ひとことで言うと#
ユーザーが「迷わず目的の情報にたどり着ける」ように、コンテンツの分類・階層・ナビゲーションを設計する技術。図書館の本棚の並べ方や、百貨店のフロアガイドと同じ考え方をデジタルに応用したもの。
押さえておきたい用語#
- コンテンツインベントリ
- サイト内の全コンテンツを洗い出して一覧化する作業。どんな情報がどこにあるかの「棚卸し」。
- タクソノミー
- コンテンツを分類するための体系的なカテゴリ構造。トピック別、タスク別、対象者別などがある。
- カードソーティング
- ユーザーに情報を書いたカードを自由に分類してもらうリサーチ手法。ユーザーの自然なメンタルモデルを調べられる。
- サイトマップ
- ページの階層構造をツリー図で可視化したもの。情報アーキテクチャの設計成果物の代表。
情報アーキテクチャの全体像#
こんな悩みに効く#
- サイトが大きくなるにつれ、どこに何があるかわからなくなった
- ユーザーが目的のページにたどり着けず離脱している
- メニューの項目が多すぎて整理できない
基本の使い方#
まず、すべてのコンテンツを洗い出して一覧にする。
- サイト内の全ページをスプレッドシートにリスト化
- 各コンテンツの「目的」「対象ユーザー」「利用頻度」を記録
- 重複・不要・古いコンテンツを特定する
100ページ以上あるサイトでは、まず「本当に必要なコンテンツ」と「削除してよいコンテンツ」を仕分ける。情報は減らすことから始める。
コンテンツをユーザーの思考モデルに合ったカテゴリに分類する。
- トピック別: 「製品」「サービス」「サポート」(最も一般的)
- タスク別: 「買う」「学ぶ」「問い合わせる」(タスク指向サイト向け)
- 対象者別: 「個人のお客様」「法人のお客様」(異なるユーザー群がいる場合)
分類は7±2の法則を意識。1階層のカテゴリ数は5〜9個に抑える。カードソーティングでユーザーの自然な分類を調べるのも有効。
分類体系をもとに**サイトマップ(ページの階層構造)**を作る。
- 階層は3レベル以内に抑える(クリック3回で到達できる)
- グローバルナビ: 全ページ共通のメインメニュー(5〜7項目)
- ローカルナビ: セクション内のサブメニュー
- パンくずリスト: 現在地を示す道しるべ
- 検索: 構造からたどれないユーザーの救済手段
ナビゲーションのラベル(メニュー名)はユーザーの言葉を使う。社内用語や業界用語は避ける。
具体例#
コンテンツインベントリ: 全80ページ。うち15ページは3年以上未更新。重複が8ページ。→ 整理して55ページに削減。
ユーザーの主なタスク: 1. 診療科目・症状から受診すべき科を探す、2. 予約する、3. アクセス・営業時間を確認する
サイトマップ: トップ → 診療案内(内科/皮膚科/小児科)/ ご予約(Web/電話)/ アクセス / 医師紹介 / お知らせ
ナビゲーション設計: グローバルナビ4項目。「症状から探す」機能を追加(ユーザーは必ずしも診療科名を知らない)。モバイルでは「Web予約」と「電話する」をフローティングボタンに。
ユーザーの行動パターンに合わせた構造にすることで、予約率が23%向上した。
Before: ヘルプセンターが社内の組織構造に沿って分類されていた。「アカウントチーム」「決済チーム」「API開発チーム」のカテゴリで、ユーザーは「自分の問題がどのチームの管轄か」がわからない。サポートへの問い合わせが月800件。
After: ユーザーのタスクに基づいて再分類。「はじめての設定」「支払い・請求」「データ管理」「トラブルシューティング」の4カテゴリに整理。各カテゴリに「よくある質問 TOP5」を配置。
サポートへの問い合わせが月800件から520件に35%減少。ヘルプページの自己解決率が28%から54%に向上した。
課題: 大学Webサイトが学部・学科の組織構造をそのまま反映し、受験生が「自分に合う学科」を見つけられない。サイトからの資料請求率が低い。
カードソーティング: 受験生15名に50ページ分のコンテンツカードを渡し、自由に分類してもらった。結果、「学びたいこと別」「卒業後の進路別」の2軸で分類する傾向が明確に。
改善: トップページに「学びたいことから探す」「将来の仕事から探す」の2つの入口を新設。学部・学科ページは残しつつ、複数の入口から到達できるクロスリンク構造に。
資料請求率が前年比で42%増加。「探しやすくなった」の受験生アンケート評価が89%に。
やりがちな失敗パターン#
- 組織図をそのままサイト構造にする — 「総務部」「営業部」はユーザーの思考モデルではない。ユーザーのタスクやメンタルモデルに合わせた構造にする
- 「すべてをトップページから辿れるように」と詰め込む — トップページにリンクが50個あったら、何もないのと同じ。優先順位をつけて絞る
- 一度作って放置する — コンテンツは増え続ける。定期的にインベントリを更新し、構造を見直すことが必要
- メニューのラベルに社内用語を使う — ユーザーが理解できる言葉でメニューを命名する。カードソーティングやユーザーテストでラベルの適切さを検証する
まとめ#
情報アーキテクチャは「コンテンツの棚卸し→分類→構造化→ナビゲーション設計」の流れで、ユーザーが迷わないサイトを作る技術。見た目のデザインよりも先に、この 「骨格」 を正しく設計することが、使いやすいプロダクトへの最短ルート。