アンチToDoリスト

英語名 Anti To Do List
読み方 アンチ トゥードゥー リスト
難易度
所要時間 20〜30分
提唱者 マーク・マンソン / ティム・フェリスほか
目次

ひとことで言うと
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「やらないこと」を明文化して、時間とエネルギーの流出を止めるフレームワーク。ToDoリストが増え続けるなら、先にNot-ToDoリストを作るほうが効く。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
Not-ToDoリスト(ノット トゥードゥー リスト)
自分が意識的にやらないと決めたことの一覧。ToDoリストの逆で、「削る」ことに焦点を当てる。
コミットメントデバイス
将来の自分が誘惑に負けないよう、事前に選択肢を制限する仕組みを指す。アンチToDoリストそのものがこれに該当する。
デフォルト効果
人は現状維持を好み、明示的にやめると決めない限り惰性で続けてしまう心理傾向。
パーキンソンの法則
仕事は与えられた時間をすべて満たすまで膨張するという経験則。やることを減らさない限り、時間はいくらあっても足りない。

アンチToDoリストの全体像
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アンチToDoリスト:やらないことを決めて時間を取り戻す
判断基準ToDoリスト(やること)増え続ける → 時間が足りない優先順位が曖昧になるアンチToDoリスト(やらない)制限する → 時間が生まれる本当に大事なことが明確になる時間とエネルギーの回復本当にやるべきことに集中判断疲れの軽減
アンチToDoリストの作り方フロー
1
棚卸し
今やっていることを全部書き出す
2
仕分け
惰性・義務感・効果なしを特定
3
宣言
やらないことをリスト化して明文化
実行・更新
定期的に見直し、新たな漏れを塞ぐ

こんな悩みに効く
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  • ToDoリストが長くなるばかりで、いつまでも終わらない
  • 頼まれたことを全部引き受けてしまい、自分の時間がない
  • 毎日忙しいのに、振り返ると何も進んでいない気がする

基本の使い方
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今やっていることを全部書き出す

まず1週間の行動を振り返り、時間を使っているものをすべてリストアップする。

  • 仕事: 会議、メール返信、報告書、雑談、SNSチェック…
  • プライベート: ニュース巡回、通知確認、ダラダラ動画視聴…
  • コツ: スマホのスクリーンタイムや手帳を見返すと漏れが減る
やらなくていいものを仕分ける

書き出した項目を一つずつ問いかける。

  • 「これをやめたら、3ヶ月後に困るか?」→ 困らないなら候補
  • 「義務感だけでやっていないか?」→ 義務感だけなら候補
  • 「他の人に任せられないか?」→ 任せられるなら候補
アンチToDoリストを書いて貼り出す

仕分けた結果を「やらないことリスト」として明文化する。

  • 目につく場所に貼る(デスク横、スマホのロック画面など)
  • 具体的に書く: 「SNSを減らす」ではなく「12時〜13時以外にSNSを開かない」
  • 月に1回は見直して、新たな「やめること」を追加する

具体例
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例1:残業続きの営業職が週10時間を取り戻す

状況: 広告代理店の営業(32歳)。毎日2時間の残業が常態化し、帰宅後は疲れて何もできない。

棚卸しの結果(1週間の行動ログ)

行動週あたり時間やめられる?
社内会議(出なくていいものを含む)8時間一部可
CCメールを全部読む3時間
提案書の体裁を完璧に整える4時間
同僚の仕事を「ついでに」引き受ける3時間

作ったアンチToDoリスト

  1. 自分が発言しない定例会議には出ない(チャットで議事録を確認)
  2. CCメールは件名だけ見て、自分宛て以外は読まない
  3. 提案書は70%の完成度で一度見せる(完璧主義をやめる)
  4. 「ちょっとお願い」と言われたら「今週は厳しいです」をデフォルトにする

週10時間が浮き、うち5時間を新規顧客開拓に、残り5時間を早く帰ることに充てた。翌月の新規アポ数は 4件 → 9件 に増加。

例2:副業エンジニアが開発時間を確保する

状況: SIer勤務のエンジニア(28歳)。平日夜と土日に個人開発をしたいが、毎回「今日もできなかった」で終わる。

1週間のスクリーンタイム分析

  • SNS(X、Instagram): 1日平均82分
  • ニュースアプリ: 1日平均35分
  • YouTube: 1日平均55分
  • 個人開発: 1日平均12分

アンチToDoリスト

  1. 平日はSNSアプリをホーム画面から削除(週末だけ戻す)
  2. ニュースは朝の通勤電車内だけ。帰りは技術書を読む
  3. YouTubeは「あとで見る」に入れて、金曜夜にまとめて見る
  4. 「調べてから始めよう」をやめる。まず30分手を動かす

スクリーンタイムは1日172分から58分に減った。浮いた 約2時間/日 を個人開発に充てた結果、3ヶ月で個人アプリをリリースできた。

例3:子育て中のフリーランスデザイナーが仕事を選ぶ

状況: フリーランスのWebデザイナー(36歳・子ども2歳)。保育園の送迎があり、稼働は1日5時間。なのに案件を断れず毎月赤字寸前。

今受けている仕事の一覧

案件単価工数時給換算
コーポレートサイト制作30万円40時間7,500円
バナー量産(月20枚)5万円15時間3,333円
知人のLP(友人価格)3万円20時間1,500円
SNS運用代行3万円10時間3,000円

アンチToDoリスト

  1. 時給5,000円を下回る案件は受けない
  2. 「友人価格」の依頼は丁寧に断る(紹介で返す)
  3. 修正回数無制限の契約は受けない(上限3回を明記)
  4. 夜21時以降のクライアント対応はしない

バナー量産とSNS代行を手放し、月の稼働を85時間から50時間に。空いた時間でコーポレートサイト案件をもう1件取り、月収は 41万円 → 60万円 に上がった。稼働時間が減って収入が増える、引き算の効果はこういうところに出る。

やりがちな失敗パターン
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  1. 「やらないこと」が抽象的すぎる — 「無駄な時間を減らす」では行動が変わらない。「Xのタイムラインを1日3回以上見ない」のように具体的に書くこと
  2. 一気にやめすぎる — 最初から20項目も挙げると反動が来る。まず3〜5個に絞って、1ヶ月続いたら次を追加する
  3. 人に宣言しない — 自分だけの秘密にすると、なし崩しで元に戻る。チームや家族に「これはやめます」と伝えたほうが継続率は上がる
  4. 見直しをしない — 環境が変われば「やらないこと」も変わる。月1回の棚卸しを習慣にすること

まとめ
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ToDoリストを足し算で管理していると、いつまでも時間は足りない。アンチToDoリストは「やらないこと」を決める引き算の技術で、忙しさの根本原因に手を打てる。まず1週間の行動ログを取って、惰性でやっていることを3つ見つけるところから始めてみるといい。