レップレンジ(反復回数設計)

英語名 Rep Range
読み方 レップ レンジ
難易度
所要時間 5〜10分(メニュー設計)
提唱者 運動生理学の研究に基づく一般原則
目次

ひとことで言うと
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筋トレの効果は何回持ち上げるか(レップ数)と重量の組み合わせで決まる。筋力を伸ばしたいなら低レップ・高重量、筋肉を大きくしたいなら中レップ・中重量、持久力なら高レップ・低重量。目的に合ったレップレンジを選ぶことで、トレーニング効率が劇的に変わる。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
レップ(Rep)
Repetitionの略で、**1回の動作(持ち上げて下ろす)**のこと。「10レップ」は10回持ち上げるという意味。
1RM(ワンレップマックス)
ある種目で1回だけ持ち上げられる最大重量のこと。レップレンジの重量設定はこの値を基準にする。
RIR(Reps In Reserve)
セット終了時に**「あと何回できたか」を示す余力回数**のこと。RIR2なら「あと2回はできた」を意味する。
TUT(Time Under Tension)
1セット中に筋肉が張力を受けている合計時間のこと。筋肥大には30〜60秒のTUTが推奨される。

レップレンジの全体像
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目的別に最適なレップ数・重量・休憩時間の組み合わせを選ぶ
筋力(1〜5回)重量: 1RMの85〜100%休憩: 3〜5分神経系の適応パワーリフター向け筋肥大(6〜12回)重量: 1RMの65〜85%休憩: 60〜90秒筋繊維の肥大多くのトレーニー向け持久力(15〜20回+)重量: 1RMの50〜65%休憩: 30〜60秒毛細血管の発達持久系スポーツ向け4〜6週間ごとにレンジを変動体の適応を防ぎ、停滞を打破する
レップレンジ設定の基本フロー
1
目的を決める
筋力・筋肥大・持久力
2
レンジを選ぶ
目的に合った回数帯を設定
3
重量を調整
ギリギリ完遂できる重量を探す
定期的にレンジを変える
4〜6週ごとに刺激を変えて停滞防止

こんな悩みに効く
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  • 筋トレを続けているが、何回やればいいのかわからず適当にやっている
  • 筋肉を大きくしたいのに、軽い重量で高回数ばかりやっている
  • トレーニングの効果が頭打ちになっている

基本の使い方
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ステップ1: トレーニングの目的を明確にする

まず何のために筋トレするのかを決める

  • 筋力アップ(ストレングス): 重いものを持ち上げられるようになりたい
  • 筋肥大(ハイパートロフィー): 筋肉を大きくしたい
  • 筋持久力(エンデュランス): 長時間動ける体を作りたい

多くのトレーニーの目的は筋肥大。まずは筋肥大レンジから始めるのが無難。

ステップ2: 目的に合ったレップレンジを選ぶ
目的レップ数重量(1RMの%)セット間休憩
筋力1〜5回85〜100%3〜5分
筋肥大6〜12回65〜85%60〜90秒
筋持久力15〜20回+50〜65%30〜60秒

※1RM = 1回だけ持ち上げられる最大重量

ポイント: 最新の研究では、レップレンジに関わらず「限界近くまで追い込む」ことが最も重要とされている。

ステップ3: 適切な重量を設定する

選んだレップレンジでギリギリ完遂できる重量を見つける

  • 筋肥大狙いで「10回×3セット」に設定する場合
  • 10回目がギリギリ上がる重量を選ぶ
  • 楽に12回できるなら重量を上げる、8回で潰れるなら重量を下げる
  • 各セットで「あと1〜2回でもう上がらない」状態が理想

ポイント: フォームが崩れる重量は重すぎ。正しいフォームを維持できる範囲で限界を攻める。

ステップ4: 定期的にレップレンジを変える

同じレンジばかりでは体が適応してしまうため、4〜6週間ごとにレンジを変動させる

  • 1〜4週目: 筋肥大レンジ(8〜12回)
  • 5〜6週目: 筋力レンジ(3〜5回)
  • 7〜10週目: 筋肥大レンジに戻る

これをピリオダイゼーション(期分け)と呼ぶ。体に新しい刺激を与え続けることで、停滞を打破する。

具体例
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例1:1RMが80kgの人が筋肥大を狙うベンチプレス設計

メニュー設計:

  • 重量: 80kg × 75% = 60kg
  • レップ: 10回
  • セット: 3セット
  • セット間休憩: 90秒

進め方:

  • 1セット目: 60kg × 10回(あと2回はいけそう → RIR2)
  • 2セット目: 60kg × 10回(あと1回でギリギリ → RIR1)
  • 3セット目: 60kg × 8回(限界まで追い込む → RIR0)

3セット目で10回完遂できるようになったら、重量を2.5kg上げる。

結果: 8週間で1RMが80kg→87.5kgに向上。胸囲も2cm増加。

例2:マラソンランナーが筋持久力レンジで下半身の耐久性を向上

目的: フルマラソン後半の失速を防ぐため、脚の筋持久力を強化したい。

メニュー設計(週2回):

  • スクワット: 40kg × 20回 × 3セット(休憩45秒)
  • ランジ: 自重 × 15回 × 3セット(休憩30秒)
  • カーフレイズ: 30kg × 20回 × 3セット(休憩30秒)

8週間の実践後:

  • 同じ重量で25回に到達(持久力向上)
  • フルマラソン後半のペース低下: キロ+45秒→キロ+20秒に改善
  • 35km以降の脚の「売り切れ」感覚が減少

「高レップ・短休憩の筋トレが、ランニングの後半粘りに直結した。」

例3:パワーリフターが筋力レンジと筋肥大レンジを交互に使い記録更新

状況: デッドリフト180kgで6ヶ月停滞。筋力レンジ(3〜5回)ばかりのトレーニングで関節の疲労も蓄積。

プログラム変更(8週間サイクル):

  • 1〜4週目(筋肥大レンジ): 140kg × 8回 × 4セット、休憩90秒
  • 5〜6週目(筋力レンジ): 165kg × 3回 × 5セット、休憩4分
  • 7週目(ピーキング): 175kg × 1回 × 3セット
  • 8週目: ディロード

結果:

  • デッドリフト1RM: 180kg → 190kg(+10kg)
  • 筋肥大期間で筋肉量が増え、筋力期間でそれを活用できた
  • 関節の痛みが消えた

「筋肥大レンジが筋力の土台を太くし、筋力レンジがその太さを力に変えた。」

やりがちな失敗パターン
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  1. いつも同じレップレンジでやり続ける — 体は刺激に適応する。筋肥大レンジばかりでなく、時々筋力レンジも取り入れることで、扱える重量が上がり筋肥大にもつながる
  2. 軽すぎる重量で回数だけこなす — 12回やっても余裕がある重量では筋肥大効果は薄い。「あと1〜2回で限界」の強度が必要
  3. レップ数にこだわりすぎてフォームが崩れる — 10回と決めたからと無理にチーティングで持ち上げるのは怪我のもと。フォームが崩れたらそこで終了し、次回の目標にする
  4. セット間の休憩を適当にする — 筋力レンジなら3〜5分、筋肥大なら60〜90秒。目的に合った休憩時間を守ることで効果が最大化する

まとめ
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レップレンジは 「目的に合った回数と重量を選ぶ」 というトレーニングの基本設計。筋力なら1〜5回、筋肥大なら6〜12回、持久力なら15回以上が目安。大事なのは適切な重量で限界近くまで追い込むことと、定期的にレンジを変えて体に新しい刺激を与え続けること。