保険設計の基礎

英語名 Insurance Planning
読み方 インシュアランス プランニング
難易度
所要時間 2〜3時間(見直し)
提唱者 保険数理学・ファイナンシャルプランニングの実務
目次

ひとことで言うと
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保険設計とは、「自分に起こりうるリスク」と「そのリスクが家計に与えるダメージ」を分析し、必要最小限の保障を合理的に選ぶプロセス。保険は「安心を買う」のではなく「経済的リスクをヘッジする手段」。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
必要保障額
万一の際に家族の生活を維持するために不足する金額。公的保障との差額で算出。
高額療養費制度
月の医療費自己負担額に上限を設ける公的保障制度。一般所得者は約8〜9万円。
掛け捨て保険
満期金や解約返戻金がない保障に特化した保険。保険料が安い。
遺族年金
加入者が死亡した際に遺族に支給される公的年金。遺族基礎年金と遺族厚生年金がある。
傷病手当金
病気やケガで働けない間給与の2/3が最長1年6ヶ月支給される制度。会社員が対象。

保険設計の基礎の全体像
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リスク洗い出しから必要保障額の算出まで
リスク特定死亡・病気・就業不能優先順位をつける公的保障確認遺族年金・高額療養費不足額を計算民間保険選択掛け捨て中心定期的に見直す最適な保障設計公的保障で足りない分だけを合理的にカバー
保険設計の進め方
1
リスク整理
死亡・病気・就業不能のリスクを洗い出す
2
公的保障確認
遺族年金・高額療養費で足りる分を把握
3
不足分補填
民間保険で不足分だけをカバー
4
定期見直し
ライフステージ変化時に保障を更新

こんな悩みに効く
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  • 勧められるままに保険に入ったが、本当に必要か疑問がある
  • 結婚・出産でライフステージが変わったが保険の見直し方がわからない
  • 毎月の保険料が高すぎて家計を圧迫している

基本の使い方
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ステップ1: リスクを洗い出し、優先順位をつける

自分の人生で起こりうるリスクと、その経済的影響を整理する

  • 死亡リスク: 自分が亡くなった場合、遺族の生活費・教育費はいくら必要か
  • 病気・ケガリスク: 長期入院・手術の自己負担額はいくらか
  • 就業不能リスク: 働けなくなった場合の収入減はどれくらいか
  • 老後リスク: 公的年金だけで生活費は足りるか
  • 自動車・火災リスク: 賠償責任の最大額はいくらか

ポイント: 「発生確率は低いが、起きたら家計が破綻するリスク」を保険でカバーする。貯蓄で対応できるリスクに保険は不要。

ステップ2: 公的保障で足りない部分を算出する

すでにある公的保障(社会保険)の内容を確認し、不足額を計算する

  • 遺族年金: 遺族基礎年金+遺族厚生年金で年間いくら受給できるか
  • 高額療養費制度: 月の医療費自己負担の上限は約8〜9万円(一般所得者)
  • 傷病手当金: 給与の2/3が最長1年6ヶ月支給される
  • 障害年金: 障害等級に応じた年金が支給される

計算例: 遺族の年間生活費400万円 − 遺族年金150万円 − 配偶者の収入200万円 = 不足額50万円/年

ポイント: 多くの人が公的保障の充実度を知らない。まず公的保障を把握するだけで、必要な民間保険は大幅に減る。

ステップ3: 必要な保険を選び、定期的に見直す

不足分だけを民間保険で補い、ライフステージの変化に合わせて更新する

  • 死亡保障: 子どもが独立するまでの期間限定(定期保険)が合理的
  • 医療保障: 高額療養費制度で不足する差額ベッド代・先進医療に限定
  • 就業不能保障: 傷病手当金の終了後(1年7ヶ月目以降)をカバー
  • 貯蓄型 vs 掛け捨て型: 保障と貯蓄は分離する方が合理的(掛け捨て+投資)
  • 見直しタイミング: 結婚・出産・住宅購入・子の独立・退職時

