168時間タイムログ

英語名 168 Hours Time Log
読み方 ワンシックスティエイト アワーズ タイムログ
難易度
所要時間 記録に毎日5分、分析に1時間(週末)
提唱者 ローラ・ヴァンダーカム『168 Hours』(2010年)
目次

ひとことで言うと
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1週間は誰でも等しく168時間。その全てを記録して「何に何時間使っているか」を見える化し、理想の配分とのギャップを特定して、時間の使い方を根本から再設計する手法。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
168時間(168 Hours)
1週間の総時間数(24時間×7日)。「時間がない」と感じる人も、睡眠56時間・仕事45時間を引いても67時間が残っている事実を突きつける数字。
タイムログ(Time Log)
自分の行動を15〜30分単位で記録した活動日誌のこと。記憶ではなく記録に基づいて時間の使い方を把握する。
コア・コンピタンス時間
自分の最大の強みを発揮している時間を指す。この時間を増やし、それ以外を減らすか委任するのが168時間メソッドの核心。
時間の棚卸し
記録した168時間をカテゴリ別に集計し、現状を数値で把握する作業である。「思っていた時間」と「実際の時間」の差に多くの人が驚く。

168時間タイムログの全体像
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168時間タイムログ:記録→分析→再設計の流れ
① 1週間すべて記録する168時間を30分単位で記録仕事・睡眠・家事・移動・SNS…「盛らない・丸めない」がルールスマホアプリか紙で毎日5分② カテゴリ別に集計する現実の時間配分を数値化睡眠: 49h / 仕事: 50h / SNS: 14h家事: 12h / 運動: 2h / 学習: 1h「思っていた」との差を確認③ 理想の168時間を設計する「こう過ごしたい」を数値化睡眠: 56h / 仕事: 45h / SNS: 5h家事: 10h / 運動: 5h / 学習: 7h合計168時間に収めるのがポイント④ ギャップを埋める行動を決める現実と理想の差を具体策に落とすSNS −9h → アプリにタイマー設定運動 +3h → 朝30分ウォーキング追加学習 +6h → 通勤中にオーディオブック核心: 「時間がない」のではなく「見えていない」記録すれば見える。見えれば変えられる。変えれば168時間が味方になる。
168時間タイムログの進め方フロー
1
1週間を全記録
30分単位で168時間をログ
2
カテゴリ集計
現実の時間配分を数値化
3
理想を設計
合計168hで理想配分を作成
ギャップを埋める
差が大きい項目から具体策を実行

こんな悩みに効く
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  • 「忙しい」が口癖だけど、何に時間を取られているかわからない
  • 自己投資や運動の時間を作りたいが、いつも後回しになる
  • 仕事とプライベートの境界が曖昧で、どちらも中途半端に感じる

基本の使い方
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ステップ1: 1週間の全行動を記録する

月曜の朝から日曜の夜まで、30分単位で自分の行動を全て記録する。

記録ルール:

  • スマホアプリ(Toggl、aTimeLoggerなど)か紙のタイムシートを使う
  • 盛らない・丸めない・カッコつけない。SNSを3時間見たなら3時間と書く
  • 15分以下の小さな行動はまとめてOK(例:メールチェック5分×6回→メール30分)
  • 毎日の記録時間は夜寝る前の5分で十分

最初の1週間は、変えようとせず「ありのまま」を記録するのが最重要。記録すること自体が意識を変えてしまうので、なるべく普段通りに過ごす。

ステップ2: カテゴリ別に集計する

1週間の記録をカテゴリに分けて合計時間を出す。

基本カテゴリ例:

  • 睡眠: ○h
  • 仕事(勤務時間): ○h
  • 通勤・移動: ○h
  • 家事・育児: ○h
  • 食事(準備含む): ○h
  • 運動: ○h
  • 学習・読書: ○h
  • SNS・動画: ○h
  • 人との交流: ○h
  • ぼんやり・待ち時間: ○h
  • その他: ○h
  • 合計: 168h

集計したら「思っていた時間」と「実際の時間」を並べて比較する。ほとんどの人はSNS・動画の時間を3〜5時間過少申告している。

ステップ3: 理想の168時間を設計する

「こう過ごしたい」という理想の1週間を、合計168時間で設計する。

ポイント:

  • 睡眠は49〜56時間(7〜8時間×7日)を確保する
  • 仕事は45時間以下を目標にする(それ以上は生産性が下がる研究結果がある)
  • 増やしたい活動減らしたい活動を明確にする
  • 合計が168時間を超えてはいけない(時間は有限)

「理想をExcelで組んだら168時間に収まらない」という経験が、優先順位を本気で考えるきっかけになる。

ステップ4: ギャップを埋める具体策を決める

現実と理想の差が大きいカテゴリから、具体的な行動を1〜2個決める。

例:

