ひとことで言うと#
金利が一番高い借金から全力で返す。数学的に最も利息の支払いが少なくなる返済法。感情ではなく合理性で最短完済を目指す。スノーボール法が「心理学ベース」なら、アバランチ法は「数学ベース」。
押さえておきたい用語#
- アバランチ(Avalanche)
- 英語で「雪崩」の意味。高金利の借金を先に崩すことで、利息の雪崩的な増加を止める返済戦略を指す。
- 最低返済額
- 各借入先が定める毎月最低限支払わなければならない金額のこと。これを下回ると延滞扱いになる。
- 余剰資金
- 全ての借金の最低返済額を支払った後に残る返済可能な金額のこと。この余剰を最高金利の借金に全額投入する。
- 総支払利息
- 借金を完済するまでに元本とは別に支払う利息の合計額のこと。アバランチ法はこれを最小化する。
- 金利差
- 複数の借金の間にある金利の開きのこと。金利差が大きいほどアバランチ法の効果が高い。
借金雪崩式返済法の全体像#
こんな悩みに効く#
- 高金利の借金(リボ・キャッシング)の利息がつらい
- 総支払額をできるだけ少なくしたい
- 感情よりも合理性を重視したい
基本の使い方#
スノーボール法では「残高順」だったが、アバランチ法では**「金利順」**。
例:
- リボ払い: 残高30万円(金利15%、最低8,000円)
- カードローン: 残高50万円(金利10%、最低10,000円)
- カーローン: 残高100万円(金利3%、最低20,000円)
- 奨学金: 残高200万円(金利0.5%、最低27,000円)
金利が高い = 毎月お金を燃やしているのと同じ。 最初にその火を消す。
ルール:
- すべての借金に最低返済額は支払う
- 余剰資金はすべて「金利最高の借金」に集中投入する
例: 毎月の返済予算が80,000円の場合
- リボ払い(15%): 8,000円 + 余剰15,000円 = 23,000円
- カードローン(10%): 10,000円(最低額のみ)
- カーローン(3%): 20,000円(最低額のみ)
- 奨学金(0.5%): 27,000円(最低額のみ)
高金利の借金を早く消すほど、利息として消える金額が減る。
リボ払い完済後:
リボ払い: 完済→ 23,000円が浮く- カードローン(10%): 10,000円 + 23,000円 = 33,000円
- カーローン: 20,000円
- 奨学金: 27,000円
以下同様に、高金利順に雪崩のように返済を進める。
スノーボール法との違い: 最初の完済までに時間がかかることがある。 でも、トータルで支払う利息は確実に少ない。
具体例#
借金の状況(同一条件):
- リボ払い: 30万円(金利15%)
- カードローン: 50万円(金利10%)
- カーローン: 100万円(金利3%)
- 奨学金: 200万円(金利0.5%) 月の返済予算: 80,000円
アバランチ法(金利高い順):
- 完済まで: 約58ヶ月
- 総支払利息: 約32万円
スノーボール法(残高少ない順):
- 完済まで: 約60ヶ月
- 総支払利息: 約38万円
差額: アバランチ法のほうが約6万円お得、2ヶ月早く完済。
→ 数字を重視するならアバランチ法、心理的な達成感を重視するならスノーボール法。 自分の性格に合う方を選ぶのが正解。
借金の内訳:
- リボ払いA(ショッピング): 50万円(金利15%、最低1.5万円)
- リボ払いB(キャッシング): 30万円(金利18%、最低1万円)
- 奨学金: 120万円(金利0.5%、月1.5万円)
月の返済予算: 60,000円(副業+節約で確保)
アバランチ法の手順:
- リボB(18%)に余剰2万円を集中: 月3万円返済
- リボA(15%): 最低1.5万円のみ
- 奨学金: 月1.5万円のみ
タイムライン:
- 0〜10ヶ月: リボB完済。利息節約額 約2.7万円
- 11〜24ヶ月: リボA完済(月4.5万円に加速)。利息節約額 約3.8万円
- 25ヶ月目以降: 奨学金に月6万円で加速返済
もしスノーボール法(残高順)だった場合:
- リボB(30万)→ リボA(50万)の順は同じだが、奨学金が先に来るケースでは利息差が拡大
