ひとことで言うと#
1日に自分の体がどれだけカロリーを消費しているかを計算する方法。TDEE(Total Daily Energy Expenditure=1日の総消費エネルギー)がわかれば、「痩せたいならTDEE以下」「増量したいならTDEE以上」と、感覚ではなく数値で食事をコントロールできる。
押さえておきたい用語#
- TDEE(総消費エネルギー)
- 1日に体が消費するカロリーの総量のこと。基礎代謝・活動代謝・食事誘発性熱産生の合計で算出される。
- BMR(基礎代謝量)
- 何もせず横になっていても消費する最低限のエネルギーのこと。TDEEの約60〜70%を占める最大の要素。
- 活動係数
- 日常の運動量を数値化した掛け算の係数(1.2〜1.9)のこと。BMRに掛けてTDEEを算出する。
- カロリーデフィシット
- TDEEよりも摂取カロリーが少ないエネルギー不足の状態のこと。脂肪燃焼による体重減少を引き起こす。
- 適応性代謝低下
- カロリー制限を続けると基礎代謝が下がる体の防御反応のこと。急激な制限ほど起きやすく、停滞やリバウンドの原因になる。
TDEE計算の全体像#
こんな悩みに効く#
- どれくらい食べていいのか基準がわからない
- カロリー制限しているのに体重が減らない
- 筋トレしているのに筋肉がつかない
基本の使い方#
基礎代謝量とは、何もしなくても生きているだけで消費するカロリーのこと。
もっとも広く使われるミフリン・セントジョア式:
- 男性: BMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) - 5 × 年齢 - 5
- 女性: BMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) - 5 × 年齢 - 161
例(30歳男性、170cm、70kg): BMR = 10×70 + 6.25×170 - 5×30 - 5 = 700 + 1062.5 - 150 - 5 = 1607.5 kcal
この数値は「1日中ベッドで横になっていても消費するカロリー」。ここから活動量を掛け合わせる。
BMRに活動係数を掛ける。
| 活動レベル | 係数 | 目安 |
|---|---|---|
| ほぼ運動しない | 1.2 | デスクワーク中心 |
| 軽い運動(週1〜3回) | 1.375 | 軽いジョギングや散歩 |
| 中程度(週3〜5回) | 1.55 | 定期的にジムに通う |
| 激しい運動(週6〜7回) | 1.725 | 毎日ハードに鍛える |
| 超ハード | 1.9 | アスリートレベル |
先ほどの例(週3回ジム通い): TDEE = 1607.5 × 1.55 = 約2,492 kcal
これが「1日に消費しているカロリーの目安」。
TDEEがわかったら、目的に応じて摂取カロリーの目標を設定する。
- 減量: TDEE − 300〜500 kcal(緩やかに痩せる)
- 維持: TDEE通り
- 増量: TDEE + 200〜300 kcal(筋肉を増やしたいとき)
先ほどの例で減量する場合: 目標摂取カロリー = 2,492 − 500 = 約2,000 kcal/日
TDEEの20%以上を減らすのは危険。極端なカロリー制限は筋肉量が落ち、代謝が下がり、リバウンドの原因になる。
TDEEは固定値ではない。体重が変われば消費カロリーも変わる。
- 体重が2〜3kg変わったらTDEEを再計算する
- 活動量が変わったら活動係数を見直す
- 体重が2週間以上変わらなければ、係数の見積もりが違う可能性がある
実測で微調整する方法:
- 計算したTDEEで2週間食事管理する
- 体重の変化を確認する
- 予想通り変わっていれば正確、ズレていれば±100〜200 kcal調整する
計算はあくまで出発点。自分の体のデータで精度を上げていくのが本当のTDEE活用法。
具体例#
プロフィール: 32歳女性、160cm、62kg、活動レベルは軽い運動(週2回ヨガ)
計算:
- BMR = 10×62 + 6.25×160 - 5×32 - 161 = 620 + 1000 - 160 - 161 = 1,299 kcal
- TDEE = 1,299 × 1.375 = 約1,786 kcal
減量目標(-400 kcal): 1日約1,400 kcal
実践内容:
- 朝: 400 kcal(ご飯、卵、味噌汁)
- 昼: 500 kcal(弁当)
- 夜: 400 kcal(サラダ+魚+少なめご飯)
- 間食: 100 kcal(ナッツ or フルーツ)
結果: 月に約1.5kgずつ減少。3ヶ月で-4.5kg。空腹で苦しむことなく、着実に減量できた。
→ 「なんとなく食べない」ではなく「数値で管理する」から無理なく続けられる。
プロフィール: 25歳男性、175cm、65kg、週4回ジム(中程度の活動)
計算:
- BMR = 10×65 + 6.25×175 - 5×25 - 5 = 650 + 1093.75 - 125 - 5 = 1,613.75 kcal
- TDEE = 1,613.75 × 1.55 = 約2,501 kcal
増量目標(+250 kcal): 1日約2,750 kcal
実践内容:
- 朝: 700 kcal(オートミール+卵3個+バナナ)
- 昼: 800 kcal(鶏胸肉弁当+おにぎり追加)
- 夜: 750 kcal(魚+ご飯大盛り+副菜)
- 間食: 500 kcal(プロテイン+ナッツ+おにぎり)
3ヶ月後: 体重65kg → 68.5kg。ベンチプレス60kg → 75kg。体脂肪率は15%から16%とほぼ維持。
→ 闇雲に食べるのではなく+250kcalに抑えたことで、脂肪を最小限にしながら筋量を増やせた。
プロフィール: 53歳女性、158cm、68kg、週2回のウォーキング(軽い運動)
計算:
- BMR = 10×68 + 6.25×158 - 5×53 - 161 = 680 + 987.5 - 265 - 161 = 1,241.5 kcal
- TDEE = 1,241.5 × 1.375 = 約1,707 kcal
最初の設定: TDEE − 400 = 1,300 kcal → 2週間で体重変化なし
実測補正: 「活動係数1.375は高すぎた」と判断。実際のTDEEは1,500kcal程度と推定し、目標を1,200 kcalに再設定(TDEE − 300)
補正後3ヶ月: 月1kgペースで安定して減少。68kg → 65kg。停滞なし。
→ 計算値を鵜呑みにせず、2週間の体重データで実測補正することが停滞打破の鍵。
やりがちな失敗パターン#
- 活動レベルを高く見積もりすぎる — 週2回の軽い運動なのに「中程度」を選ぶと、数百kcalのズレが出る。迷ったら低い方を選ぶのが鉄則
- 計算結果を絶対視する — TDEEはあくまで推定値。個人差がある。2週間の体重変化で実測値に調整することが大事
- 極端なカロリー制限をする — TDEE−1000 kcalなど急激に減らすと、代謝が落ちて痩せにくい体になる。ゆっくり減らすほうが結果的に速い
- 体重変化だけで判断する — 水分・筋肉量の変動で日々の体重は上下する。週平均で比較し、最低2週間のトレンドで判断する
まとめ#
TDEE計算は 「自分の体の消費カロリーを知る」 ための出発点。基礎代謝を計算し、活動レベルを掛け、目的に応じて調整する。感覚ではなく数値で食事を管理することで、ダイエットも増量も再現性のあるプロセスに変わる。まずは一度計算して、自分の基準値を知ることから始めよう。