TDEE計算(1日の総消費カロリー)

英語名 TDEE Calculation
読み方 ティーディーイーイー カルキュレーション
難易度
所要時間 15分(初回計算)
提唱者 運動生理学・栄養学の研究群
目次

ひとことで言うと
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1日に自分の体がどれだけカロリーを消費しているかを計算する方法。TDEE(Total Daily Energy Expenditure=1日の総消費エネルギー)がわかれば、「痩せたいならTDEE以下」「増量したいならTDEE以上」と、感覚ではなく数値で食事をコントロールできる。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
TDEE(総消費エネルギー)
1日に体が消費するカロリーの総量のこと。基礎代謝・活動代謝・食事誘発性熱産生の合計で算出される。
BMR(基礎代謝量)
何もせず横になっていても消費する最低限のエネルギーのこと。TDEEの約60〜70%を占める最大の要素。
活動係数
日常の運動量を数値化した掛け算の係数(1.2〜1.9)のこと。BMRに掛けてTDEEを算出する。
カロリーデフィシット
TDEEよりも摂取カロリーが少ないエネルギー不足の状態のこと。脂肪燃焼による体重減少を引き起こす。
適応性代謝低下
カロリー制限を続けると基礎代謝が下がる体の防御反応のこと。急激な制限ほど起きやすく、停滞やリバウンドの原因になる。

TDEE計算の全体像
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BMRを計算し、活動係数を掛け、目的に応じて調整する
Step 1: BMR(基礎代謝量)を計算ミフリン・セントジョア式: 10×体重 + 6.25×身長 − 5×年齢 ± 定数1日中寝ていても消費するカロリーの基礎値を算出するStep 2: BMR × 活動係数 = TDEE活動レベルに応じた係数(1.2〜1.9)を掛けて1日の総消費カロリーを算出する減量TDEE − 300〜500 kcal月に約1.5〜2kg減少維持TDEE通りに摂取体重を安定させる増量TDEE + 200〜300 kcal筋量を増やしつつ脂肪を抑制
TDEE活用の4ステップ
1
BMRを計算
体重・身長・年齢・性別をミフリン式に代入し基礎代謝を算出する
2
活動係数を掛ける
自分の運動量に合った係数を選びBMRに掛けてTDEEを求める
3
目的に応じて調整
減量なら−300〜500kcal、増量なら+200〜300kcalを加減する
2〜4週で実測補正
体重変化を見て計算値と実際のズレを±100〜200kcalで微調整する

こんな悩みに効く
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  • どれくらい食べていいのか基準がわからない
  • カロリー制限しているのに体重が減らない
  • 筋トレしているのに筋肉がつかない

基本の使い方
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ステップ1: 基礎代謝量(BMR)を計算する

基礎代謝量とは、何もしなくても生きているだけで消費するカロリーのこと。

もっとも広く使われるミフリン・セントジョア式:

  • 男性: BMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) - 5 × 年齢 - 5
  • 女性: BMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) - 5 × 年齢 - 161

例(30歳男性、170cm、70kg): BMR = 10×70 + 6.25×170 - 5×30 - 5 = 700 + 1062.5 - 150 - 5 = 1607.5 kcal

この数値は「1日中ベッドで横になっていても消費するカロリー」。ここから活動量を掛け合わせる。

ステップ2: 活動レベルを掛けてTDEEを算出

BMRに活動係数を掛ける。

活動レベル係数目安
ほぼ運動しない1.2デスクワーク中心
軽い運動(週1〜3回)1.375軽いジョギングや散歩
中程度(週3〜5回)1.55定期的にジムに通う
激しい運動(週6〜7回)1.725毎日ハードに鍛える
超ハード1.9アスリートレベル

先ほどの例(週3回ジム通い): TDEE = 1607.5 × 1.55 = 約2,492 kcal

これが「1日に消費しているカロリーの目安」。

ステップ3: 目的に合わせてカロリーを調整する

TDEEがわかったら、目的に応じて摂取カロリーの目標を設定する。

  • 減量: TDEE − 300〜500 kcal(緩やかに痩せる)
  • 維持: TDEE通り
  • 増量: TDEE + 200〜300 kcal(筋肉を増やしたいとき)

先ほどの例で減量する場合: 目標摂取カロリー = 2,492 − 500 = 約2,000 kcal/日

TDEEの20%以上を減らすのは危険。極端なカロリー制限は筋肉量が落ち、代謝が下がり、リバウンドの原因になる。

ステップ4: 2〜4週間ごとに再計算する

TDEEは固定値ではない。体重が変われば消費カロリーも変わる。

  • 体重が2〜3kg変わったらTDEEを再計算する
  • 活動量が変わったら活動係数を見直す
  • 体重が2週間以上変わらなければ、係数の見積もりが違う可能性がある

