ゼロベース予算

英語名 Zero-Based Budget
読み方 ゼロ ベースド バジェット
難易度
所要時間 30分〜1時間(月1回)
提唱者 ピーター・ピアー(1970年代、企業会計から家計に応用)
目次

ひとことで言うと
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収入 − 支出 = 0円にする予算法。「余ったら貯金」ではなく、すべてのお金に「名前」をつける。家賃、食費、交際費、貯金、投資 — 1円残らず行き先を決める。お金の使い方を完全にコントロールできるようになる。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
ゼロサム配分
手取り収入を支出+貯蓄+投資で0円になるまで振り分ける原則。余りを「自然に使う」のではなく、すべてに行き先を指定する。
カテゴリ間移動
予算オーバーした項目に対して、他のカテゴリから金額を移動するルール。追加のお金は使わず、枠内でやりくりする。
先取り貯蓄
変動費を配分する前に貯蓄・投資を先に確保する手順。「余ったら貯金」だと人は「ある分だけ使う」ため、順番が重要。
予備費
想定外の出費に備えて月予算の1〜3%を確保する枠。冠婚葬祭や突発修理など、予測できない出費の受け皿。

ゼロベース予算の全体像
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手取り収入250,000円① 固定費家賃70,000光熱費12,000通信費8,000保険料7,000サブスク3,000奨学金27,000127,00050.8%② 貯蓄・投資つみたてNISA33,000緊急資金10,000旅行積立7,00050,00020.0%★ 変動費の前に確保!「余ったら」では貯まらない③ 変動費食費35,000日用品5,000交通費8,000交際費10,000趣味8,000被服/予備7,00073,00029.2%★ 収入 − 支出 = 0円127,000 + 50,000 + 73,000 = 250,000円使途不明金ゼロ。すべてのお金に「名前」がある。
ゼロベース予算の4ステップ
1
手取り確認
税金・社保引後の「使える全額」を把握
2
カテゴリ配分
固定費→貯蓄→変動費の順で0円まで振り分け
3
週次チェック
残額を確認し、オーバーはカテゴリ間移動で調整
月末振り返り
実績を確認し、翌月の予算を微調整する

こんな悩みに効く
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  • 給料日前にいつもお金が足りない
  • 何に使ったかわからない「使途不明金」が毎月ある
  • 節約しているつもりなのに貯金が増えない

基本の使い方
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ステップ1: 月の手取り収入を確認する

まず、税金・社会保険料が引かれた後の手取り収入を正確に把握する。

  • 給与(手取り)
  • 副業収入
  • その他の収入(ポイント還元なども含めてもOK)

ここで出た金額が「今月使える全額」。 この金額を0円になるまで振り分けていく。

例: 手取り25万円 → この25万円をすべて配分する

ステップ2: 支出をカテゴリごとに振り分ける

以下の順番で「必要額」を割り振る。

1. 固定費(まず確保):

  • 家賃・住宅ローン
  • 光熱費
  • 通信費
  • 保険料
  • サブスクリプション

2. 貯蓄・投資(先に確保):

  • 緊急資金の積立
  • つみたてNISA・iDeCo
  • 目的別貯金

3. 変動費(残りを配分):

  • 食費
  • 日用品
  • 交通費
  • 交際費
  • 趣味・娯楽
  • 被服費

最終的に「収入 − すべての支出 = 0円」になるまで調整する。 余りが出たら貯蓄や投資に回す。

ステップ3: 週ごとに進捗を確認する

月初に予算を立てたら、週1回は残額をチェックする。

  • 食費の予算4万円のうち、第1週で1.5万円使った → 残り2.5万円で3週間
  • 交際費が予算オーバーしそう → 他のカテゴリから移動する

ポイントは「予算を超えたら他から借りる」こと。 追加のお金は使わない。カテゴリ間で移動するだけ。

家計簿アプリ(マネーフォワード、Zaim等)を使うと自動で集計できてラク。

ステップ4: 月末に振り返って翌月を修正する

月末に実績を確認:

  • どのカテゴリが予算通りだったか
  • どこがオーバーしたか、なぜか
  • 使わなかった予算はあるか

最初の2〜3ヶ月は予算がズレるのが普通。 毎月修正していくと、3ヶ月目くらいから精度が上がる。

翌月の予算は前月の実績ベースで微調整する。

具体例
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例1:手取り25万円の一人暮らしがゼロベースで月5万円を確保

