デザイン思考ワークショップ

英語名 Design Thinking Workshop
読み方 デザイン シンキング ワークショップ
難易度
所要時間 3〜8時間
提唱者 IDEO / スタンフォード大学d.school
目次

ひとことで言うと
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共感→定義→発想→試作→検証の5ステップをチームで実践するワークショップ形式。デザイン思考の理論を「座学」ではなく「体験」として身につけることで、ユーザー中心の問題解決スキルがチームに定着する。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
共感(Empathize)
ユーザーの行動・感情・本音を観察とインタビューで深く理解するフェーズ。デザイン思考の出発点。
How Might We(HMW)
「どうすれば〇〇できるだろうか?」という形式の問いのフレーム。課題を解決可能なチャレンジに変換する。
プロトタイプ
アイデアを素早く低コストで形にした試作品。完成品ではなく「議論のたたき台」として使う。
ダイバージェンスとコンバージェンス
アイデアを**広げるフェーズ(発散)と絞るフェーズ(収束)**の繰り返し。両方をバランスよく行うことが重要。

デザイン思考ワークショップの全体像
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共感→定義→発想→試作→検証の5フェーズを順に進める
共感ユーザーを深く理解するインタビュー共感マップ・観察定義解くべき問いを明確にするHMW形式で問いを1つに集約発想大量のアイデアを出すブレスト・投票批判なしで発散試作素早く形にする(プロトタイプ)紙・段ボール・スライドで5分で検証フィードバックを得て改善するユーザーに見せて仮説を検証する成果物は「正解」ではなく「検証すべき仮説のリスト」
デザイン思考ワークショップの進め方フロー
1
共感フェーズ
インタビュー・共感マップでユーザーの本音を掘り下げる
2
定義フェーズ
HMW形式で解くべき問いを1つに集約する
3
発想・試作
ブレスト→投票→プロトタイプ作成
4
検証・改善
ユーザーにプロトタイプを見せてフィードバックを得る

こんな悩みに効く
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  • チームが「作り手目線」から抜け出せず、ユーザーの本音に迫れない
  • 新しいサービスのアイデアが社内の会議室から出てこない
  • デザイン思考を学んだが、実践する場がない

基本の使い方
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ステップ1: 共感フェーズ — ユーザーを深く理解する(60〜90分)

ワークショップの冒頭で、ユーザーの行動・感情・本音を掘り下げる。

  • インタビュー: 参加者同士でペアになり、テーマに関する体験を聞き合う
  • 共感マップ: 「言っていること」「考えていること」「感じていること」「やっていること」を4象限で整理
  • 観察メモ: 事前に収集したユーザー行動データを共有

ポイント: 「何が問題か」ではなく「なぜそう感じるか」に焦点を当てる。

ステップ2: 定義フェーズ — 解くべき問いを明確にする(30〜60分)

共感フェーズで得たインサイトを**1つの問い(How Might We)**に集約する。

  • 共感マップから「最も重要な気づき」を3つ選ぶ
  • 「どうすれば〇〇なユーザーが△△できるだろうか?」の形式で問いを作る
  • チームで投票して、最も取り組むべき問いを1つ決める

例: 「どうすれば忙しい子育て中の親が、罪悪感なく自分の時間を確保できるだろうか?」

ステップ3: 発想・試作フェーズ — アイデアを形にする(60〜120分)

定義した問いに対して、大量のアイデアを出し、素早く形にする

  1. ブレインストーミング(15分): 批判なしでアイデアを付箋に書き出す
  2. ドット投票(5分): 最も可能性のあるアイデアに投票
  3. プロトタイプ作成(30〜60分): 紙・段ボール・スライドなどで素早く形にする

プロトタイプは「完成品」ではなく「議論のたたき台」。5分で伝わるレベルで十分。

ステップ4: 検証フェーズ — フィードバックを得る(30〜60分)

作ったプロトタイプを他のチームやユーザーに見せてフィードバックを得る。

  • 「いいね」だけでなく「ここが不安」「ここが分からない」を集める
  • フィードバックをもとにプロトタイプを修正(2回目の試作)
  • 最終的なアクションプランを作成する