実測で微調整する方法:

  1. 計算したTDEEで2週間食事管理する
  2. 体重の変化を確認する
  3. 予想通り変わっていれば正確、ズレていれば±100〜200 kcal調整する

計算はあくまで出発点。自分の体のデータで精度を上げていくのが本当のTDEE活用法。

具体例
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例1:産後の30代女性がTDEE計算で無理なく減量

プロフィール: 32歳女性、160cm、62kg、活動レベルは軽い運動(週2回ヨガ)

計算:

  • BMR = 10×62 + 6.25×160 - 5×32 - 161 = 620 + 1000 - 160 - 161 = 1,299 kcal
  • TDEE = 1,299 × 1.375 = 約1,786 kcal

減量目標(-400 kcal): 1日約1,400 kcal

実践内容:

  • 朝: 400 kcal(ご飯、卵、味噌汁)
  • 昼: 500 kcal(弁当)
  • 夜: 400 kcal(サラダ+魚+少なめご飯)
  • 間食: 100 kcal(ナッツ or フルーツ)

結果: 月に約1.5kgずつ減少。3ヶ月で-4.5kg。空腹で苦しむことなく、着実に減量できた。

「なんとなく食べない」ではなく「数値で管理する」から無理なく続けられる。

例2:筋トレ中の25歳男性がTDEEで増量を成功させた

プロフィール: 25歳男性、175cm、65kg、週4回ジム(中程度の活動)

計算:

  • BMR = 10×65 + 6.25×175 - 5×25 - 5 = 650 + 1093.75 - 125 - 5 = 1,613.75 kcal
  • TDEE = 1,613.75 × 1.55 = 約2,501 kcal

増量目標(+250 kcal): 1日約2,750 kcal

実践内容:

  • 朝: 700 kcal(オートミール+卵3個+バナナ)
  • 昼: 800 kcal(鶏胸肉弁当+おにぎり追加)
  • 夜: 750 kcal(魚+ご飯大盛り+副菜)
  • 間食: 500 kcal(プロテイン+ナッツ+おにぎり)

3ヶ月後: 体重65kg → 68.5kg。ベンチプレス60kg → 75kg。体脂肪率は15%から16%とほぼ維持。

闇雲に食べるのではなく+250kcalに抑えたことで、脂肪を最小限にしながら筋量を増やせた。

例3:50代女性がTDEEの実測補正でダイエット停滞を突破

プロフィール: 53歳女性、158cm、68kg、週2回のウォーキング(軽い運動)

計算:

  • BMR = 10×68 + 6.25×158 - 5×53 - 161 = 680 + 987.5 - 265 - 161 = 1,241.5 kcal
  • TDEE = 1,241.5 × 1.375 = 約1,707 kcal

最初の設定: TDEE − 400 = 1,300 kcal → 2週間で体重変化なし

実測補正: 「活動係数1.375は高すぎた」と判断。実際のTDEEは1,500kcal程度と推定し、目標を1,200 kcalに再設定(TDEE − 300)

補正後3ヶ月: 月1kgペースで安定して減少。68kg → 65kg。停滞なし。

計算値を鵜呑みにせず、2週間の体重データで実測補正することが停滞打破の鍵。

やりがちな失敗パターン
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  1. 活動レベルを高く見積もりすぎる — 週2回の軽い運動なのに「中程度」を選ぶと、数百kcalのズレが出る。迷ったら低い方を選ぶのが鉄則
  2. 計算結果を絶対視する — TDEEはあくまで推定値。個人差がある。2週間の体重変化で実測値に調整することが大事
  3. 極端なカロリー制限をする — TDEE−1000 kcalなど急激に減らすと、代謝が落ちて痩せにくい体になる。ゆっくり減らすほうが結果的に速い
  4. 体重変化だけで判断する — 水分・筋肉量の変動で日々の体重は上下する。週平均で比較し、最低2週間のトレンドで判断する

まとめ
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TDEE計算は 「自分の体の消費カロリーを知る」 ための出発点。基礎代謝を計算し、活動レベルを掛け、目的に応じて調整する。感覚ではなく数値で食事を管理することで、ダイエットも増量も再現性のあるプロセスに変わる。まずは一度計算して、自分の基準値を知ることから始めよう。