Before: 毎月「何に使ったかわからない」使途不明金が3〜4万円。貯金は月に2万円がやっと。

ゼロベース予算を作成:

収入: 250,000円

固定費(計127,000円):

  • 家賃: 70,000円 / 光熱費: 12,000円 / 通信費: 8,000円
  • 保険料: 7,000円 / サブスク: 3,000円 / 奨学金: 27,000円

貯蓄・投資(計50,000円):

  • つみたてNISA: 33,000円 / 緊急資金: 10,000円 / 旅行積立: 7,000円

変動費(計73,000円):

  • 食費: 35,000円 / 日用品: 5,000円 / 交通費: 8,000円
  • 交際費: 10,000円 / 趣味: 8,000円 / 被服・予備: 7,000円

合計: 250,000円(収入 − 支出 = 0円)

After(3ヶ月後): 使途不明金がゼロに。「余ったら貯金」だと月2万円だったのが、先に5万円を確保したら生活できた。人は「ある分だけ使う」ので、先に取り分けるのが正解。

例2:共働き夫婦(世帯手取り55万円)が年100万円の貯蓄を達成

Before: 世帯手取り55万円なのに、年間貯蓄がたった30万円。「二人とも稼いでいるから大丈夫」という油断で、外食と通販で毎月10万円以上が消えていた。

夫婦でゼロベース予算を作成(月次会議を導入):

収入: 550,000円

固定費(計220,000円): 住宅ローン120,000 / 光熱費18,000 / 通信費12,000 / 保険料30,000 / 保育料40,000

貯蓄・投資(計90,000円): つみたてNISA66,000(2人分)/ 教育資金15,000 / 車検積立9,000

変動費(計240,000円): 食費80,000 / 日用品15,000 / 交通費20,000 / 交際費20,000 / 外食25,000 / 被服20,000 / 趣味各15,000(計30,000) / 子供関連20,000 / 予備10,000

合計: 550,000円(= 0円)

最大の変化: 外食予算を「月25,000円」に明示したこと。以前は把握すらしていなかった。

After(1年後): 年間貯蓄108万円を達成(月9万円 × 12)。「使い過ぎていた項目が可視化されただけで、自然とブレーキがかかった。夫婦の金銭感覚のズレもなくなった」。

例3:フリーランス(収入変動あり)がゼロベースで不安を解消

Before: 月収20万〜50万円の波がある。良い月は使い込み、悪い月は貯金を取り崩し。年間で見ると貯蓄ゼロ。

フリーランス版ゼロベース予算(3段階ルール):

最低ライン予算(月収20万円の月):

  • 固定費: 100,000 / 貯蓄: 20,000 / 変動費: 80,000

標準予算(月収35万円の月):

  • 固定費: 100,000 / 貯蓄: 80,000 / 変動費: 100,000 / 事業投資: 70,000

好調時予算(月収50万円の月):

  • 固定費: 100,000 / 貯蓄: 150,000 / 変動費: 100,000 / 事業投資: 100,000 / ボーナス積立: 50,000

ルール: 月初に売上確定額を確認し、3段階のどれを適用するか判定。生活レベルは最低ラインの変動費8万円で固定。収入が増えても生活費を上げないのがポイント。

After(1年後): 年収400万円(月平均33万円)で、年間貯蓄120万円を達成。生活防衛資金6ヶ月分を確保。「3段階ルールのおかげで、収入の波に一喜一憂しなくなった。悪い月でも計画通りなので不安がゼロ」。

やりがちな失敗パターン
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  1. 予算を細かくしすぎる — カテゴリが20個以上あると管理が面倒で続かない。7〜10カテゴリくらいが現実的
  2. 予備費を設定しない — 想定外の出費は必ずある。月の予算の1〜3%は予備費として確保しておく
  3. 最初から完璧を目指す — 初月から予算通りにいくことはまずない。3ヶ月続ければ精度が上がる。最初は「やってみる」だけで十分
  4. 固定費を見直さずに変動費だけ削る — コーヒーを我慢するより、スマホプランを格安SIMに変える方が月5,000円の効果がある。先に固定費を最適化してから変動費を配分する

まとめ
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ゼロベース予算は「すべてのお金に行き先を決める」こと。収入−支出=0円になるまで振り分けることで、使途不明金がなくなり、貯蓄を先に確保できる。最初の数ヶ月はズレるのが当たり前。続けるうちに自分のお金の使い方が見えてきて、家計のコントロール感が格段に上がる。