ポイント: 保険は「入ったら終わり」ではない。ライフステージが変わるたびに必要保障額は変化する。

具体例
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例:第一子誕生時の保険見直し

対象: 32歳会社員(年収550万円)、妻30歳(年収300万円・育休中)、第一子誕生。

現状の保険: 独身時代に加入した終身保険(死亡500万円・月額1.2万円)、医療保険(入院日額1万円・月額4,000円)。合計月額1.6万円。

見直し後の設計:

  1. 死亡保障: 遺族の必要生活費を計算 → 不足額2,000万円 → 定期保険(20年・2,000万円)月額3,500円に変更。終身保険は解約
  2. 医療保障: 高額療養費制度で大部分カバー → 先進医療特約付きの最低限の医療保険に変更。月額2,000円
  3. 就業不能保障: 新規加入。月額15万円の保障。月額3,000円
  4. 学資準備: 保険ではなくつみたてNISAで月2万円を投資

結果: 月額保険料1.6万円 → 8,500円に削減。浮いた7,500円をつみたてNISAに回し、保障と資産形成を両立。必要な保障はむしろ手厚くなった。

例2:35歳・子ども2人の家庭が必要保障額を計算する

前提条件:

  • 世帯主35歳(会社員・年収600万円)、配偶者・子ども2人(5歳・2歳)
  • 月間生活費: 35万円
  • 住宅ローン: 団体信用生命保険あり(死亡時は残債ゼロ)
  • 遺族年金: 月約12万円(子ども2人の間)

必要保障額計算:

  • 子どもが独立するまでの生活費: 月23万円(35万円の65%)× 12ヶ月 × 20年 = 5,520万円
  • 教育費: 1人1,500万円 × 2人 = 3,000万円
  • 遺族年金(20年分): -2,880万円
  • 配偶者の就労収入(20年): -2,400万円
  • 必要保障額: 約3,240万円

学び: 住宅ローンの団信と遺族年金を考慮すると、必要な死亡保障は想像より少ない。過剰な保険料は資産形成の足かせになる。

例3:独身30代が医療保険の要否を合理的に判断する

前提条件:

  • 30歳独身(会社員)、貯蓄300万円
  • 検討中の医療保険: 月額3,500円(入院日額1万円、手術給付金あり)
  • 高額療養費制度: 月の自己負担上限 約8万円

比較:

  • 医療保険20年間の保険料: 3,500円 × 12ヶ月 × 20年 = 84万円
  • 実際に入院する確率(30-50歳): 約5%(平均入院日数15日)
  • 入院時の期待給付金: 15万円程度

判断: 貯蓄300万円あれば高額療養費制度で自己負担はカバー可能。保険料84万円を払うより、その分を投資に回す方が合理的

学び: 十分な貯蓄がある人にとって医療保険は不要なケースが多い。保険は「貯蓄で対応できないリスク」にだけかけるのが原則。

やりがちな失敗パターン
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  1. 「不安だから」ですべてのリスクに保険をかける — 保険料が膨らみ家計を圧迫。貯蓄で対応できるリスク(数十万円レベル)には保険は不要

  2. 貯蓄型保険で「お得に」備えようとする — 保障と貯蓄を混ぜると両方が中途半端になる。掛け捨て保険で保障を確保し、浮いた分を投資に回す方が合理的

  3. 一度加入したら見直さない — 子どもが独立したのに高額の死亡保障を続けるなど。ライフステージが変わったら必ず見直す

  4. 全体像を見ずに部分最適に走る — 1つの指標や手法だけに集中すると見落としが生まれる。複数の視点を組み合わせて総合判断することが重要

まとめ
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保険設計は 「不安を保険で埋める」 のではなく「公的保障で足りない経済的リスクだけを合理的にカバーする」アプローチ。リスクの洗い出し→公的保障の確認→不足分の補填という3ステップで、必要最小限の保障を最小限のコストで実現する。浮いた保険料は投資に回し、保障と資産形成を両立させる