  • SNS 14h → 5h(−9h): スマホのスクリーンタイム制限を1日45分に設定
  • 運動 2h → 5h(+3h): 朝30分のウォーキングを週5日追加
  • 学習 1h → 7h(+6h): 通勤往復1時間をオーディオブックに充てる

一度に全部変えず、週に1〜2個の変更にとどめる。4週間後にもう一度168時間を記録して、変化を確認する。

具体例
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例1:共働き夫婦が「自分の時間がない」問題を解決する

現状の168時間(妻・32歳・事務職):

  • 睡眠: 42h(6時間×7日)
  • 仕事: 50h(残業含む)
  • 通勤: 10h
  • 家事・育児: 28h
  • 食事: 10h
  • SNS・動画: 16h
  • 運動: 0h
  • 自分の趣味: 0h
  • その他: 12h

「自分の時間がゼロ」が悩みだった。しかしタイムログを見るとSNS・動画が週16時間。1日あたり2時間以上。本人は「30分くらい」と思っていた。

理想の168時間に再設計:

  • 睡眠: 49h(+7h)→ 23時就寝を徹底
  • 仕事: 45h(−5h)→ 残業を火・木のみに限定
  • SNS・動画: 5h(−11h)→ 1日45分制限
  • 運動: 3.5h(+3.5h)→ 朝30分ヨガ
  • 趣味(読書): 5h(+5h)→ 通勤時間と寝る前

4週間後、睡眠が6時間→7時間に増え、週末の疲労感が激減。「SNSの時間を可視化したのが転機だった。見えたら減らせた」。

例2:ITエンジニアが残業体質から脱却する

現状の168時間(28歳・Webエンジニア):

  • 睡眠: 45h
  • 仕事: 62h(平日10h+土曜6h+日曜6h)
  • 通勤: 5h(リモート多め)
  • 食事: 7h
  • SNS・テック系ブログ巡回: 12h
  • ゲーム: 8h
  • 運動: 0h
  • 学習(業務外スキルアップ): 3h
  • その他: 26h

仕事62時間。内訳を細かく分析すると、「割り込み対応」に週14時間、「会議」に12時間。コアの開発時間は36時間しかなかった。

ギャップ対策:

  • 割り込みを「10〜11時」「15〜16時」のバッチ処理に集約(−6h)
  • 会議は火・木の午後に集中させ、出る必要のない会議を断る(−4h)
  • テック系ブログ巡回を通勤時間と昼休みに限定(−7h)

8週間後の再計測で仕事時間は62h→48hに減少。開発時間の割合は58%→**72%**に上昇し、チーム内のコードレビュー速度ランキングで1位になった。

例3:定年退職した男性が「暇すぎる」を解消する

現状の168時間(65歳・退職後3ヶ月):

  • 睡眠: 63h(9時間×7日)
  • テレビ: 42h(1日6時間)
  • 食事: 14h
  • 散歩・買い物: 7h
  • 家事: 5h
  • ぼんやり: 30h
  • 人との交流: 3h
  • 学習・趣味: 0h
  • その他: 4h

テレビ42時間とぼんやり30時間で、1週間の**43%**が受動的な時間。「毎日が退屈で仕方ない」と言うが、能動的な活動は散歩と買い物のみ。

理想の168時間:

  • 睡眠: 56h(8時間に調整)
  • テレビ: 14h(ニュースと好きな番組だけに絞る)
  • 地域ボランティア: 10h
  • 写真教室: 4h
  • 図書館通い: 6h
  • 孫との時間: 8h
  • 運動(ウォーキング+体操教室): 7h

3ヶ月後、「曜日ごとに予定があるから朝が楽しみ」と変化。テレビ42h→12h、人との交流3h→22h。妻からの一言がすべてを物語る。「定年前より生き生きしてる」。

やりがちな失敗パターン
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  1. 記録を「盛る」 — 自分を良く見せたくてSNS時間を少なめに書いたり、勉強時間を多めに書く。記録は自分だけが見るもの。正直に書かないと分析の意味がない
  2. 1週間で完璧に変えようとする — 理想の168時間を作った翌週から全て変えようとすると、3日で挫折する。週に1〜2個の変更を4週間かけて定着させるのが現実的
  3. 記録だけして分析しない — 1週間記録して満足するパターン。記録はスタート地点で、カテゴリ集計と理想との比較をしなければただの日記で終わる

まとめ
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168時間タイムログは「時間がない」を「時間が見えていない」に変換する手法。1週間を全て記録して集計すれば、SNSや惰性の時間が想像以上に多いことに気づく。理想の168時間を設計し、差が大きいカテゴリから1つずつ変えていけば、同じ168時間でも生活の質は大きく変わる。