)。既存顧客からの受注が中心で新規引き合いが月2件。営業は3名で飛び込み中心。

BtoB版AISASの再解釈と施策:

段階BtoB文脈施策
Attention技術者が情報を探すチャネル技術ブログ「金型設計の教科書」を週1更新。製造業向け展示会に年2回出展
Interest具体的な技術力への興味加工精度±0.5μmの実績動画をYouTubeに掲載。技術資料(PDF)をダウンロード可能に
Search発注先の比較検討「精密金型 小ロット 短納期」等のキーワードでSEO対策。Googleビジネスプロフィールの事例写真を毎月更新
Action見積依頼→試作発注Web見積フォームを3D CADデータのアップロード対応に。「初回試作50%オフ」キャンペーン実施
Share技術者コミュニティでの評判納品先企業(許可済み)のロゴを実績ページに掲載。技術ブログが業界メディアに引用される

技術ブログの月間PVが18ヶ月で0→12,000に成長し、新規引き合いが月2件→月15件に増加。なぜWeb経由の新規顧客の平均受注単価は飛び込み営業経由の1.8倍になるのか――技術力を理解した上で問い合わせるため、価格交渉のスタートラインが違うのである。

やりがちな失敗パターン
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  1. Attentionにだけ予算を使う — 認知は取れても、SearchやActionの受け皿がないと売上につながらない。ファネル全体にバランスよく投資する
  2. Searchの段階を軽視する — 今の消費者は必ず検索する。検索したときに「情報がない」「悪い口コミしかない」では離脱される
  3. AIDMAのまま思考停止する — マス広告だけで完結する時代は終わった。特にShareの設計が購買行動全体の効率を左右する
  4. Shareを偶然に任せる — 「良い商品なら自然にシェアされる」は甘い。**意図的にシェアしやすい設計(映える体験、ハッシュタグ、レビュー特典)**を組み込む必要がある

まとめ
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AIDMA/AISASは、消費者の購買プロセスを段階的に理解し、各段階に適切な施策を打つためのフレームワーク。デジタル時代は特に「Search(検索)」と「Share(共有)」が重要。ShareがAttentionを生む好循環を設計できれば、マーケティングの効率が劇的に上がる。