重要: ワークショップの成果物は「完成したアイデア」ではなく「検証すべき仮説のリスト」。

具体例
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例1:経費精算アプリのチーム8名が半日ワークショップで改善案を出す

テーマ: 「経費精算が面倒で社員の不満が多い」

共感フェーズ: 5人の社員にインタビュー → 「レシートを貯めてしまう」「分類が分からない」「承認が遅い」が共通の不満

定義: 「どうすれば出張が多い営業担当が、レシートを受け取った瞬間に精算を完了できるだろうか?」

発想・試作: アイデア42個を付箋に書き出し → ドット投票で上位3案を選定 → 紙で「レシート撮影→自動分類→ワンタップ申請」の画面遷移を作成

検証: 営業チーム5人にプロトタイプを見せたところ、「撮影は嬉しいが、交通費ICカードの自動連携も欲しい」という新たなインサイトを得た

2週間後に改善版のモックアップを作成し、開発チームに共有。精算にかかる平均時間が1件あたり12分から3分に短縮された。

例2:社内研修チーム6名が新入社員オンボーディングを再設計する

テーマ: 「新入社員が入社3ヶ月以内に孤立感を感じている」

共感フェーズ: 入社1年目の社員8名にインタビュー → 「誰に聞けばいいかわからない」「ランチの誘い方がわからない」「業務以外の相談相手がいない」

定義: 「どうすれば入社初月の社員が、気軽に先輩に相談できる関係を作れるだろうか?」

発想・試作: ブレスト30分で68個のアイデア → 「バディ制度」「ランダムランチ」「質問チャンネル」が上位に → 紙芝居形式で「入社初日〜1週間のバディ体験フロー」をプロトタイプ化

検証: 新入社員3名にプロトタイプを見せたところ、「バディがいると安心だが、バディとの相性が不安」という声が出た

バディのマッチング基準に趣味・出身地を追加。導入後、入社3ヶ月時点の「孤立感がある」と回答した割合が42%から14%に低下した。

例3:プロダクトチーム5名がシニア向け配車アプリの新機能を構想する

テーマ: 「70代以上のユーザーの初回利用完了率が23%と低い」

共感フェーズ: 70代のユーザー6名の自宅を訪問し、スマートフォンの使い方を観察 → 「文字が小さい」「ボタンの意味がわからない」「電話のほうが楽」

定義: 「どうすれば70代のユーザーが、家族に頼らずに1人でタクシーを呼べるだろうか?」

発想・試作: 48個のアイデアから「ワンボタン配車」を選出 → 段ボールで大きなスマートフォンの模型を作り、画面遷移をシミュレーション

検証: 70代の方3名にプロトタイプを操作してもらい、「大きなボタン1つで呼べるのは嬉しいが、いつ来るかが画面で見えないと不安」というフィードバック

到着予定時刻の大きな表示と音声アナウンスを追加。リリース後、70代の初回利用完了率が23%から61%に向上した。

やりがちな失敗パターン
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  1. 共感フェーズを飛ばしていきなり発想に入る — ユーザーの本音を理解しないままアイデアを出すと、「作り手が欲しいもの」を作るだけになる。最低でも全体の3割の時間を共感に使う
  2. ワークショップで出た結論をそのまま実装する — ワークショップの成果は「仮説」であって「結論」ではない。必ず実ユーザーでの検証ステップを挟む
  3. ファシリテーターが議論を誘導する — 「答え」を持った人がファシリテーションすると、参加者はその方向に流される。ファシリテーターは「問いを投げる人」に徹する
  4. 参加者の多様性が足りない — 同じ部署のメンバーだけで実施すると視点が偏る。エンジニア、営業、カスタマーサポートなど異なる職種を最低3つは混ぜることで発見の幅が広がる

まとめ
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デザイン思考ワークショップは、共感・定義・発想・試作・検証をチームで実践する場。理論を学ぶだけでなく、手を動かして体験することで、ユーザー中心の思考がチームに根付く。成果物は「正解」ではなく「検証すべき仮説」。ワークショップの後に実ユーザーでの検証を必ずセットで行うこと。