押さえておきたい用語
- ツリーテスト: ビジュアルデザインを排除し、テキストのみのツリー構造を使って情報の見つけやすさを評価する手法
- 正答率(Success Rate): 参加者が正しいカテゴリにたどり着けた割合
- 直行率(Directness): 迷わず最短経路で正解に到達した割合
- ファーストクリック正答率: 最初のクリック(カテゴリ選択)が正解ルート上にある割合
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IA案の作成
カテゴリ構造をテキストツリーで定義 → タスク設計
こんな悩みに効く#
- 「サイトリニューアル前にナビゲーション構造が正しいか確認したい」
- 「カテゴリ名がユーザーに伝わっているか不安がある」
- 「情報構造の問題なのかビジュアルの問題なのか切り分けたい」
使い方#
ツリー構造を準備する
サイトやアプリのカテゴリ構造をテキストのみのツリーで表現する。Optimal Workshop、Treejackなどの専用ツールを使うとリモートテストが容易に実施できる。階層は3〜4段が目安。
タスクを設計する
「引っ越しの届出をしたい場合、どこを見ますか」のようにユーザーの言葉で具体的なタスクを5〜10個作成する。各タスクには正解のカテゴリパスを事前に定義しておく。
50〜100名でリモートテストを実施する
参加者にタスクを提示し、ツリーを展開しながら正解と思うカテゴリを選んでもらう。リモートで実施すれば1日で多数のデータが集まる。
結果を定量分析する
タスクごとに正答率・直行率・ファーストクリック正答率を算出する。正答率70%未満のタスクは情報構造に問題がある。ファーストクリックで間違いが多い箇所はラベルの改善が必要と判断できる。
具体例#
ECサイト — リニューアル前のカテゴリ検証
状況: ECサイトのリニューアルでカテゴリを全面再編成。新構造が正しいか、実装前に検証したかった。
適用プロセス:
- 新カテゴリ構造(3階層・42カテゴリ)をTreejackでツリー化
- 80名の一般消費者に「ワイヤレスイヤホンを買いたい」など8タスクを実施
- 「ワイヤレスイヤホン」タスクの正答率が32%。参加者は「家電」「スマホアクセサリ」「オーディオ」に分散
成果: 「オーディオ」カテゴリの下に「イヤホン・ヘッドホン」サブカテゴリを新設し、「スマホアクセサリ」からもクロスリンクを追加。再テストで正答率が32%→78%に改善し、安心してリニューアルを実施できた。
自治体サイト — 手続きナビゲーションの改善
状況: 市のWebサイトで「必要な手続きが見つからない」という市民の声が年間1,200件。情報構造が組織体系ベースで市民の目的と合っていなかった。
適用プロセス:
- 既存構造(組織名ベース:市民課、税務課…)と新案(目的ベース:引っ越し、届出…)の2案でツリーテスト
- 100名の市民にそれぞれ10タスクを実施
- 既存構造の平均正答率42%に対し、目的ベース構造は71%
成果: 目的ベースの情報構造に全面移行。さらにスコアが低かった3タスクのラベルを修正し再テストで82%に到達。サイトリニューアル後、「見つからない」の問い合わせが年間1,200件→340件に減少した。
SaaS — ヘルプセンターの再構成
状況: ヘルプセンターの記事は300本以上あるが、サポートチケットの40%が「ヘルプに載っているのに見つけられなかった」という内容だった。
適用プロセス:
- 既存のヘルプセンター構造(機能名ベース)をツリーテスト。60名で実施
- 平均正答率が48%。特に「請求関連」が22%と最低で、参加者が「アカウント設定」「サブスクリプション」「管理者メニュー」に分散
- ユーザーのメンタルモデル調査(カードソーティング)を行い、目的ベースの新構造を設計
成果: 新構造の再テストで平均正答率が48%→76%に向上。ヘルプセンター移行後、「見つけられなかった」チケットが月160件→48件に減少し、サポート工数が大幅削減された。
うまくいかないパターン#
| パターン | 問題点 | 対処法 |
|---|---|---|
| タスクが誘導的 | 「オーディオカテゴリでイヤホンを探して」ではカテゴリ名がヒントになる | ユーザーの言葉で目的を記述する |
| 参加者が少なすぎる | 10名以下では統計的に有意な結果が得られない | 最低50名を確保する |
| ビジュアルを含めてしまう | アイコンや色で判断してしまい、ラベルの評価にならない | テキストのみのツリーで純粋に検証する |
| 結果を無視して実装 | テストした意味がなくなる | 正答率70%未満のタスクは必ず修正する |
まとめ#
ツリーテストはビジュアルデザインを排除することで、情報構造の問題だけを純粋に検証できる手法だ。正答率と直行率という明確な指標でカテゴリ構造の妥当性を定量的に判断でき、リニューアル前の 「確信」 を得るために有効に機能する。50名以上のリモートテストが推奨されるが、専用ツールを使えば準備から分析まで1日で完了できる効率的な検証手法でもある。