- この場合のアバランチ法の利息節約額: 約6.5万円
→ リボ払いのような高金利の借金がある場合、アバランチ法の効果が特に大きい。 金利18%は「年間5.4万円が利息で消える」ことを意味する。1日でも早く消すべき。
借金の内訳:
- 住宅ローン: 2,500万円(金利1.2%、月8万円)
- 教育ローン: 200万円(金利3.5%、月3万円)
- カーローン: 150万円(金利2.8%、月2.5万円)
ボーナスから年間40万円を繰上返済に回せる場合:
アバランチ法の判断:
- 教育ローン(3.5%)> カーローン(2.8%)> 住宅ローン(1.2%)
- → 教育ローンに40万円を集中投入
5年間のシミュレーション:
- 教育ローン: 約3年で完済(通常5年 → 2年短縮)
- 3年目以降はカーローンに40万円 → 約2年で完済
- 5年間で節約できた利息: 約18万円
注意: 住宅ローン控除がある場合は、控除期間中は住宅ローンの繰上返済を避けたほうが得なことがある。 税制も含めた総合判断が重要。
→ 「一番大きい借金から返す」のは間違い。「一番金利が高い借金から返す」が正解。 住宅ローン2,500万円より教育ローン200万円を先に返すのが数学的に最適。
やりがちな失敗パターン#
- 最初の完済に時間がかかりモチベーションが下がる — 高金利の借金の残高が大きいと、完済までに時間がかかる。中間目標(「残高50%減」など)を設定して進捗を実感する
- 金利の確認を怠る — 自分の借金の正確な金利を知らない人は多い。まず全ての借入先に金利を確認するところから始める
- 低金利の借金を放置しすぎる — 金利が低くても長期間残ると利息は積み重なる。アバランチ法で高金利を消した後は、スピードを落とさず低金利も返す
- 返済中に新しい借金をする — 高金利を返しながら別で借りたら意味がない。返済期間中はリボ払いとキャッシングを完全に封印する
よくある質問#
Q. アバランチ法とスノーボール法、どちらを選べばよいですか? 数学的にはアバランチ法が常に有利(総支払利息が少ない)ですが、継続できるかどうかが最重要です。最初の完済まで時間がかかるとモチベーションが続かない人にはスノーボール法の方が向いています。目安として、借金の金利差が5%以上ある場合はアバランチ法の節約効果が大きいため、数字的な違いを計算してから決断するのが合理的です。
Q. リボ払いとカードローンが両方ある場合、どちらを先にすべきですか? 必ず金利を確認して高い方を優先してください。一般的にリボ払いのショッピング(金利12〜15%)よりキャッシングのリボ払い(金利15〜18%)の方が高いケースが多いです。各社のカード規約や明細書、またはカード会社のサポートに電話すれば正確な適用金利を確認できます。「なんとなく少ない方から返す」は損です。
Q. 住宅ローンの繰上返済にもアバランチ法は使えますか? 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が適用されている期間(最長13年)中は、ローン残高に対して年0.7%の税額控除が得られます。住宅ローン金利が0.7%未満の場合、控除分を考慮すると実質的に「プラスになる」ケースがあり、繰上返済より投資に回した方が有利なことも。アバランチ法を住宅ローンに適用する前に、控除額と実質金利を計算することを強くお勧めします。
Q. 返済中に緊急の出費が発生した場合、余剰資金はどうすればよいですか? 緊急出費(医療費・修繕費など)が発生した場合は、まず別途「緊急資金(3ヶ月分の生活費)」を確保することを優先してください。返済計画と並行して月1〜2万円を緊急口座に積み立てておくと、緊急時に高金利の借入を新たにしなくて済みます。緊急資金ゼロのままアバランチ法を続けると、緊急時に結局リボ払いに頼ることになり逆効果です。
まとめ#
アバランチ法は「最も利息を払わない返済法」。金利の高い借金から集中的に返すことで、総支払額を最小化できる。まずは全ての借金の金利を確認して、高い順に並べてみよう。数字で考えられる人、合理性を重視する人に最適な戦略。