ひとことで言うと#
株式・長期国債・金・現金を各25%ずつ保有し、どんな経済環境でも資産を守るという超シンプルな資産配分戦略。投資アドバイザーのハリー・ブラウンが1981年に提唱した。
押さえておきたい用語#
- パーマネント・ポートフォリオ
- 株式・長期債券・金・現金を均等に25%ずつ配分し、経済のどの局面でも一部が利益を上げる設計にした永続型ポートフォリオ。
- リバランス
- 値動きで崩れた資産配分を元の比率に戻す操作のこと。パーマネント・ポートフォリオでは年1回または配分が15%以上ずれたときに実施する。
- 繁栄期(Prosperity)
- 経済が成長し企業業績が好調な局面。株式が最も有利に働く。
- デフレーション
- 物価が持続的に下落する局面。長期国債の価格が上昇し資産を守る。
パーマネント・ポートフォリオの全体像#
こんな悩みに効く#
- 投資に時間をかけたくないが、預金だけでは不安
- 株式100%は暴落が怖いけど、何にどれだけ分散すればいいかわからない
- 複雑なポートフォリオ理論が理解できなくてもシンプルに始めたい
基本の使い方#
| 資産 | 日本在住者向けの選択肢 |
|---|---|
| 株式25% | eMAXIS Slim全世界株式 or S&P500連動ETF |
| 長期国債25% | 米国長期国債ETF(為替ヘッジ付推奨) or 国内20年超国債 |
| 金25% | 金ETF(1540等) or 純金積立 |
| 現金25% | 普通預金 or 個人向け国債(変動10年) |
信託報酬が年0.2%以下のインデックス商品を選ぶのが原則。
- 400万円なら各100万円ずつ
- 毎月の積立なら月4万円 → 各1万円ずつ
- 端数が出ても厳密に25.0%にこだわらなくてよい(±2%は許容範囲)
- 時間ベース: 年1回、決まった月にリバランス
- 乖離ベース: いずれかの資産が35%以上 or 15%以下になったら実施
- 値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買う。「高く売って安く買う」が自動的に実現する
具体例#
配分
| 資産 | 商品 | 金額 | 年間コスト |
|---|---|---|---|
| 株式 | eMAXIS Slim全世界株式 | 125万円 | 0.06% |
| 長期債 | eMAXIS Slim先進国債券 | 125万円 | 0.15% |
| 金 | SMTゴールドインデックス | 125万円 | 0.28% |
| 現金 | 個人向け国債(変動10年) | 125万円 | 0% |
年間の信託報酬合計: 約 3,700円(500万円に対して0.12%相当)
過去40年のバックテスト(米国データ)では年平均リターン 7.5%、最大下落 −13%(2008年)。株式100%の最大下落−50%超と比べて、暴落耐性が格段に高い。「夜ぐっすり眠れるポートフォリオ」と呼ばれる理由がここにある。
状況: 退職金2,000万円のうち1,200万円を運用、残り800万円は生活予備費として預金
| 資産 | 金額 |
|---|---|
| 株式 | 300万円 |
| 長期国債 | 300万円 |
| 金 | 300万円 |
| 現金(短期国債) | 300万円 |
年金で生活費の大部分をカバーしているため、運用資産から取り崩す必要は当面ない。年1回のリバランスだけで5年後の想定資産額は約 1,450万円(年利4%想定)。
リーマンショック級の暴落(株式−50%)が来ても、株式部分の損失は150万円。ポートフォリオ全体では長期債と金が上昇するため、全体の下落は −8%程度(96万円)で収まる試算になる。
配分: 月3万円 → 各7,500円ずつ
| 資産 | 月額 | 商品 |
|---|---|---|
| 株式 | 7,500円 | つみたてNISAで全世界株式 |
| 長期債 | 7,500円 | 先進国債券インデックス |
| 金 | 7,500円 | 金ETF(月次自動積立) |
| 現金 | 7,500円 | ネット銀行の定期預金 |
3年間(36ヶ月)積み立てると元本108万円。年利5%想定で約 117万円 になる。
20代で株式25%は「もったいない」と感じるかもしれないが、パーマネント・ポートフォリオの目的は最大リターンではなく「続けられる仕組み」。暴落で資産が半減して投資をやめてしまうよりも、穏やかに増えて20年続ける方が最終的な資産額は大きくなる。投資の筋肉を鍛える入口としてこのシンプルさは武器になる。
やりがちな失敗パターン#
- 現金25%が無駄に感じて株式に寄せる — 現金は不況期のクッションであり、リバランス時に割安資産を買う原資。削ると暴落耐性が大幅に下がる
- 金利上昇で長期債が下落してパニック売りする — 長期債はデフレ期のための保険。短期的な含み損で売却するとポートフォリオのバランスが壊れる
- リバランスのタイミングを感情で決める — 「もっと上がりそう」「まだ下がりそう」で判断すると、結局リバランスしない。日付を決めて機械的にやる
- バックテストのリターンだけ見て期待しすぎる — 過去のリターンは将来を保証しない。特に日本の低金利環境では、長期債部分のリターンが米国より低くなる可能性がある
まとめ#
パーマネント・ポートフォリオは 「株式・長期債・金・現金を25%ずつ」 という覚えやすいルールだけで運用できる。複雑な理論も相場予測も不要で、年1回のリバランスだけ。最大リターンを狙う戦略ではないが、どんな経済環境でも大崩れしない安定感が最大の強み。投資に時間をかけたくない人、暴落で眠れなくなる人にとって、これ以上シンプルな答えはなかなかない。